『巨人の影』の謎?

 今回も『巨人の影』をプレイし終わっての感想・疑問などをつらつらと書いていきます。かなりネタバレなので未読の方は注意して下さい。

運点がマイナスになるってあり?

 初回プレイ時のこと。技術点は9、体力点と運点はルール通りという独自ルールでプレイ開始。原運点は7となってしまい、まあ初回だからいいかと思って始めましたが、序盤から運点のマイナスが止まらない。坂道を転がるように減り続けて、ついに運点がマイナスになってしまいました(´・ω・`)*1 運点マイナスってルール上ありなんでしたっけ……?

 これまでのFFシリーズでも、一度運点が減り始めると立ち直れない傾向はありましたが、それにしても本作は運点マイナスが多い。前半で必ず食らうマイナスは1ヶ所しかありませんが、踏みやすいマイナスは10ヶ所くらいあります。一方で、運点プラス数ヶ所、取りやすいプラスは1ヶ所しかないので、明らかに収支はマイナスです。これは厳しい。特に、運だめしに失敗した先で運点マイナスを食らうという、加速度的運点減少はきつい(396番→178番と339番→229番→385番)。

 まあ、それでも運だめし失敗がデッドエンドにつながることは(前半は)それほどないのだけど。運だめしに必ず成功できるアイテムも入手できますし。

竜の剣が入手できない?

 ハーメリンの墓所で石棺を調べて中の品を調べる場面(365番)。3つの品があってどの品からでも取れますが、革袋を開けて中を調べた場合だけ次に剣を取るという選択肢がない(171番)。ちょうど選択肢の順番に調べていくとここに行き着いて、一番大事な【竜の剣】が取れない(´・ω・`) ここは記載ミスと考えて、171番から67番に行けることにして良いと思います。

死に至る病を媒介している?

 大ネズミとの戦闘後の運だめし(371番)に失敗した場合の指示がおかしい(68番)。

大ネズミの一匹が死に至る病を媒介していた。きみが次に攻撃ラウンドに敗北したら一一一へ。敗北せずに勝ったら二一八へ。

 「次に攻撃ラウンドに敗北したら」と言われても、戦闘はすでに終了しているんですけど……。ここは「一度でもダメージを受けていたら一一一へ。一度もダメージを受けずに勝っていたら二一八へ」と読み替えるのが妥当でしょう。

厄介者のランプ?

 ハーメリンの街中で突然渡される真鍮のランプ(213番)。トウィクシルという魔神が住んでいて持ち主を煩わせると言うことですが、入手後の効果はゴルゴンとの戦いで非常に役に立つというだけ(198番)。あんなに大々的に登場しておいて使い所が1つだけというのは少なすぎるし、プラス効果しかないというのがかえってがっかり。

 いかにも厄介者っぽい雰囲気を出していたのだから、なにかしらマイナス効果があるべきでしょう。例えば、戦闘中ゾロ目を振ったら魔人が突然話しかけてきて惑わせられてそのラウンドは自動的に負け、とか。マイナス効果を背負わせて、こんなアイテム拾わなければ良かったと思わせておいて実は……という展開にしてほしかった。

戦槌の値段は?

 ノームのガラクタ屋(19番)。ノームは「戦槌は金貨十枚」と言っていますが、買おうとした先の74番では「ノームは金貨五枚を懐にしまうと」と書いてあります。まあ「兜はお買い得だ。金貨五枚でいい」と言っているので、戦槌は金貨10枚が正しいと思うけど。

マリクの住居を聞き出す方法?

 時計職人の店で(397番)、マリク・オム=ヤシュの住居を教えてもらった場合は263番へ行くことができますが、下手な質問をすると教えてくれません。いかに会話してマリクの住居を聞き出すかがポイントです。

 ……と言いたいところですが、そもそも23番か290番で時計職人の店に入らなければ、何もしなくても263番へ行けます。ちょっと理不尽。時計職人の店に入らない場合は、263番ではなく117番へ行かせるべきでは。

盗まれ品を選べる?

 鉄の巨人の脅威について熱弁を振るっている男の演説を聴こうと群衆の輪に入ると(59番)、案の定スリに遭います(165番)。

誰かの手が背負い袋に差し込まれる。サイコロを一個振り、盗まれた持ち物の個数を決めること。何が盗まれたかはきみが決めることができる。

 また、祭で芸や余興を見ようとして(396番)運だめしに成功した場合も、「持ち物を一つ無作為に失う(アドベンチャーシートから持ち物を一つ任意に削除する)」と指示されます(14番)。*2

 すり取られたものを自分で決めることができるという、考えてみれば不思議な処置ですが、同様の処置は『盗賊都市』からすでにありました。本作は出てくるアイテムの数が非常に多いのですが*3、これがあるから使い所がないアイテムだからといって意味がないということにはならない。

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 そして、今回も『盗賊都市』のときと同じ疑問。すり取られたアイテムに、例えば、骸骨の籠手(398番)や【羽虫の水差し】(260番)などのマイナスアイテムを選択しても良いのか? その場合、そのアイテムのマイナス効果はどうなるのか? 今回も謎のまま。

 また、3個の小さな人間の頭蓋骨(171番)や4個のクリームパン(299番)などは複数のアイテムとして扱って良いのか? 「背景」で入手している地図を盗まれたことにしても良いのか? 【混沌の王冠】は? など言い出すとキリがないのもいつもの通り。 

すでに大惨事?

 グースとの出会いのシーンで、衝撃の事実が語られていました(83番)。

「自分の冒険について語るとき、どうも誇張してしまうな。だけど、今日はちがう。四体の鉄の巨人がストーンブリッジを更地にしてしまったんだ。そいつは道中にあるものを全部破壊しながらこっちに向かっている」

 自分は最初に読んだ時さらっと読み飛ばしてしまったのだけど、「四体の鉄の巨人がストーンブリッジを更地にしてしまった」って、すでに大惨事では……。まあ、自身が言っているように誇張する癖があるグースが大げさに言ったのかもしれませんが……。

 鉄の巨人を止めないことには被害は拡大するばかりなので、この時点でストーンブリッジより巨人を倒すことを優先するのは仕方ないけど、巨人を倒したら真っ先にストーンブリッジへ駆け付けて復興に力を貸すべきでしょう。酒場で飲み食いして次の冒険に思いを馳せている場合じゃないだろ! もちろん、近くに住んでいる魔法使いヤズトロモがすでに手を打っていて、迅速な復興が進んでいると信じていますが。

金の品物をわたす?

 ピクシー・ヒル盗賊団の言いなりになって金貨を渡すことにすると(353番)、金貨だけでなく「金貨と金の品物すべてをわたすことにした」とされてしまいます(30番)。金貨って言ってたのに(´・ω・`) 金と名前の付くアイテムは次の3つ。

  • 金の鍵(104番)
  • 金の首飾り(367番他)
  • 金の蛇の護符(167番他)

 金貨はこのあと使う機会がないし、金の首飾りは使い所がないアイテムですが、金の鍵と金の蛇の護符はこのあと活躍するアイテムなので重要ではあります。

間違った入口を選んだ方がいい?

 “ゴルゴンの墓所”のらしき洞窟の入口が2つあり、どちらかを選択する場面(11番)。マリクに聞いていれば、正しい入口の見分け方を教えてもらえます(316番)。

 しかし、間違った方の洞窟は、デッドエンドの危険があるとは言え選択で回避可能なので、回復アイテムが取れるぶん間違った方の洞窟に入った方が有利です。特に、酒樽にぶつかる(290番)などで技術点マイナスを抱えている場合は、ここで技術点+1を取れるかどうかは大きい。

 事前にヒントがあるのに、それに従わない方が有利になるというのはゲーム的に理不尽。ヒントがある場合は、それに従わなかった場合は容赦なく打ちのめしてくれてほしい。最近の作品ではそうなっていたのを思い出すし、本作でもそういう場面もあるし。

 また、少し戻りますが、フェイの花屋のヒントも似たような問題があります。マリク・オム=ヤシュの住居が〈丘通り〉の先と教えてもらえますが(185番)、278番の〈目隠し路地〉・〈戻り路地〉・〈丘通り〉の3択では、他の2つの道を選んでもあとで必ず〈丘通り〉に行けるので、アイテムが入手できる分〈丘通り〉へ行かない方が有利。むしろ、フェイの花屋のヒントはミスリードになってしまっています。

うなり声が聞こえない場合がある?

 洞窟に入って最初の十字路。194番や40番から(最初に十字路に来た方向から見て)右に行く場合は、38番や314番でうなり声を聞いて引き返す機会が与えられて、なお進む場合のみ149番へ行きます。しかし、最初に左に行って転がる岩を技術ロールで回避して101番へ行った場合は、右へ行くとうなり声を聞くことなく直接149番へ行ってしまいます。これはちょっとおかしい。101番からも314番を経由するべきじゃないかなあ。文章としても、101番から149番を続けて読むと、149番の文章は唐突でやや不自然。

 ここは一発デッドエンドの危険がある場所なので、ワンクッション挟むのは良い処理だと思うのに。

表か裏か?

 138番のコイントスを当てる選択。「裏と宣言するなら一五二へ」と書いてあるのに、152番では「表だ。よかろう」って、結局表なの? 裏なの? そもそも、この救済措置自体なくてもいい気がしますが……。

剣の交換の意味が薄い

 本作の全般にわたって現れるのが、剣の選択と交換のイベント。オープニングから剣の選択にかかわるイベントがあり、その後も時々新しい剣を見つけて、今まで使っていた剣と交換するかどうかという選択が出てきます。場面ごとに有利な剣が異なるので、次に来る戦いに合った剣を用意したいところです。

 ……なんですが、せっかくのこの趣向がゲーム上あまり活用されていないと思います。最終的に【竜の剣】か【ルーンの剣】が有利で、【ルーンの剣】は道中がかなり不利なので明らかに【竜の剣】が有利。【竜の剣】はハーメリンの墓所で入手できますが、そのためにはレイス(技術点10・体力点8)に勝つ必要があり(86番)、その戦闘で攻撃力+2を得られるのが【吸血鬼の剣】。レイスに自力で勝てるなら【吸血鬼の剣】でなくてもいいとも言えますが、【炎の剣】や【悪魔の剣】が役に立つ場面はレイス戦より後なので、【竜の剣】を入手するつもりなら【吸血鬼の剣】を選択しない理由はありません。

 というわけで、【吸血鬼の剣】→【竜の剣】が一番有利ということになります。簡単に最善手が決まってしまって、交換も1回しかない。これではつまらない。【炎の剣】や【蛇の剣】も使いたい場面はあるのに、出番が巡ってきません。

 どうせなら、【竜の剣】をハーメリンの墓所ではなく“ゴルゴンの墓所”の最深部の辺りで入手できることにすれば良かったのに。これなら、最初は【炎の剣】を購入してエメラルドのドラゴンに勝ち、【蛇の剣】を購入してコブラクスに勝った後に、【竜の剣】を入手して最終決戦に備えるのが最善か? いや、リッチに勝って技術点+1を得る方が大きいと見て、あえて【吸血鬼の剣】で通すのもあるか? ……というような、幅のある展開にもできたでしょう。*4

せっかく魅力的な登場人物なのに

 本作には、シティ・アドベンチャーが半分以上を占めることもあり、魅力的な登場人物が多数登場します。ハーメリンの華やかな雰囲気と相まって探索を楽しくしてくれますが、それが物語上うまく生かされていないという感じがします。

 まず、ビニー・ブローガン。ハーメリンの街に入ってすぐイラスト付きで登場し(26番)、金貨1枚で街の案内を申し出てきます。案内を頼むと、パイの早食いコンテストという賑やかなイベントが発生する宿に連れて行かれます。翌日も街を案内してくれるというので、ハーメリンの探索はこの女性と共に展開するのかと楽しみにしていたら、これ以降一切登場しない(´・ω・`) そりゃないだろう……。しかも、宿の主人に「行かなくちゃならないから、これ以上あんたを待てない」との伝言を残していたのでどんな事情があったのかと気を揉んでいたいたのに、理由は明かされないのでもやもやします。

 次に、マリク・オム=ヤシュ。巨人の倒し方を知っているという老齢の剣士。妻の死をきっかけに世捨て人となったという。住居を訪ねたときのといきなり剣を突き付けてくる姿が格好いい(309番)。ここに来た目的をうまく説明して、鉄の巨人を倒す方法の助言をくれるまでは良かったのですが、その後、“ゴルゴンの墓所”の奥深くで突然再登場したと思ったら、ここでいきなり最期を迎えます(332番)。これには唖然としてしまいました。いったいマリクは、どこで金の偶像を見つけて、なぜ死ぬような傷を負ったんでしょうか? あまりにも唐突で説明不足。そもそも、どうせ来てくれるなら最初から主人公に同行してくれれば良かったのに。ヴェルマの墓参りに行くくらい待ちますよ……。

 唐突な死と言えば、過去には『火吹山の魔法使いふたたび』のズート・ジンマーもそうでした(36番)。ですが、ズート・ジンマーは、特製ハーブティーをごちそうしてくれたり(309番)、大鷲に乗って火吹山まで空の旅をしたりと、短いながらも印象的なイベントがあったので、唐突ながら悲しみも感じました。正直、マリクにはあまり思い入れないなあ……。

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 そして、ウィラード・ホンク。通称グース。ハーメリンの街で巨人の脅威を演説している姿を主人公が見かけて同行することになります(59番)。おしゃべりなナイスガイで最後まで同行しますが、登場するのが物語の半分以上を過ぎてからなので、入れ込め切れなかった感じがします。グースとはもっと前、例えば主人公がハーメリンの街に到着したあたりで出会うことにしていれば、グースへの思い入れも深まったでしょう*5。あるいは、グースはカットして、先ほども書いたとおりマリクが主人公に同行することにしても良かった気がします。

 せっかく魅力的な人物が登場するのに、それぞれの人物の登場シーンが限定的で、そのため登場と退場などに唐突感があって、その人物が十分に描けていないと思います。『危難の港』ではハカサン・ツァという人物が前半で登場し、途中別行動を取るシーンはありながらもエンディングまで登場し、『危難の港』の物語を支えていたと思います。『巨人の影』にもそういう人物がいてほしかった。

キーアイテムの検証【この項、特にネタバレ】

 本作をプレイした際、なんと2回目のプレイで任務達成の直前まで行けてしまいました。ゲームブックは――特にファイティング・ファンタジーは――1回でクリアできることなんてあり得ない、何回もデッドエンドになって繰り返しプレイするのが前提だと思っていました。本作もそのつもりでプレイしていたので、これにはびっくりしました。

 初回はイベントをスルーする選択肢は選ばないプレイで、運点マイナスは大量に食らいながらも、しぶとく進んで“ゴルゴンの墓所”の途中まで行けました。鉄格子のゾンビを倒したあとの、ウジ虫に食いつかれたダメージで体力点がゼロになって終了(28番)。

 2回目は、初回で踏んだ罠を避けつつ、良いと思った選択は初回を踏襲するプレイ。今度は序盤で運点が大量に減ることもなく、金貨も温存できました。ゴルゴンの墓所を抜け、最終決戦のサイコロにも恵まれて、巨人を倒して【縺れの指輪】で拘束するところまで行けてしまいました(116番)。ひょっとしたら、これはまさかの2回目クリアがあるのでは……と緊張して選んだ選択肢で、間違った方を選んでしまってデッドエンド。*6*7

 本作は序盤から中盤は、かなりの部分が(比較的)安全な街中での冒険となるので、デッドエンドが少なく、厳しい戦闘もあまりない。きちんと人のアドバイスを聞いて、物語の主人公らしい行動を取っていれば、能力値マイナスを食らったり、金貨を失ったりしながらもある程度は進めます。この経験を生かすと、2回目以降はもっと楽に進めます。

 自分は2回目でクリア直前まで行けましたが、実際にクリアできる確率はどれくらいあったのか? 本作にクリアのキーとなる選択がどれくらいあるのか、その選択を自分は初回・2回目で選べていたかどうかを調べてみましょう。

【縺れの指輪】

初回:入手 2回目:入手

 本作で唯一の必須アイテム。巨人との決戦中に必須となります(347番)。蜘蛛魔女(スパイダー・ハグ)(179番)から入手できます。必ず通るルート上にあるのですべてに首を突っ込むプレイをしていれば入手できますが、あやしいと思って避けると入手し損ねる可能性もあります。また、蜘蛛油を持っていないと戦闘前に技術点-2・体力点-1Dを食らうので、この戦闘のみならずこの後の展開も厳しくなります。

金の鍵 or 開錠用具

初回:入手できず 2回目:開錠用具を入手

 どちらかは必須。ないと“ゴルゴンの墓所”の最深部で先へ進めずバッドエンドとなります(383番)。

 金の鍵は人ネズミを倒すと入手できますが、かなり選択しづらいと思います(146番・352番)。敵っぽくもないし、金貨もまだたくさんあるので攻撃する必然性がない。自分は2回目でもこの選択は取れませんでした(初回はボート購入。2回目はスルー)。相当回数を重ねない限り、この選択肢は選べなかったと思います。

 開錠用具は、ガラクタ売りの少年から購入できる9種の品のうちの1つです(245番)。金貨2枚で5品購入でき、さらに金貨3枚で1品追加購入できます。9分の5ではありますが、ここに来れば選びやすい品だと思います。問題は、ここに来られるのは十字路の3択で1つの道を選んだ場合だけということ(386番)。2回目でここを通れたのはラッキーでした。

金の蛇の護符 or 癒しのポーション

初回:入手できず 2回目:癒しのポーションを入手

 どちらかは事実上必須。ないとコブラクスとの戦闘で1回でもダメージを受けると終了となります(131番)。

 金の蛇の護符は打ち捨てられた倉庫(114番)の奥のエメラルドのドラゴン(350番)から入手できますが、かなり入手しづらいと思います。開錠用具と同じく十字路の3択で1つの道を選んだ場合しか来られないことや(386番)、鉄の鍵か開錠用具がないと来られないこと(239番)、エメラルドのドラゴンが強敵であることも入手しづらい理由ですが、それ以上にこんな怪しい場所に来ることが不自然だと思う。『盗賊都市』のように探し物があるならともかく、今回はマリク・オム=ヤシュに会うという明確な目的地があるのだから。マリクがこんな場所にいるわけないだろ! 自分は2回目で通って、倉庫に入って大ネズミに勝つまで行きましたが、悪臭のする水に入る気が起こらずここで引き返しました(250番)。

 癒しのポーションは幻術師の店で売ってる9品のうちの1つです(56番)。役に立ちそうな名前だし、値段も金貨1枚なので選びやすいと思いますが、だからかえって選びづらいかもしれません。自分は2回目ここでに入り*8、ここが最後の金貨の使い所だと思って、手持ちの金貨11枚を使い切って癒しのポーションも購入しました。

【吸血鬼の剣】→【竜の剣】

初回:両方入手 2回目:両方入手

 剣の選択は、先ほども書いたとおり【吸血鬼の剣】→【竜の剣】が最善です。

 オープニングの剣と盾の店で【吸血鬼の剣】か【炎の剣】を選択します*9。自分は、【吸血鬼の剣】の対アンデット効果の方が汎用性高いと思ったのでこちらを選びました。炎を吐くモンスターがホイホイ出てたまるか。その後、レイス戦で抜群の効果があって【竜の剣】という格好良い名前の剣が取れることがわかったので、2回目も【吸血鬼の剣】を選択しました。

【エルフのブーツ】

初回:入手できず 2回目:入手できず

 これがないと、洞窟で転がる岩の通路に進んだ場合、技術ロール失敗で終了となります(236番)。一発クリアをめざすなら重要です。

 しかし、入手するためには、十字路の3択の道の1つを選択する必要がある上、その道の名前は、事前のヒントで正しいと聞いている道ではないので、かなり行きづらいと思います。自分は、転がる岩の罠は、初回は技術ロール成功で回避、2回目はその通路に行きませんでした。

“正直なジョン”の薬の屋台

初回:蜘蛛油・ゴブリンの耳垢・熱冷まし剤など 2回目:全品

 本作には、大量に並べられた商品を選んで購入する場面が2つ出てきます。ここで何を選択するかはクリアできるかどうかに大きく影響します。まずは“正直なジョン”の薬の屋台(317番)。

 売っている品は12品。ここで購入した方が良いアイテムは、蜘蛛油・ゴブリンの耳垢・コウモリの軟膏・熱冷まし剤の4つです。特に前者2つが重要。蜘蛛油がないと、必須アイテムである【縺れの指輪】を入手する際に技術点-2を食らいます(179番)。ゴブリンの耳垢がないと、スクリーミング・デーモン戦の前にデッドエンドになります(149番)。通らないことも可能ですが、通ってしまう可能性は高いし、攻撃力+1の鋼の盾も取れなくなります。

 何が役に立つかは、初見では名前からカンで判断するしかありません。自分は、初回で蜘蛛油・熱冷まし剤・ゴブリンの耳垢を購入していました*10。2回目は、金貨に余裕があったので12品全部購入しました。

幻術師の店

初回:スルー 2回目:癒しのポーションなど

 もう一つの商品購入選択が、幻術師の店(56番)。売っている品は9品。ここでは「金の蛇の護符 or 癒しのポーション」の項目でも書いたとおり癒しのポーションを購入することが重要です。実は、ここで必要なアイテムはこれだけです。【ゾンビの指輪】は大したことのない敵と戦闘を回避するだけなので、なくても問題ありません(276番)。*11

 自分は、初回はスルー、2回目は癒しのポーションを含めて金貨を使い切りました*12

一発クリアは可能か?【この項、特にネタバレ】

 改めて調べてみると、初回は「金の鍵 or 開錠用具」と「金の蛇の護符 or 癒しのポーション」が入手できていなかったので、体力点が残ったとしてもクリアはできませんでした。

 自分が初回で引っかかって、2回目で回避したのが、火吹山の序盤で穴に手を入れるか(191番)と、ロサの渡し筏(134番)で馬を渡すかどうか。前者はすべての罠を踏みに行っていたので仕方ありませんが、後者は推理できても良かったなあ……。ここを正しく選択できると金貨10枚浮くので、薬の屋台で当たりアイテムを買える可能性がかなり高まります。ヒグリーとギブリー選択(340番)*13、ハロルド・ホゲット(348番)などは初回から最善手を選択していました。

 2回目でクリア直前まで行けたのは、奇跡的というほどではないにしても、いくつかの幸運のおかげでした。開錠用具は2回目でも入手できない可能性は高いので、ここはかなりのラッキーポイント。あと、自分がラッキーだったのが、福引き(141番)に、初回は金貨がなくてスルーしたので2回目で初挑戦して、唯一マイナス効果がない青銅の鈴を引いたこと。確率3分の1。これがなかったら、スクリーミング・デーモンに負けるか、最終決戦の運だめしで失敗するなどで終わっていた可能性は高いでしょう。

 自分が『巨人の影』をクリアした際、Twitterにこんなことを書きました。

 こう調べてみると、一発クリアは、実際にはかなり難しいことがわかりました。2回目でクリア直前まで行けたのも、1回目のおかげで序盤の罠をことごとく回避できたことが大きい。2回目でも幸運に恵まれていたのに、1回目となると……。

 それでも、これまでのファイティング・ファンタジーの作品に比べれば、一発クリアできる可能性はあると思います。必須アイテムが1つしかないというのは、これまでの作品では考えられないことです。その必須アイテムも必ず通るルート上にあります。また、これまでの作品だったら、金の鍵と金の蛇の護符は必須アイテムとされていたと思います。これに救済措置が用意されているとは。自分もまさにそのおかけで2回目クリア直前まで行けたわけです。

 初回で、相棒にヒグリーを選んで、穴はスルーして、ボートの老人をスルーして、ハロルド・ホゲットから馬をもらって、ロサの渡し筏であっさり馬を渡して、【吸血鬼の剣】でレイスを倒して【竜の剣】を入手して、薬の屋台で蜘蛛油とゴブリンの耳垢を選択して、386番の十字路で〈煉瓦小路〉を選択してガラクタ売りの少年と出会って開錠用具を選択して、幻術師の店で癒しのポーションを選択して、【縺れの指輪】を入手して、転がる岩回避の技術ロールに成功して、巨人との最終決戦のロールにすべて成功して、最後の選択で正しい方を選択して、運だめし成功して……って、全部達成するのは無理かなあ……。こう書くと無理なような気もするけど、いや、ひょっとすると……。誰かやってくれないかなあ……。

プレイ記録(旧Twitter

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*1:【ネタバレ注意!】初回プレイ時の運の推移は以下の通り。

初回プレイ時の運点の増減
項目 増減 運点 理由
開始 - 7 -
12 -1 6 穴に手を突っ込みサソリに刺される
146 -1 5 ヒグリーが死ぬ
360 -1 4 ボートの底が腐っていてずぶ濡れ
280 -1 3 渡し筏から馬に逃げられる
398 -1 2 骸骨の籠手をはめる
320 0 2 〈運だめし〉パンの早食い競争 ※幸運のお守り使用
265 -1 1 平手打ちコンテストのコイントスを外す
396 -1 0 〈運だめし〉人々の輪に交じって剣を飲む芸を見る
178 -1 -1 金貨を1D枚すり取られる
222 +2 1 マリクの助言を得る
59 -1 0 〈運だめし〉群衆の中でグースの演説を聴く
321 +1 1 ピクシー・ヒル盗賊団を撃退する
339 -1 0 〈運だめし〉環状列石の小石を蹴飛ばしてしまう
385 -1 -1 戦槌がなく、石のゴーレムに歯が立たない
256 -1 -2 〈運だめし〉ワイヤーを踏んで罠を発動させてしまう
325 +1 -1 竜の頭の彫刻を何事もなく通り過ぎる

*2:本文では「無作為」、括弧書きでは「任意」と書かれていて矛盾がありますが、無作為に選ぶ方法がわからないので任意の1つなのでしょう。

*3:『危難の港』ほどではありませんが。

*4:さらに、ハーメリンの墓所で入手できる剣を【竜の剣】ではなく、例えば【悪魔の剣】にすれば、【吸血鬼の剣】でレイスに勝ち、【悪魔の剣】でスクリーミング・デーモンに勝った後に【竜の剣】を入手するという展開も生まれます。どれが最善か迷うところでしょう。

*5:この場合、ビニー・ブローガンに代わって街を案内することになるでしょう。

*6:能力値は、技術点は9で固定。体力点と運点はルール通り。初回:体力点20・運点7。2回目:体力点19・運点12。

*7:その後、何か見落としているのかと思ってここまでの道のりを読み返した結果、この選択はどうもノーヒントのようだったので、この選択肢からやり直すことにして任務達成ということにしました。

*8:初回は能力値がボロボロだったので、ゾンビに恐れをなして引き換えしました(^_^;) まあ、どっちにしろ金貨持ってなかったからいいけど。

*9:他の選択肢もありますが。

*10:購入した物は他に、円盤人水・竜の涙・オークの鼻水・ゴキブリクリーム。

*11:むしろ、ない方が運だめしをしなくて済む分良いかも? 特に、攻撃力+1の鋼の盾が入手できている場合は(389番)。

*12:購入したのは、知恵のポーション・癒しのポーション・眠りの指輪・ゾンビの指輪・精神支配の指輪。

*13:初回でヒグリーを選択し、その後のイベント構造が相棒によって変化するようにはなっていないなあと思ったので、2回目もヒグリーを選択しました。

『巨人の影』のテキストマップ

 『ファイティング・ファンタジー・コレクション 40周年記念~イアン・リビングストン編~「巨人の影」』の1冊、『巨人の影』をクリアしたので今回もテキストマップを作りました。

 『巨人の影』は、『アランシアの暗殺者』に続くFFC第3弾の中の新作2作目。ファイティング・ファンタジー40周年を記念して発表された2022年発売の、まさに新作です。なにせ、FFC第2弾発売(2022年7月)の段階でもまだ発売されていなかったのですから。

 2023年にもなって、ファイティング・ファンタジーの新作が、本家の発売から1年足らずで翻訳されて発売されているとは。FFC第1弾発売時には、こんなことになるとはまったく想像していませんでした。

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テキストマップ

 リビングストンの作品は、複雑な分岐は少なく一本道な傾向がありますが、本作は今までに増しても一本道な印象です。ハーメリンへ至るまでの道は、選択肢としては分岐があるように見えて実は分岐していないことが多い。ハーメリンの前半も、一部双方向移動ですべてのイベントに行けるので、実質的には分岐はない。

 リビングストンの前作『アランシアの暗殺者』では、小さな分岐は多く、小さな分岐をうまく渡り歩かないとクリアできませんでしたが、『巨人の影』では、ハーメリンの後半以降は小さな分岐はあるものの、その1つだけに必須アイテムが隠されているというようなこともなく、道のりの選択が難しいという要素はあまりありません。

 冒険の舞台は、祭りの期間中のハーメリンの街が全体の約半分を占めます*1。ハーメリンは文明都市なので、これまでにはない明るく華やかな雰囲気のシティ・アドベンチャーとなっています。今までのファイティング・ファンタジーの街での冒険といえば、人が集まっている場所に行けばスリに遭い、道を歩けば強盗に襲われ、店に入れば強盗するというような、ポート・ブラックサンド流の冒険ばかりだったもんなあ。

 ……いや、よく考えたら、この3つ、本作でも全部あるな……。*2

 ┏━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━┓                            
 ┃174 巨人┃←┨292 ラスト・ビートル┃←─────────────────┐         
 ┗━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━┛                  │         
             【月岩山地】 ┏━━━━┓ ┏━━━━━┓ ┏━━┷━━┓      
                  ┌→┃44金の門┠→┃91塞がれる┠→┃32紫煙の珠┃      
                  │ ┗━━━━┛ ┗━━━━━┛ ┗━━━━━┛      
              ┏━━━┷━━┓ ┏━━━━━━━┓ ┏━━━━━━┓       
              ┃198 ゴルゴン┃←┨131 コブラクス┃←┨383 金の錠前┃←┐     
              ┗━━━━━━┛ ┗━━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛ │     
                    ┏━━━━━━━━━┓      ┏━━━━┷━━━━┓
                    ┃286 竜の口とレバー┠─────→┃276 鉄格子のゾンビ┃
                    ┗━━━━━━━━━┛      ┗━━━━━━━━━┛
                 ┌──────→↑←──────┐        ↑     
             ┏━━━┷━━┓ ┏━━┷━━┓ ┏━━┷━━┓ ┏━━━┷━━━━┓
             ┃236 転がる岩┃←┨194 十字路┠→┃149 叫び声┠→┃389 マス目の数字┃
             ┗━━━┯━━┛ ┗━━━━━┛↑┗━━━━━┛ ┗━━━━━━━━┛
                 └───────↑───┘                  
      ┏━━━┓           ┏━━┷━━━┓                  
      ┃395 印┃           ┃256 ワイヤー┃                  
      ┗━━┯┛           ┗━━━━━━┛                  
        ↑└───────────┐   ↑                      
     ┏━━┷━━┓ ┏━━━━━━┓↓┏━━┷━━━┓                  
     ┃216 リッチ┃←┨11洞窟の入口┠→┃368 コウモリ┃ 【ゴルゴンの墓所】        
     ┗━━━━━┛ ┗━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛                  
 【月岩山地】     ┌───→↑                              
┏━━━━━┓ ┏━━━┷┓ ┏━┷━━━━┓                         
┃353 盗賊団┠→┃321・30 ┠→┃339 環状列石┃                         
┗━━━━━┛ ┗━━━━┛ ┗━━━━━━┛                         
~~~↑~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
   │      ┏━━━━━━┓ ┏━━━━┓ ┏━━┓                  
   └──────┨59演説する男┃←┨179 老女┃←┨103 ┃←────────────┐    
          ┗━━━┯━━┛↑┗━━━━┛ ┗┯━┛〈丘通り〉        │    
              ↓   └────────┘ ┌─────────┐   │    
           ┏━━━━━┓ ┏━━━━┓    │ ┏━━━━┓ ┏┷━━━┷━━━┓
           ┃270 諦める┃←┨392・117┃←───┘←┨263 梯子┠→┃309 フードの剣士┃
           ┗━━━━━┛ ┗━━━━┛      ┗━━━━┛ ┗━━━━━━━━┛
                      ↑   ┌────→↑〈行き止まり路地〉      
                  ┏━━━┷━━━┷┓ ┏━━┷━━┓            
                  ┃397 時計職人の店┃←┨259 荷崩れ┃〈丘通り〉       
                  ┗━━━━━━━━┛ ┗━━━━━┛      〈戻り路地〉
                      ┌────→┌──→↑←───┐←─────┐   
                    ┏━┷━┓ ┏━┷┓ ┏┷━┓ ┏┷━┓ ┏━━┷━━┓
             〈目隠し路地〉┃27死体┃←┨319 ┃←┨278 ┠→┃380 ┠→┃298 飲み口┃
                    ┗━━━┛ ┗━━┛ ┗━━┛ ┗━━┛ ┗━━━━━┛
               ┌─────────────┐  ↑←───────┐      
              ┏┷━┓ ┏━━━━━━━┓ │ ┏┷━┓ ┏━━━━┷━━━━━┓
              ┃376 ┠→┃261 幻術師の店┠→└→┃202 ┠→┃19ノームのガラクタ屋┃
              ┗━━┛ ┗━━━━━━━┛   ┗━━┛ ┗━━━━━━━━━━┛
               ↑                                
           ┏━━━┷━━━━┓             ┏━━━━━━━━━━━━┓
           ┃213 真鍮のランプ┃          ┌──┨350 エメラルドのドラゴン┃
           ┗━━━━━━━━┛          │  ┗━━━━┯━━━━━━━┛
               ↑〈銀通り〉          │       │    ↑   
           ┏━━━┷━━━┓           ↓┏━━━━━┓↓┏━━━┷━━┓
      ┌───→┃338・158・172 ┃←─────────┐←┨95硬いもの┃←┨107 淀んだ水┃
      │    ┗━━━━━━━┛          │ ┗━━━━━┛ ┗━━━━━━┛
      │        ↑←─────┐       │←───────┐    ↑   
┏━━━━━┷━━━━━┓ ┏┷┓ ┏━━━┷━━━━┓ ┏┷┓ ┏━━━━━┷━━━━┷┓  
┃232 レプラコーンの女性┃ ┃98┠→┃87エルフの宝石店┃ ┃43┠→┃114 打ち捨てられた倉庫┃  
┗━━━━━━━━━━━┛ ┗━┛ ┗━━━━━━━━┛ ┗━┛ ┗━━━━━━━━━━━┛  
      ↑        ↑〈銅通り〉         ↑←───────┐        
 ┏━━━━┷━━━━┓  ┏┷━┓           ┏┷┓ ┏━━━━━┷━━━━━┓  
 ┃285 ケーキ屋の老婆┃←─┨386 ┠──────────→┃10┠→┃245 ガラクタ売りの少年┃  
 ┗━━━━━━━━━┛  ┗━━┛ 〈煉瓦小路〉    ┗━┛ ┗━━━━━━━━━━━┛  
  〈プディング小路〉    ↑                                
           ┏━━━┷━━━━┓ 〈真鍮通り〉                    
       ┌──→┃330 トロール兄弟┃←───┐←──────────────┐      
       │   ┗━━━━━━━━┛    │               │      
┏━━━━━━┷━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━┷━━━━━━━━━┓ ┏━━━┷━━━━┓ 
┃ ↑    ↑      ┃ ┃   ↑              ┃ ┃   ↑    ┃ 
┃ │┏━━━┷━━━━━┓┠─┨┏━━┷━━┓ ┏━━━━━━━━┓┠─┨   │    ┃ 
┃ │┃277 レディはどこだ┃┃ ┃┃141 福引き┃←┨119 フェイの花屋┃┃ ┃   │    ┃ 
┃ │┗━━━━━━━━━┛┃ ┃┗━━━━━┛ ┗━━━━━━━━┛┃ ┃┏━━┷━━━┓┃ 
┃┏┷━━━━━━━━┓↑ ┃ ┃┏━━━━━━┓ ┏━━━━━┓↑ ┃ ┃┃396 芸や余興┃┃ 
┃┃372 謎かけのルビー┃│ ┃ ┃┃317 薬の屋台┠→┃209 金の鍵┠┘ ┃ ┃┗━━━━━━┛┃ 
┃┗━━━━━━━━━┛│ ┃ ┃┗━━━━━━┛ ┗━━━━━┛  ┃ ┃   ↑    ┃ 
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       └─────────────────┼───────────────┘      
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     ┏┷━┓ ┏━━━━━━┓ │    ┏┷━┓ ┏━━━━┷━━━━━┓       
     ┃364 ┠→┃37“賢き髭”┠→└───→┃164 ┠→┃94平手打ちコンテスト┃       
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      ↑←───────────────────────┐                
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┃125 〈さくさくパイ〉亭┃←┨26ビニー・ブローガン┠→┃356 〈蚤の巣〉┃ 【ハーメリン】    
┗━━━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━┛            
       〈王冠通り〉   ↑←───────┐←──────┐              
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           ┃301・211・195・280┠→┃189 墓石┃←→┃86墓所┃            
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                ↑   └─────────┘                 
                │←───────────────────────┐      
            ┏━━━┷━━━━┓              ┏━━━━┷━━━┓  
            ┃393 ケンタウロス┃              ┃134 ロサの渡し筏┃  
            ┗━━━━━━━━┛              ┗━━━━━━━━┛  
                ↑←─────┐       ┌────────→↑      
               ┏┷┓ ┏━━━┷━━━┳━━━┷━━━┓ ┏━━━┷━━━┓  
               ┃6 ┠→┃187 縛られた男┃220 縛られた男┃←┨305・375・344 ┃  
               ┗━┛ ┗━━━━━━━┻━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━┛  
                ↑←──────────────────┐    ↑      
             ┏━━┷━━┓               ┏┷━━━━┷━━━━━┓
             ┃58丸太小屋┠──────────────→┃348 ハロルド・ホゲット┃
             ┗━━━━━┛               ┗━━━━━━━━━━━┛
                ↑                               
           ┏━━━━┷━━━━━┓                         
     【赤水川】 ┃146・352ボートの老人┃                         
           ┗━━━━━━━━━━┛                         
                ↑                               
            ┏━━━┷━━━━┓                          
            ┃49ザゴールの宝箱┃←┐                        
            ┗━━━━━━━━┛┏┷━┓                      
                ↑┌───→┃12穴┃                      
               ┏┷┷┓   ┗━━┛                      
     【火吹山】     ┃191 ┃←────────────┐←────────┐     
               ┗━━┛             │         │     
                ┌───────────┐   │         │     
      ┏━━━━━━━━━┷━━┓ ┏━━━━━┓↓┏━━┷━━━┓ ┏━━━┷━━━━┓
      ┃381 〈ダブル・ダック〉亭┠→┃311 腕相撲┠→┃340 相棒探し┠→┃247 霊媒師メアリ┃
      ┗━━━━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━┛ ┗━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━┛
                ↑←───────┐                      
             ┏━━┷━━━┓ ┏━━┷━━┓                   
   【アンヴィル】   ┃1 剣と盾の店┠→┃109 愚か者┃                   
             ┗━━━━━━┛ ┗━━━━━┛                   

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*1:テキストマップ中の波線に挟まれた部分がハーメリンの街中です。

*2:強盗するのはハーメリンではなくアンヴィルでのことですが。

『アランシアの暗殺者』の謎?

 今回も、『アランシアの暗殺者』をプレイし終わっての疑問・感想などを書いていきます。ネタバレなので未読の方は注意して下さい。

アランシアの暗殺者の謎?

これでこそ蛇島

 新作のリビングストンは昔と比べるとだいぶ丸くなったようで、『危難の港』に引き続き、本作の難度も、技術点12でないと無理*1というようなプレイヤーをいじめるような高難度ではありません。

 しかし、序盤の蛇島でのサバイバルはやや厳しい難度。本作は蛇島から出るあたりで、冒険の目的が開始当初とは大きく変わるのですが、蛇島を抜けるのも結構大変です。

 特に厳しい箇所を見ていきます。まず、ディケイヤー*2との遭遇(223番)。技術点8・体力点8で、この戦闘中はこちらの技術点-2*3、こちらが受けるダメージは4点という特殊能力を持つ強敵。できれば逃げたいところですが、逃げて運だめしに失敗すると技術点-1を食らった上に戦闘になってしまうので、さらに苦しくなります。戦闘で有利に展開するには技術点11以上必要なので、基本的には運だめしを通して逃げる選択になると思いますが、運の悪い冒険者はここで2~3割くらい淘汰されてしまうでしょう。

 次に洞窟の入口(213番)。石段を下ろうとすると運だめし失敗で技術点-1を食らいます。しかし、しばらく様子を見るとフレッシュ・ヘッドが突進してきて技術ロール*4に失敗すると、続く運だめし失敗すると技術点-3、成功しても技術点-2を食らいます。運点より技術点の方が高い冒険者は突進回避の方が成功しやすいですが、失敗すると致命的なので、あえて石段を下りて悪くても技術点-1で済ますという選択もあります。いずれにせよ、サイコロ運で技術点マイナスを食らうは厳しい。また、フレッシュ・ヘッドの突進を回避するとルビーが入手できて(267番)、このルビーが必要なアイテムかどうかわからないというのも選択を難しくしています。

 浜辺(231番)で波間の樽へ向かって泳いだ時の大海ヘビとの戦闘(技術点7・体力点7)も厳しい。戦闘中こちらの技術点-2になるので実質技術点9の相手。ここまでに技術点マイナスを食らっていると不利な戦闘になる可能性があります。しかし、この戦闘が不利という理由でここを回避すると、のちにオレアンダー・レッドフライ(技術点8・体力点8)との戦闘前に体力点-2・技術点-1・体力点-1Dを食らうので(312番)、もっと不利な戦闘をすることになります。

 そして、もちろんファイア・ドラゴンとの遭遇(127番)。ごくナチュラルにドラゴンと遭遇するってそんな無茶な……。いろいろとダメージを食らったりアイテムが必要になったりしますが、大きくは、運だめしに失敗すると技術点-2のリスクを負うか、技術ロールに失敗するとデッドエンドのリスクを負うかの選択を迫られることになります。

 他にも、初見殺しの罠は多数あります。これでこそ蛇島。この島に上陸した者がすべて行方知らずになっているというのもうなずける。やはり蛇島はこのくらいの難度であってほしい。ゲームブックは、ゲームの面白さとしての適切な難度とは別に、物語の状況に応じた妥当な難度も必要だと思います。

ディケイヤー戦で運だめしをすると?

 先に書いたとおり、ディケイヤーとの戦闘(306番)でダメージを受けると、体力点が4点減ります。ここで運だめしに成功するとどうなるか?

 ルールには、自分がダメージを受けた時の運だめしに成功すると、「きみは体力点を一点返してもらえる」と書いてあります(p. 283)。ということは、4点のところが3点になるだけ、と解釈するべきですよね、やっぱり(´・ω・`)

 ことに、かつて『危難の港』で、巨大な溶岩ワーム(こちらの与えるダメージが1点になる)との戦闘で、こちらがダメージを与えた時の運だめしに成功すると1点+2点で3点のダメージを与えられると解釈したことがありますので……。こういうのを自縄自縛と言います。

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海賊から逃げる方法

 蛇島からアランシア大陸西岸に向けて〈ブルームーン〉号を出すが、すぐに海賊船と遭遇する場面(71番)。大きく3つのイベントに分かれていて、非常に複雑な分岐をする。本作きっての難所だと思います。

 一番スマートに見えるのは、「死んだふり」→「赤インクの瓶」です。サイコロを振ることなく安全に抜けられて、その内容も、トリッキーな作戦を成功させて海賊を欺き、そののち海賊船がクラーケンに襲われて沈没するという、いかにも正解っぽい結末。自分はかなり最後の方までこの方法ばかり採っていました。

 しかしこの方法だと、赤水川の入江にしか向かえずポート・ブラックサンドへ行けないので、最終的な任務達成はできないというデッドエンド確定選択でした。これは自分としては大トラップでした。

 ヒントとしては、71番このように書かれていることでしょう。

東に舵を切って赤水川に向かい暗殺者から逃れようか? それとも、ポート・ブラックサンドに戻ってアズール卿に立ち向かうべきだろうか?

この主人公の性格から考えて、「暗殺者から逃れる」という選択はあり得ない。アズール卿に立ち向かうという選択こそらしい選択だ。だから赤水川に向かっている時点でおかしい。――と少なくとも途中からは考えるべきでした*5。これについては、あとで詳しく書きます。

 というわけで、他の方法を考えることになります。「海に飛び込んで船の後ろの隠れる」は、海に飛び込むなんていかにも危険そうで避けていましたが、これが最善。このあと「甲板に戻る」を選択するなどして進行すると、運が良ければ運だめし1回のみ、運が悪くても運だめし2回と体力点-2で、確実に海賊船から逃れてポート・ブラックサンドへ向かう選択肢が出現します。

 「投降する」という選択肢を選ぶと次の展開に移行します(290番)。ここで、「剣を抜いて戦う」選択は、運が悪いとデッドエンドになる危険がある上、最善の選択をしても「海に飛び込んで船の後ろの隠れる」からの展開より有利になる場合がない。「自分が新しい船長だと宣言する」なんて面白い選択肢もありますが、あっさり鎮圧されて血ザメの海に放り出される悲しい結末。

 290番で「持ち物を手放して海賊の一員となる」を選択するとさらに次の展開へ(199番)。この展開はここでしか入手できない【蛇牙の耳飾り】を入手できる可能性があるのが最大のメリット。しかし、そもそもすべての持ち物を失うのが痛すぎる上、運が悪ければデッドエンドの危険もあるので、とても割に合わない。【蛇牙の耳飾り】がないと将来のトゥンク・ヤンとの遭遇時(268番)に体力点-10を食らいますが、甘んじて受けるしかないでしょう。大海原に投げ出されるが、漂ってきたバナナの樽に逃げ込んで助かって運点+1・体力点+1をもらえるなんていう(270番)、いかにもリビングストンらしい面白い展開もあるのですが。

体力点マイナス10

 本作では、体力点-10を食らう場面が2ヶ所あります。一つは、ウジ犬にダメージを受けて【ウジ虫の練り薬】を持っておらずガングー・ウイルスに感染した場合(227番)。もう一つは、先ほども触れた、トゥンク・ヤンとの遭遇時に【蛇牙の耳飾り】を持っていない場合(237番)。

 体力点-10という数字にはびっくりしました。体力点-10って他の作品でありましたか? ちょっと記憶にない*6。自分が知る限り、FFシリーズにおける一度に受ける最大ダメージ量は、『盗賊都市』で、6本の矢を射かけられたときの体力点-1D*3、つまり最大で体力点-18だと思います(137番)。それにしても固定ダメージで10点は破格。

 以前、自分が『危難の港』について書いた記事で、「ここは体力点-6くらいで手を打ってほしかった」と書いたのは、一度に受ける固定ダメージは6点くらいが最大だろうと思ったからなのですが、あっさり超えてきましたね……。

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雑貨屋の秘密?

 赤水川の入江の雑貨屋の主人、ハロルド・コーンペッパー(23番)。イラスト付きで登場しますが、安田均先生のツイートによると、このイラストに秘密が。面白い話なので紹介します。

不死身のガランカ・ヴァッセル?

 〈背たかトムの宿〉でガランカ・ヴァッセルの存在にいち早く気がついた場合(197番)は矢を射かけることができますが、矢が当たった場合でも自分の運点が+1されるだけで、肝心のヴァッセルがノーダメージって、そんなのあり? 技術点-1とかだとさすがに簡単すぎるかもしれないが、せめて体力点-2くらいはくれても良かったのでは……。

ブーツを売る?

 ノームと遭遇して革のブーツかエルフのブーツを売る場面(133番)。所持金が少ない場合は金貨1枚でも得たいところですが、ここはエルフのブーツを持っていない場合は革のブーツも売ることはできない、という解釈でいいよね? このあと裸足で旅をするわけにもいかないでしょうし……。

ポケットに入った品は無事?

 本作では、持ち物をすべて失うというような指示がある場面が3ヶ所あります。

  • 「きみの持ち物は取り上げられたが、ポケットに入ったいくつかの品だけは無事だ。残忍な興奮に取りつかれた海賊たちは、ポケットの中身を見落としたのだ。」(81番)
  • 「持ち物を手放して海賊の一員となるなら」→「持ち物を差し出したきみは」(290番 → 199番)
  • 「きみは足を止めることなく背負い袋を放り出した(アドベンチャーシートから背負い袋に入っているすべての品物と保存食を削除すること)」(83番)

 似たような指示ですが、微妙に表現が異なります。特に、81番の「ポケットに入ったいくつかの品だけは無事だ」という指示が気になります。ポケットに入った品とは?

 そう思って本作のアドベンチャーシートを見ると、持ち物の記録は次のように分類されていることに気がつきました。

  1. 背負い袋のアイテム
  2. ポケットのアイテム
  3. ペンダント
  4. 保存食
  5. 金貨
  6. 武器
  7. 防具

 さらに、改めてアイテム入手時の文章を読んでみると、銀のサソリのペンダントトップに関しては、そのほとんどで、入手時に「ポケットにしまう」というような記述があることに気がつきました*7。また、他のアイテムでも、いくつか「ポケットにしまう」というような記述があるアイテムがあります。*8

 これらのことを合わせて考えると、それぞれのアイテムを失う指示は、次のように解釈するべきなのでしょう。

  • 81番の「きみの持ち物は取り上げられたが、ポケットに入ったいくつかの品だけは無事だ」は、「2. ポケットのアイテム」と「3. ペンダント」は失わない(サソリの首飾りはポケットに入れたという描写があるので)。
  • 290番の「持ち物を手放して海賊の一員となる」は、1から7まですべてのアイテムを失う。
  • 83番は「(アドベンチャーシートから背負い袋に入っているすべての品物と保存食を削除すること)」とはっきり指示があるので、1. 背負い袋のアイテムと4. 保存食は失うが、その他のアイテムは失わない。

 ……と、まじめにルールを解釈してみましたが、ま、てきとうでいいんじゃないでしょうか。なんとなくポケットに入りそうなものはポケットに入れたことにする、くらいの解釈でいいんじゃないでしょうか。あと、武器と防具はなんだかんだ言って失わずに済んだ、とか。

 ルールとしてきちんと解釈をしてほしいのなら、ルールに「手に入れた物をどこにしまったか(背負い袋か、ポケットか)を記録すること」と書くべきでしょう。「ポケットにしまった」なんて普通は読み飛ばすよね。

 それに、きちんと解釈しようとしても、金貨はポケットにしまったという描写がある場合とない場合があるし、武器と防具を失った場合の技術点マイナスなどに言及がないし、腕輪や指輪などはどこに分類するんだとか、いろいろと不完全なことがあるので……。

ネズミ獲り屋?

 カアドの町の時計職人、バルサザール・ウィトル(249番)。時計の針を届けるのが物語的には本筋っぽいですが、ネズミ獲り屋と答えても普通に進行します。ネズミ獲りを成功させた時に、ちょうどブラックソーンからかくまってくれたのは嬉しいし、さらに暗殺者の風貌を教えてくれるのはありがたい情報ですが(280番)、ネズミ獲りの代金は……?

狂戦士の名前は?

 主人公をファングの町の正門で待ち構えている狂戦士のウルズル・アイアンフェイス(163番)。技術点12・体力点12を誇る最大の強敵ですが、106番ではウルズル・アイアンフォースと書かれているんですけど……。

時間歪曲の指輪?

 忍者、山久利剛三と謎の銀髮の魔道女*9の隠れ家で入手できる【時間歪曲の指輪】(12番)。仰々しい名前ですが、その効果は、衛兵に囲まれたアズール卿に飛びかかるという明らかに無茶な行動を救済するだけ(65番)。しょぼい。それよりも、兜を脱ぐことを拒否した場合の方を救済してほしかった(´・ω・`)

 どうせなら、任意の場面でパラグラフの選択を1回だけやり直すことができるか、サイコロを1回だけ振り直すことができるという効果にすればゲーム的におもしろかったのに。

兜を脱ぐ?

 ファングでの〈迷宮探検競技〉開催式の場面。サカムビット公の兜を脱ぐ命令を拒否した場合は366番で兜を脱がされた上でデッドエンドになりますが、アズール卿の名代となって〈死の罠の地下迷宮〉に入る命令(276番)を拒否した場合も366番に行きます。この場合、兜はすでに脱いでいると思うんですけど……。

刺客リスト

 本作の冒険の目的は、開始当初は蛇島でのサバイバルですが、のちにアズール卿が送り出した暗殺者から逃れること変わり、そして初めてファングに到達してアズール卿の対面した時に(145番)、どうやらこれは暗殺者から逃れるのではなく、むしろ暗殺者を見つけて倒すことが目的なんだなと気がつく、という構造になっています。

 ――という指摘が、下記のブログでされていました。なるほど。

shinsei.hatenadiary.jp

 自分が初めてアズール卿の前にたどり着いた時のサソリの首飾りの数は6個だったのだけど*10、このゲームブックを一番味わえる展開でプレイできたということですね。ラッキー(?)。

 最終的な任務達成のためには、すべての暗殺者を倒す必要があるわけですが、暗殺者がそれぞれ個性的で面白い。というわけでリストを作ってみました。

『アランシアの暗殺者』刺客リスト
登P 絵P 名前

肩書き

戦P
1 - ラク・カザン シャザールのナイフ使い 315 7 6
147 147 オレアンダー・レッドフライ ダークエルフの女司祭、弓使い 13 8 8
110 389 ラズロ・マリック 手練れの剣士 389 8 5
244 244 グレッタ・モーグ 《死の手》 35 8 7
45 53 ガランカ・ヴァッセル 元傭兵の戦士 53 10 9
224 - 山久利剛三 忍者 93 7 6
363 363 レン=レン・パック 〈ゼンギスの超人〉 266 9 6
349 - 〈斧使いダックス〉 バーバリアン 349 9 8
89 89 ブラックソーン チャリスのサーベル使い 160 8 7
109 - レッド・ルース 《精神支配》 344 5 5
268 268 トゥンク・ヤン ケイ・ポンの毒使い 271 5 6
39 39 ジードル - - - -
163 163 ウルズル・アイアンフェイス 元奴隷闘士の狂戦士 163 12 12

 Pはパラグラフ。登Pは初めて登場するパラグラフ、絵Pはイラストがあるパラグラフ、戦Pは戦闘の能力値が書かれているパラグラフです。複数のパラグラフがある暗殺者もいますが、代表する1つだけ載せています。イラストのない暗殺者がいるのは残念。ジードルだけは肩書きが思いつきませんでした(^_^;) 登場パラグラフ数は少ないですが、そのどれもが長文で多彩な反応を見せてくれる印象深いキャラだったのですが。

 自分が最後まで見つけられなかったのは2人。ラズロ・マリックは、先ほども書いたとおり、ポート・ブラックサンドへ向かうという選択肢がなかなか見つけられなかったため。レン=レン・パックは、前々から名前が出ていたガランカ・ヴァッセルを倒した直後に名前が出てきたので、これがラスボス的に最後に出てくると思っていました。何回かファングまでたどり着いて、あれ? そういえば最後の方で出る機会はなさそうだな、と。それまではカアドへ向かうのが正解だと思っていたので、なかなかこちらの道を選べませんした。

この物語の主人公の行動が納得できない

 このように、暗殺者をすべて倒すルートを探し出すのはおもしろかったのですが、正直言って本作はあまり――例えば『危難の港』と比べて――楽しめませんでした。その理由としては、このゲームブックの主人公の行動に納得できなかったから、ということが大きいと思います。

 まず、「背景」からして「おいおい」と思いました。ポート・ブラックサンドで偶然出会った人物と、蛇島で1ヶ月生き延びられるか賭けて、30日後に船で迎えに来てくれて生き延びていれば金貨20枚って、そんな無茶な。金貨を払ってくれる保証がないし、なにより30日後に本当に迎えに来てくれるのかという心配をしませんか??? ついでに、金貨20枚は安すぎると思うし。

 アズール卿から刺客を送られていると聞いた後の行動も理解できない。蛇島にいたままだと次々と暗殺者がやってくる(特にガランカ・ヴァッセル)のは目に見えているので蛇島を出るのはわかりますが、その後アズール卿がいる場所へ行こうとしていませんか? アズール卿に会ったところでどうにもならないと思うんですけど……。アズール卿を暗殺するなんて無理にきまってるし。自分なら、アズール卿の手の届かない遠くの土地へ逃げようとすると思います……。

 そして、この物語の結末。〈迷宮探検競技〉に参加するなんて、死亡確定じゃん。ぜんぜん嬉しくない。ことに、自分が初めて400番にたどり着いた時の状況が、技術点9/9、体力点1/19、運点6/9、保存食0、ポーションなしという状態だったので……*11。これだけ苦労に苦労を重ねてエンディングまでたどり着いてデッドエンドかよ。

 『危難の港』は、腹ペコのトレジャーハンターがうさんくさい宝の地図を見つけて旅に出るという冒険者らしいスタートでした。その後の物語の変化も、半ばハカサンに尻を叩かれる格好で、アランシアの危機を救えるのは自分しかいないという状況に追い込まれた事もあって奮闘するという、共感しやすい展開でした。それと比べると、『アランシアの暗殺者』の主人公の行動にはついていけないよ。*12

この物語の主人公の人物像

 しかし、改めて読み返してみると、主人公の人物像は、この物語の中で一貫していることに気がつきました。

 蛇島の賭けに乗ったのは、この主人公がサミュエル・クロウは信頼できる人物だと確信したから。それくらい人を見る目に自信があるから。そしてその判断が正しかったことは、その後のクロウ船長の行動によって証明されました。

 金貨20枚という安すぎると思える賭けに乗ったのも、蛇島で1ヶ月生き延びるということは、この主人公にとってはそのくらい簡単なことだから。それくらい自分の腕に自信があるから。

 この物語の主人公は、技術にも、体力にも、運にも絶大な自信があり、しかもその通りの実力を備えているという、稀代の英雄タイプの人物なのです。ファイティング・ファンタジーの主人公は「無色透明のきみ」だと思い込んでいたのがまちがい。それは作品による。「背景」だけでもこれだけ強烈な個性が示されていたのですから、このゲームブックの主人公はこういう人物像なのだと、できれば「背景」を読んだ時点で、遅くともクロウ船長と再会したくらい気がつくべきだった。それなら、もっとこのゲームブックを楽しめたかもしれません。

 アズール卿のいる場所へ行こうとしていたのも、アズール卿に会っていかに自分が傑出した人物であるかを示せば何とかなると思ったのでしょう。アズール卿がそのような人物であると見抜いていたのでしょう。あるいは、本気で暗殺できると思っていたのかもしれません*13。そして実際、アズール卿は(サソリの首飾りの数によっては)主人公の不敵な態度と実力に興味を示したわけです。

 〈死の罠の地下迷宮〉に挑むという結末も、この主人公なら、もちろん生き残ることができると思っているのでしょう。なので、この結末で問題ない。

 というわけで、いつもの推奨能力値です。ゲーム的には、この記事の最初にも書いたとおり、それほど無茶な難度ではありません。事実上最強の敵はガランカ・ヴァッセルの技術点10なので、技術点9でギリギリ、技術点10ならやや余裕があるというバランスです*14。体力点と運点はルール通りで良いでしょう。できれば技術点9で、ちょっと運が悪いと抜けられない蛇島の厳しさを実感していただきたい。

 ですが、この物語の主人公らしさということで考えたら、技術点12・体力点24・運点12の最強冒険者で挑むのもいいかもしれません。これで、襲いかかってくる暗殺者など簡単に蹴散らして、アズール卿にサソリの首飾りをじゃらじゃら見せつけて、ついでに〈迷宮探検競技〉の勝者になる。このくらいやった方が、この物語の主人公らしいと言えます。この能力値でも、すべての暗殺者と遭遇できるかはプレイヤー次第になりますので、ゲーム的に簡単すぎるということはないと思いますよ。

プレイ記録(旧Twitter

関連する記事

y-koutarou.hatenablog.com

*1:あるいは、12でも無理。

*2:かつては「腐れ」と翻訳されていました。『モンスター辞典』の巻末の「モンスター・英語索引」では「Decayer→腐れ」、『タイタンふたたび』では“腐れ(ディケイヤー)”(p. 108)と表記されています。

*3:それなら攻撃力-2と書けばいいのに。

*4:サイコロ2個振って技術点以下が出れば成功という判定のこと。※独自用語

*5:ポート・ブラックサンドに行くことができるということも知らなかったのである程度仕方ないと思いつつも、それでも。

*6:全作品を読んでいるわけではないので、あるのかもしれません。

*7:132番だけポケットにしまうという記述がない。

*8:「ポケットに入れる」というような記述のあるアイテムは以下の通り。

  • 174番:サソリの首飾り
  • 267番:ルビー
  • 122番:鉄の鍵
  • 377番:小ぶりなダイヤモンド2粒
  • 377番:銀の箱
  • 231番:銀貨1枚
  • 231番:錆びたナイフ
  • 61番:サソリの首飾り
  • 190番:サソリの首飾り
  • 283番:金貨3枚
  • 321番:サソリの首飾り
  • 387番:サソリの首飾り
  • 232番:金貨10枚
  • 151番:クローバーのお守り
  • 254番:サソリの首飾り
  • 173番:金貨6枚
  • 22番:サソリの首飾り
  • 103番:サソリの首飾り
  • 109番:サソリの首飾り
  • 33番:サソリの首飾り
  • 326番:サソリの首飾り
  • 132番:サソリの首飾り
  • 106番:サソリの首飾り

*9:241番と94番では「銀髮の女」と書かれているが、83番では「白髪の女」になっている。

*10:ブラックサンドに行けるとは知らなかったし、〈背たかトムの宿〉以降はリンゴルート、町へ直行ルートを通って、ボッグの農場は行ったけど〈ラッパを鳴らせ〉で、フローレンス・フィギンズのお言葉に甘えて〈オットーの基地〉へ直行。

*11:ファングの“贅沢な宿”に泊まると、一晩で体力点も運点も全回復して、保存食と魔法のポーションも調達できるのでしょうか? そうだとしても、技術点9では死亡確定なのは変わらないけど。

*12:『アランシアの暗殺者』は『危難の港』の続編だから主人公は同一人物ですって? わたしはそんな話は知りません。

*13:それが309番の選択肢に現れています。

*14:ルール通り、原技術点を超える技術点アップはできないという想定。

『アランシアの暗殺者』のテキストマップ

ファイティング・ファンタジー・コレクション』第3弾は新作からプレイしています

 2023年7月14日にFFC第3弾、『ファイティング・ファンタジー・コレクション 40周年記念~イアン・リビングストン編~「巨人の影」』が発売されまして、今回も外出先でスマホでメモを取りながら少しずつプレイしています。第2弾に続いて今回も新作2冊+復刊3冊という構成です。第2弾までの10冊を読み終えて、だいぶ慣れてきたので、今回はいきなり新作2冊――『アランシアの暗殺者』と『巨人の影』――から読み始めることにしました。

 2023年12月16日に『ファイティング・ファンタジー・コレクション 40周年記念~スティーブ・ジャクソン編~「サラモニスの秘密」』の発売も控えているので、急ぎ目でプレイしています。少なくとも新作2作は読み終えて、ほかの3冊もできるだけ読んだ状態で第4弾を迎えたいところですが、間に合うものかどうか。

テキストマップ

 新作の1つ目、『アランシアの暗殺者』を読み終えたので今回もテキストマップを作りました。

 今回はアランシアの北西部のオープンフィールドが主な舞台です。『危難の港』と同じく、旅をしながら舞台が次々と変わる話なので、『危難の港』のテキストマップのように、出てくる地名はできる限りマップに取り込むようにしました。地図と重ねて足取りをたどるのも興味深いですが、テキストマップでの再現は困難なので、方角や位置関係はほんのり香る程度と割り切って、イベントのつながり重視のマップにしました。

 ゲームとしての構成は、大きな分岐はありませんが、小さな分岐は多く、小さな分岐をうまく渡り歩かないと最終的な任務達成はできない構造になっています。単純に縦につなげるとかなり縦長のマップになってしまうので、近い場所でイベントが続くような箇所は横につなげた部分もあります。

 リビングストンの作品によくあるように、スルーできるイベントが多いので、スルーできるイベントの手前に番号のみの枠を作って、スルーできることがマップ上でわかるようにしました。ただ、スルーできるイベントと一口に言っても判断が微妙な場合が結構あるなと思ったので、それについては後述します。

                    ┏━━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓   
             【ファング】 ┃163 狂戦士┠→┃309 サカムビット公とアズール卿┃   
                    ┗━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛   
                       ↑                        
                    ┏━━┷━━┓                     
              【コク川】 ┃378 渡し場┃                     
                    ┗━━━━━┛                     
            ┌─────────→↑                        
        ┏━━━┷━━┓ ┏━━━━━┷━━━━━┓                  
        ┃252・195野営┃←┨264 〈オットーの基地〉┃←───────────┐     
        ┗━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━━┛            │     
            ↑          ↑       〈異教平原〉     │     
            │       ┏━━┷━━━┓              │     
            └───────┨207・326騎手┃              │     
                    ┗━━━━━━┛              │     
                ┌─────→↑←───┐             │     
           ┏━━━━┷━┓ ┏━━┷━━┓ │〈願いの井戸〉      │     
           ┃178 指名手配┠→┃268 毒使い┃ │〈公園〉         │     
           ┗━━━━━━┛ ┗━━━━━┛ │             │     
                ↑    ↑〈噴水通り〉│〈鐘通り〉        │     
               ┏┷━━━━┷┓  ┏━━┷━━━┓ ┏━━━━┓  │     
       ┌────→┌→┃261・137裸足┃←─┨109 外套の女┃←┨89案内人┃  │     
       │     │ ┗━━━━━━┛  ┗━━━━━━┛ ┗━━━━┛  │     
       │     │ 〈静寂通り〉         ┌─────→↑    │     
   ┏━━━┷━━┓ ┏┷┓〈煉瓦通り〉        ┏┷━┓ ┏━━┷━━┓ │     
   ┃181 ぱちんこ┃←┨99┃〈長靴通り〉  〈時計通り〉┃140 ┠→┃249 時計塔┃ │     
   ┗━━━━━━┛ ┗━┛〈香辛料通り〉       ┗━━┛ ┗━━━━━┛ │     
             ↑┌──────────────→↑           │     
           ┏━┷┷┓ ┏━━━━━━━━━━━━┷┓          │     
  〈マーケット広場〉┃19僧侶┃←┨256・210・307 馬車の貴婦人┠──────────┘     
           ┗━━━┛ ┗━━━━━━━━━━━━━┛〈冠通り〉           
                   ↑  【カアド】  ↑←───────────┐     
               ┏━━━┷━━━┓  ┏━━┷━━━━━━┓ ┏━━━┷━━━┓ 
         〈悪鬼の森〉┃87ウッドリング┃  ┃189・332・44・128 ┠→┃70ボッグの農場┃ 
               ┗━━━━━━━┛  ┗━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━┛ 
                   ↑←───────────┐  ↑←─────┐     
             ┏━━━━━┷━━━━━┓      │ ┏┷━┓ ┏━━┷━━┓  
             ┃363 〈ゼンギスの超人〉┠───────→┃369 ┠→┃228 草の中┃  
             ┗━━━━━━━━━━━┛      │ ┗━━┛ ┗━━━━━┛  
                   ↑←─────┐     │  ↑            
                 ┏━┷┓ ┏━━━┷━━━━┓│  │            
                 ┃101 ┠→┃173 倒れている男┃└─┐│            
                 ┗━━┛ ┗━━━━━━━━┛ ┏┷┷┓           
                   ↑  ┌─────────→┃200 ┃           
           ┏━━━━━━━┷━━┷┓         ┗━━┛           
     ┌────→┃263 ・316 ・305 ・ 47 ┃←────────┐              
     │     ┗━━┻━━┻━━┻━━┛         │              
     │         ↑   ↑             │              
     │  ┏━━━━━━┷┓ ┏┷━━━━┓      ┏━┷━━┓           
     │┌→┃69オークの軍団┠→┃63銀髮の女┃      ┃277 釣果┃           
    ┏┷┷┓┗━━━━━━━┛ ┗━━━━━┛      ┗━━━━┛           
    ┃121 ┃←──────────────┐         ↑              
    ┗━━┛┏━━━━━━━━┓     │      ┏━━┷━━━┓          
     ┌─→┃32ノームとブーツ┠┐    │      ┃358 毒リンゴ┃          
    ┏┷━┓┗━━━━━━━━┛│ ┏━━┷━━━┓  ┗━━━━━━┛          
    ┃133 ┠─────────→└→┃179 開封厳禁┃     ↑←──────┐      
    ┗━━┛            ┗━━━━━━┛    ┏┷━┓ ┏━━━┷━━━━┓ 
     ↑           ┌─────────────→┃157 ┠→┃221 山積みリンゴ┃ 
     └──────────┐←────────┐     ┗━━┛ ┗━━━━━━━━┛ 
 ┏━━━━━━━━━━━┓ ┏┷┷┓ ┏━━━━━┷━━━━━┓↑              
 ┃45ガランカ・ヴァッセル┠→┃387 ┠→┃341 〈背たかトムの宿〉┠┘              
 ┗━━━━━━━━━━━┛ ┗━━┛ ┗━━━━━━━━━━━┛               
            ↑                                   
         ┏━━┷━━━┓                               
         ┃244 矢師の女┃                               
         ┗━━━━━━┛                               
            ↑←─────┐                            
           ┏┷━┓ ┏━━┷━━┓                         
     【赤水川】 ┃203 ┠→┃68寝転ぶ男┃                         
           ┗━━┛ ┗━━━━━┛                         
    ┌──────→↑←─────────┐                        
 ┏━━┷━━┓ ┏━━┷━━┓       │                        
 ┃288 造船所┠→┃327 雑貨屋┃←─────┐│                        
 ┗━━━━━┛ ┗━━━━━┛      ││      ┏━━━━━━━━━━━━━━━┓ 
    ↑                 ││      ┃334 〈ブラック・ロブスター〉亭┃ 
 ┏━━┷━━━━━━┓         ┏┷┷┓     ┗━━━┯━━━━━━━━━━━┛ 
 ┃114・345・152・15 ┃ 【赤水川の入江】┃270 ┃         ↓       ↑  ↑  
 ┗━━━━━━━━━┛         ┗━━┛     ┏━━━━━━━┓ ┏━┷━┓│  
        ↑←────┐←────┐←─↑────┐←┨110・234物乞い┃ ┃48盗人┃│  
      ┏━┷━┓ ┏━┷━━┓ ┏┷━━┷┓   │ ┗━━━━━━━┛ ┗┯━━┛│  
    ┌→┃71海賊┠→┃290 投降┠→┃199 脱出┃   └────────────┘↑  │  
    │ ┗━┯━┛ ┗━━┯━┛ ┗━━┯━┛   【ポート・ブラックサンド】┏┷━━┷┓ 
    │   └─────→└─────→└─────────────────→┃310・393┃ 
 ┏━━┷━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━┓【アランシア大陸西海岸沖】     ┗━━━━┛ 
 ┃61〈サソリ会〉┃←┨147 クロウ船長と射手┃                         
 ┗━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━┛    【蛇島西岸】               
              ↑←────┐                           
             ┏┷━┓ ┏━┷━━┓                        
             ┃217 ┠→┃370 蜜蜂┃                        
             ┗━━┛ ┗━━━━┛                        
              ↑                                 
        ┏━━━━━┷━━━━━┓                           
        ┃127 ファイア・ドラゴン┃←┐                         
        ┗━━━━━━━━━━━┛ │                         
              ↑  ┏━━━━┷━┓                       
              │┌→┃255 波間の樽┃                       
             ┏┷┷┓┗━━━━━━┛                       
             ┃231 ┃←────────────────────────────┐ 
             ┗━━┛┏━━━━━┓      ┏━━━┓      ┏━━━┓│ 
              ┌─→┃331ロープ ┠┐   ┌→┃122 壺┠┐   ┌→┃56木箱┠┘ 
             ┏┷━┓┗━━━━━┛│ ┏━┷┓┗━━━┛│ ┏━┷┓┗━━━┛↑ 
             ┃201 ┠──────→└→┃187 ┠────→└→┃365 ┠─────┘ 
             ┗━━┛         ┗━━┛       ┗━━┛       
              ↑                                 
          ┏━━━┷━━━┓        【蛇島東岸】               
          ┃213 洞窟の入口┃←──────────────────────┐     
          ┗━━━━━━━┛                       │     
                 ┏━━━━┓      ┏━━━━━┓      │     
              ┌─→┃76赤い実┠┐   ┌→┃343 骨の手┠┐     │     
             ┏┷━┓┗━━━━┛│ ┏━┷┓┗━━━━━┛│ ┏━━━┷━━━━┓
             ┃116 ┠─────→└→┃242 ┠──────→└→┃223 ディケイヤー┃
             ┗━━┛        ┗━━┛         ┗━━━━━━━━┛
              ↑←──────┐                         
┏━━━━━━━━┓ ┏━━┷━━━┓ ┏━┷━━┓                      
┃1 真夜中の来訪者┠→┃174 食料探し┠→┃34魚釣り┃ 【蛇島西岸】               
┗━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛ ┗━━━━┛                      

「スルーできるイベント」の判断基準

※注意 ややネタバレです。

 「スルーできるイベント」と一口に言っても、そのイベントがスルーできると言えるかどうかは微妙な場合があります。基本的な判断基準は「そのイベントをスルーすると何も起こらないか」と「そのイベントをスルーすることで何か起こることが予想できるかどうか」です。結果的にスルーして何も起こらなくても、スルーすることにリスクがありそうなら「スルーできないイベント」とします。

 例えば、序盤の蛇島でのイベントで、「116→76赤い実」や「242→343骨の手」がスルーできるイベントで、「223ディケイヤー」や「127ファイヤ・ドラゴン」はスルーできないイベントいうのはわかりやすいと思います。

 「244矢師の女」は選択肢としてはスルーすることもできそうな感じですが、結果的にスルーすることはできないので、「スルーできないイベント」です。

 「179開封厳禁」は微妙です。ここでの選択肢は「箱を開けるか? 持っていくか?」となっていて、どちらにしても能動的な行動を伴うので、「スルーできないイベント」としました。*1

 「157→221山積みリンゴ」はリンゴを食べないで進むことが可能なのでスルーできるイベントです。しかし「358毒リンゴ」は、“毒リンゴ”というワードが明示されていて、“治療薬”を飲まないことで悪いことが起こる可能性が予想できると判断して「スルーできないイベント」としました。「277釣果」も、相手がすでに剣に手を伸ばしているので、通りがかっただけと言うのもリスクが伴うと判断して「スルーできないイベント」としました。

 「307馬車の貴婦人」は一見スルーできそうですが、スルーしようとする先でも馬車の女に話しかけられるというイベントが発生していると判断して、「スルーできないイベント」扱いにしました。*2

 「121→69オークの軍団」は、121番の時点で先を急ぐことにもリスクがありそうと予想できると言えなくもないですが、先に急ぐ場合と待つ場合でその後の進行が大差です。なので、“先を急ぐ”という選択肢があることをマップ上で明示したかったので「スルーできるイベント」としました。この辺は、必ずしも一定の基準があるというわけではなく、筆者のさじ加減もあるということです。

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*1:もしこれが、「箱を開けるか? 持っていくか? 無視して先に進むか?」の3択だったら、マップでどう表現するか悩んだでしょうね……。

*2:また、顔を伏せることでかえって怪しまれるということも考えられますし。

『地獄の館』の二つの新解釈

 今回、『地獄の館』を解き終えた後に、ネット上で『地獄の館』(および『ハウス・オブ・ヘル』)に言及しているページをいろいろ読んだわけですが、「え! そういうことだったの?」と驚いたことが2つありました。

※この記事ネタバレです!

ケルナー卿は吸血鬼?

 驚いたことの1つ目は、2階の〈シェイタン〉に登場する吸血鬼は(69番)、オープニングで晩餐を共にしたケルナー卿だということです。下記のブログ記事で次のように書かれています。

カニ子「なるほど。とにかく、ワタシは指輪を見つけることなく、〈シェイタン〉の間に入った。そこで館の主人のケルナー卿と対面するのでごわすが、吸血鬼の正体を表して、カニ子を誘惑するのじゃ」
《中略》
カニ子「それにしても、一つ疑問があるでごわす。ここでは、吸血鬼=ケルナー卿ということで話を進めているでごわすが、作品中では吸血鬼とケルナー卿とが同一人物とは記されておらず、ただイラストだけで同一キャラだと分かるのみ。どうして、吸血鬼をケルナー卿とは書かなかったのでごわすか?」
リバT『それはパラグラフ分岐のゲームブックだからですね。大抵のプレイヤーは、この吸血鬼と遭遇する前に、ケルナー卿と面談していたり、館の主人の情報を得ていたりしますが、ごく稀にケルナー卿の名前を一切聞くことなく、ここまで到達することが可能です。

shinsei.hatenadiary.jp

 これは気がつかなかった! 「地獄の館」なら吸血鬼の1人や2人住んでいるのも当然かな、と思ってスルーしてました。晩餐でのケルナー卿の話から、吸血鬼がこの館にかかわっていることは示唆されるものの(28番)、いまいちケルナー卿との関係がはっきりしないなと思っていました。ケルナー卿自身が吸血鬼か!

 確かに、こんなに存在感のある敵が、このシーンのみの単発登場なんて不自然だ。この吸血鬼がケルナー卿であると考える方が自然だし、物語的に美しい。吸血鬼の登場シーンでケルナー卿の名前が出てこないのも、上記の記事に書いてあるように、分岐による物語上の矛盾を避けるためと考えれば納得できます。

 ですが、本当に同一人物なのかな……。最初に応接室で面会する277番と、〈シェイタン〉で遭遇する291番のイラストを比べて見ると、顔の作りや表情は同じに見えるけど、髪型がちょっと違うような気も……。のちに食堂で遭遇する際の318番のイラストは、277番と髪型も同じ。ちなみに、『ハウス・オブ・ヘル』だと277番と291番のイラストは明らかに別人に見えます。人間の姿と、吸血鬼として正体を現した姿は違うということでしょうか……。

 あと、ケルナー卿が吸血鬼なら、食堂でケルナー卿と戦うときにも(30番)ニンニクを使えてもいい気がする。

灰色の男は何人いる?

 もう一つの驚いたこと。ゲームの序盤からたびたび文中に登場するこのゲームブックのキーワードの1つ「灰色の男」(マン・イン・グレイ)。初出は応接室の〈ブルースター公爵夫人〉の肖像画(250番)。通りやすい項目なので、多くのプレイヤーがこのヒントを得たことと思います。

 しかし、灰色の男らしき人物があちこちで登場するのがプレイヤーを惑わせます。しかも、結局大したヒントをくれなかったり、デッドエンドに追い込まれたり、デッドエンドブロックにいたりする。「灰色の男」らしき人物は、全部で4ヶ所に登場します。

  • 2階の〈アスモデュース〉の部屋(154番)
    • 描写:「白髪をふりみだした男」「うす汚れた長い灰色の衣を着ており」
    • 根拠:シーコウ(背の曲がった小男)が、灰色の男は〈アスモデュース〉の部屋に入れられていると話す(308番)
  • 地下牢の一室(209番)
    • 描写:「灰色の衣を着たはげあたまの男」
    • 根拠:特になし
  • 秘密階段奥の食料貯蔵庫の向かいの部屋(305番)
    • 描写:「白い衣を着た男(ルビ:“マン・イン・ホワイト”)」
    • 根拠:モルダナ(老婦人)が、食料貯蔵庫の反対側の部屋に捕らわれている白い服を着た男が灰色の男かもしれないと話す(65番)
  • 地下の一番奥の右の部屋(ラファティー)(71番)
    • 描写:「白い衣を着て、不安顔の男」
    • 根拠:特になし

 この「灰色の男」について、下記のブログの記事で次のように書かれています。

地下牢(0-K)で今度は灰色の男と話した。これはもちろん0-C*1で囚われていた白い衣の男と同一である。

koimoya.blog.fc2.com

 これは気がつかなかった! 自分は、灰色の男らしき人物はすべて別人だと思っていました。同じ人物なんて思いもしなかった。別の場所にいるのだから別人だとしか……。そうか、「金髪のかわいい娘」が地下牢(209番)からいけにえの儀式の間(122番)に移動させられているように、灰色の男も屋敷の中を移動しているのか。

 そう思って前回作ったイベントのつながりマップを見ると、灰色の男の移動経路をたどることができます。*2

 灰色の男は、元々は悪魔崇拝の一味でした。良心が耐えられなくなって離脱しようとしますが、捕まって死刑宣告されます。これは本人が語っていますし(208番)、シーコウが「やつはご主人様の信頼を裏切りおった。だから、罰せられるのじゃ」と話したこととも一致します(308番)。〈アスモデュース〉に閉じ込められていたところで、部屋に入ってきた主人公と出会います(154番)。主人公とは闘いがあったもののすぐに和解。ここでは主人公に「わしは復讐を果すまで、ここを出ることができん」と言い残して単独行動に出ます(105番)。しかし、捕まって地下牢へ入れられ、偶然訪れた主人公と再会*3。“主”を倒す望みを主人公に託します(363番)。その後、次のいけにえにさせられる準備のため、儀式の間の近くの、秘密階段奥の食料貯蔵庫の向かいの部屋に移動させられます(305番)。ここで三たび主人公と再会。今度は主人公と同行してケルナーを倒そうと立ち上がりますが、その矢先に部屋にやってきた悪魔崇拝者のナイフに刺されて(178番)、復讐を果たせないまま最期を迎えることとなりました。

 ……と、なかなか面白い物語ができたところですが、本当にこうなのか?

 まず、〈アスモデュース〉の男は「白髪の男」と書かれています。しかし、地下牢の男は「はげあたまの男」と書かれています。秘密階段奥の部屋の男は、髪の毛については文中には書かれていませんが、イラストでは髪は生えています。そう考えると、地下牢の男は別人のような気もします。

 次に、〈アスモデュース〉の男の一人称は「わし」ですが、食料貯蔵庫の向かいの部屋の男の一人称は「おれ」です*4。そう考えると、この2人も別人のような……。まあ、口調や性格は似ていると思いますが……。

 そして、食料貯蔵庫の向かいの部屋に「白い衣を着た男」が捕らわれていることはモルダナが教えてくれます(65番)。もし、この男が〈アスモデュース〉の男か地下牢の男と同一人物なら、この時点ではまだ館の中を移動しているか地下牢にいるはずですから、食料貯蔵庫の向かいの部屋にいるはずがありません。まあ、モルダナに未来予知能力があるとしてもおかしくないかもしれませんが……。

 そもそも、〈アスモデュース〉の男は戦闘で倒してしまうことも可能です。その場合でも、その後に他の「灰色の男」は平然と登場します。まあ、生きている場合は同一人物で、倒した場合は別人というパラレルワールドという解釈でもいいですが……。

 こう考えるとすべて別人のような気もしてきました。しかし、灰色の男の物語は捨てがたい。

その他の地獄の館の謎?

 その他に思ったことなどをいつものようにいくつか……。

クリス・ナイフは技術点+6?

 「ファイティング・ファンタジー」で毎度おなじみの、技術点を原点を超えてプラスできるか問題。『地獄の館』では、ルールにこう書かれています(p. 230)。

(訳注:原点数を超えられる場合の指示というのは、実際にはありません。これはどうもクリス・ナイフを使っての最後の戦闘の場合をさしているのではないかと思います。クリス・ナイフによって加えられる技術点はかなり高い(六点)ので、このときだけ原技術点を超えてもよいでしょう)

 ルールにはっきりこう書かれていれば迷わない。この訳注はすばらしいと思います。

 しかし、『地獄の館』では、主人公は開始時は武器を持っていないので、開始技術点は原技術点-3でスタートして、何か武器を手に入れて初めて原技術点で戦えるというルールがあります。

 先ほども紹介したのブログの別の記事で、次のような記述があります。

リバT『対悪魔特効武器であるクリス・ナイフは、+6ボーナスを与えてくれるんですね。もちろん、その+6は原技術点+6ではなく、マイナス3された開始技術点に+6なので、実質は原技術点+3と解釈するのが妥当でしょう』

shinsei.hatenadiary.jp

 言われてみれば確かに……。自分はそんなこと考えもせずに原技術点に+6してました(^_^;)(ケルナー卿かフランクリンズとの戦闘でも原技術点に+3)

 ということは、クリス・ナイフの技術点+6というのは、開始技術点+6=原技術点+3ということ? 最後の敵の技術点は14点もあるので、これだと原技術点が最低10、できれば11以上ないとつらいことになる。『地獄の館』は【真の道】の記述*5がその通りであるゲームだと思っていたけれど、この解釈だとそうでもないな……。

 自分としては、クリス・ナイフの技術点ボーナスは原技術点にプラスされるという解釈でいきたいな。最後の戦闘の難度もさることながら、その前のドラマーの伯爵かフランクリンズとの戦闘で、クリス・ナイフの効果がただのペーパーナイフや肉きりナイフと同じというのではあまりに寂しいし……。

開かないドアの行き先は?

 館の中には、どのルートを通っても開けることができないドアが2つあります。

 1つは、張り出し廊下の大階段から1階に降りてきて右手の、客間の向かいのドア(285番・97番)。これは、オープニングで通された応接室のドアと考えるのが妥当でしょう。そしてこの部屋は食堂にもつながっているのでしょう。

 もう1つは、地下でシーコウに会った先(166番)の左のドア。描写からすると、このドアの先はグレートデンの部屋(14番)のように思えるので、テキストマップの物理空間マップでは無理矢理つなげました。

鍵束を取ったときの運だめしに成功すると?

 台所で鍵束を取ると「利き手の方を使ったので、体力点三と技術点二を減らさねばならない」を食らいます(148番)。しかし、〈運だめし〉に成功すると「利き手を使わなかったということで、傷を体力点一の減少にとどめられる」と指示されます。これは、「体力点-3・技術点-2」のところを、「体力点-1」だけでいいということなのか、「体力点-1・技術点-2」という意味なのか、ちょっと不明瞭。

 この世で一番どうでもいい話ですが……。*6

行き先の消失・出現は理不尽

 『地獄の館』は正解ルートの発見が難しいゲームブックです。それ自体はいいのですが、その原因が、構造の複雑さのためというよりは、物理空間と実際に説明される・移動できる場所が乖離しているためという理由が大きいと思います。

 一方を選択するとなぜか他方に行けなくなったり、逆に、1つを選択すると最初は示されなかった道が出現したりします。また、本来あるはずの通路やドアが文章上で示されないことがあります。ゲーム上、一方通行で戻ることができないから省略されたということが明白ならまだ納得しやすいですが、『地獄の館』は全体的に北に進んでいるなどの方向性はあまりないので、道の存在が示されない・行けない理由が納得しがたく、理不尽に感じます。

 せめて、存在する通路・ドアの位置はすべて示した上で、実際にどこに行くか(行けるか)を説明するべきだったと思います。

 以下、特に理不尽に感じる場面を列挙します。

  • エラスムス〉の前に着いたとき(229番)。最初は〈エラスムス〉に入るか先に進むかの2択だが、ドアが開かないことがわかると通路を引き返すという選択肢が出現する(140番)。
  •  物置を抜けた直後(255番)、通路は右に続いているのに、そちらへ行く選択肢がない。自然な選択だし、ゲームの構造的にもあっていい選択肢だと思うけど。
  • 〈シェイタン〉に入ってすぐ出た場合(389番)、〈マモン〉に入れないことや物置を戻ることができないのはまだしもだが、進む通路の途中にあるはずの〈アスモデュース〉と〈エブリス〉に、入れないどころかドアの存在さえ示されないのはひどい。2階のマッピングの最大の難所だと思う。
  • 〈マモン〉から出たときも(2番)、通路を進む場合は〈アスモデュース〉と〈エブリス〉に入ることはできない。こちらはドアの存在は示されるだけまだマシだが、初見の部屋名だけ示されて入れないという事態になる可能性が高く、混乱の原因になっている。
  • 〈エブリス〉からの出たときの選択肢が不安定かつ理不尽。すぐ出る場合(125番)はなぜか通路を先に進むという選択肢がなく、戻って272番へ行くしかない。部屋を調べてから出る場合は(369番)通路を先に行けるが、すぐ隣にあるはずの〈アスモデュース〉に入ることはできない。*7
  • 名前のない部屋・〈ベリアル〉・〈アバッドン〉の3部屋のドアは(175番)すぐ近くにあるのに、すべて入るにはこの順番で入るしかなく、逆順で入ることができない(243番・329番・159番)。一番重要な〈アバッドン〉に入る選択肢は常に残る点はまだ親切ですが。
  • 張り出し廊下の大階段から1階に降りてすぐは(132番)左右のドアを開けるか玄関のドアを開ける選択肢しかないが、右のドアを開けるか玄関のドアを開けると玄関ホールの奥へ行くという選択肢が出現する。
  • 右通路で(49番)接客室のドアを開けたが入れなかった場合(307番)、書斎のドアの存在自体が消滅してしまう。
  • ホール奥の42番か97番から右通路へ行く場合、地下への階段のドアを開ける選択肢しかない。そこには書斎と接客室のドアもあるはずなので、行けないにしてもドアが存在していることは示してほしかった。

合言葉は……(※この項、特にネタバレ)

 『地獄の館』を語る上で触れておかなければいけないのが、合言葉の謎解きの不完全さ。地下の秘密のドアを開ける合言葉は、「プラヴィーミ」「山羊頭」「殺人」「クリス(ナイフ)」の4択から選ぶようになっています(237番)。1つが正解なのですが、なぜこれが正解なのか。社会思想社版をプレイした当時はまったくわかりませんでした。

 合言葉のヒントはいくつも出てきます。まず、〈アスモデュース〉の灰色の男が、合言葉はモルダナばあさんが知っていると教えてくれます(105番)。そのモルダナからは、昔の合言葉しか知らない、シーコウなら新しい合言葉も……、との情報がもらえます(295番)。また、1階の客間の暖炉棚に散らばっている手紙には、プラヴィーミ伯爵からドラマーの伯爵宛てで、合言葉を“山羊頭”から変えた方がいいと書かれています(364番)。

 そして、地下でシーコウに遭遇して武器で脅して一撃加えると、合言葉はプラヴィーミだと言います(284番)。しかし、別の方法で尋問すると異なる内容をしゃべり出します(93番)。

ご主人様は秘密を守るため、合言葉をいつも変えておられる。実際、ほんの昨日もあの方は、それをプラヴィーミから、えーと……おお、なんじゃったかな? 舌の先まででかかっとるんだが。くそっ、たしかこのおそろしい館そのものみたいな言葉じゃったのに……わからん!

 ゲームの流れから考えて、このシーコウの言葉が最大のヒントなのは間違いないところです。しかし、決定的な正解が読み解けません。364番と93番のヒントから、「山羊頭」と「プラヴィーミ」ではないことはわかるので2択までは絞れますが……。「恐ろしい言葉」だから「殺人」なの? あまりに飛躍していない? 結局、残る2択はトライ・アンド・エラーで解くしかありませんでした。

 社会思想社版では、2階の寝室で遭遇した際のシーコウの言葉の表記が「住人じゃと? 《中略》おお、なるほど、住人な」と、なぜか「住人」が太字ゴシック体で書かれていたので(308番)、自分はこれがヒントなのかな?と思っていました*8。「住人」と「殺人」が似ているということ? かなり苦しいような……。

 正解を書きます。この館の主人はドラマーの伯爵。ドラマー(DRUMER)の綴りの文字を入れ替えると殺人(MURDER)になります。シーコウが「わからん!(mixed up!)」と言っていますが、mixed upには「頭が混乱している」の他に「順序が狂っている」という意味もあるので、これがヒントになっています。また、プラヴィーミ(Pravemi)も吸血鬼(Vampire)のアナグラムになっているので、これもヒントになっています。

 ……ということだそうです。

 そんなのわかるか!!

(と思っていたら、こちらの実況動画では、アナグラムであることはすぐに見抜いていました。すごいな……)

www.youtube.com

 これをやるんなら、「殺人(MURDER)」「ドラマー(DRUMER)」のように英語綴りをかっこ書きで示してほしかった。それだと簡単すぎるというのなら、2階の部屋の名前など、いくつかの固有名詞にも英語綴りを示せばよいでしょう。195番では「FIND SHEKOU(シーコウを見つけろ)」と書かれているので、こんな感じの記載を他でもすれば良かったのに。mixed upはどうしようもないですが……。

 そして、せっかく復刊するのなら、こういう明白な欠陥は修正して復刊してほしいです。2023年12月16日発売の第4弾、『ファイティング・ファンタジー・コレクション 40周年記念~スティーブ・ジャクソン編~「サラモニスの秘密」』に収録される『ソーサリー』は、もちろん修正されますよね?

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*1:引用者注:食料貯蔵庫の向かいの部屋。

*2:さすがにラファティー(71番)は別人ということでいいですよね……。

*3:主人公は、〈アスモデュース〉を出た後すぐに〈エブリス〉に行ってベッドの罠から地下牢に行くルートがあるので、地下牢へはすぐに行くことができます。灰色の男は、勇ましいことを言って飛び出したのに、あっという間に捕まったんですね……。

*4:地下牢の男は「われわれ」としか言わない。

*5:(p.237)

ただ一つの【真の道】は最小限の危険しかなく、原技術点など最初のサイコロの目がどんなに悪くとも、かなり楽に通り抜けられるようになっている。

そう言えば、コレクション版ではこれまで「たった一つの道」(『火吹山の魔法使い』『モンスター誕生』)か「たった一つの成功への道」(『盗賊都市』『死の罠の地下迷宮』『魂を盗むもの』)と書かれていたのだけど、『地獄の館』は昔ながらの「ただ一つの【真の道】」と書かれていますね。やっぱり「真の道」の方が好きだな。

*6:ちなみに、『ハウス・オブ・ヘル』では「体力点を1点失うだけで技術点は下がらない」と明確になるように書かれています。えらい!

*7:なお、〈アスモデュース〉から出たときは(378番)、通路を先に進む選択肢はありませんが、「すぐつきあたりになっている右手に進むのはやめた」と通路はあるが行かないことが明記されているので、選択肢の示し方としては誠実です(行けないこと自体は理不尽ですが)。他の部分もこうしてほしかった。

*8:『地獄の館』より先に『仮面の破壊者』をプレイしていた気がします(^_^;)