『ファイティング・ファンタジー・コレクション』の『死の罠の地下迷宮』を読んでいると、社会思想社版の『死のワナの地下迷宮』からいくつか変更点があることに気がつきました。翻訳文が異なるのはもちろんですが、ゲーム的に影響がある部分も変更されています。ゲームの難度・攻略法にも少なからぬ影響があります。
というわけで、この2つと、HJ文庫Gで発売された『デストラップ・ダンジョン』*1を含めた3つの版のゲーム的に影響がある部分の変更点を表にして見ました。
ややネタバレです。
社会思想社 現代教養文庫 |
HJ文庫G |
ファイティング・ファンタジー・コレクション |
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タイトル | 死のワナの地下迷宮 | デストラップ・ダンジョン | 死の罠の地下迷宮 | |
初版発行日 | 1985年11月20日 | 2009年1月1日 | 2022年7月31日 | |
項目 | 出版社 | 社会思想社 | ホビージャパン | SBクリエイティブ |
ルール | 食事をいつ取れるか | 戦闘中以外いつでも | 文中でそう書いてあるとき*2 | 戦闘中以外いつでも |
ルール | ポーションの使用回数 | 1回分 | 2回分 | 2回分 |
223 | 木の棒を踏む | 運点-2 | 運点マイナスなし*3 | 運点-2 |
151 | 巨大偶像での戦闘:ロープあり | 技術点-3 | 技術点-2 | 技術点-2 |
166 | 巨大偶像での戦闘:ロープなし | 技術点-3 | 技術点-2 | 技術点-3 |
271 | 盾を失う | 技術点-2*4 | 技術点-1 | 技術点-1 |
206 | スロムへのお礼の品 | 食料一食分 | 食糧を少し*5 | ポーションを一本 |
26 | Sの錠剤を飲むと | 体力点-2 | 技術点-2 | 技術点-2 |
169 | 男に与える保存食 | 食料*6 | いくらかの食糧 | 一食分の保存食 |
306 | 持ち去られた品 | (ザックの)中身をそっくり奪って | 所有物は残らず持ち去られた | 保存食のすべてを持ち去り |
150 | 鉄鈎入手時:運だめし成功 | 体力点-1 | 技術点-1 | 技術点-1 |
33 | 鉄鈎入手時:運だめし失敗 | 体力点-3 | 技術点-3 | 技術点-3 |
- 社会思想社版と比較して変更されている点を太字にしています。
コレクション版では魔法のポーションは2回分使えます。これは重大な変更。忘れずに、ありがたくもらっておきましょう。ちなみに、『火吹山の魔法使い』では逆に社会思想社版は2回分、コレクション版は1回分でした。『盗賊都市』は社会思想社版・コレクション版ともに1回分。
151番と166番。巨大偶像での戦闘時の技術点マイナスの数値が変更されています。各版とも微妙に異なる。社会思想社版での空飛ぶ番人戦は、序盤から実質技術点11の相手との戦闘で、『死のワナの地下迷宮』の高難度の象徴の一つとなっていました。HJ文庫G版の怪鳥戦はこのマイナスが3から2に軽減されて楽になりました。そして、コレクション版のフライング・ガーディアン戦は、ロープありの場合となしの場合で異なるマイナスとなっています。
206番。スロムに助けてもらった際に渡すお礼の品も各版で異なる。コレクション版はなんとポーション1本を渡すことになっています。保存食1食分とはえらい違い。命を助けてもらったとはいえ、ポーション1本はやり過ぎでは……。
26番はSの錠剤のペナルティが体力点から技術点に変更。社会思想社版では体力点-2で済むのでどうということはなかったのですが、コレクション版は厳しい罰を受けることになります。第一の試練は、能力値関係なく失敗する可能性がかなりあるのでこれは痛い。
そして、150番と33番の鉄鈎を入手する際のマイナスも体力点から技術点に変更されています。これは極めて影響が大きい。体力点マイナスなら損害は軽微でしたが、このあと強敵との連戦が控えているのに、運だめしに成功しても技術点-1というのは痛烈。これにより、コレクション版ではピット・フィーンドとの戦闘を避けない戦略まで視野に入ってきます。
その他、指摘しておきたい点
変更点ではないですが、コレクション版『死の罠の地下迷宮』を読んでいて気がついた点をいくつか書いておきます。
191番の第一の試練。サイコロ2個の「合計が八より少なければ一五二へ。八よりも大きければ一二一へ。」となっていて、合計が8だった場合の行き先がありません。イベントの趣旨を考えれば「合計が八より少なければ一五二へ。八か、八より大きければ一二一へ。」と解釈するべきでしょう*7。84番も同様で、「合計が八よりも大きければ一五二へ。八か、八よりも少なければ一二一へ。」と解釈するべき。
324番。「きみは足の不自由な競技監督の召使いと話をしただろうか?」という分岐の立て方は不適切だと思います*8。この書き方だと、話だけをして情報を得てない場合(367番から109番を経由)も「話をした」と解釈できてしまいます。「きみは足の不自由な競技監督の召使いから○○の話を聞いただろうか?」などと書くべきでしょう。
しょうもないことだけど、どうしてもひとこと言わせてほしい。238番、綱渡りの帰り道。「ロープの上を歩く危険はもう犯したくないと思ったきみは、その上を這って進むことにする」。じゃあ行きもそうしろよ!
参考にしたページ
- 1「デストラップ・ダンジョン」解析 - アリオッチ!アリオッチ!アリオッチ!
https://nacht-musik.hatenadiary.org/entry/20090102/p2
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*1:いわゆる“萌えFF”。
- 【やじうまPC Watch】「死のワナの地下迷宮」の“萌え化”に英国の原作者が苦言 - PC Watch
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/707567.html
*2:……と書かれているが、ゲーム中食糧を食べるという指示は206番しかない。ルールが誤っているとみなして良いでしょう。
*3:なお、避けようとして触れてしまった場合(246番)はすべての版で運点-2。
*4:なお、217番で盾を失う場合はすべての版で-1点。
*5:具体的に何食分かは書かれていない。
*6:341番の選択肢にも「食料をいくらか」としか書かれていない。