新下駄配列でタイプウェル国語K総合XAを出すためにやったこと:前編

 今年の5月に、新下駄配列で「タイプウェル国語K」総合レベルXAを達成しました。そこで、自分が総合レベルXAを達成するまでにタイプウェル国語Kでどのようなことをやっていたのかを書いておこうと思います。

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 前編では、総合レベルXAに到達するにあたってはこれがすべてだったと言ってもいいくらい重要なことについて。

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「指の動き」と「先読み」の意識

 総合レベルXAはずっと目標にしていましたが、現実的に達成可能だと思えるようになったのは2019年以降です。タイプウェル自体は2005年頃から、新下駄配列でのトライアルに限っても2010年頃からやっているので、現在の速度で打てるようになったのはけっこう最近の話ということになります。

 2019年頃から記録が出るようになった要因は、「指の動き」と「先読み」を意識するようになったからです。

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 「指の動き」というのはキーボード上を動いている指の位置と、次に動かす場所を意識することです。それまでは、タッチタイピングはもちろんとっくにマスターしていましたから、指の動きなんか意識しなくても自然にそこに指は行くものだと思っていました。これがとんでもない思い違い。「いまこの指はここにあって、次はそこにあるこのキーを打ちに行くんだ」と意識すると、意識していない場合より速度も正確性も格段に上がります。自信を持って、最短ルートで次のキーに指が吸い込まれていく感じです。

 「先読み」というのは、いま打っている文字の少し先の文字、特にタイプウェルでは次のワードを見ることです。それまでは、タイピングゲームの画面の表示を見ていれば次に打つべき文字なんか自然に読んでいるものだと思っていました。これがとんでもない思い違い。次のワードを意識して読むと、意識していない場合より、ワードのつなぎ目の速度が格段に上がります。ワードが変わっても速度が落ちるどころか逆に加速して、ワードがつながって1ラップがあっという間に過ぎていく感じです。

 もう少し具体的に書くと、「指の動き」は、「指の動きを“見る”」くらいの感覚です。「指の動きを意識する」くらいでは足りません。実際の視線はずっと画面上であり、キーボードに視線が動くことはないです。それでも、「キーボードの上を動いている指を視界に入れる」くらいの意識をしないと良い状態になりません。

 また、いまの指の位置だけでなく次に指を動かす場所も「見て」いないといけません。「指の動き」を意識しているようでも全然良いタイピングにならないときは、いまの指の位置しか意識できていないことが多いです。

 「先読み」で次のワードを読むというのは、具体的には「次のワードの1文字目」という意識です。実際に1文字だけ読むことはないですが、先読みする目標としてはこのくらい具体的に意識した方が良い気がします。

意識したってできない

 これに気がついてしばらくは、「これならば総合XAはほどなく行けるな」と思いました。「指の動き」と「先読み」が決まったときの感覚がこれまでになく気持ち良いものでした。「ああ、これがタイピングか!」という感じ。ばっちりはまって、このままいくら速度を上げてもどこまでもノーミスで打ち切れる感覚。この感覚で打てれば、総合XAくらい楽勝だな、と。

 しかし、それからしばらく経っても、確かに今までよりうまく打てるようになって新記録も出るようになりましたが、劇的に速くはなりませんでした。うまくいった場合の速度は確実に速くなって、それまではあまり見なかったZラップも見かけるようになりましたが、いつもいつもうまくはいかない。うまくいかないラップは今までどおりの平凡な記録に終わります。

 「指の動き」と「先読み」の意識ができれば好記録が出る。意識すれば良いのだから簡単だと思っていましたが、そんな事はない。意識してもできないことが多い。

 難しさの一つは、「指の動き」と「先読み」を両方意識することです。まず、2つのことを同時に意識するのが難しい。加えて、「指の動き」の意識はキーボード上ですが、「先読み」の意識は画面上になります。物理的に離れた2ヶ所を同時に意識するというのが難しい。しかも、「指の動き」はいまの位置と次に動かす場所の意識が必要なので、意識する場所は3ヶ所になります。

 まずはミスせずに打たないといけないので「指の動き」の意識が先だと思うのですが、「指の動き」を意識しすぎると「先読み」の意識に入れません。無理矢理先読みをすると、その瞬間指の動きの意識が途絶えてしまいます。

 うまく「指の動き」と「先読み」の意識を両立した状態に入っても、そのまま最後まで打ち切るのは至難の業です。

 意識が途切れる原因の1つは、ミスです。なぜミスになったかが瞬時にわかるようなミスだとつなげられることもあります。しかし、打鍵が詰まるようなミスだと、それまでの「先読み」は中断せざるを得ません。次の打鍵に向いていた「指の動き」の意識も変更する必要があります。ばっちりはまっていた感覚が途絶えて、ふたたび戻すことができず台無しとなります。

 ミスがなければいつまでもこの感覚を維持できるかといえば、そうでもありません。快調に打っていると、ふと意識せずに打ってしまうことがあります。なぜなら、うまく打てているときは、意識しなくてもうまく打ててしまうから。なんなら、意識しない方が変なプレッシャーがかからず速く打てるから。快調に打てていて、ワードも難しくないときは、「指の動き」や「先読み」の意識なんて“無意識で”できてしまいます。本当は、意識なんてせず、無意識のうちにできた方が良いのだと思います。そして今までは、無意識でやっていて、たまたま無意識のままなんとか打ち切れてしまったトライアルで好記録が出ていたのでしょう。でも、そんなのは極めて稀なこと。無意識になってしまうと、ちょっとでも難運指がきたり、ミス(打鍵ミスに限らず)したりすると、「先読み」と「指の動き」の立て直しが“無意識状態”では到底できないので、そのまま崩れて台無しとなります。

 ミスすると台無しになる。ミスしなくても台無しになる。要するに、どちらにしろずっと維持することはできないということです。

少しでも長く

 そこで、考えを変えました。

 「指の動き」と「先読み」の意識が、全体を通してできなくてもいい、と。

 無意識な時間帯があってもいい。いま無意識であったとしても、無意識であることに気がついたら意識を戻す。難ワードが出て・指が絡まって・ミスしても、そこから再スタートするつもりで「指の動き」と「先読み」の意識を戻していけばいい。ふと無意識になったとしても、次のワードから、次の打鍵から意識するようにする。少しでも長く意識して打っている状態にする。無意識のまま打ち続けない。途中で無理矢理意識を戻すことが原因で崩れて台無しになることもありますが、それは仕方ない。無意識のまま打ち続けるよりマシです。なぜなら、無意識で打っていたら、どうせ遠からず崩れるから。

 また、「指の動き」と「先読み」の意識が、両方できているのが理想ですが、せめて片方はできるようにする。片方であれば、意識する場所は1ヶ所でいいので両方意識するよりは簡単です。片方意識できていれば、そこを足がかりに両方を意識する状態に入れることもあります。

 「せめて片方は」ということは、つまり「指の動き」と「先読み」の意識は、両方できていないことが結構多いのです。しかし、「指の動き」はキーボード上、「先読み」は次のワードを「見て」いるわけですが、両方できていない時でも何も見ていないということはありません。両方できていないときに何を見ているかというと、「いま打っているワード」です。つまり、いま打っているワードに意識がいっていたら「指の動き」も「先読み」も意識できていないということです。もっと具体的に言うと、タイプウェルの画面上のワードの青い文字が灰色に変わる瞬間を見ていたら、無意識になっているサインです。それに気がついたら、そこから意識を戻すようにがんばる。

 というのが、新下駄配列でタイプウェル国語K総合レベルXAに到達した自分の現状です。本当は無意識でもできるように、あるいは意識して全編完璧にできるようになりたいところですが、なかなかそこまではできないので、少しでも長い間意識して、できるだけ時間を増やすという方法を採っているところです。

 総合XAに達した漢字でXSを出した回は「指の動き」と「先読み」の意識は中盤は完璧に、全体を通してもまずまずできたトライアルでした*1。このようなトライアルを他のモードでも出したいところです。

タイプウェル国語Kの記録詳細〔漢字〕画面。33.421秒 1位 XS ミス4回


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*1:7ラップ目は「ふえふき」が新下駄配列の難ワードなので([EK][D;][EK][C])、まあ仕方がない。