『死の罠の地下迷宮』ピット・フィーンド戦を回避した方が良いのか?

 この記事はかなりネタバレになるので、最初に『死の罠の地下迷宮』をこれからプレイする方に伝えたいことである、この記事の最終段落を引用しておきます。

やはり、このゲームブックは『ゲームブックの楽しみ方』にも書いてあったとおり、ゲーム開始時の原技術点を決めるサイコロが、1・2なら10点、3・4なら11点、5・6なら12点としてプレイした方が良いと思います。

 というわけで、以下はかなりネタバレです。『死の罠の地下迷宮』を未プレイの方は読まないことをおすすめします。

攻略のコツはピット・フィーンド戦を回避すること?

 『死の罠の地下迷宮』は難度が高いゲームブックです。必要なアイテムを探すという迷路的な難度もさることながら、単純に敵が強いという“オーバーキル”な作品でもあります。有名な真の道の記述*1は誤りであると言わざるを得ません。

 しかし、サイコロ運が良ければそれで勝てるというわけでもありません。最善手を取らないと、技術点12・体力点24・運点12の最強冒険者でも話にならない(即死トラップは避けたとしても)。きちんと手がかりを集めて、戦闘を避けたり、体力の消費を避ける行動を取る。すると、技術点12ならまずまず、技術点11ならなんとか、技術点10でも運が良ければ、クリアできるというバランスになります。このあたりが『死のワナの地下迷宮』の好きなところです。

 最大の攻略ポイントは、技術点12・体力点15のピット・フィーンド*2との戦闘を避けること

 回避に必要なアイテムはロープ・鉄鈎・猿のお守りの3つ。鉄鈎・猿のお守りの入手は「たった一つの成功への道」*3を通っていれば簡単。ロープは入手は簡単だが、巨大偶像を登る際に使用して、回収するには運だめしが必要。そして、ピット・フィーンドとの対決で猿のお守りを投げた際に運だめしが必要。

 また、続く忍者戦の前の運だめしに失敗すると技術点-1を食らってこの後の戦闘がきつくなるので、この運だめしも成功したい。ついでに、水たまり通過時の運だめしも失敗すると保存食をすべて失うので、できれば成功したい。

 すると、成功したい運だめしが4回もあるので、選択するポーション幸運のポーション一択。絶対失敗したくない運だめしの前――巨大偶像でのロープ回収前か、ピット・フィーンドとの対決で猿のお守りを投げる前のどちらか――に使う。コレクション版ではポーションは2回使えるので、その2つか、忍者戦前のどれか2回に使う。このプランで決まり。

 ……だと思っていました。コレクション版をプレイする前までは

コレクション版では技術点-1が避けられない

 ところが、コレクション版では鉄鈎を入手する際のペナルティが変更されました。社会思想社版では運だめし吉で体力点-1、凶で体力点-3だったのですが、コレクション版ではマイナスされるのが体力点ではなく技術点になっています。

y-koutarou.hatenablog.com

 運だめし失敗時の技術点-3は言うに及ばずですが、成功しても技術点-1というのが非常に痛い。ピット・フィーンド戦を回避しても、このあと、忍者(技11・体9)、ブラッド・ビースト(技12)、マンティコア(技11・体11)の“終盤3連戦”を勝ち抜く必要があります。この3連戦を、技術点-1を抱えたまま迎えることになります。

 また、鉄鈎入手時の運だめしに失敗すると技術点-3を食らって致命的なので、この運だめしにも失敗できません。成功したい運だめしが1回増えて5回になったので、どれかに失敗する危険も増します。

 こうなると浮上するのが、ピット・フィーンド戦を回避しないというプランです。これなら鉄鈎を入手する必要がないので運だめしをする必要がないし、技術点マイナスもありません。そして、ロープ回収と猿のお守り投擲も必要ないので、成功したい運だめしは水たまり通過時と忍者戦前の2回だけになります。終盤3連戦がピット・フィーンド戦を加えた“4連戦”になりますが、技術点-1の状態で終盤3連戦を勝ち抜くより有利では……? 選択するポーションは幸運のポーションか体力のポーションか。どちらも考えられます。

 また、技術のポーションを選択してピット・フィーンド戦を回避するというプランも考えられます。これだと“終盤3連戦”を技術点マイナスなしで迎えられます。また、鉄鈎入手時と忍者戦前の運だめしは失敗してもよくなります。ロープ回収と猿のお守り投擲の運だめしは自力になりますが、それに成功する前提ならこれが一番有利かも……?

ピット・フィーンド戦を回避するメリット・デメリット

 条件を整理してみましょう。まず、終盤に登場する強敵との戦闘内容が以下の通りです。ピット・フィーンドと戦う場合は4連戦、回避する場合はその下からの3連戦になります。

『死の罠の地下迷宮』“終盤4連戦”
項目 怪物名 技術点 体力点 備考
245 ピット・フィーンド 12 15 ロープ・鉄鈎・猿のお守りで回避可
312 忍者 11 9  
172 ブラッド・ビースト 12 10 こちらの攻撃が2回当たれば勝ち*4
196 マンティコア 11 11  

 また、重要な運だめし(ピット・フィーンド戦を回避するために必要、または後半で必ず行う)と運の増減は以下の通りです。

『死の罠の地下迷宮』重要な運だめしと運の増減
項目 イベント 成功 失敗 備考
89 運だめし:ロープ回収 ロープ回収成功 ロープを失う。ピット・フィーンド戦を回避できなくなる ピット・フィーンド戦を回避しないなら失敗してもよい
121 第一の試練失敗 - - 2Dで8以上で失敗。技術点-2か運点-2
378 運だめし:水たまり 保存食-2 保存食全滅、アイテム1つ消失 必ず行う
228 運だめし:鉄鈎入手 技術点-1 技術点-3 ピット・フィーンド戦を回避しないなら行う必要がない
175 レプラカーンの歯入手 - - 運点+2
361 運だめし:猿のお守り投擲 ピット・フィーンド戦回避 体力点-5、ピット・フィーンドと戦闘 ピット・フィーンド戦を回避しないなら行う必要がない
181 運だめし:忍者遭遇 変化なし 技術点-1・体力点-4 必ず行う

 まとめると、ピット・フィーンド戦を回避しない事による影響は以下の通りです。

  • メリット
    • 終盤3連戦を技術点-1なしで迎える
    • ロープ回収の運だめしに失敗しても良くなる
    • 鉄鈎入手時・猿のお守り投擲の運だめしを行う必要がない
  • デメリット
    • ピット・フィーンドに勝つ必要がある

 メリットの中で一番影響が大きいのは「終盤3連戦を技術点-1なしで迎える」ことです。逆に言えば、ピット・フィーンド戦を回避する場合は、終盤3連戦を技術点-1の状態で勝ち抜く必要があるということになります。

 要するに、技術点マイナスなしのピット・フィーンド戦を含めた“4連戦”と、技術点-1での“3連戦”のどちらが有利か?という選択です。そこで、終盤の戦闘で、技術点が何点ならなら体力点を平均何点失うかを計算してみます。

終盤の戦闘で失う平均体力点
自分の技術点 12 12-1 11 11-1 10 10-1 12
戦闘する相手 4連戦 3連戦 4連戦 3連戦 4連戦 3連戦 3連戦
ピット・フィーンド 16.0 - 26.5 - 44.4 - -
忍者 6.0 10.0 10.0 16.6 16.6 27.8 6.0
ブラッド・ビースト 4.0 6.6 6.6 11.1 11.1 19.1 4.0
マンティコア 7.2 12.0 12.0 19.9 19.9 33.3 7.2
失う体力点合計 33.3 28.6 55.1 47.6 92.0 80.2 17.3

 技術点の“12-1”などの-1は、鉄鈎入手時の技術点マイナス1を負ったまま戦うという意味です。また、この表では忍者戦前の運だめしは成功する前提です。

 技術点別に失う体力点を比較すると、次のようになります。

  • 技術点12の場合:4連戦で失う体力点33.3、3連戦で失う体力点28.6
  • 技術点11の場合:4連戦で失う体力点55.1、3連戦で失う体力点47.6
  • 技術点10の場合:4連戦で失う体力点92.0、3連戦で失う体力点80.2

 いずれの場合も、4連戦の方が失う体力点は多いですが、大差ではありません。この数値は戦闘での運だめしを使わない場合です。ピット・フィーンド戦を回避しないなら、回避のために必要な運だめしをピット・フィーンド戦に回せます。このくらいの差だと、どちらが有利か微妙なところです。

 また、技術点11と10の差が大きいことが分かります。ゲーム開始時の保存食や体力のポーションの回復分を合わせた「持ち体力点」は、体力のポーションなしなら原体力点+40、体力のポーションがあれば原体力点*3+40点と考えることができます。すると、技術点12と11の場合は平均的な運で終盤の連戦は勝ち抜けることになります。技術点11以上あれば、運だめし失敗の一回で崩壊する危険が多いピット・フィーンド戦を避けるプランより、ピット・フィーンドと戦うプランを採って平均的な運で勝つというのはあり得る戦略だと思います。

幸運のポーションと体力のポーションの選択

 幸運のポーションと体力のポーションの選択も迷うところです。

 敵の技術点が高いほど、自分の技術点が低いほど、戦闘での運だめしの価値は上がります。それでも、体力のポーションの体力全回復と比べると、戦闘での運だめしの効果はそこまでではありません。戦闘の事だけを考えれば体力のポーションを選択した方が良いことがほとんどです。

 幸運のポーションを選択するメリットは、絶対に失敗できない運だめしの成功率を上げられることです。特に、ピット・フィーンド戦を回避しようとすると、絶対に失敗できない運だめしが3回あります。回避しない場合でも、水たまり通過時と忍者戦前の運だめしは失敗したくありません。これらの運だめしを成功させることを考えると、幸運のポーションを選択したくなります。

 しかし、運点は回復できる機会が多いです。特に、ピット・フィーンド遭遇前の175番で2点回復できるのが大きい。必要な運だめしのみを行えば、先ほど挙げた5回の運だめしをすべて行う場合でも、すべて原点か原点-1の状態で行うことできます。原運点が十分に高ければ幸運のポーションなしでも成功が見込めます。

 ただし、体力のポーションを選択した場合に問題となるのが、第一の試練です。サイコロ2個振って8以上が出ると失敗。つまり、能力値関係なく41.7%失敗します。失敗すると技術点-2か運点-2を選ばないといけません*5。技術点-2は致命的なので運点-2を選択することになりますが、体力のポーションを選択していると、このマイナスをフォローできません。特に、ピット・フィーンド戦を回避したい場合は痛烈です。

 というわけで、どちらを選択した方が良いかは微妙です。ピット・フィーンド戦を回避する場合は幸運のポーション、回避しない場合は体力のポーションを選択するのがかみ合っている感じがしますが、原技術点・原体力点・原運点の組み合わせによっては逆を選択するのもあるかもしれません。

技術のポーションを選択するプラン

 もう一つ、技術のポーションを選択するプランもあります。技術のポーションを選択する最大のメリットは、鉄鈎入手時の技術点マイナスを回復できることです。よって、ピット・フィーンド戦を回避するのは絶対です。そして、鉄鈎入手時の運だめしと忍者戦前の運だめしに失敗しても技術点を回復できます。終盤が3連戦になる上に、確実に技術点マイナスなしで3連戦を迎えられます。技術点が12の場合、終盤の戦闘で失う平均体力点は17.3点です(「終盤の戦闘で失う平均体力点」の表の右端)。技術点11でも28.6点(技術12-1の3連戦の場合と同じ)。十分勝てる数字です。技術点12でピット・フィーンド戦を回避して終盤を3連戦にできるのは、技術のポーションを選択した場合だけです。

 問題は、運だめしがすべて自力になることです。鉄鈎入手時と忍者戦前の運だめしは失敗できますが、ロープ回収と猿のお守り投擲時の2回は失敗できません(できれば水たまり通過時も)。また、第一の試練に失敗した場合に(運点-2ではなく)技術点-2を選択できますが、その場合は忍者戦前の運だめしも自力で成功する必要があります。

 原運点が高い場合限定のプランなのか。どうせどうやっても厳しいのだから、運だめし成功に賭けてこのプランを選択する価値があるのか。これも微妙なところです。

プランまとめ

プラン1:幸運のポーション、ピット・フィーンド戦回避

  • 必須運だめし:ロープ回収、鉄鈎入手時、猿のお守り投擲、忍者戦前の4回。できれば水たまり通過時も。どれか2つの前に幸運のポーションを使う。

  • 鉄鈎入手時に技術点-1を食らう。

  • 終盤3連戦で必要な体力点:技術点12-1で28.6点、技術点11-1で47.6点、技術点10-1で80.2点。

  • 《寸評》一番オーソドックスだが苦労は多い。運だめしに失敗すると台無しになるので戦闘での運だめしを使いにくい。“終盤3連戦”を技術点-1の状態で勝ち抜く必要がある。

プラン2:幸運のポーション、ピット・フィーンドに勝つ

  • 必須運だめし:忍者戦前の1回だけ。できれば水たまり通過時も。

  • 終盤4連戦で必要な体力点:技術点12で33.3点、技術点11で55.1点、技術点10で92.0点。

  • 必須運だめしが少ないので幸運のポーションを戦闘に使える。

  • プラン1で始めて、ロープ回収に失敗したらプラン2に切り替えるというパターンもある。

  • 《寸評》ピット・フィーンド戦で幸運のポーションをつぎ込んで、できるだけ体力点を残して勝つ。他の運だめしはできれば自力で成功したい。

プラン3:体力のポーション、ピット・フィーンド戦回避

  • 必須運だめし:ロープ回収、鉄鈎入手時、猿のお守り投擲、忍者戦前の4回。できれば水たまり通過時も。すべて自力で成功する必要がある。

  • 鉄鈎入手時に技術点-1を食らう。

  • 終盤3連戦で必要な体力点:技術点12-1で28.6点、技術点11-1で47.6点、技術点10-1で80.2点。

  • 《寸評》運だめしがすべて自力になる。また、第一の試練が鬼門。やや中途半端な印象だが、運だめしに成功する前提ならあり得るか?

プラン4:体力のポーション、ピット・フィーンドに勝つ

  • 必須運だめし:忍者戦前の1回だけ。できれば水たまり通過時も。

  • 終盤4連戦で必要な体力点:技術点12で33.3点、技術点11で55.1点、技術点10で92.0点。

  • 《寸評》力押しプラン。忍者戦前の運だめしが自力なので、その前のピット・フィーンド戦で運だめしを使いにくい。偶然性が少ないので技術点が高くないと無理。逆に技術点が高ければ有利か?

プラン5:技術のポーション、ピット・フィーンド戦回避

  • 必須運だめし:ロープ回収、猿のお守り投擲の2回。できれば水たまり通過時も。自力で成功する必要がある。

  • 終盤3連戦を技術点マイナスなしで迎えられる唯一のプラン。

  • 終盤3連戦で必要な体力点:技術点12で17.3点、技術点11で28.6点、技術点10で47.6点。

  • 第一の試練に失敗できる。ただし、忍者戦前の運だめしが自力になる。

  • 《寸評》一番安定感はある。技術点と運点が高ければこれが一番有利か。逆に技術点が低い場合も、ピット・フィーンド戦を回避して技術点-1を食らうより、このプランで運だめしは全部成功することに賭けた方が可能性はあるかも?

あなたはどのプランを選択する?

 5つのプランはどれも有力です社会思想社版はあきらかに地底怪獣戦を避けるのが最善手でしたが、コレクション版では鉄鈎入手時の技術点マイナスがあることで、必ずしもピット・フィーンド戦を避けるのが良いとは限らなくなりました。戦略の幅が広がって、攻略法を楽しみが増えました。

 また、技術のポーションを選択するプランが有力なのも注目。技術点マイナスは基本的に間違った選択肢を選んだ場合に食らうものなので、クリア狙いで技術のポーションを選択することはほとんどないと思います*6。というか、自分はいままで、技術のポーションを選択した事は一度もなかったかも……。『火吹山の魔法使い』の改造版で選んだくらいかなあ……。だいたい、幸運のポーション7割、体力のポーション3割くらいだったと思う。

 ただ、難度は社会思想社版より上がってしまったと思いますが……。魔法のポーションは2回分使えますが、それより技術点-1の方が影響は大きい。社会思想社版では技術点10でも、厳しいながらも運が良ければクリアできましたが、コレクション版は技術点10だと相当運が良くないとクリアできません。やはりこのゲームブックは、『ゲームブックの楽しみ方』にも書いてあったとおり、ゲーム開始時の原技術点を決めるサイコロが、1・2なら10点、3・4なら11点、5・6なら12点としてプレイした方が良いと思います。

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*1:社会思想社版のFFシリーズの多くの作品に書かれていた記述。「ただ一つの真の道の危険度は最小限で、どんな人でも、最初のサイコロの目がどんなに悪くてもかなり楽に通り抜けられます」。

*2:社会思想社版では“地底怪獣”。

*3:社会思想社版での「真の道」のこと。

*4:ブラッド・ビーストの情報を知らない場合は、戦闘にならず運だめし+技術ロールで通過できます。技術点や体力点が低い場合などはこちらを選んだ方が通過率が高い場合もあります。しかし、その場合はさすがに次のマンティコア戦がどうにもならないと思いますので、ここでは考慮しないことにします。

*5:ちなみに、社会思想社版では技術点ではなく体力点-2でした。これも厳しい変更です。

*6:まだ始めたばかりで最善の選択肢がわからない時に、少しでも先の展開を見るために技術のポーションを選択しておくというのはあり得ますが。実は『死の罠の地下迷宮』こそ、序盤の技術点マイナスが多いので技術のポーションを選択するべきかも……。