ミラノ・コルティナ五輪のカーリング、日本戦以外の名場面集(≒シュワルツ、ナイスショット集)

 カーリングは女子世界選手権の真っ最中ですが、そんな時期にもう1ヶ月前のことになるミラノ・コルティナ五輪の事を書きます。

 オリンピックのテレビ中継では、日本が出場していない試合も多数放送されました。というわけで、そんな試合の中から自分が印象に残ったシーンを、久しぶりに局面図を使って紹介します。

男子予選 イギリス-イタリア

1エンド:とんでもないショットに

 まだ大会序盤の予選の試合。イギリスは2勝0敗の3試合目。イタリアは1勝0敗の2試合目。

 1エンドのラストストーン。この前のイタリアのスキップ、ジョエル・レトルナスのタップがナイスショットで、黄が良い位置にナンバー2を取りました。イギリスはどうやって2点取るのかと見ていたら、イギリスのスキップ、ブルース・モアトはセンターライン右のガードの赤を見ている。

 なるほど! 斜めに飛ばして黄を2つテイクして、飛ばした赤が残れば3点か! 危険はあるが、モアトならこの距離感なら決まりそうだ、と思って見ていたら……。

男子予選 イギリス-イタリア 1エンド 後攻(赤)イギリス スキップ2投目

1エンド 後攻(赤)スキップ2投目

 狙いがズレて、黄ではなく自分の赤に向かってしまいました。ちょうど3つの赤が全部出ていって、動かした黄も左に残って、なんと4点スチール! 1エンド目からとんでもないショットが出てしまいました。モアト呆然(という顔に見えた)。

 しかし、この後イギリスはこの大会で銀メダルを獲得します。そのチームにしてこれですから。致命的な失敗というのは、カーリングにおいては基本的な要素です。

9エンド:1点アップ後攻の選択

 この試合はこの後イギリスが追い上げますが、さすがに4点スチールは大きく、イタリアがリードを保ったまま終盤へ。9エンド、7-6の1点リードでイタリアが後攻。ラストストーンで作戦選択の場面を迎えます。

男子予選 イギリス-イタリア 9エンド 後攻(黄)イタリア スキップ2投目

9エンド 後攻(黄)スキップ2投目

 ヒット・ステイで1点取るのは簡単で、それなら10エンド2点リード先攻となります。それでも十分有利ですが、イタリアのスキップ、ジョエル・レトルナスは平行の赤のダブルテイクしての2点を狙っています。2点取れば10エンド3点リードとなるのでさらに有利です。

 しかし、ダブルテイクはわずかに失敗。左の赤が出きらず、赤の1点スチールとなり、10エンド同点後攻となりました。

 この選択、どうだったでしょう? 10エンド同点後攻でも十分有利ですが、さすがに10エンド2点リード先攻と比べたら、勝率は後者の方がははっきり高いと思うので、ここはヒットステイで1点で良かったんじゃないかなあ? とはいえ、このダブルテイクがどれくらいの確率で決まるかというのも重要な要素で、それは見ている側からはわからないことですが。

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男子予選 スイス-カナダ

1エンド:シュワルツのタップ

男子予選 スイス-カナダ 1エンド 後攻(赤)スイス フォース2投目

1エンド 後攻(赤)フォース2投目

 ここからこの記事は、最近の自分のイチオシ選手、スイスのフォース、ブノワ・シュワルツ・バンベアクルのナイスショット集になります。ようするに、これが書きたかったからこの記事を作った(^_^;) 男子のスイス戦は3試合もテレビ放送されて大満足。

 予選のスイス-カナダ戦。金メダル候補の対決。お互いに予選3戦全勝で迎えた4試合目。

 1エンド。手前の赤にかなり隠れていて、ライン・ウェイトともギリギリのタップバックですが、シュワルツはこともなげに決めます。1エンドから精度の高いショットを決めて2点。シュワルツは表情を変えない。

3エンド:ここから2点取れる?

男子予選 スイス-カナダ 3エンド 後攻(赤)スイス フォース2投目 投球前

3エンド 後攻(赤)フォース2投目 投球前

 3エンドのスイス(赤)のフォース、シュワルツのラストストーンの投球前でこの状況。

 1の黄をテイクしたいが、ゆっくりしたウェイトで黄の左側に当てて右下に押し出すというテイクは無理のようだ。だとすると、2点取るのは結構難しくない? どうやっても赤に当たって残ってしまうような……。どうするのかな?と思って見ていたら……。解説は両角友佑。

両角「自分の石を1個犠牲にして、2点をしっかり取ろうというような」

男子予選 スイス-カナダ 3エンド 後攻(赤)スイス フォース2投目

3エンド 後攻(赤)フォース2投目

 後ろの赤に当てて黄を外に押し出して2点。冷静な判断と正確なショットで2点にした。そして、クールな無表情を崩さないシュワルツがたまらん(^_^;)

小宮山アナ「ここもシュワルツ・バンベアクルは表情は変えません。いま投げたシュワルツ・バンベアクルは本当にクールで、表情を変えないんですよね」
両角「どんなに良いショットが決まっても、なかなか変わらないですよね。たまに喜んでるショットあるんですけども、そういうショット見るとものすごいショットの事が多いので」

 思えば、ピョンチャン五輪の頃からこんな感じでした。

4エンド:意味不明のショット

男子予選 スイス-カナダ 4エンド 先攻(赤)スイス フォース2投目 投球前

4エンド 先攻(赤)フォース2投目 投球前

 4エンド。先攻(赤)スイスのラストストーンの投球前でこの状況。1は赤ですが、2・3が黄で、このスイスのショットによってはカナダに複数点チャンスが残りそう。赤はどうすれば黄の複数点を防げるか。あなたならどうしますか?

 スイスはハウスに集まって話し合いますが、シュワルツは意味ありげな笑みを浮かべた。

両角「そのショットを狙うって言ったときに笑ったのかもしれないですね」

男子予選 スイス-カナダ 4エンド 先攻(赤)スイス フォース2投目

4エンド 先攻(赤)フォース2投目

小宮山アナ「ちょっとが上がった! ワン・ツー、赤スイス」

 左の赤から奥の黄を経由するラインで、ぐるっと回って4フット右下にピタリ収まる。これなら確実に1点取らせ。

 このショットは、この大会で自分が一番意味不明だったショットです(^_^;) なぜこのショットが良いのかわからないし、なぜこのショットが思いつくのかわからない。結果、フォースの形になったのは理解できるけど、べつに1の赤の前にガードで良かったんじゃないかなあ……。それだといろいろ狙われる筋が残るのかなあ……。そして、これを完璧に決めるシュワルツ。

小宮山アナ「このショットの難しさというのはどのくらいなんですか?」
両角「いや……、どうでしょうね。たぶん人によると思いますけど、まあ言われたところにそのウェイト投げりゃ決まるんでしょって思っているシュワルツのような選手にとっては、もはや簡単なショットと思ってるかもしれないですね」

男子予選 スイス-スウェーデン

1エンド:ダブルテイクアウト・ロールイン

 大会日程は進んで予選も後半へ。スイスはここまで5戦全勝。対するスウェーデンも金メダル候補でしたが、ここまで1勝5敗と苦戦続き。カナダとの試合では、カナダ選手によるダブルタッチをめぐる暴言事件を引き起こし、波紋を呼びました。

男子予選 スイス-スウェーデン 1エンド 後攻(赤)スイス フォース2投目

1エンド 後攻(赤)フォース2投目

 1エンド、ラストストーンで、シュワルツのスーパーショットが出ます。

 この1つ前、スウェーデンのスキップ、ニクラス・エディンのヒットロールがナイスショット。黄を縦に並べました。自分は試合を見ていて、1の黄は手前の黄からテイクできるけど、そうすると手球がハウスに入らないから1点しか取れなくなったなあ、と思いましたが、もちろんそんなわけがない。

 速いウェイトでダブルテイクアウトしつつ、手球はロールしつつもハウス右上に残すロールイン。1エンドからナイスショットで2点にしました。

 このあとはスウェーデンのショットが冴えず、7エンドでコンシードでスイス勝ち。本大会のスウェーデンの不調を象徴するような内容でした。

男子3位決定戦 ノルウェー-スイス

7エンド:超速テイク

 その後、スイスは7戦全勝で予選を1位で通過しますが、一発勝負の準決勝でイギリスに負け(´・ω・`) 3位決定戦に回ります。相手はノルウェー。4-1とスイスがリードして、7エンドの後攻フォース1投目。リードした後攻としては、とにかく相手の石を減らして、ブランクまで行ければ理想的。ここでシュワルツのこのショットが出ます。

男子3位決定戦 ノルウェー-スイス 7エンド 先攻(黄)スイス フォース1投目

7エンド 先攻(黄)フォース1投目

 ショットとしてはただの(?)クアドラプル・テイク(4石テイク)ですが、投げたストーンが見た事のない速さでした。解説は両角友佑、実況はテレビ朝日の山崎弘喜アナ。

両角「5.5秒。速いですね」
山崎アナ「両角さんでどれくらいなんですか?」
両角「いやー、普通にトップと呼ばれるコントロールして投げるウェイトで6秒前半、6秒2・3くらいなので、それより0.7秒速い計算なので。ちょっとコントロールを無視してしっかり押せばそのくらいという感じですかね。これはしかもすごい高い精度でシュワルツ選手投げてくるので」

山崎アナ「(画面にシュワルツとシュバラーが並んで映っている)左側がシュワルツ・バンベアクルなんですが、体格が大きいというわけではないんですけれどもね」

両角「ただ、ストーン速く投げるのは意外と、何というか、タイミングというか、ウェイト速く蹴れるので、その辺がうまいんでしょうね」

 このエンドは狙い通りブランクになり、その後もノルウェーを圧倒。最後はノルウェーのスキップ、マグヌス・ラムスフィエルのぐるぐる回りながらデリバリーするSPIN-O-RAMAで決着。スイス銅メダルとなりました。おめでとうございます。

女子決勝 スイス-スウェーデン

8エンド:これがカーリング

 女子の試合も1つだけ。自分がこれがカーリングだ!と思う場面があったので紹介します。

 決勝戦のスイス-スウェーデン。7エンド終わって3-4で8エンドはスイス後攻という大接戦。

女子決勝 スイス-スウェーデン 8エンド 先攻(黄)スウェーデン フォース2投目

8エンド 先攻(黄)フォース2投目

 先攻(黄)スウェーデンのスキップ、アンナ・ハッセルボリのラストストーンは、ガード狙いがハウスに入ってしまうミスショット。相手に2点チャンスを与えてしまいます。

 このエンド、スウェーデンはリード2投目でセンターへカマーを投げた以外は全部ガードでした。ナンバー1の黄を守り通す作戦でしたが、最後の最後で痛すぎるミスが出てしまいました。ハッセルボリはブラシの柄を叩きつけた。解説は石崎琴美。

石崎「入れちゃいけなかったんですよ」

女子決勝 スイス-スウェーデン 8エンド 後攻(赤)スイス フォース2投目

8エンド 後攻(赤)フォース2投目

 スイス(赤)のフォース、アリーナ・ペーツのラストストーン。ダブルテイクを狙いますが、飛ばした黄が左に出きらずナンバー1で残る! スウェーデン、スチール。接戦の8エンドスチールは非常に価値が高い。この後、9エンドでスイスは2点取って同点に追いつきますが、同点後攻の10エンドでスウェーデンが1点取って、スウェーデンが金メダルとなっています。

 スウェーデンにミスがあったためにスイスに2点チャンスが生まれて、2点を狙ったためにスウェーデンの1点スチールとなった。スウェーデンがしっかりハウス前にガードを置いていれば、スイスはラストストーンでウェイトを抑えて1の黄を少し押すショットで1点を取っていたでしょう。ミスしたためにかえって良い結果となるということが、カーリングではよくあります。ミスした結果をどうするかがカーリング。

 とはいえ、スイスはランバックのチャンスが再三あったので、どこか1回は決めておかないといけなかった。左のコーナーガードとして残っている赤の数が、ランバックに失敗した回数を示しています。*1

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*1:1つは自分で置いたコーナーガードですが。

クッションシールを貼ってコンベックス(凸状)キーキャップにしてみた

 オールコンベックスキーキャップにあこがれて、ウレタンクッションシールをキーキャップに貼ってみたのです。

直径14mmのウレタンクッションシールの写真
ウレタンクッションシール(写真は直径14mm・厚さ2mmの物)

オールコンベックスキーキャップとは?

 キーボードの、1つ1つのキーの指が触る面の形の話です。中央がくぼんでいて、左右が少し高くなっているキーキャップが多いと思います(シリンドリカル。円筒状)。または、中央がくぼんでいて前後左右とも少し高くなっている物もあります(スフェリカル。球面状)。ノートパソコンでは平らな物がほとんどです(フラット。平面状)。フラット以外の2種類は、中央がくぼんでいるのが特徴です(コンケイブ。凹型)。

 しかし、主に親指で押すキー(スペースキー・無変換キー・変換キー)は、逆に中央がふくらんで、前後が少し低くなっているキーキャップが多いです。この中央がふくらんだ形状のことをコンベックス(凸型)といいます

 オールコンベックスキーキャップとは、親指で押すキーだけでなく、すべてのキーをコンベックスにしたキーキャップのことです。親指キーは前後だけ低くなっている場合が多いですが、オールコンベックスキーキャップの場合は、前後左右とも低くなっている球面形、お椀型を指すことが多いと思います。

 しかし、市販されているキーボードやキーキャップで、オールコンベックスのものはほとんどありません。なんとか実現できないかと考えていたところ、ウレタンクッションシールという商品が目に入りました。クッションゴムや戸当りクッションとも呼ばれる物で、扉などの家具がぶつかる箇所に貼って音や衝撃を和らげたり、机に置く物に貼って滑り止めにしたりする目的で使われます。形状は商品によりさまざまですが、トラスコ中山のウレタンクッションシールが、形といい、大きさといい、自分がイメージするコンベックスキーキャップにぴったり

 これをキーキャップに貼り付ければオールコンベックスキーキャップが実現できるんじゃない?と思ってやってみたのです。

ウレタンクッションシール貼り付けの試行錯誤

直径14mm・厚さ2mm

 物差しでキーキャップの上面の大きさを測ったところ、だいたい横13mm*縦15mmでした*1。そこで、まずは直径14mm・厚さ2mmのウレタンクッションシールをキーキャップに貼ってみました。*2

直径14mmのクッションシールをキーボードのキーキャップに貼付した写真

直径14mmのクッションシールをキーキャップに貼付

結果、感触は悪くありませんでしたが、次の3つの問題があることがわかりました。

 1. キーに指を置いたときの安定感に欠ける。キーの端の方を押したときの打ちやすさはあるのですが、キーに指を置いた時点で指の場所が決まらない違和感があります。また、キーの中央をきちんと押せたときでもややふらつく感じがします。どうも、ふくらみの傾斜が大きすぎるように思えます。

 2. キーの高さが高くなってしまう。厚さ2mmのシールを貼ったので、その分キーの高さが高くなります。これが今までと感覚が変わって不満です。特に自分は、手首が反らないようにキーの打鍵面の高さが高くなりすぎないようにしているので、ここはこだわりたいポイントです*3。リストレスト(手首を置く台)の方も合わせて高くするという手もありますが、調整が微妙だし、現在せっかくキーボード部分とマウス部分のリストレストを同じ高さで運用できているので、このためにこれを崩すのもなあ。

 3. クッションシールが剥がれる。凹面に厚さ2mmのシールを貼ったので、安定して接着しません。すぐに剥がれて困るというほどではありませんが、気がつくと剥がれかけているということはたまに起こります。剥がれやすいのは特定のキーなので、貼る段階できちんと貼っていれば大丈夫だった気もしますが、このまま使い続けるとやがて剥がれるかもなあ。

直径16mm・厚さ2mm、キーキャップをDSAプロファイルに

 というわけで、対策を考えました。

 まず、クッションシールを直径14mmから直径16mmの物に交換しました。厚さは同じ2mmなので、その分ふくらみ方が小さくなって傾斜が緩やかになりました。キーの上面からは上下左右とも少しはみ出すサイズになりましたが、これまでの経験上、少しはみ出すくらいは問題ないことがわかっています。*4

直径16mmのクッションシールをキーボードのキーキャップに貼付した写真

直径16mmのクッションシールをキーキャップに貼付

 そして、キーキャップをDSAプロファイルに交換しました。DSAプロファイルは全段同じ形で(ノンスカルプチャード)、OEMプロファイルよりキーの高さが2mmほど低いのが特徴。これなら、クッションシールを貼ってもOEMプロファイルと同じくらいの高さになります。ついでに、キーのへこみ方もOEMプロファイルの物より小さかったので、シールが剥がれる問題もほぼ解消しました。*5*6

直径20mm・厚さ2mmを四角く切り抜く

 直径16mmのクッションシールに交換したことで、安定感はかなり改善しました。コンベックスキーキャップの良さを感じられてまずまず満足だったのですが、これでもまだ傾斜がやや大きいと思いました。しかし、これより薄いお椀型のクッションシールは見つからないし、これより直径が大きいと隣のキーと重なってしまいます。

直径20mmのクッションシールの剥離紙の裏面に切り取り線を引いた写真。

クッションシールの裏面に切り取り線を引く

 そこで、直径20mm・厚さ2mmのクッションシールを、切り抜いて使うことにしました。クッションシールの剥離紙の裏面に鉛筆で線を引いて、ハサミで切っていきます。大きさは1辺13mmとしましたが、あと1mm大きくても良かったかもしれません。正確にラインを引けるよう慎重にやりましたが、どうせハサミで切るときにずれるので、もっと大雑把に引いても同じだった気がします。

 正直、作業としては面倒くさかった……。正月休みの間にやったのですが、箱根駅伝がスタートする前から作業を始めて、終わった頃にはもう中継が終了して次の番組が始まっていました。シールを貼るだけのお手軽作業のはずだったのに(´・ω・`) 1回やれば済むことなので労力には見合うと思いますが……。*7

直径20mmのクッションシールを四角く切り抜いたものをキーボードのキーキャップに貼付した写真。

直径20mmのクッションシールを四角く切り抜いてキーキャップに貼付

 結果、いい感じになりました! キーに指を置いたときの不安定な感じはほぼなくなりました。キーの中央を安心して押せるようになったことで、キーの端を押したときでもスムーズに押すことができるという、コンベックスキーキャップの良さだけを受け取れるようになりました。これは気に入りました!

四角く切り抜いたウレタンクッションシールをキーキャップに貼付したDUMANGキーボード DK6 miniを上から写した写真。

オールコンベックスキーキャップ化成功!?

なぜオールコンベックスキーキャップにしたいと思ったのか?

アーケードスティックのボタンは凸型

 最初に書いたとおり、多くのキーボードのキーキャップはやや凹んだ形になっています(コンケイブ)。この形には以前から疑問を持っていました。

 念頭にあったのは、アーケードゲームのボタンです。自分の記憶だと、かなり昔(1980年代前半?)は中央が凹んだ形のボタンが多かったですが、1990年代、ストIIが大流行した頃かその少し後くらいのタイミングで、上面はややふくらんだ凸型のボタンの方が押しやすいということになって、以降はほぼその形になったと思います。実際、店頭に並ぶアーケードスティックのボタンを見てみると、ボタンの上面は平らか、ややふくらんだ形のものがほとんどです。

 また、家庭用ゲーム機のゲームパッドの移り変わりも似たようなものだと記憶しています。初期のファミコンの丸いボタンは凹んだ形でしたが、ゲームボーイ・ニューファミコン・スーパーファミコンのボタンはややふくらんだ凸型になりました。他のゲーム機も、昔は凹んだ形の物も多かったですが、時代が進むにつれて凸型のボタンが多くなり、現在はやはり凸型のボタンが多くを占めていると思います。ゲームパッドのボタンは主に親指で押すという違いはありますが、押しやすさの理屈は同じじゃないかなあ?

凸型の方がキーの端の方を押してもスムーズに押せる

 凹型のキーは、一見すると、キーの上面が指に添う形になっていて、キーの中央を安定して押せるように思えます。

 しかし、それはキーの中央をきちんと押せた場合の話です。この凹みには、キーの端の方を押してしまったときに、指を中央にガイドするほどの力はありません。端の方を押したらキーは端の方から沈みます。すると、キー全体がその方向に引っ張られて、キーの軸が傾いた状態で押されてしまいます。その結果、キーがスムーズに沈まず、引っかかるような感触になってしまいます。キーが凹んでいることで、端に引っ張る方向に力がかかりやすくなっているように思えます。

 キーが凸型になっていれば、キーの端の方を押しても、力は中央の軸の方に伝わりやすくなります。この方が、キーのどこを押してもキーがスムーズに沈んでくれると思うのです。

 実際に試してみることもできます[無変換]・[スペース]・[変換]の3キーだけはコンベックスキーになっているキーボードはよくあります。そのようなキーボードを縦に置いて(というか、自分が横を向いて)、それらの3キーを親指ではなく、他の指で押してみてください。打ちやすいと思いませんか? 特に、キーの端の方を押したときに、凹型のキーよりスムーズに沈むと思いませんか? わたしは思いました。

撫で打ち目的ではありません

 オールコンベックスキーキャップと言えば、自作キーボード界では大岡俊彦さんが作った物が有名です。薙刀式SHOPで販売されています。

make.dmm.com

 ウレタンクッションシールによるコンベックスキーキャップは、これより安価に実現できるのがメリットなわけですが、そもそも大岡さんと自分とでは、オールコンベックスキーキャップにする目的が違うという気がします。大岡さんがオールコンベックスキーキャップを推す理由は、「撫で打ち」という打ち方と密接な関係があると思います。

それが、指の腹(指紋のある部分)で撫でる撫で打ちであり、1キーで終わらせずに、次々に連続する、アルペジオ中心の文字配列だ。

僕がつくってるオールコンベックスは、キーを沈み込ませた状態からでも、沈んでないキーへの運指でぶつからないような曲面にしてあるので、すべらせてアルペジオできるんだけど、それができないだろうなー。ウレタンで摩擦も大きそうだし。

 たしかに、ウレタンクッションシールは弾力があって滑りにくいので、「撫で打ち」はできないのではないかと思います。撫で打ち目的でオールコンベックスキーキャップを導入したい場合は、ウレタンクッションシールによる方法はおすすめできません。やはり、薙刀式SHOPで販売されている品など、その目的に合った品を使用するべきでしょう。

ただ、欲を言えば……

 ウレタンクッションシールによるオールコンベックスキーキャップ化計画は、ひとまず成功しました。満足できる感触なので、当面このまま使い続けるつもりです。

 ただ、欲を言えば、まだ改善したい点はあります。

 まず、お椀型のクッションシールを四角く切り抜いたので、当然ながら断面はかまぼこ形にふくらんだ形になります。

直径20mmのウレタンクッションシールを四角く切り抜いた時の断面の写真。

クッションシールを切り抜いた断面

このふくらみはいらないんですよね。指が引っかかる原因になるだけ。四辺に向かってフラットに傾斜していってほしい。そう考えると、コンベックスの形状は、お椀型ではなくて、四角錐の角を丸めたような形が理想なのか? そんな形の品があったら良いですね……。

 また、高さを低く抑えるためにキーキャップをDSAプロファイルの物にしたわけですが、自分としてはフラットプロファイルよりステップスカルプチャー(段ごとにキーキャップの形が異なる)の方が好きなんですよね。ステップスカルプチャーで、高さが低く、上面がクッションシールを貼れる形=凹みが(大きく)ないキーキャップって、あるかなあ?

 それと、クッションシールを手作業でハサミで切ったので、仕上がりはバラバラでよく見ると美しくはない。よく見なければ気にならない、実用上は問題ないレベルではありますが……。

 あとは劣化しないかどうかですね。とりあえず、すぐにシールが剥がれたり、感触が変わったりする兆候はないですが、長年継続して使用したらどうなるかは未知数ではあります。

*1:DUMANGキーボード DK6 mini付属のキーキャップ。OEMプロファイル。

*2: 

*3:

*4:これまでも、無変換キーや変換キーにコルクテープを貼って、親指で押しやすいように少しだけ横に広げるということをやっていました。

*5:キーキャップはXDAプロファイルも試しました。下記の品だと表面がつるんとしているので、シールはより安定して接着します。しかし、キーの高さがDSAプロファイルよりわずかに高いので採用しませんでした。

*6:この時に行ったその他の変更点。

  1. キーキャップには静音化リングを装着していましたが、キーキャップを交換したら厚さ1.5mm*2個ではギリギリ効果が出なくなってしまったので、厚さ2mmのリングを使って2mm+1.5mmまたは2mm*2個にしたらちょうど良くなりました。
  2. キーキャップは無刻印の物にしたので、無刻印は寂しいので、刻印代わりのシールを貼りました。透明なウレタンシールの下に貼れるので、感触に影響したり、剥がれたりする心配はありません。ついでに、シールの切れ端を[F]と[J]に貼ってホームポジションのポッチ代わりにしました。
  • Xユーザーのkouy(山原コウ)さん: 「ウレタンクッションシールによるオールコンベックス(凸型)キーキャップ化計画のその後。 1 クッションシールを直径14mmから直径16mmの物に交換しました。 2 キーキャップをOEMプロファイルからDSAプロファイルに交換しました(文字キー部分のみ)。 https://t.co/ZDK9GvRWGp」 / X
    https://x.com/y_koutarou/status/1995086115519496222

*7: 

  • Xユーザーのkouy(山原コウ)さん: 「ウレタンクッションシールによるオールコンベックスキーキャップを改良。 やっぱり直径16mm厚さ2mmのものでも傾斜が大きすぎる感触なので、直径20mm厚さ2mmのものを買いました。そのままだと大きすぎるので、シートの裏面に鉛筆でラインを引いて、ハサミでキーキャップの大きさに切り抜きました。 https://t.co/HXHPHDRuYx」 / X
    https://x.com/y_koutarou/status/2007721307115581950

ローマ字入力・大西配列・新下駄配列を併用した結果

3つの配列のメドレータイピング動画

 以前の記事でも書いたとおり、ここ数か月、QWERTYローマ字入力と大西配列(ローマ字入力部分のみ)と新下駄配列の3つの配列を併用する試みをやっていました。

 その結果は、下記の動画をご覧ください。

www.youtube.com

 というわけで、3つの配列を続けて使用しても、実用上問題ない速度で打つことができました。

 「3つの配列の併用」「同じ環境で併用」「使用直後の切り替え」でもこれだけできるのだから、「2つの配列の併用」「自宅と職場など環境を変えての併用」「ある程度時間を置いての切り替え」なんて楽勝ですよ

3つの配列の併用の記録

 大西配列は、前にも書いたとおり2025年の1月から8月までメインで使っていました。その後、いったん完全にやめましたが、新下駄配列に復帰した半月後に意外とまだ打てることに気がついて、せっかくなので3配列併用体験をすることにしました。

 3つ配列を併用したといっても、均等に使っていたわけではありません。実用では新下駄配列が一番楽なので、それをメインで使っていました。大西配列は、忘れないように短文を少し入力するか、タイピングゲームを2~3日に1回少しやるくらい。まったく触らなかった日の方が多かったと思います。QWERTYローマ字は、職場では新配列は使えないのでそこで使いつつ、自宅の格子配列キーボードでも大西配列と同じくらい使いました。

 大西配列では、マイタイピングの大西配列レッスンをよくやりました。大西配列メインで使っていた時期は大西配列レッスンを、3配列併用の時期は大西配列レッスン【アプリ不要版】を主にプレイしていたので、この2つのスコアを比較すると、それぞれの時期でどれくらいの速度で打てていたかがわかります。

大西配列レッスンの最高記録
 

大西配列レッスン

(大西配列メインの時期)

大西配列レッスン【アプリ不要版】

(3配列併用の時期)

1 4703 4657
2 4796*1 4856
3 5029*2 5279
4 5295*3 5552
5 5457 5407
6 5461 5331
7 4987 5139
8 5000*4 5054
9 4826 4650
10 4573 4340

 3配列併用の時期でも、大西配列をメインで使っていた時期と同じくらいのスコアは出ています。数日おきに少し練習するだけでも、今までの速度を維持するくらいはできたということです。

 また、タイプウェルは3配列すべてで時々やりました。大西配列、QWERTYローマ字、新下駄配列それぞれで別のアプリでプレイしたので、それぞれの練習実績を見ることができます。

 大西配列での練習実績。

タイプウェル国語Rの練習実績画面26.1.1-25.10.26

大西配列でのタイプウェル国語R練習実績その2

タイプウェル国語Rの練習実績画面25.10.12-25.6.30

大西配列でのタイプウェル国語R練習実績その1

 QWERTYローマ字入力での練習実績。

タイプウェル国語Rの練習実績画面26.1.1-25.10.9

ローマ字入力でのタイプウェル国語R練習実績

 新下駄配列での練習実績。

タイプウェル国語Kの練習実績画面26.1.1-25.10.26

新下駄配列でのタイプウェル国語K練習実績

速さと楽さは同じこと?

 タイプウェル国語では、大西配列は、大西配列メインで使っていた時期は基本常用語SAまで行っていましたが、3配列併用の時期は最高でSDにとどまりました。速く打てる部分は同じくらい打てていたと思いますが、400打鍵通して揃えることができませんでした。QWERTYローマ字は大西配列と同じくらいの速度(SC)新下駄配列はその2つよりはるかに速く打てていました(XC)。

 最初に掲載した動画のATC testerのスコアも新下駄配列だけ高く、QWERTYローマ字と大西配列は同じくらい。そして、実用文の入力も新下駄配列が一番楽だと感じました。

 「変換なしのタイピングゲームの速度」「変換ありのタイピングゲームの速度」「実用入力の楽さ」は比例するというのは、ずっと昔から自分が思っていたことです。新下駄配列が、タイプウェルでもATC testerでも一番速く、実用入力でも一番楽だと感じたので、今回も当てはまったということです。

 ただし、QWERTYローマ字と大西配列の比較では、速度は同じくらいですが、大西配列の方が楽だと感じたので、この点は当てはまらないことになります。大西配列はメインで使えばもっと安定して速く打てるようになると思うので、その予感込みならまだあてはまっているとも言えますが。

kouy.exblog.jp

併用できる配列の組み合わせは?

 「QWERTYローマ字」「大西配列」「新下駄配列」の3配列併用は実現できましたが、昔、別の組み合わせの3配列併用をしようと思ったときはできませんでした*5。なぜ今回はできたのか?

 3つの配列の中で、QWERTYローマ字と大西配列の2つに関しては、少しかぶる感触があります。この原因は、母音と子音を分けて打つ行段系配列という点が共通していることに加え、ローマ字入力のルールもほぼ共通していることが大きいと思います。同じ行段系配列でも、「ん」や「っ」を別キーにしたり、連母音拡張や拗音拡張を使う配列なら、共通点が少なくなってより併用しやすいと思います。*6

 それでもQWERTYローマ字と大西配列が併用できたのは、大西配列が母音と子音を左右に分けて配置した配列(母子左右分離配列)であり、QWERTYローマ字の配置とまったく異なるからでしょう。

 QWERTYローマ字と新下駄配列、大西配列と新下駄配列に関しては、まったくかぶるという感覚はありませんでした。少なくとも「拡張なしのローマ字入力系配列」と「かな配列」は問題なく併用できるということでよいと思います。

打ち始めで混同しやすい

 QWERTYローマ字と大西配列で混同しやすいのは、圧倒的に打ち始めです。今回の動画を撮るときも、QWERYローマ字から大西配列に切り替える際には、最初の数打鍵で大西配列でどのキーを打つかを意識しました。これをやらないで無意識で打ち始めると、大西配列のパートに入ってもQWERTYローマ字のキーで打ってしまうミスをやってしまいます。意識するキーは最初の2~3キーで十分で、打ち始めさえ決まってしまえば、あとは無意識でも混同することなく打てます。

 また、かぎかっこの入力は、今回の動画では[左手親指下段左キー] + [J]という独自の入力設定を使っていました*7。これはQWERTYローマ字・大西配列共通です。このかぎかっこを入力した後の打鍵で混同することが時々ありました。これも打ち始めに混同するのと同じ意味でしょう。

 QWERTYローマ字と新下駄配列、大西配列と新下駄配列に関しては、それさえありませんでした。最初にどのキーから打ち始めるかなんて考えず、問題文を見ていきなり打ち始めても、あるいは思いついた言葉をいきなり打ち始めても、混同することなく打てます。

 配列の併用に関しては、まだ良くわからないところもあります。新配列を使用している人の中にはQWERTY(ローマ字、英語)と併用している人も多いと思いますので、できるだけ多くの人の実際の感覚・感想・意見などを知りたいところです。自分でも機会があれば改めて検証したいと思います。

新配列の打ちやすさ

 今回、3配列併用をして改めて感じたのが「QWERTYローマ字入力はどう考えても効率悪い」ということです。

 この記事の最初に掲載した動画を見ると、QWERTYローマ字だけ指の動きが大きいことがわかります。2倍速にして、右手の動きに注目していただくとわかりやすいと思います。今回タイピングの題材とした「Alternative Typing Contest 2024」の課題文は句読点が少なめです。実際の文章入力では、句読点の入力のために右手下段の[,] [.]を打ちに行く機会がもっとあるので、指の動きはより大きくなるはずです。

 大西配列はホームポジションの使用率が高く、指の動きが静か。新下駄配列は3段の範囲は広く使いますが、ホーム段の使用率が高いですし、何より打鍵数は圧倒的に少ないので速度のわりには指の動きは少ないです。

 今回の3配列併用の練習として、同じ文章(歌詞タイピングなど)を3つの配列で続けて打つというをよくやりました。同じ文章を打つと、QWERTYローマ字だけ段違いに指の動きが大きいのを実感します。

新配列で“どれくらい”効率が良くなるかって、気になりますか?

 新配列というものの存在を知って、QWERTY配列から乗り換えようか迷っている方は、新配列を使うことで“どれくらい”効率が良くなるのか? それは新配列を覚えるコストと見合うのか? という点が気になる方も多いと思います。

 しかし、自分がQWERTYローマ字・JISかな入力から親指シフトNICOLA)に乗り換えたときのことを考えると、その点はあまり興味なかったな、と思い出しました。

kouy.exblog.jp

 なぜなら、「QWERTYローマ字入力はどう考えても効率悪い」から。打ちやすいキーの使用率が低く、ホームポジションから外れたキーの使用率が高く、長音符で最上段まで使う。指の移動が大きく、同じ指を続けて使うなど運指も悪い。こんな配列から改善できないわけがない。

 仮に、大西配列が標準配列の世の中だったとしたら、それを捨てて新下駄配列を作ったかというと、微妙だと思うんですよ。自分は大西配列より新下駄配列の方が良いと思っていますが、大西配列も十分良い配列だと思います。そこから新下駄配列へと乗り換える、ましてや新下駄配列を作るなんていう未知のことに手を出していたかと考えると、踏み出せなかった可能性もあると思います(それでもやっていた気もするけど)。

 しかし、現実には標準配列はQWERTYローマ字です。スタート地点がこれなら、ここからなら絶対改善するという確信がありました。どの程度改善できるかは未知数でしたが、わずかでも改善できれば、十分元は取れると思いました。その差は生涯積み重なっていくのだから。

 だから、「親指ひゅんQ」の存在を知ってから親指シフトNICOLA)を使い始めるまではすぐだったんですよね。そして、新配列を覚えるのもわりとできるということがわかってしまったので、そのあと月配列と行ったり来たりするのも迷いなく。その後、文字キー同時打鍵をやりたくて月配列に手を加えて下駄配列を作り、配列を作ることさえできることがわかってしまったので新下駄配列を作った……というのは先ほど挙げた記事の続きなどに書いたとおりです。

 QWERTYローマ字から乗り換えて20年強、新下駄配列を作ってから15年強。自分としては、新下駄配列を作って本当に良かった、元が取れるどころか十分得をしたと思っています。PCでテキストで何か書くということに「面倒だな」と思う気持ちがなくなったよね。遅筆な自分がSNS全盛の世の中でいまだにブログを続けていたり、カーリングゲームブックなどのメモを書き続けていられるのは、新下駄配列のおかげだと思います。

 配列を一から作るなんて、時間と手間がかかる作業をしてもそう思うのですから、新配列を一つ覚えてQWERTYローマ字から乗り換えるくらいのコストなんて、簡単に取り返せますよ。

*1:3配列併用時期に4888を記録。

*2:3配列併用時期に5341を記録。

*3:3配列併用時期に5520を記録。

*4:3配列併用時期に5081を記録。

*5:QWERTYローマ字・下駄配列・星配列の3つの併用。

*6:過去に、けいならべを使用していたときは、QWERTYローマ字との併用は問題なかったので。

*7:かっこのまとめ入力。「」を入力して、確定して、カーソルをかぎかっこの間に移動するまでを行う。

キーボード静音化リングの効果比較動画

 先日から、DUMANGキーボード DK6 miniのキースイッチをZuoce BSUN Cheese Grapeにしていたところですが、このキースイッチ、かなり打鍵音が大きいです。静まり返った夜中にタイプウェルとかを全力で打っていると、カンカンと高い音が鳴り響いてさすがにうるさいので、対策をしたくなりました。

キーボード静音化リングを買ってみた

 そこで、キーボード静音化リングという物を買ってみました。シリコン製の小さな輪っかです。厚さは1.5mmの物を購入しました。

 最初に見たときは、これって意味あるのかな?と思いました。静音化リングはキーキャップの裏側の、軸を取り付ける部分の外側にはめます。しかし、透明なキーキャップでキー押下時の様子を観察すると、キーキャップの裏側とキースイッチにはまだ隙間があるのです。その部分が衝突して音が出ているのではないように思えます。じゃあ意味なくない?

 実際に1つ取り付けてみると、案の定、まったく変化はありません。打鍵音も打鍵感もそのままです。反響音が小さくなるという話もありますが、違いは感じませんでした。

 しかし、静音化リングを2つ重ねて取り付けると、途端に効果が出ました。キーキャップの裏側に取り付けたリングが最初にキースイッチと衝突するようになり、本来のストロークの底打ちができなくなりました。すると、カンカンという高い音がしなくなり、ボコボコというシリコンがぶつかる低い音に変わりました。

効果比較タイピング動画

 静音化リング装着前と装着後の打鍵音を動画にしてみました。

静音化リング装着前

youtu.be

静音化リング装着後

youtu.be

 比べてみると、はっきり静かになったことがわかります。まあ、これはそもそもZuoce BSUN Cheese Grapeの打鍵音が大きかったからであって、元がそこそこの打鍵音のキースイッチだったら、そこまでの効果は感じないかもしれません。

 静音化リングを2つ取り付けたと書きましたが、キーキャップによっては1つにしたキーもあります。キーキャップによってキートップの面の厚さ*1が異なるようで、厚いキーキャップならリング1つでも効果があります。2つ取り付けるとキーストロークが浅くなりすぎてキーが反応しづらくなることもありました。

打鍵音以外への影響もある

 静音化リングを取り付けた影響は、打鍵音が小さくなること以外にもあります。まず、リングを取り付けた分、キーストロークがわずかに短くなります*2。しかし、アクチュエーションポイント(キーが反応する深さ)が変わるわけではないので、自分としてはそれほど気になりません。

 また、底打ちのカチッとした打鍵感がなくなって、メンブレンのようなゴムを押しつけるムニュッとした打鍵感になります。しかし、これも自分はもともと「Zuoce BSUN Cheese Grapeは底打ち感が硬すぎる」と思っていたくらいなので、底打ち感が柔らかくなってかえって良い感じです。

 静音化リングの取り付けは、打鍵音が小さくソフトになって、打鍵感も改善されるという、自分にとっては良いことずくめの結果になりました。

2026/01/27追記:厚さ2mmのリングに交換しました

 その後、オールコンベックスキーキャップにするためにキーキャップを交換したところ、厚さ1.5mm*2個では効果が出なくなってしまいました。そこで、厚さ2mmの物を購入して、2mm*2個か2mm+1.5mmにしたらちょうど良くなりました。複数の厚さの静音化リングがあると、組み合わせで細かい調節ができるので便利ですね。

関連する記事

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*1:軸のはめ込み口のまわりに十字に付いている出っ張りの厚さも含めて。

*2:もともとキーキャップの裏側とキースイッチには隙間がある状態だったので、リングの厚み丸々短くなるわけではありません。

27gの軽いタクタイルキースイッチ、Zuoce BSUN Cheese Grape

ほぼ全キーZuoce BSUN Cheese Grapeにした

 DK6 miniを使い始めて以来、いくつかのキースイッチを使っていましたが、先日から、ほとんどすべてのキーのキースイッチをZuoce BSUN Cheese Grapeに交換しました。

 これまでお試しで、小指担当文字キーと最上段のキーだけZuoce BSUN Cheese Grapeにする変荷重風キーボードにしていましたが*1、問題なさそうだったのでファンクションキー段と中央列以外すべてZuoce BSUN Cheese Grapeにしました。

DK6 miniのキースイッチの配置を色分けして図示。ほぼ全キーZuoce BSUN Cheese Grape Tactile Switchを表す紫色。

キースイッチ配置図:2025/09/28(日)

 Zuoce BSUN Cheese Grapeの特徴は、打鍵の軽さ。タクタイルでありながら圧倒的に軽い。リニアではこれくらい軽いキースイッチはありましたが、タクタイルでこんなに軽いキースイッチは(日本のショップで買える範囲では)他にありません。軽いながらも、指を置いただけではキーは動かず、ある程度力を入れた段階でキーがカクッと下がるタクタイル感ははっきり感じられます。

 TALPKEYBOARDの製品ページに書いてある製品仕様によると、「押下圧27±5g」だそうです。自分が今までメインで使っていたキースイッチはDUROCK White Lotusでした。これも「ライトタクタイル」とあるように*2タクタイルの中では軽いキースイッチだと思います。それでもスペックは「Actuation Force: 46g、Bottom Out Force: 56g」です。数字上も大きく違うし、実際に打鍵してみても違いははっきり感じます。軽さでいえばREALFORCEのAll 30gより軽いんじゃないかという体感です。

 やはり、打鍵が軽いのは良いです。自分はDK6 miniを使うまではREALFORCEのAll 30gを使っていたので、打鍵が重いのは不満でした。リニアではもっと軽いキースイッチもありましたが、自分としてはタクタイル感もほしい。これまで、軽いといわれるタクタイルスイッチをいくつか使ってみましたが、ようやく好みの軽さのタクタイルスイッチに巡り会えました。

 ただ、不満点がないわけでもありません。ちょっと底打ち感が硬い。強く打鍵すると、いきなり硬いものにぶつかる感じ。音もカンカンと高い音で自分の好みではない。REALFORCEのスコスコ感とはだいぶ違うし、DUROCK White Lotusのカタカタという打鍵音でソフトに着地する感じの方が好きです。これは、タクタイルで軽い打鍵を実現するためには仕方ないのでしょうか? もしそうなら、打鍵が軽いことは何物にも代えがたいのでZuoce BSUN Cheese Grapeを選びますが……。もっと違う打鍵感と打鍵音を実現できるキースイッチがあるなら触ってみたいです。

2025/11/03(月)追記:静音化リングを装着した

 あまりに打鍵音がうるさいので、静音化リングという物を取り付けたら、だいぶ改善しました。打鍵音が小さくなって、底打ち感もソフトになって、大満足の改造となりました。

y-koutarou.hatenablog.com

参考:これまで使ってきたキースイッチ

CHERRY MXスイッチ RGB茶軸(タクタイル 55g)

 DUMANG DK6 miniに最初にセットされていたキースイッチ。いわゆる“茶軸”。打鍵の安定感はあるが、自分からすると打鍵が重い。打鍵音はカチャカチャという感じ。

 あらためて他のタクタイルスイッチと比べてみると、全体的に反発が強い。タクタイル感があるポイント以外でも、キーを押し込む過程全体で反発を感じる。一方、タクタイル感はそこまで強くない。タクタイルというより、リニアの中に少しタクタイル感があるという感じがする。

Gateron Clear(リニア 35g)

 Gateron白軸、クリア軸。茶軸は重いので、当時(2021年)、市販・改造なしで一番軽いキースイッチはこれだと聞いて使ってみました。軽さは期待通りでしたが、リニアは自分の好みとは合わなかったので使わなくなりました。やっぱり、軽い中にもタクタイル感は欲しいな。

Durock White Lotus(タクタイル 46g)

 タクタイルの中では軽いキースイッチらしいので購入。スペックには「Bottom Out Force: 56g Actuation Force: 46g」と書いてありますが、あきらかに茶軸よりは軽いので46gの方を見るべきか? 打鍵は柔らかくて、タクタイル感もほどよくあり、これまで使ってきたスイッチの中では一番好き。打鍵音はカタカタとやや高い音。

 あと、DK6 miniはキースイッチのはめ方が悪いと反応しなくなることが時々あるのだけど、それが出現する率が一番少ない。これが高品質スイッチということなのか? 

KTT Matcha(タクタイル 45g)

 スペック上は、Durock White Lotusよりも軽いようだったので使ってみた。「Trigger force : 40±5g Bottom force : 45±5g」とありますが、実際に押してみるとDurock White Lotusと同じくらいの感覚。Durock White Lotusよりタクタイル感は弱いが、全体的な反発はあるので結局同じくらいに。打鍵音はコトコトと静か。

TTC Bluish White V2(タクタイル 42g)

 これも軽めのタクタイルスイッチ。「押下圧42±10gf」とありますが、Durock White Lotusの方が軽いような……。Durock White Lotusよりはっきりタクタイル感があるので、その分重く感じるのかな。打鍵音はコトコト。静音スイッチではないはずだけど、これまで挙げたスイッチの中で一番静か。そういえば静音スイッチって使ったことないけど、静音スイッチはこれよりも静かなのか? 個人的にはどちらかといえば静かな方が嬉しいけど、自室でしか使わないのでそんなに気にしません。

*1:

  • Xユーザーのkouyさん: 「現在のキースイッチ分布図はこんな感じ。 キーの軽い順は、 1 Zuoce BSUN Cheese Grape Tactile Switch 2 KTT Matcha Tactile Switch 3 Durock White Lotus / Light Tactile 4 TTC Bluish White V2 Tactile Switch 5 CHERRY MXスイッチ RGB茶軸 1>>2≒3>4>>>5という体感。 https://t.co/TkHQjjGaoy」 / X<
    https://x.com/y_koutarou/status/1958531685932495116

*2:

  • Xユーザーのkouyさん: 「「ライトタクタイル」って、タクタイル感が軽いという意味なのか。(タクタイルとしては)打鍵が軽いという意味だと思ってた。 Zuoce BSUN Cheese Grapeは打鍵は軽いけど、ライトタクタイルではないからタクタイル感はしっかりある、と。」 / X
    https://x.com/y_koutarou/status/1973733682293899517