カーリング日本選手権2024を名場面で振り返る:準決勝・決勝編

 カーリング日本選手権2024の振り返り。前編に続き、後編はプレーオフの試合から名場面を取り上げます。

y-koutarou.hatenablog.com

www.nhk.jp

男子準決勝 SC軽井沢クラブ-LOCOSOLARE

3エンド:目視判定

 男子準決勝での珍しい一幕を紹介。

SC軽井沢クラブ-ロコ・ソラーレ 3エンド 先攻(赤)SC軽井沢クラブ リード2投目

3E 先攻(赤)リード2投目

 3エンド。先攻(赤)SC軽井沢クラブ、リード2投目を終えてこの状況。いま投げた赤がハウスに入っているかどうかが微妙。入っていればテイクできますが、入っていなければセンターラインからずらすこともできません。ロコ・ソラーレのスキップ前田拓がSC軽井沢クラブのスキップ栁澤に確認を求め、2人で上から見るが……。

「ギリだねー」
「これは測れないよねー」

 ルール上は、フリーガードゾーンルール適用になるかどうかは、バイターメジャーでハウスにかかっているか測定することができます。しかし、この場合はティー(ハウスの中心点)とその石との間に別の石があるためメジャーが使えません。結局、審判が目視で測定するということになり、審判がシートに入って、上から、左右から見た結果……。

「入っていないです」

谷田「カーリングは審判が何かのジャッジを下すことってのはほぼないので、ちょっとああいうシーンは緊張感がありますね」
高木アナ「いま会場も少しざわつきましたね」

男子準決勝 SC軽井沢クラブ-LOCOSOLARE
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
SC軽井沢クラブ   1 1 0 0 2 0 0 3 1 X 8
LOCOSOLARE * 0 0 2 0 0 2 1 0 0 X 5

女子準決勝 SC軽井沢クラブ-中部電力

7エンド:最後にくるっと回って

 女子準決勝は前編でも紹介した1次予選の組み合わせの再戦となりました。この試合が本大会一番の名勝負だったと思います。

SC軽井沢クラブ-中部電力 7エンド 後攻(赤)SC軽井沢クラブ フォース1投目

7E 後攻(赤)フォース1投目

 6エンドを終わって3-3という、1次リーグほどではないがロースコアの戦い。

 7エンド、後攻(赤)SC軽井沢クラブ、フォース上野美優1投目。鮮やかなトリプルテイクを決めます。特に後方の黄も動いたのが良かった。赤がナンバー3まで取ってSC軽井沢クラブは大量点のチャンス。中部電力大ピンチ。

SC軽井沢クラブ-中部電力 7エンド 先攻(黄)中部電力 フォース2投目

7E 先攻(黄)フォース2投目

 ……かに見えましたが、しかし先攻(黄)中部電力フォース北澤育恵2投目。渾身のハウス内カマー。14.9秒でT奥だがギリギリで止まってナンバー1を取ります。最後にくるっと回ってさらに内側に隠れました。これが効いた。

SC軽井沢クラブ-中部電力 7エンド 後攻(赤)SC軽井沢クラブ フォース2投目

7E 後攻(赤)フォース2投目

 SC軽井沢クラブ(赤)のラストストーンは、その黄の前へのドローで1点、少し押せれば2点というショット。しかし、こちらは14.7秒で曲がりきらずにスルーしてしまいました。1点スチール。

 SC軽井沢クラブにビッグショットが出て大量点かと思ったところから、北澤のドロー一発で大逆転。

 同点の7エンドをスチールして、4-3と中部電力が一歩リードしました。

8エンド:またも北澤

SC軽井沢クラブ-中部電力 8エンド 後攻(赤)中部電力 フォース1投目

8E 後攻(赤)フォース1投目

 後攻(赤)SC軽井沢クラブ、フォース上野美1投目。絶妙なウェイトコントロールショットを見せます。解説は市川美余

市川「いやー、でもこれいいですね。1・2で、ダブルするにはかなり角度が難しくなりましたね」

 ナンバー1の黄を押し下げつつ、シューターの赤はナンバー2で残る。しかも黄の裏に入ったのでダブルテイクもできない。SC軽井沢クラブが2点チャンスを作りました。

SC軽井沢クラブ-中部電力 8エンド 先攻(黄)中部電力 フォース2投目

8E 先攻(黄)フォース2投目

 しかし、後攻(黄)中部電力フォース北澤2投目。赤の前にフリーズ。手前で止まってしまうとテイクされて3失点になる可能性もありましたが、しっかり1の黄にコツンと当てて止める。これなら1点取らせの形。さすが北澤。

 試合は同点で9エンドへ。

9エンド:どう見ても2点形?

SC軽井沢クラブ-中部電力 9エンド 先攻(赤)SC軽井沢クラブ フォース2投目 投球前

9E 先攻(赤)フォース2投目 投球前

 同点の9エンドは、フォース1投目を終えてこの形。両チームあと1投。先攻(赤)SC軽井沢クラブの選択は?

 自分は中継を見ていて、どう見ても後攻(黄)中部電力が複数点取ったと思いました。ハウス内に赤を隠す場所もないし、フリーズの目標となる石もない。トリプルテイクも無理そう。何とかダブルテイクして失点を減らすくらいしか手がないのでは?と思って見ていました。

 みなさんは、ここからSC軽井沢クラブ(赤)が1失点でしのぐ手を想像できますか?

 SC軽井沢クラブのショットはこれ!

SC軽井沢クラブ-中部電力 9エンド 先攻(赤)SC軽井沢クラブ フォース2投目

9E 先攻(赤)フォース2投目

 ランバック・ダブルテイクですが、それより残った石の位置関係がすばらしい。シューターがガードで残って、中に飛んだ赤が黄の裏に入り込むような動きをしました。Xで動画が見られるので、ぜひ見て下さい。

 ハウス内の黄と赤があと少しずれていたら、赤だけテイクして2点は簡単でした。また、シューターがこのガードの位置に止まらなかったら、黄から赤を押し出して2点を取るのは簡単でした。この位置関係でしか1点取らせの形にはならなかった。

 中部電力はドローで1点取る。1点差で最終エンドへ。

10エンド:究極のドロー

 そして運命の10エンド。後攻(赤)SC軽井沢クラブの1点ダウンというカーリングにおいて最も際どい点差。このエンドは両チームともやや時間がない中でドロー合戦。両チームともセンターラインへ向かってどんどんドローを投げ込み、あっという間に石が積み重なっていきます。

 後攻(赤)SC軽井沢クラブ、サード2投目の前には、こんな会話がありました。
「タイム取っていいよ! タイム、タイム!」
「いや時間に残しておいた方がいい」

 この判断が運命を分けたかもしれません。

SC軽井沢クラブ-中部電力 10エンド 先攻(黄)中部電力 フォース2投目

10E 先攻(黄)フォース2投目

 先攻(黄)中部電力フォース2投目。ハウス内の黄・黄・赤でナンバー1の赤を動かそうとしますが、いま置かれたばかりのガードに当たってしまって中には触れず。ナンバー1は赤のままで、SC軽井沢クラブのラストストーンを迎えます。

 しかし、ナンバー2を取れる範囲は極めて小さい。と言うよりも、手前の黄が邪魔をして、ナンバー2に届くラインは無いように見えます。そうだからこそ、SC軽井沢クラブは、フォース1投目で、ナンバー2を取りに行くドローではなく、ガードを選択したのでしょう? そして、そのガードのおかげでナンバー1を守れたわけだから、良かったじゃないですか。勝負はエキストラエンドかあ。

 SC軽井沢クラブはここまで取っておいたタイムアウトを使います。西室コーチのアドバイスも受けて狙いを確認。

「黄色触んないようにドローですよね?」
「いまの幅じゃたぶんガードの感じだと触っちゃうよね」
「うん、ちょっと広めでいけば」
「じゃあここでいく? ここでいい?」
「ライトの方がいいからね。だから、さらに幅取った方がいい」
「速かったら触んない方がいいんじゃん?」
「速かったら全力スイープで」

SC軽井沢クラブ-中部電力 10エンド 後攻(赤)SC軽井沢クラブ フォース2投目

10E 後攻(赤)フォース2投目

 後攻(赤)SC軽井沢クラブ、フォース2投目。かなり外側のラインを使って15.3秒でドロー。スイーパー2人は最初からスイープしている。

「まだ待てるよ」
「ライン悪くないよ」
「ウェイトだ。ウェイトだ」
「ウェイトだけ」
「ギリギリ、ギリギリ」
「ちょっと曲がってる、曲がってる」
「イエス!」
「ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!」
「イエス!イエス!イエス!イエス!」
「ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!ゴー!」

 上の黄に沿うように曲がって、ボタンに赤が入ってきた! ボタン上下の黄はボタンに掛かっているかどうか微妙だが、いま入ってきた赤は、わずかだが明らかにボタンに掛かっている! ナンバー2は赤! SC軽井沢クラブの逆転勝ち!

 これは究極のドローと言っていいんじゃないでしょうか。自分がこれまでカーリングの試合を見てきた中で、これよりすごいドローは見たことがない。この場面の動画は何回も繰り返し見ましたが、見るたびに、ないと思っていたラインを通っていく石の動きにぞくぞくします。

市川「このショットはカーリングの歴史に名を残すぐらいスーパーショットだったんじゃないですかね」

女子準決勝 SC軽井沢クラブ-中部電力
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
SC軽井沢クラブ   0 0 2 0 1 0 0 1 0 2 6
中部電力 * 0 1 0 1 0 1 1 0 1 0 5

男子決勝 コンサドーレ-SC軽井沢クラブ

4エンド:想像できないミス

SC軽井沢クラブ-コンサドーレ 4エンド 先攻(黄)コンサドーレ フォース1投目

4E 先攻(黄)フォース1投目

 男子決勝は、2連覇中のSC軽井沢クラブと、その前に3連覇しているが、若手2名が加わって当時とはメンバーが替わっているコンサドーレの対戦。

 勝負の分かれ目となった4エンドの場面を紹介します。試合は2-1とコンサドーレ1点リード。先攻(黄)コンサドーレ、フォース清水徹郎1投目。自分の黄から角度を変えてボタンの赤をはじき出すナイスショット。センターガードは無いものの、4フットに黄が4つ固まって残って、いかにもスチールになりそうな形になりました。

SC軽井沢クラブ-コンサドーレ 4エンド 先攻(黄)コンサドーレ フォース2投目

4E 先攻(黄)フォース2投目

 先攻(黄)コンサドーレ、フォース2投目。4フットへドロー。やや伸びてフリーズになってスチール形ではなくなりましたがまずまず。1点取らせの形にはなりました。

 さて、ラストストーンはその黄の前にドローすれば1点は取れますが、しかしSC軽井沢クラブ(赤)は前の赤を見ている。

曽根アナ「スチールされる危険性は?」
谷田「ありますね」

 曽根アナの質問に、谷田は即答しました。

SC軽井沢クラブ-コンサドーレ 4エンド 後攻(赤)SC軽井沢クラブ フォース2投目

4E 後攻(赤)フォース2投目

 後攻(赤)SC軽井沢クラブ、フォース栁澤2投目。ハウス内の赤を使ったトリプルテイクを狙うが、ややラインがずれました。

谷田「ああ、外だ」

 やや左に当たって黄が思ったより飛び散らず3点スチールになってしまう。ミスになったとしても、ここまでになるとは思いませんでした。

谷田「ここまでのミスは、チームの中であまり想像できていなかったというか。僕も想像できませんでしたし」

男子決勝 SC軽井沢クラブ-コンサドーレ
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
SC軽井沢クラブ   0 1 0 0 0 1 1 0 0 X 3
コンサドーレ * 0 0 2 3 1 0 0 1 1 X 8

女子決勝 SC軽井沢クラブ-北海道銀行

2エンド:ぴったりフリーズ

 女子決勝は、SC軽井沢クラブ-北海道銀行の組み合わせ。本大会の女子は、ロコ・ソラーレ中部電力フォルティウス北海道銀行SC軽井沢クラブの5チームが「5強」と見ていました。実績は前者3チームが上回っていますが、決勝に進出したのは後者の2チーム。2大会連続五輪出場など知名度抜群のロコ・ソラーレが予選リーグで敗退する一方、北海道銀行リラーズがついに決勝まで来て、SC軽井沢クラブも2年連続の決勝進出。SC軽井沢クラブの1人のベテラン選手以外は両チーム20代前半の選手で構成されるというという若手対決となりました。時代は変わった? さあ、それはまだわからないな!

 試合前の選手紹介で、その1人ベテランのSC軽井沢クラブ西室淳子。

西室「行くぞー! 1、2、3、ファイヤー!!!」

 「ファイヤー!」と言えば男子のSC軽井沢クラブの山口剛史の十八番でしたが、西室これ気に入ってるのか。そういえば山口は今大会、ファイヤーってあまり言ってなかったような。

SC軽井沢クラブ-北海道銀行 2エンド 後攻(黄)北海道銀行 セカンド2投目

2E 後攻(黄)セカンド2投目

 

 1エンドはブランクとなって2エンド。後攻(赤)北海道銀行セカンド山本2投目。クアドラプル・テイク(4石テイク)。センターガードとボタンに赤があるという、先攻にとって良い形ができていましたが、1投で打開しました。シンプルにコーナーガードが残る形になって北海道銀行のチャンス形。

市川「正直、ここまで石が動くとは思ってなかったんですけれども、すばらしいショットになりましたね」
谷田「まさかこんなショット来ると思ってなくて、リアクションの準備ができてなかったですね」

 これを見た方は、カーリング・ビンゴのクアドラプル・テイクの項目を達成できましたね。

y-koutarou.hatenablog.com

SC軽井沢クラブ-北海道銀行 2エンド 先攻(赤)SC軽井沢クラブ フォース1投目

2E 先攻(赤)フォース1投目

 しかし、先攻(赤)SC軽井沢クラブ、フォース2投目。フリーズを決める。15.2秒のドローでぴったり止まった。準決勝に続いて精密なドローを見せた上野美優。

谷田「あれ、この試合1投目ですか?ドローこれ。上野選手は」
塚本アナ「上野のドローは、そうですね。これが初めてです」
谷田「1投目でこの精度ですか」

 2失点を消して、逆にスチールチャンス。このあと、北海道銀行のラストドローは少し伸びてしまってSC軽井沢クラブのスチールとなりました。

9エンド:1点アップの先攻か? 1点ダウンの後攻か?

 試合は9エンド、先攻・北海道銀行の1点アップという接戦になりましたが、ここで解説者の市川美余、谷田康真の2人から興味深い話がありました。

塚本アナ「1点リードして10エンドの先攻、あるいは1点リードをされて10エンドの後攻、というパターンがありますけれども、谷田さんはどちらがいいかというのはありますか?」
谷田「僕は1点を追いかける最終エンド後攻の方が僕は好きですね」
市川「その選手の方が多いんじゃないかなとは思いますね。1点勝ちの先攻って結構つらいですよね」
谷田「1点勝ちの先攻は攻め方が難しいですし、基本的にはもうスチールを狙っていくような攻め方をしないといけないので。ドキドキはしますね」

 同じような話は何回か聞いたことがあると思うのですが、これ本当にそうなのかなあ?と聞くたびに思います。

 「じりつくん」によると、9エンド終了時、1点アップ先攻の勝率は、女子で57.6%、男子で56.1%。どちらも1点アップ先攻の方が勝率が高いというデータになっています。*1

 また、試合を観戦していて、10エンド1点ダウンの後攻を狙いに行く場面はそれほど多くないという印象があります。例えば、先ほども紹介した女子準決勝、SC軽井沢クラブ-中部電力の9エンド

SC軽井沢クラブ-中部電力 9エンド 先攻(赤)SC軽井沢クラブ フォース2投目

9E 先攻(赤)フォース2投目

 同点の9エンド。SC軽井沢クラブのスーパーショットで1点取らせの形を作られた後攻(黄)中部電力は、この後ドローで1点取りました。

 しかし、もし10エンド1点ダウン後攻の方が良いなら、わざとスルーすれば良いのです。このままの形で1点スチールとなりますが、そうすれば10エンド1点ダウンの後攻になれます。1点取ると、10エンド1点アップの先攻になってしまいます。

 もちろん、チームによって・選手によって、あるいはそれまでの展開によって・状況によって判断が変わるということはあるでしょう。だから、個々の選択、個々の発言がおかしいということはありません。しかし、それにしても「10エンド1点ダウンの後攻の方が戦いやすい」という見解をよく耳にするわりには、実際の試合では、9エンド同点の後攻が1点スチールにもできるのに1点取ったり、9エンド1点ダウンの後攻がブランク狙いではなくガードを置いて2点取りを狙ったりする場面を多く見る気がします。この乖離は何なんだろうと思うことがたびたびあるのです。

女子決勝 SC軽井沢クラブ-北海道銀行
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
SC軽井沢クラブ   0 1 0 0 0 2 0 0 0 2 5
北海道銀行 * 0 0 0 2 1 0 0 1 0 0 4

SC軽井沢クラブ(女子)が世界選手権へ

 女子で優勝したSC軽井沢クラブは、3月17日から行なわれる女子カーリング世界選手権に出場します。西室淳子はチーム長野(PICTIC)時代の2006年以来の世界選手権出場となります*2。富士急時代は、チームは2018年に世界選手権に出場していますが、西室自身は妊娠のため欠場しています。チーム長野ではチーム青森などに敗れて五輪出場はならず。チーム最年長として立ち上げ時から所属した富士急でも、関東選手権を勝ち抜けなかった時代から四強と呼ばれるまでチームは成長しましたが五輪出場はならず。富士急を脱退した時は、さすがにもうないかと思いました。ここから新チームで世界選手権出場まで来るとは。そして五輪出場の可能性も十分にあるのか。

 女子のSC軽井沢クラブといえば、自分が覚えているのが、まだチームが立ち上がって1シーズン目の2021年の日本選手権。西室の古巣の富士急と対戦した試合がNHKで中継されました。劣勢の試合の中、西室が若い選手を鼓舞していた姿が印象に残っています。そのシーンがNHKTwitterに残っていました。

西室「まだ行ける。2か3狙えれば。3。2でもいい。最低2。3は取れるから」

西室「やるだけやるか? 今後のために? コンシードしてもいいけど、どっちでもいいよ。来年につなげるならやってもいい。5は……難しい(笑)。やめてもいいよ」

 正直言って、この頃はこのチームがこんなに強くなるとは思いませんでした。西室に気圧されているようにも見えましたし。

 やはり、女子決勝の10エンド、先攻の北海道銀行がセカンド2投目でタイムアウトを使ったのに対し、西室が

「タイム取ってもいいけどねー。タイムアウト返しやー」

と騒いでいたのを無視して作戦検討を続けるくらい、他のメンバーが西室と対等に渡り合えるようになったのが強くなった要因か、というのは1ファンの勝手な見方です(^_^;) そして、準決勝に引き続き10エンドの最後のショットを前にタイムアウトを使って、プレッシャーの掛かるラストドローを決めて優勝したわけです。

 NHKのチーム自己紹介動画では、息の合ったパフォーマンスを見せてくれました。

「私たちが」
「ニュースター!」

 昔はこんなパフォーマンスするチームには見えなかったよなあ。そして、本当にその言葉通りになりましたからね。

おまけ:市川 vs. 谷田 リターンズ

 女子決勝は、NHK BSの中継で本大会で唯一の市川美余・谷田康真のダブル解説となりました。この2人は、前年もいろいろ因縁があった(^_^;)組み合わせです。今年も見せてくれました。

 1エンド。試合序盤でよくある、単純なヒットステイが続くブランクとなりそうな流れの中でこの会話。

谷田「市川さんは現役時代どういう戦い方が好きだったんですか?」
市川「フフフッ。私たちはまあ、チームのテーマとして、溜めていくアグレッシブな作戦を」
谷田「(かぶせ気味で嬉しそうに)マンリーカーリング、マンリーカーリングね」
市川「はい(笑)。マンリーカーリングというふうに名付けて、男子のような力強いプレーをめざしてましたね。谷田さんは4人制のときはいかがでしたか?」(立て板に水のようにさらっと話して、さっと谷田に話を振る)
谷田「僕は堅実なタイプなので(笑)、序盤は結構、ここまでじゃないですけど、クリーンな展開を好む選手で、後半にかけてショット精度が上がってく中で勝負を仕掛けるというのが、僕は好きなタイプでしたけど」
市川「それは今もミックスも同じですか?」
谷田「あー、ミックスまったく別ですね」
市川「あー、やっぱり戦い方変わるんですね」
谷田「それを説明すると夜が明けちゃいます」
市川「(笑)ではミックスの、いつかに」

 相変わらず仕掛ける谷田。マンリーカーリングって言わせたいだけだろw

*1:これはノーティックルール採用前のデータですが、センターガードへのウィックはほぼ後攻のチームが行なうものなので、ノーティックルールによって後攻が有利になることはあまり無いと思います。

*2:当時の姓は園部。