『危難の港』で保存食を持ってスタートするか問題

ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活~』も少しずつプレイしています

 『ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活~』が発売されていて、前回に引き続き今回も少しずつプレイしています。現在、1冊目の『死の罠の地下迷宮』を一通り終えて、2冊目の『危難の港』に入っているところです。

 『危難の港』は2017年、シリーズ2度目の復活を果した際に発売された、ファイティングファンタジーとしては“新作”となる作品です。もちろん今回初邦訳。あの重厚な世界観と大味なゲームバランス*1で有名なイアン・リビングストンが、2017年になってどんなゲームブックを書いたのか。期待して読み始めました。
 しかし、ゲームのルールと冒頭の「背景」を読んでいるとさっそく違和感が……。これ、ルール合ってますか?

ルールには保存食を持っていると書かれているが……

 『危難の港』のルールには次のように書かれています。

ゲームの開始時にきみは一〇食分の保存食を持っている。(p. 306)

 保存食を10食分持ってゲーム開始というルールは、FFシリーズの第1作『火吹山の魔法使い』から存在するルールです。保存食を食べると体力点が4点回復します。多くの作品でこのルールは採用されており、FFシリーズの標準ルールの一つになっています。『危難の港』もこのルールが採用された形となっています。

 しかし、冒頭の「背景」では、今回の主人公である“きみ”に関して次のように書かれています。

空腹で疲労困憊のまま、ここチャリスに到着することとなった。(p. 10)

交易商人が放置した残飯をあさり、路地での寝泊まりを余儀なくされる。(p. 10)

この後も、生ゴミの山をあさったり、もらった食べ物を即座にむさぼり食ったり、背負い袋の中をかき回して食べかすを探したりなど、今日食べる物にも困っている様子がたびたび描かれています。

 保存食を10食分も持っているのに、そんなことする必要あるかなあ? かなり違和感を覚える記述です。当初は、保存食は“冒険用”であって街中では手を付けないという冒険者魂なのかな?とも思ったのですが、街を出て旅を始めてからもひもじい思いをしているようだしなあ。

 本当は食糧なんて持ってないんじゃないの? 本当に保存食10食持ってスタートしていいの?

保存食なしが“ハードモード”

 というような感想をTwitterに書いたところ*2安田均先生からこんなレスをいただきました。

 10食分の保存食を持ってスタートするのはイージーモード保存食なしでスタートするのがハードモードとの見解です。

 これは自分としては結構衝撃的でした。疑問は持っていましたが、そうは言ってもルールにはっきり“持っている”と書かれている以上、持っているのは動かせないかなと思っていました。書いてあるルールが正しいかどうかから疑わないといけないとは。

 確かに、言われてみれば思い当たる節もあります。『危難の港』ではゲーム開始直後の1番のパラグラフで「体力点を一点加える」という指示があります。ゲーム開始直後なので当然、体力点は満タンです。ゲーム的には無意味な指示です。訳者もさすがにどうかと思ったらしく、次のような注釈が付けられています。

(訳注:当面、原体力点を超えてよいでしょう)

妥当な処理だと思いますが、このゲームブックは、ゲーム的には一目でナンセンスだと分かる指示を平然と行うということです。ゲームとして厳密にルールを考えているとは思えない。「状況に合うようにそっちで適当に解釈してよ」という作者の声が聞こえてきそうです。

 そもそも、FFシリーズ自体がわりとルールが曖昧なところがあるからなあ……。これまで自分も、『盗賊都市』での食事を取れるタイミングの問題だったり、鎖帷子を入手すると技術点マイナス2を喰らってしまう問題だったりを取り上げてきました。自分は、ゲームの有利不利に関する部分はきっちりかっちり厳密に、少しでも確率的に有利になる選択を考えるのが好きなので、ルールの解釈も厳密に考えてしまうのですが、ちょっとやりすぎだったかもしれません。ゲームブックのルールはそういうもんじゃねーだろ。まず文章があって、状況説明があって、それに合うようにルールを解釈する、と考えるべきかもしれません。

 往年の名著『ゲームブックの楽しみ方』に次のような記述があります。

日本でのゲーム・プレイヤーを見ていると、《中略》サイコロを使うゲームときくと、サイコロをふるだけが嬉しくて、なにも考えずにただ向かっていく(戦う)だけの人と、逆に勝ち負けにこだわって、数値面の有利不利にだけこだわる人の二つのタイプがかなり多い。(p. 29)

 自分はあきらかに後者タイプなので、ゲームブックのルールは必ずしも厳密に考えるのではなく、状況、雰囲気、難度などによって柔軟に、“ゲームブックを楽しむ”ことを第一に考えよう、と反省しました。

Twitterアンケート作ってみました

 しかし、そうは言っても『危難の港』の場合はルールにはっきり「保存食を持っている」書かれています。これを覆すのは相当です。多くのプレイヤーは、文章描写に違和感を覚えつつも、保存食を持っていることにしてプレイするんじゃないかなあ?*3

 「保存食なしでやるのがハードモード」という見解を知った上で、さあ、どうするか。かなり迷うところだと思います。

 というわけで、Twitterでアンケートを作ってみました。

 現在(2022/08/10(水) 20:30)のところ、2票差で「保存食10食分持ってスタート」がリードと、かなり票が割れている状態です。まだ『危難の港』を始めていないという方も、もしプレイするとしたらどうすると思うか、ぜひ投票下さい。

 自分は現在、2周目から保存食なしでスタートしました。厳しさは感じないけれど、まだ前半戦だからなー。リビングストン作品でハードモードか……。不安だ(^_^;)

リンク集

 本文で取り上げた以外で、この問題について言及してあるツイートを集めてみました。

*1:リビングストン先生は指セーブ公認ですから……。

*2:

*3:自分としても、そもそも「食事を取って体力点回復」というルール自体が極めてゲーム的な処理なので、保存食は“食糧”とは別に純粋に回復アイテムとして扱うという解釈もありかな……とも思います。