REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIPへの要望・疑問

 RTC2019の動画を見たり、スコアを取っていたりして思ったことがいくつかあるのです。

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打鍵音が聞こえるようにしてほしい

 RTC2019の動画で残念なのが、タイピングの打鍵音がほとんど聞こえないことです。今回、自分は会場に行っての観戦もしたのですが、現地では打鍵音は少しは聞こえたのですが、動画ではほとんど聞こえません。

 ゲーム的には打鍵の効果音があった方が良いのだとは思いますが、観戦する側からは、実際の打鍵音が聞こえた方が、タイピングの生のスピード感、迫力が分かると思います。観客や動画を見る側では打鍵音が聞けるようにはできませんか?

かな入力のkpmが低く見えてしまう

 kpmとは「keystrokes per minute」の略で、1分間あたりの入力打鍵数のことです。RTCでは勝敗には直接は関係ありませんが、常に画面に表示されており、打鍵速度をわかりやすく表わす指標として、RTCの盛り上がりに一役買っています。やっぱり、“1064kpm・100% - 100%・1196kpm”とか表示されると「おおー!」って思うよね。

 しかし、かな入力の場合は、打鍵数がローマ字入力より少ないので、ワード入力が同じ速度でも、ローマ字入力より低いkpmが出てしまいます。かな入力はかな入力の基準でkpmを見るべきなのですが、やはり出てくる数字が低いのは寂しい。ローマ字入力と比べてどれくらいすごいのか、ひと目ではわかりにくいので盛り上がりづらく、もったいないと思うのです。

 そこで、ローマ字入力とかな入力で同じように入力速度を表わす数字を考えると、1分間あたりの「入力文字数」で計算するのが良いのではないでしょうか。例えば――「か」は1文字、「が」は1文字、「っ」は1文字、「しゃ」は2文字、「。」は1文字、「a」は1文字、「A」は1文字――と数えて、1分間当たりの入力文字数を算出する。これなら、ローマ字入力とかな入力を同じ基準で比較でき、かつわかりやすいと思います。

 ただ、kpmもタイピングでよく使われるなじみ深い数字なので、これはこれであった方が良いとも思います。「4ケタになるとすごい」という観戦者にとってわかりやすい目安があるのも良い。kpmを使うなら、かな入力の方には最初から係数(1.5?)を掛けた数字を表示するという方法もあると思います。*1

ローマ字入力よりかな入力の方が速いの?

 かな入力はローマ字入力の半分の打鍵で入力できるから2倍の速度で入力できる……というのは二重三重に誤解がありますが*2、それでもかな入力の方が、高速タイパーレベルにおいても、少しは速いと自分は思っていました。この認識は正しいのでしょうか?

 RTCでは3回連続でローマ字入力のmiri選手が優勝しました。もっとも、これはローマ字入力というよりも、miri選手が強いということかもしれません。実際、muller選手をはじめ、かな入力の選手は人数が少ないにもかかわらず活躍しているので、むしろかな入力優位の結果が出ているとも取れます。過去のRTC本戦でのローマ字入力-かな入力対決の勝敗を調べたところ、合計13勝-16勝でかな入力が勝ち越していました(2017:3-3 2018:7-7 2019:3-6)。

 また、これまでの試合を見ていると、かな入力は正確性が落ちやすい印象がありますが、そうなのでしょうか? そうだとしたら、原因はなんでしょうか? かな入力の方が打鍵ミスをする箇所が多いのか。それとも、ミスをする箇所は同じくらいだが、1箇所あたりのミス打鍵数は変わらないので、全体の打鍵数が少ないかな入力の正確性が低くなってしまうのか。後者だとすると、95%ルールはかな入力に不利なルールという気もします。

かな入力に有利なワードは何?

 かな入力関連でもう1つ。かな入力に有利なワードは何かというのが、自分はよく分かっていません。

 [Shift]を使うワードは不利なはずだと思うのですが、muller選手は「「じぇじぇじぇ」は別に苦手じゃない」と書かれています。濁点が多いワードも相対的に不利だと思いますが、ワード次第かなあ……。あと、アルファベットを使うワードはかな入力不利と思われがちだと思いますが、タイピングゲームではローマ字入力でもかな入力でもアルファベットのキーをそのまま打つだけで入力できるので、あまり関係ない気がします。

 そうなると、そのワードがかな入力に有利か不利かを簡単に判別する方法はない。ワードごとに検討してみないとわからない。ということになるのでしょうか?

ダブルイリミネーション方式ってどうなの?

 RTCは昨年の第2回、RTC2018からダブルイリミネーション方式のトーナメントで開催されています。メリットがあるのは分かるし、どの形式を選んでも一長一短ですが、気になる点はあります。ダブルイリミネーション方式の長所は以下の通りです。

  • 消化試合がない。どの試合でもその勝ちが優勝につながる。
  • 勝ち上がりが明快。他力になることが(直接的には)ない。予選リーグの相星などを気にする必要がない。
  • どの選手も最低2試合行える。

 一方短所は以下の通り。

  • 試合数は多め。通常のトーナメントの倍。16人参加の「予選リーグ4グループ」→「各グループ1位で決勝トーナメント」よりも多くなる。
  • 通常のトーナメントよりは良いが、組み合わせ運の影響は大きい。
  • 各選手の試合数の偏りは大きい。早めに敗者側に回って勝ち上がった選手の試合数が多くなる。
  • 同じ対戦カードが繰り返される可能性がある。

 自分は最後の点が気になります。かなりの確率で、WINNERS決勝と決勝(グランドファイナル)が同じ組み合わせになりませんか? しかも、RTCの進行は「WINNERS決勝→LOSERS決勝→決勝」なので、そうなった場合は、さっきと同じ対戦がすぐにまた行われるという感じになる*3。あと、決勝が、一方の選手は勝つと優勝だが、もう一方の選手が勝つともう1試合というのが、対称性が損なわれて決勝戦として美しくない、という印象もあります。

 16人参加なら、「予選リーグ4グループ」→「各グループ1位で決勝トーナメント」がバランス良いと思うのだけど、リーグ戦をやると相星の順位をどうするかが難問。得失ラウンド数で比べるのは良いが、それも並んだら? 獲得ワード数? 平均kpm? 平均正確性? どれもRTCルールでは違うよなあ……*4。勝ち抜き者決定プレーオフしかないかなあ……。

 個人的にはスイス式が好きだけど、組み合わせの決定が複雑だし、相星の順位決定も複雑でひと目で納得できない。

 というわけで、特に代案はないのですが、なんとかならないものかと思うのです。

*1:ですが、kpmという明確でわかりやすい計算式がある数字に係数を掛けるのは違うかなあ……という気もします。少なくとも、係数を掛けるなら「kpm(*)」とアステリスクを付けて表示する必要はあるでしょう。

*2:

  1. ローマ字入力の打鍵数はかな入力の2倍ではない。自分の調査では、[Shift]を数えない場合は1.52倍。[Shift]を1打鍵と数える場合は1.39倍。
  2. かな入力は打鍵するキーの範囲がローマ字入力より広いので、指の移動距離・運指の面で不利。
  3. 打鍵する前に「入力する文字列を認識→打鍵するキーを組立」という段階があり、この部分はローマ字入力もかな入力もあまり変わらない。

*3:WINNERS決勝がLOSERS準決勝が終わるまで待って行われるのは、WINNERS決勝を先に済ませてしまうと、WINNERS決勝勝者はかなり試合間隔が空いての決勝になるのに対して、LOSERS決勝勝者は連戦で決勝になって、条件に差ができてしまうからですか? そうだとすれば、この進行になるのはやむを得ないと思います。

*4:相手が95%を大きく割っていたら、ゆっくりでもいいから正確性を維持して打つ。相手が95%を割った瞬間に正確性度外視で打ち込んでワード数勝負に持ち込む。などがRTCルールの醍醐味なので。

REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2019のスコア

 この記事は『タイパー Advent Calendar 2019』の24日の記事です。
adventar.org


 今年もREALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2019が開催されました。

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 今年で3回目になりますが、今回もおもしろい大会でした。前回から連続して出場している選手も多かったので、その選手の特徴が分かってきてファン的な楽しみ方もできるようになった一方、今回初出場ながら実力は優勝級という選手もいて、新たなすごいタイパーを見られる楽しさもありました。

 というわけで、前回に引き続き今回もRTC2019のスコアを取ってみました*1。例によってすべて動画を見て手動で入力したので、入力ミス・抜け・勘違いなどがあるかもしれません。もし見つけた方がいましたら、訂正しますのでご指摘いただけると助かります。

 今回も各試合の概要をメモしたものを以下に書きます。「スコア」は上記ファイルのその試合のスコアシート、「動画」はYouTubeのその試合時間へのリンクです。

【1回戦 第1試合】bsk - 珠

 前回大会では正確性の高いタイピングで5位に入った珠選手。この試合も97%超えを2本揃えてストレート勝ち。bsk選手は、第1試合は序盤で正確性を落としてしまい、ワード数はリードしたものの95%を大きく上回る珠選手に対して勝ち目がない展開。第2試合はワード数でリードした上に95%に届く可能性のあるラインだったが、98%を維持したまま速度も落とさない珠選手に対して、93%から上げることができなかった。

【1回戦 第2試合】o-ck - セレナーデ☆ゆうき

 RTC初出場ながら注目選手のo-ck選手。1回戦の第1ワードから1168kpmという数字を叩き出して実力を見せる。その後も速度・正確性ともに高いタイピングを続け、2ラウンド連取した。

 個人的な感想だが、この試合は本大会一押しの試合。両選手とも人さし指と中指の担当範囲が非常に広く、小指はほとんど使わない独特のタイピングスタイル。今回の動画配信ではキーボードの真上から動画もあるので、他の選手と比べても手の動きが違うことが分かると思う。これがタイパーだ!

【1回戦 第3試合】muller - miri

 過去2大会連続で決勝で顔を合わせている2人の対戦が1回戦で実現してしまった。組み合わせ抽選の際、miri選手はまだ他の選択肢もあった中、ヤジにあおられて?muller選手との対戦を選択した。

 第1ラウンドはmiri選手が序盤で正確性89%まで落としてしまう。その後は回復するが、先に9ワード取った時点でまだ正確性は94%。かな入力のmuller選手が正確性で上回り、96%を維持したままワードを取り返す。miri選手はいったん95%まで戻すが、ここで10ワード目を取れない。そして再び94%に落ちて、次のワードをノーミスで打ち切った! 表示された数字は95%! しかもそのワードは同時取得という、際どい決着だった。初戦の1ラウンド目から息が上がるmiri選手。

 第2ラウンドはmuller選手が第1ワードで大きくつまずいてしまう。miri選手も正確性が落ちるが、muller選手はこのラウンドはその後もまったく調子が上がらず、miri選手が9ワード連取して勝ち。2大会連続準優勝のmuller選手がいきなりLOSERS側に回ることになった。

【1回戦 第4試合】ゆっきー。 - ヨッシー

 お互い100%の同時取得からスタート。ゆっきー。選手は中盤落ちた正確性を戻しきることができず、終始95%を保ったヨッシー選手が1本先取。

 第2ラウンドはヨッシー選手が出だしで大きくつまずくが、その後はワードを取りつつ正確性も戻していく。ゆっきー。選手も95%に届くラインを維持してわからない展開になったが、第13ワードで90%まで落としてしまう痛いミス。ヨッシー選手は最後は正確性も95%に乗せて2ラウンド連取した。

【1回戦 第5試合】オリプス - はやとぅっ!

 はやとぅっ!選手は、このトーナメントの前に行われたU-22大会で優勝。

 第1ラウンド。第2ワードでオリプス選手が大きく正確性を落としてしまい、その後も調子が出ない。一方、はやとぅっ!選手は快調なタイピング。正確性も維持したままワード連取してそのまま95%で打ち切った。前回大会では95%を大きく割り込む場面が目立ったはやとぅっ!選手だが、ここは正確性もあるところを見せる。

 第2ラウンドは一転してはやとぅっ!選手の正確性が序盤で砕ける。しかし、オリプス選手もまだ序盤の第6ワードで89%まで落ちてしまい、乱打対決に突入。こうなると速度ははやとぅっ!選手。後半の6ワードを連取して押し切った。

【1回戦 第6試合】やだ - USK

 注目選手の対戦。やだ選手は、前回大会でプレッシャーのかかる状況で正確性を上げるタイピングを見せて、優勝したmiri選手に一度は勝利した。そして本大会は、優勝と打倒miri選手を目指してかな入力に転向しての参戦。一方、USK選手は歴代RTC本戦出場者の最年少選手。やだ選手の椅子の高さの調節がうまく動かず、試合開始にやや時間がかかった。やだ選手はインナーにe-typingのマスコットが描かれたオレンジのTシャツを着ている。

 第1ラウンド。やだ選手は、序盤に正確性が落ちたものの、落ち着いて取り戻し安定して95%を維持。一方、USK選手はワードは取るものの正確性が安定しない。ワード数は9-6とリードするが、正確性92%のまま10ワード目を打ちきってしまった。頭をかきむしるUSK選手。

 第2ラウンドは、逆にやだ選手が序盤からミスが続いて正確性が大きく落ち、USK選手が安定したタイピング。USK選手が10ワード先取し、正確性も95%を守って1本取り返す。USK選手、両手で小さくガッツポーズ。気合いが入った表情。

 第3ラウンドは、拮抗した展開から、第8ワードで両者正確性を大きく落とし、乱打対決に突入。激しいねじり合いになったが、8-8から2ワード連取してやだ選手が乱戦を制する。頭を抱えたUSK選手。やだ選手はクールな表情だが一瞬笑顔を浮かべた。

【1回戦 第7試合】kurimans - tetsu

 第1ラウンドは、実力者のkurimans選手が安定したタイピングでリードを広げる。tetsu選手も正確性95%を維持してプレッシャーを掛けたが、kurimans選手は最後まで崩れなかった。

 第2ラウンドは、序盤でkurimans選手にミスが出てtetsu選手がワード数リード。しかし後半は流れが逆転。kurimans選手が6ワード連取してワード数9-8。正確性はお互い95%に届かない。これはkurimans選手が押し切る流れかと思ったが、ここからtetsu選手が劣勢を挽回する意地のタイピングで、2ワード連取して再逆転。終わった瞬間ガッツポーズのtetsu選手。

 第3ラウンドは再びkurimans選手が実力発揮。第2ワードから10ワード連取。900kpm以上・正確性95%以上のタイピングを見せた。

【1回戦 第8試合】Hiroringo - Infrared=ヒマ

 o-ck選手と並び、本大会初出場ながら優勝候補のHiroringo選手登場。Infrared=ヒマ選手は当日予選、U-22大会に続いて、この日3トーナメント目の出場。

 Hiroringo選手、第1ラウンドの第1ワードで1158kpmを叩き出して実力を見せる。しかしその後はややつまずき、正確性が95%を割った状態でワード数9-1まで来てしまう。対するヒマ選手は95%を維持しているので、10ワード目を取ると負けてしまう状況。1文字残しで正確性を回復させようとするが、なかなか95%に乗らない。ヒマ選手も95%を維持して粘る。9-7となった第16ワードでついにHiroringo選手が95%に乗せる。次のワードはヒマ選手が取ったが、その次のワードは1文字差で取ってHiroringo選手が際どく制した。Hiroringo選手は使い捨てカイロを2つキーボードの脇に置いて、試合の合間に手で揉んで指を冷やさないようにしている。

 第2ラウンドはHiroringo選手が95%を維持するタイピングで、後半6ワードを連取して一気に決めた。ヒマ選手はこのラウンドは正確性95%を割ってしまい、プレッシャーを掛けられなかった。

【2回戦 第1試合】珠 - o-ck

 いつも正確性の高いタイピングを見せる珠選手だが、第1ラウンドは100%が続いた後の第4ワードでつまずいてしまう。その後はいつも通り正確性も上げていくが、それを上回ったのがo-ck選手。序盤から100%タイピングを続けてワードを連取すると、後半は勢いに乗って加速。ストレートで10ワード連取して、表示された正確性は100%! しかもkpmも1000越え。正確性100%でラウンドを打ち切ったのはRTC史上初の快挙。これには相手の珠選手も拍手。

 第2ラウンドは第1ラウンドのようにはいかず、珠選手もワードを取りつつ、o-ck選手の正確性も95%ギリギリ。9-4の第13ワードを相手に取らせて95%に乗せたo-ck選手だが、第14ワードで再び95%割ってしまう。あと1ワードが遠い。しかし、95%に回復した後の第17ワードをノーミスで打ち切って、最後はo-ck選手が逃げ切った。

【2回戦 第2試合】miri - ヨッシー

 miri選手は試合前、ディスプレイに指を近づけて、何かサイズを確認しているような仕草を見せる。試合は、miri選手がkpm・正確性とも高い水準を維持する。ヨッシー選手もほぼ正確性95%を維持するタイピングを見せたが、それに対してmiri選手は2ラウンドで計3ワードしか取らせない完勝。王者の実力を見せた。

【2回戦 第3試合】はやとぅっ! - やだ

 かな入力の雄、はやとぅっ!選手と、かな入力に転向したやだ選手のかな入力対決。

 第1ラウンドはRTCルールならではの戦術が出た試合。序盤、両者の正確性が95%を割り込む。過去の試合では、かな入力は正確性が落ちやすく、回復しにくい傾向があったため、乱打対決に突入するかに見えた。しかし、やだ選手はここから正確性を回復しにいく。第11ワード、ワード数は3-8とリードされたが、正確性95%に戻すことに成功。こうなると正確性が落ちきっているはやとぅっ!選手は苦しい。やだ選手は、あとは正確性を維持して10ワード打ち切れば勝ちだったが、ワード数6-9の第16ワードでミスが出てしまう。そのミスを見たはやとぅっ!選手がすかさずそのワードを打ち切って10ワード目を取る! 表示されたやだ選手の正確性は94%! 相手がミスした瞬間を見逃さなかったはやとぅっ!選手の判断が光った。

 第2ラウンドは序盤でやだ選手の正確性が壊滅。はやとぅっ!選手もそれに続いた?ため今度こそ乱打対決に突入。激しい打ち合いの末、9-9の10ワード目をねじ込んだのははやとぅっ!選手だった。

【2回戦 第4試合】kurimans - Hiroringo

 第1ラウンドはkurimans選手が出だしでつまずきHiroringo選手がワードを連取。kurimans選手も4ワード取り返して正確性も上げていくが、戻しきることはできない。Hiroringo選手は1000近いkpmで正確性も95%を保って1本先取。

 第2ラウンドは、今度はkurimans選手が高い正確性を維持。逆にHiroringo選手は95%を割り込む展開で、kurimans選手有利かと思った。しかし、Hiroringo選手はワードを取りつつ正確性も上げていく。10ワード取るころにはしっかり95%まで戻して2ラウンド連取した。

【WINNERS準決勝 第1試合】o-ck - miri

 優勝候補同士の対戦。

 第1ラウンドは、お互いに1000前後のkpmで競り合う接戦。しかし、正確性95%をやや下回っているo-ck選手に対して、第8ワードまで100%を維持したmiri選手が一歩リードする展開。ワード数7-7から3ワード連取してmiri選手が1本先取。1056kpm、99.7%という数字が出る。

 第2ラウンドは、ワード同時取得が4つも出てさらに接戦。しかし、第1ラウンドと同じく、95%をやや下回ったo-ck選手に対して、速度も正確性も上回ったmiri選手が勝ち。速度・正確性ともにハイレベルのタイピングを2本揃えてWINNERS決勝進出を決めた。

【WINNERS準決勝 第2試合】はやとぅっ! - Hiroringo

 第1ラウンドはHiroringo選手が速度、正確性とも高い水準を維持。はやとぅっ!選手も6ワードを取得するが正確性が上がらず、Hiroringo選手が1032kpm、98.6%を記録する完勝。

 第2ラウンドははやとぅっ!選手がワード数は先行するが、正確性が95%に届かない。先に9ワードを取ったが打ち切ることができず、最後まで900kpm以上、97%を維持したHiroringo選手が逆転。こちらも、速度・正確性ともに高いレベルのタイピングを2本揃えてのWINNERS決勝進出となった。

【LOSERS 1回戦 第1試合】bsk - セレナーデ☆ゆうき

 WINNERS決勝進出者はしばらく休憩となって、ここからはLOSERSトーナメントが進行する。LOSERSトーナメントはWINNERSトーナメントで負けた選手が途中から合流する形になるので、下の方から勝ち上がるために必要な勝ち数が、通常のトーナメントより多くなる。セレナーデ☆ゆうき選手は試合前にカメラに向かって手を振るおなじみのポーズ。

 第1ラウンド。序盤は正確性95%を割っていたセレナーデ☆ゆうき選手に対して、95%を超えていたbsk選手がリードするが、中盤以降bsk選手も正確性が落ちてしまう。ワード数勝負になった後半はセレナーデ☆ゆうき選手が巻き返すが、8-7まで迫られた後の2ワードを取り切ってbsk選手が逃げ切る。

 第2ラウンドはお互いに正確性95%を割り込む展開でワード数勝負。際どいワードをことごとく取ったセレナーデ☆ゆうき選手が大きくリードしてラウンド数1-1。

 第3ラウンドは、序盤から両者大きなミスが出てしまいいきなり乱打対決。接戦の中、セレナーデ☆ゆうき選手は第8~9ワードにかけて誤ってWindowsキーを押してしまい?右手を伸ばしてマウスを操作するタイムロス。しかし、素早くタイピングに戻り、その後も接戦。最後は同時取得で10ワード目で取って、セレナーデ☆ゆうき選手がアクシデントに負けず勝利。カメラに向かって大きく手を上げた。

【LOSERS 1回戦 第2試合】muller - ゆっきー。

 LOSERS側に回ったRTC連続準優勝のmuller選手登場。その実力を見せて2ラウンド連取した。第1ラウンドはほぼ終始95%を維持したゆっきー。選手に対してmuller選手は95%を下回る危険な展開だったが、ワードを取るごとに正確性を回復し、10ワード獲得した時点では96.3%。第2ラウンドはほぼ終始95%を維持した。

【LOSERS 1回戦 第3試合】オリプス - USK

 第1ラウンド。オリプス選手が95%を超えるタイピングを続ける中、USK選手はワードは連取するものの正確性を上げきれない。1文字残しで95%に戻せるかどうかの勝負になるかと思ったが、USK選手が8ワード目を取ったワードでオリプス選手の正確性に94%という数字が見える。これを見たUSK選手が95%戻しを捨てて10ワード目を取りにいく勝負手。これが的中。打ち終わった後に表示されたオリプス選手の正確性は94%のままだった。両手で力強くガッツポーズのUSK選手。

 第2ラウンド。出だしにオリプス選手が大きくつまずき、USK選手がリード。正確性も95%に回復してこのまま押し切るかと思ったが、9-4からオリプス選手が2ワード返す粘りを見せる。USK選手は再び95%を割ってしまったが、オリプス選手も95%戻せていないためとにかく10ワード目を取れば勝ち。最後はなんとか取り切った。

【LOSERS 1回戦 第4試合】tetsu - Infrared=ヒマ

 当日予選通過者同士の対戦。試合前にキーボードが反応しなくなる?トラブルがあり、キーボードを交換するため開始まで時間が空く。tetsu選手もカイロで指を温めている。

 第1ラウンド。両者95%をわずかに下回った状態で、なかなか戻しきれない。最後までお互い95%に届かず、序盤のリードを生かしてヒマ選手が逃げ切る。

 第2ラウンドも両者95%を割る展開だったが、今度はtetsu選手が後半95%に戻す。それに対してヒマ選手、95%を割った状態のまま10ワード打ち切ってしまう痛いミスが出てしまい、ラウンドを失った。

 第3ラウンド。正確性は95%をやや割っているがワード数はtetsu選手がリードして9-3。ヒマ選手は9ワード取られた上に、これまで維持していた95%も割ってしまい苦しい状況。ここから3ワードを連取する粘りを見せたが、しかし、第16ワードで大きなミスが出てしまう。ヒマ選手も諦めたような表情を見せたが、ここでtetsu選手が1文字残し。ヒマ選手は94%で明らかにこのワードにミスがあったので、tetsu選手はこのワードを打ち切っていても勝ちだった。途中までヒマ選手は95%を維持する展開だったので勘違いがあったか? ヒマ選手は気を取り直してこのワードを取得。このまま9-9のラストワードになったが、ここをtetsu選手が取ってなんとか勝利した。

【LOSERS 2回戦 第1試合】kurimans - セレナーデ☆ゆうき

 2ラウンドともkurimans選手が安定したタイピングを見せて2本連取した。セレナーデ☆ゆうき選手は第1ラウンドは正確性は95%前後を保ったもののワード取得で競り負け、第2ラウンドは第9ワードで大きなミスが出て指が止まってしまった。

【LOSERS 2回戦 第2試合】やだ - muller

 第1ラウンド、やだ選手は序盤は高い正確性だったが、第8ワードで詰まって一気にミスがかさんでしまった。muller選手は後半ワードをノーミスで打ち切って1本先取。muller選手も手元にカイロが置いてある。

 第2ラウンド、ここでもやだ選手が前半は高い正確性を維持する。中盤に落ちてしまうが、それでも95%は維持。一方、muller選手は95%をやや割る展開で先に9ワードに到達したが93%。1文字残しで95%に戻せるかの勝負になるかに見えた。しかし第15ワードでやだ選手も95%を割ってしまう痛恨のミス。ここからmuller選手は相手が95%を割っている間に10ワード目を取る作戦に切り替える。やだ選手も速度を上げて取らせない。ついに9-9で並んでラストワード。94%のやだ選手は、このワードを取っても勝ちだし、95%に戻しても勝ちだったが、取ったのはmuller選手。やだ選手の正確性は94.3%! 天を仰いだやだ選手。観客からは歓声。muller選手は厳しい状況を勝ちきって生き残り。かな入力に転向したやだ選手の挑戦は今回はここまでとなった。

【LOSERS 2回戦 第3試合】 ヨッシー - USK

 2ラウンドともUSK選手の正確性が95%を大きく割ってしまい、ヨッシー選手が2本連取した。第1ラウンドはワード数はUSK選手がリードするが、ヨッシー選手がほぼ終始95%を際どく維持して勝ち。第2ラウンドも95%前後を維持するヨッシー選手に対して、USK選手は要所でミスが出てしまい勢いが出なかった。

【LOSERS 2回戦 第4試合】珠 - tetsu

 第1ラウンドは珠選手の美しいタイピング。序盤でミスがあった以外はほぼノーミスで打ち切り、正確性99.3%を記録。

 第2ラウンドは、中盤、珠選手の正確性が93%まで落ちてしまうが、ここからが珠選手。tetsu選手も95%を大きく越えているというプレッシャーがかかる状況でも、しっかり正確性を戻しつつワードも取る。終わってみれば、何事もなかったかのように10ワード先取して正確性も96%。珠選手の試合。

【LOSERS 3回戦 第1試合】kurimans - muller

 第1ラウンドはmuller選手の正確性が95%を大きく下回ってしまい、なかなか取り戻せない。対するkurimans選手は余裕を持って95%以上を維持した。これはmuller選手が勝てない展開。あと1ラウンド取られれば敗退のピンチを迎える。

 第2ラウンドはmuller選手が第5ワードまで正確性100%を維持するが、第6ワードで一気に96%まで落ちてしまい、お互い95%ラインをにらんだタイピングに。kurimans選手95%・muller選手94%という瞬間もあったが、次のワードでは逆にkurimans選手94%・muller選手95%と逆転。そのまま95%を維持したmuller選手が1本取り返す。

 第3ラウンドはワード数はmuller選手がリードするが、正確性は95%ギリギリ。kurimans選手は95%を大きく上回っているため、ミスが出れば負けてしまう。しかし、muller選手はそのまま95%以上を維持して10ワード打ち切り。追い詰められた状況から逆転勝ちした。

【LOSERS 3回戦 第2試合】ヨッシー - 珠

 第1ラウンド、珠選手の正確性が珍しく80%台にまで落ちてしまう。その後、いったんは93%まで戻すものの、そこで再びミス。95%を維持した上でワードも大きくリードしてヨッシー選手が1本先取。
 しかし、ここからは今まで通りの珠選手に戻って、95%を大きく上回るタイピングを続ける。ワード数もリードして2本連取して逆転勝ちした。

【LOSERS 4回戦 第1試合】o-ck - muller

 優勝候補同士の対決。

 第1ラウンドはお互い正確性100%の出だし。ワードはo-ck選手が連取。しかも、第5ワードでmuller選手の一気に90%まで落ちてしまう。とにかくワードを取らないと勝てないmuller選手がワード数は詰め寄るが、正確性は回復できない。o-ck選手は95%ラインを守り、それでも900を超えるkpmで1本先取。

 第2ラウンドは第1ワードでo-ck選手に大きなミスが出る。muller選手がリードするが、第5ワードでmuller選手にもミスが出てお互い正確性が90%前半に落ちる。ここから加速したのはmuller選手。後半ワードを連取して正確性も95%に戻して1本取り返す。

 第3ラウンドはmuller選手が会心のタイピング。7ワードまで100%を維持して、かな入力で726kpm。o-ck選手相手に10ワード連取の完封勝ち。2試合連続の逆転勝利となった。

【LOSERS 4回戦 第2試合】はやとぅっ! - 珠

 速度のはやとぅっ!選手と正確性の珠選手の対決。

 第1ラウンドの序盤は、ワードを取るのははやとぅっ!選手だが正確性は90%台前半、対する珠選手は95%を大きく超えるという予想通りの展開。しかし、はやとぅっ!選手がここから崩れない。ワードを取りつつ正確性も徐々に上げていき、9ワード取得時点で95%に回復。10ワード目もミスがあったが、それでも正確性は95.6%で1本先取。

 第2ラウンドは序盤、はやとぅっ!選手の正確性が第1ラウンドよりも落ちてしまう。これはさすがに単に10ワード取るだけでは95%に達しないので、相手にワードを取らせて正確性を回復させる展開になるかと思った。思うように正確性が伸びず、苦しい展開になったはやとぅっ!選手だったが、第15ワードで珠選手が94%に落ちてしまう痛恨のミス。これを見たはやとぅっ!選手が次のワードですかさず10ワード目を取りに行く。このワードで95%に回復させたかった珠選手だが、このワードでもミスが出てしまった。

【LOSERS準決勝】muller - はやとぅっ!

 前回大会からかな入力で活躍する2人の対決。

 第1ラウンド、ワード数でリードするはやとぅっ!選手だが、正確性は90%前後まで落ちてしまい、思うように回復できない。対するmuller選手は早々に95%前後になったものの、その後は終始正確性95%ラインを維持して1本先取。

 第2ラウンドもはやとぅっ!選手が第3ワードで80%台まで落ちてしまうが、今度はmuller選手も第5ワードで大きくつまずき、乱打対決に突入。取りつ取られつの接戦になったが、制したのははやとぅっ!選手。速度では負けていない。

 第3ラウンドもmuller選手が95%を維持し、はやとぅっ!選手がワードを取得するが90%前後まで落ちるという展開。しかし、はやとぅっ!選手は正確性を徐々に回復し、ワード数9-4で正確性も93%まで戻す。相手にワードを取らせつつ95%まで戻して1ワード取れば勝てるという状況だったが、第15ワードで痛恨のミスが出てしまった。後半安定したタイピングで正確性を維持したmuller選手が、3試合連続で1-1の第3ラウンドを制してLOSERS決勝進出を決めた。

【WINNERS決勝】miri - Hiroringo

 LOSERSトーナメントが準決勝まで進行したところでWINNERSトーナメント決勝を行う。

 第1ラウンドは第1ワードからHiroringo選手の正確性が大きく落ちてしまい、調子が上がらない。しかし、その後miri選手も第3ワードで80%台まで落ちてしまう。Hiroringo選手も後半は調子を取り戻し、3ワード連取するなど勝負はわからない展開だったが、最後はmiri選手が3ワード連取して勝ちきった。

 第2ラウンドは、トラブルで2回仕切り直しが入った後の開始。Hiroringo選手は中盤まで100%でkpm1000超え。しかも1ワードごとにkpmが上がっていくという驚異のタイピング。後半はやや落ちたが、それでも953kpm・97.5%でワード数10-6。女王miri選手を相手に完勝と言って良い内容で1ラウンド返す。

 第3ラウンド。お互い900超えのkpmで正確性95%前後を競う。最後までわからない大激戦。Hiroringo選手は3-4の第8ワードでつまずいたのが痛かった。10ワード先取したmiri選手が、正確性もかろうじて95%を保って決勝進出。miri選手は勝った瞬間、1回大きく手を叩いた。

【LOSERS決勝】Hiroringo - muller

 第1ラウンド。お互いに高いレベルのタイピングだが、速度・正確性ともにHiroringo選手がやや上回ってリードを広げる。このままHiroringo選手が押し切るかと思ったが、muller選手も粘ってワードを取り、正確性も95%に届くラインに踏みとどまる。逆にHiroringo選手の正確性が落ちてきて、第15ワードでついに95%を割ってしまう。突然ワード数勝負になって力が入ったか、9-8の第16ワードは両者大乱調。同時取得! Hiroringo選手がかろうじて1本先取。打ち終わった瞬間両者体勢が崩れたが、勝ったHiroringo選手は笑顔。

 第2ラウンド。ここでもトラブルがあって開始まで間が空いた。今度は第1ラウンドと両者の立場を入れ替えたような展開。muller選手がリードする展開だが、Hiroringo選手が粘って簡単には土俵を割らない。muller選手の正確性も徐々に落ちて最後までわからない。muller選手が10ワード目を取ったが、正確性は両者95%。しかも最後はまたも同時取得。際どい決着。

 第3ラウンドはHiroringo選手1000を超えるkpmで連取し正確性も95%を超えてリード。しかし中盤からは逆にmuller選手がワードを連取。正確性も回復し、またも接戦。しかし第12ワード、muller選手に大きなミスが出て再び91%まで落ちてしまった。第16ワード、9-7・91%のmuller選手はいったん1文字残しを選択したが、少し手を止めた後にその1文字を打って、95%を割ったまま10ワード目を取った。このまま1文字残しで粘っても自分が95%まで回復する可能性は低く、このワードでミスがあったHiroringo選手がこの瞬間95%を割っている可能性に賭けたか? しかし、Hiroringo選手の正確性は95.7%。muller選手はRTC3回目にして初めて決勝進出を逃す。初出場のHiroringo選手が決勝進出となった。

【決勝】miri - Hiroringo

 決勝はWINNERS決勝の再戦。LOSERSトーナメントを勝ち上がったHiroringo選手が優勝するためには、この試合に勝った上でもう1試合勝つ必要がある。また、これまでは2ラウンド先取だったが、決勝は5ラウンド先取と、一気にラウンド数が増える。

 第1ラウンド。序盤はmiri選手にいつものkpmが見られず、Hiroringo選手がリードする展開。しかし、中盤以降はmiri選手も巻き返す。9-7・95%となったHiroringo選手だが、あと1ワードが取れない。9-9のラストワードを取ったが、正確性が94.6%! Hiroringo選手は惜しいラウンドを落とした。

 第2ラウンドは第3ワードで両者大きなミス。Hiroringo選手はその後94%まで回復するが、その後再び落ちてしまう。miri選手がその後は安定したタイピングでワード数を伸ばして2ラウンド連取。

 第3ラウンド。両者900を超えるkpmで95%を大きく超えるハイレベルの接戦。1031kpm・96%を叩き出したHiroringo選手が、最後はこのラウンド4度目の同時取得でワード数10-9で1本返す。観客からは「おぉー」という歓声。

 第4ラウンドは激闘。この終盤の経過を見てほしい。左がmiri選手。右がHiroringo選手。

  • 第14ワード:7ワード・94% - 7ワード・94%
  • 第15ワード:7ワード・94% - 8ワード・94%
  • 第16ワード:8ワード・94% - 8ワード・95%
  • 第17ワード:9ワード・94% - 8ワード・94%

最後まで際どい。そして第18ワード。

  • 第18ワード:10ワード・95.1% - 8ワード・95.0%

miri選手が10ワード目を取ると同時に95.1%に回復した! Hiroringo選手も95.0%に回復していたので、もしmiri選手が95%に届いていなかったら負けていた。終わった瞬間、観客から悲鳴が上がった。

 第5ラウンド。序盤はHiroringo選手が1100を超える驚異のkpmを叩き出してリードするが、中盤はmiri選手がやはり1000超えのkpmを出し返して巻き返す。正確性でリードするHiroringo選手が優位かと思ったが、第11ワードで大きなミスが出てしまいペースを失った。ラウンド数4-1と、miri選手が優勝に王手をかける。

 第6ラウンド。miri選手が1000を超えるkpmを叩き出すが、Hiroringo選手はそれを上回るタイピングでワード数でリードする。するとmiri選手にややミスが出て正確性95%を割ってしまい、kpmもやや落ちる。Hiroringo選手は最後まで速度・正確性ともに高い水準を維持して1本返した。

 第7ラウンドはmiri選手が序盤大乱調。このミスが大きく、Hiroringo選手はkpm900台の“固い”タイピングで95%を死守。ラウンド数4-3と1本差に。

 第8ラウンド。またも82%スタートだったmiri選手だが、そこからは取り戻して、第6ワードまで4ワード・97% - 2ワード・92%とmiri選手がリード。その後はHiroringo選手が巻き返すが、それでも第12ワードで8ワード・98% - 5ワード・95%とリードを広げる。このままmiri選手が優勝を決めるかと思ったが、ここからHiroringo選手が粘り、4ワードを連取して先にリーチを掛ける。しかし、miri選手も9ワード目を取り、miri選手が取れば優勝の9-9のラストワード。ここでmiri選手に大きなミス! 頭を抱えたmiri選手。ラウンド数4-4で両者マッチポイントとなる。

 第9ラウンド。Hiroringo選手は序盤3-1とリード。miri選手も取り返し、中盤までは5-5の接戦。しかし、第11ワードでHiroringo選手の正確性が91%まで落ちてしまう痛いミス。その後も正確性を戻しきることができない。両者マッチポイントの状況で速度・正確性ともに高いレベルのタイピングを見せたmiri選手の勝ち。RTC 3連覇を決めた。

*1:ワード数取得部分の第1ワードに※と表記したワードは、遅延が発生していた(と思った)部分です。今回の大会では、一方の選手の第1ワードの打ち始めが明らかに遅れるという現象が散見されました(画面が表示されたときには、一方のプレイヤーがすでに何文字か打ち始めている状態)。その場で中断されて再試合になった試合もありましたが、そのまま流されてしまった試合もありました。しかし、遅延が発生したのか単に出遅れたのか、動画を見ただけでは確信できない試合もありました。自分が遅延だと思ったものは※をつけましたが、実際には発生していなかった試合もあるかもしれません。

その後のラグビーが台風で中止になった話

 前回ラグビーワールドカップ2019日本大会において台風第19号の影響で予選プールの3試合が中止になったことや、それに関してスコットランド協会の声明が問題視されていることについて書きました。ですが、前回の記事を書いたときには知らなかったことがあったり、その後当時のワールドラグビー(WR)や大会組織委の対応や、スコットランド協会の発言に関する新たな記事があったりしたので、追加して書きたいことが出てきたのです。と言っても、「大会前の準備は十分だったんですか?」という前回の結論に変わりはありません。

y-koutarou.hatenablog.com

ニュージーランドが延期案を拒絶していた?

 日本語の記事は見つからなかったのですが、台風19号の影響で中止となった10月12日(土)のニュージーランド-イタリアは、14日(月)に延期する案があっが、ニュージーランド側が拒否した、という記事があるそうです。

 これが本当だとすると、この時のニュージーランドやイタリアのコメントの印象が少し変わります。

組織委からは会場や日程の変更が可能か、問い合わせがあったという。「チーム内で検討した。選ぶ権利があるのなら、1日前倒しして金曜日(11日)にしたかった」と話した。

 これは、「代替日が11日(金)ならやったけど、14日(月)だから拒否した」という意味なんですね。

「W杯は、別のプランを用意しておくべきだ。イタリアとニュージーランドが中止を望むのならいいが。何度も言うようだが、ニュージーランド(の決勝トーナメント進出)に(一定以上の)勝ち点が必要だったら中止にはならなかったはずだ」
  • 戦わずに敗退 イタリア主将が非情の中止に訴え「つらい」「こんな決定はおかしい」 | THE ANSWER スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト
    https://the-ans.jp/rugby-world-cup/87781/

 「イタリアとニュージーランドが中止を望むのならいいが」というのは、「イタリアは試合を望んだが、ニュージーランドが拒否した」という事を踏まえたコメントなんですね。

 また、ニュージーランドに打診するほど具体的な代替案があったことを考えると、「ニュージーランド(の決勝トーナメント進出)に(一定以上の)勝ち点が必要だったら中止にはならなかったはずだ」というコメントもより真実味を帯びてきます。もし、ニュージーランドに勝ち点が必要な状況だったら、両チームへの打診なしに代替試合が決定していたのでは……という想像はできてしまいます。

 スコットランドが法的措置まで言い出して代替試合を訴えたのも、ニュージーランドが拒否したから代替試合がなくなったと考えると心情は理解できます。具体的で、かつ安全に開催できる代替試合案があり、あとはスコットランドと日本が同意すれば開催できるところを、日本に拒否されただけでなくなってしまう。その可能性を恐れたんですね。

地震や乱射事件でスーパーラグビーの中止を経験している。その試合について、なぜ(中止)なのかは理解ができるでしょう。ラグビーはささいなこと」

 「ラグビーはささいなこと」というのはその通りだと思いますが、代替試合案を拒否した側が言うことじゃねーよ。この発言をした人と代替案を拒否した人は違う人ということだと思うけど。

 ただ、ニュージーランドが代替試合を拒否したのも理解できます。日本の立場に置き換えて考えてみます。自分の思いは、13日(日)の日本-スコットランド戦は、無観客でも、別会場でも、延期でもいいから試合はしてほしい、というものです。しかし、仮に「台風で13日(日)の試合は延期します。代替試合は会場の都合で16日(水)になりました。決勝トーナメント1回戦まで中2・3日になるけどがんばってね。ちなみに1回戦の相手は中10日以上で休養万全です!」と言われたらどうだったか? たぶん「最初からそういう予定なら仕方ないけど、急遽決めた日程でそれは不公平すぎません? そんな日程になるくらいなら、大会規則通り中止で引き分け扱いにしましょうよ」と言うと思います。

組織委は代替試合を本気でやろうとしていた

 大会規則は、予選プールで試合が中止になった場合は引き分け扱いにして代替試合はなし、となっていました。また、会場変更もしないことになっていたそうです。*1

 ところが、組織委は日程変更・会場変更を本気で、かなり具体的に考えていたようです。

 読売新聞の記事によると「台風の影響が大きいとみられた12日の横浜と愛知・豊田の2試合を中心に」や「大分を代替地とする案も挙がった」という具体的な話も出ています。また、朝日新聞の記事では、日本-スコットランドは、当初の予定通りの横浜開催案と「大会基準を満たさずW杯の試合会場からもれた」秩父宮代替会場案の、二段構えの準備が前夜から懸命に続けられていた様子が書かれています。スコットランド協会には「横浜以外考えていない」と回答しておいて*2、その裏で秩父宮案を準備していたとは驚きました。この3つの記事からは、なんとか試合なしという事態は避けようと模索し、懸命に努力していた姿が生々しく浮かび上がります。

 しかし、やはり物理的に困難だったことに加え、日程などで5試合すべてに公平な代替案を作ることができないから(なんならニュージーランドには拒否されたから?)、代替試合はあきらめて、当初の予定通り開催できない試合は中止にした、ということなんですね。大会規則で代替試合なしとなっているからあきらめた、というわけじゃないんですね。

「どうか理解してほしい。今回起きたことは異例であり、その中で大会側は見事な対応をした。台風の到来は予測していたが、規模は想定外だった」

 だからこの「規模は想定外だった」というコメントになるんですね。自分は「規模が小さな台風でも、試合時間に直撃したら中止にせざるを得ないのは同じ事じゃん」と思ったので、規模のせいにするこのコメントは不可解でした。違うんですね。もし、規模が小さな台風で、影響を受ける試合が少なくて、すべての中止試合に公平な代替案を用意できていたら、大会規則を無視して代替試合をやっていたんですね。

 このような柔軟対応は、自分は前回の記事でも書いたように賛成ですが、「事前に定められたルール通りやるべき」と考える人から見れば異論もあるでしょう。

罰金を言い渡されたスコットランドが反発したが……

 発言直後から問題視されていたスコットランド協会のドッドソン氏の「法的措置」発言ですが、大会後、スコットランド協会に罰金7万ポンド(約980万円)が言い渡されました*3。当初は、スコットランド協会はこの処分に到底納得できないと反発し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴えるという選択肢も示唆していましたが*4、その後、スコットランド協会は処分を受け入れたという短い記事がWRから発表されました。どちらもこれ以上コメントしないとしています。*5

 自分は両者の主張ともよく分かりません。WR側のコメントは*6スコットランド協会のコメントのどの部分が問題だったのか分かりませんし、スコットランド協会側のコメント*7は意味不明です。反論するなら、なぜあのコメントが妥当だと考えているのか言ってほしかった。

 スコットランド協会の問題となったコメントを振り返ってみます。

ドッドソン氏は「大会のインテグリティー(健全性)に関わる。日程に柔軟性を持たせるべきで、再考してほしい。開始を24時間遅らせてでもプレーしたい。どこでも、無観客でも構わない」と話した。英メディアによると、中止となった場合は主催者側への法的措置も検討しているという。
同CEOは「弁護士と相談したら、日程を柔軟にできるはずとの意見をもらった。でも今は法的措置の可能性よりも、常識的な対応を考えて大会の権威を守ってほしい」と語った。
13日の試合は両チームに1次リーグ突破の可能性があり「どのチームも4年間準備してきたし、世界中の人がこの試合を見たいと思っている」と試合の重要性を強調した。

 これってそんなに問題発言でしょうか? 中止に対して猛烈に反発したのはイタリアもそうですし、予定通りの試合を望むというコメントは日本も言っています*8。それに、大会規則を無視するのは、WRや大会組織委自らがやろうとしていたことじゃないですか。混乱の原因は、組織委が大会規則に反する代替試合を模索して動いたことだと思います。でもそれはしょうがないと思います。事前に決めた大会規則に問題があったのだから。もし、大会規則は問題なかったというのなら、大会規則に反する動きをしたWRや組織委が罰せられるべきでしょう。

 ただし、「法的処置」に関しては、大会規則に代替試合はないと明記され、参加条項にサインしている以上、言い過ぎだと思います。「大会組織委の決定には従うし、安全に開催できることが大前提だが、我々は試合を望んでいる。そのためならどんな条件でも受け入れる」くらいのコメントなら良かったのでしょうか? それとも、これでも問題あるのでしょうか? せっかく処分するならここを明らかにしてほしかった。

 もし、大会組織委が、「予定通り開催」か「中止」かの二択の判断をするために動いていたのだとしたら、スコットランド協会の「無観客でも」「どこでも」「24時間遅らせてでも」という発言が組織委などを混乱させたというのはよく分かります。

 でも、そうではないですよね?

中止の判断については、本当にそれで正しいのかを「百万回」自分に問いかけたが、もっと良い解決策は出てこなかったという。

 何を『「百万回」自分に問いかけた』のか。もし「危険はあるが試合をする」か「安全を考えて中止にする」の二択だったら百万回も考える必要ないですよね。中止に決まってます。違いますよね。「無観客でできないか?」「会場変更できないか?」「延期できないか?」。つまり、まさにスコットランド協会が言ったのと同じ事を百万回問いかけていたんですよね?

 大会規則に中止の場合は代替試合なしと定められているにもかかわらず、WRも大会組織委も、なんとか試合をしようと代替案を必死で模索していた。イタリアやスコットランドが代替試合を望んでいたのは言うに及ばず。日本も試合開催を望んでいたし、状況的には中止で得をする立場のニュージーランドも、代替日が金曜日なら大会規則無視の日程変更を受け入れると言っていた。

 誰も中止で良いとは思っていなかった。思いはみんな同じだったのではないですか? 記事を見る限り、WRとスコットランド協会の思惑は完全に一致しているように見えるんですけど。そして結果的に、大会組織委が安全に試合ができないと判断した試合は中止となり、そうでない試合は安全に開催されました。だから自分は、大会期間中の対応は、誰も悪くないと思います。だから、なんでこんな結末になったのかさっぱり理解できません。

リンク集(追加分)

 ここに上げたリンクは前回の記事のリンク集にも追加しています。

2019/12/30追記:リンク2件とコメントを追加しました

*1:

会場変更はしないとも予め決められている。

*2:

「スケジュールを柔軟に、スポーツの高潔性を守ってほしいと言っています。ワールドラグビーの返答は『横浜開催以外は考えていない』ですが…」

*3:

*4:

*5:

*6:

ワールドラグビーはこの日、独立紛争委員会がSRUのコメントは不適切だったとの裁定を下したと発表し、「日本が数十年に一度の大型台風への対応を進めている中、不公平ですべてのチームを混乱させる発言だったと強く認識している。そういったコメントは競技に対する信用を失墜させる」とのコメントを出した。

*7:

「ワールドラグビーの悩ましい仕打ちに対して、スコットランド協会としていかなる振る舞いがベストなのかを考えて行動する。正当性は我々にあると信じており、尊厳は守られなければならない。あの時点で我々が取るべき手段は妥当であったと考えるし、日本の人びと、日本を訪れている人びとのことを案じ、そして、日本対スコットランド戦が安全に開催されることを念じていた。今後はスポーツ裁定裁判所(CAS)に調停を申し出ることを含めて、協議していきたい」

*8:

一方、日本のジョセフHCは「選手、スタッフ全員がプレーしたいと思っている。我々は、世界のエリートチームの一つと認められるくらいのプレーをしている」と厳しい口調で話し、試合実施を望む姿勢を強調した。

ラグビーが台風で中止になったのはしょうがなかったんですか?

 ラグビーワールドカップ2019は南アフリカの優勝で幕を閉じました。事前には、日本では盛り上がりに欠けるのではないかという心配もありました。しかし、蓋を開けてみれば大盛況。日本は予選プール4戦4勝で初の決勝トーナメント進出という躍進。日本以外の試合も注目を集め、大会自体は大成功に終わりました。

 自分としてもおもしろい試合を多数見られて大満足。ちなみに、自分が見た中で一番おもしろかった試合は、予選プールのフランス-アルゼンチンです。前半はフランスが地力を見せて20-3とリードするが、後半は一転してアルゼンチンが猛追。ついに20-21と逆転。「これは大逆転ゲームきたか?」と思った直後、フランスがドロップゴールを決めて再逆転。残り約10分。79分過ぎにアルゼンチンがPGのチャンスを得るが、惜しくも左に曲がって外れノーサイド。フランスが23-21で勝ったという試合でした。

 しかし、全体として大成功でも反省するべき点もあったと思います。自分が気になるのが、台風19号の影響で3試合が中止、延期ではなく試合自体が行われない中止という事態になったことについてです。*1

台風が来たら中止って知ってましたか?

 みなさんは、予選プールの場合は(延期ではなく)中止というルールになっていることを知っていましたか? わたしは知りませんでした。そして、今回の台風でそのルールを知ってびっくりしました。当然、予備日が1・2日はあるものだと思っていました。その予備日もアクシデントで試合ができないという事態になったら中止もやむを得ないと思いますが、予備日もなくいきなり中止になるなんて。4年に1度しか開催されない世界3番目とも言われる大きなスポーツ大会で、こんなルールになっているなんて思いもよりませんでした。

 中止の可能性がニュースで出始めた直後の段階では、代替会場や無観客試合での試合開催を検討しているという報道もありました*2。とはいえ、無観客試合にしても、実際に台風が来ている状況になれば選手や関係者の安全面も考える必要があるし、これだけの規模の試合を急遽延期したり代替会場を確保したりするのは難しいだろう、と思っていました。ただ、運営側は密かにBプランを用意していて、それに沿って動いているのでは?という期待も抱いていました。

 しかし、その期待むなしく、10月12日のニュージーランド-イタリア(豊田)、イングランド-フランス(横浜)*3、13日のカナダ-ナミビア(釜石)の3試合が中止となました。ラグビーワールドカップの試合が中止になったのは、9回目で初のことになります。

 また、13日の日本-スコットランド(横浜)は、関係者の懸命な努力により開催することができましたが、その前に中止が懸念された段階で、スコットランド側が中止の場合は法的措置も検討しているという声明を出しました*4。この発言は問題視され、その後勝ち点剥奪も懸念される事態になっています。*5*6

台風が来たら中止にするのは当たり前でしょう

 さて、この出来事を自分はどう考えるか。

 まず、観客などの安全を考えて中止にした判断が正しいことは論を待ちません。事前の準備がなかった中で、会場変更・延期などが難しいことは容易に想像できます。結果的に中止にしたことは納得できます。

 無観客試合や会場変更、延期等の検討もするべきではなかったという意見があります。それも一理あると思いますが、自分はできる限り試合を開催するように努力した運営側は正しいと思います。何が起こっても事前に決めたルール通りにやるというのも一つの方法ですが、事前に決めたルールが適切ではなかったと気がついたなら、その場でできる限り柔軟に対応するのは良いことだと思います。その場でルールを変更すると公平性が大きな問題になりますが、今回は“想定外の事態”だったわけですから、ルール外の処置を検討するのも許容できると思います。

 スコットランドの声明は、法的措置を言い出したのはやり過ぎだったとは思ますが、理解できる部分もあります。試合が中止になったことに対して不満を述べたのはスコットランドだけではありません*7 。試合開催を熱望する気持ちは十分に理解できます。それはスコットランドも日本も、その他のラグビー関係者・ファンも同じではないのですか? 一方で、中止するかどうかは運営側が状況を総合的に判断することであり、スコットランドの主張とは関係なく決めるべきです。スコットランドがなんと言おうと運営側は中止の判断をする。それだけでいいと思います。

台風が来たらどうするか事前に考えていましたか?

 自分が気になるのは、なんで(代替試合なしの)中止というルールになっていたのか?という点です。

 まず、自分の思いは、「ラグビーワールドカップの試合が、行われないことが、いいわけがない」です。当日のアクシデントにより試合ができないことを想定して、「無観客試合はできないか?」「別会場で開催できないか?」「延期することはできないか?」などを事前に十分に検討して、できる限り試合が行われないという事態を避ける準備をするべきだと思います。

 そういう検討・準備は十分にしたが、それでも日程・会場・金銭などの問題で代替試合の開催は不可能であることがわかったからこのルールにした、ということならしょうがないと思います。でも、そうなんですか? 4年に1度開催の世界3番目とも言われる大きなスポーツ大会で、1ヶ月以上も開催期間がある大会で、予備日や別会場を用意しておくことは、不可能なことですか? 予選プールではなく決勝トーナメントの場合なら、中止の場合は延期になるということです。決勝トーナメントでできるなら、予選プールでも1回や2回の予備日を設けることはできたんじゃないですか?

 もしかしたら、ラグビーの試合は基本的に悪天候により中止ということがないので、延期にするのは極めて例外で、予備日は設けないのが普通。アクシデントが起こった場合は中止で構わない。という合意が関係者やファンの間であるのかしれない、とも思いました。そうだとしたら、それは考え直してほしいです。

 大会後、こんな記事がありました。

中止の判断については、本当にそれで正しいのかを「百万回」自分に問いかけたが、もっと良い解決策は出てこなかったという。ギルピン氏は「台風の勢力が判明した時点で、会場を別の場所に移し、限られた時間の中で、大所帯の各チームに日本を縦断してもらうのは現実的ではないと分かった」と話し、自身の判断に「後悔はない」と強調した。

 これを読む限り、「アクシデントの場合は中止にすれば問題ない」と考えていたわけではないと思います。これには少しほっとしました。一方で、大会中には次の記事も出ています。

「われわれは台風の可能性に備えていた。日本で台風が発生するのは何ら珍しいことではない。しかし、今回の台風は50年に一度の例外だった」「どうか理解してほしい。今回起きたことは異例であり、その中で大会側は見事な対応をした。台風の到来は予測していたが、規模は想定外だった」

 これは認識が甘いと思います。確かに今回の台風は大きな台風でしたが、想定し得ないというほどではなかったと思います。「50年に一度」は例外と言える頻度じゃないと思います。また、これほどの規模の台風でなくても、交通機関が止まったり、観客の安全面が懸念される事態は十分起こると思います。「規模は想定外だった」って、小さな台風だったら中止以外の対応をすることができたんですか? もっと規模の小さい台風だったとしても、試合時間に直撃したら中止せざるを得ない可能性は高かったと思います。

 自分が心配するのは、台風などのアクシデントも来る可能性は十分認識していたにもかかわらず、何となくそんな事は起こらないだろうと思って何の対策もしていなかったという可能性です。台風が来る可能性があることは分かっていたとしても、実際に大会期間中に台風が直撃する可能性なんてごくわずかです。何の対策をしていなくてもうまくいく可能性は高いし、対策は無駄になる可能性の方がずっと高い。だから、何となく今までどおりのルールにして、それに対して誰も異議を唱えず、参加国は同意して、わたしは知りもしようとせず、そしてラグビーワールドカップの試合が中止になるという日を迎えてしまった。そういうことではないですか?

 実際にそういうことだったのかどうかは分かりませんが、もしそうだったとしたら今後は改める必要があると思います。きっと、次はもっとうまくできるでしょう。

2019/11/17(日)追記:この記事の続きを書きました

 その後、この記事を書いたときには知らなかったことを知ったり、新たな情報・続報が出てきたりしたので、この続きの記事を書きました。

y-koutarou.hatenablog.com

リンク集

*1:その他の反省するべき点。

 その1:微妙な判定に反論が相次ぎ、主催者側が判定に一貫性がなかったことを認める事態となった。

 その2:会場の売店で売り切れが相次ぎ、観客が飲食物を調達できない事態となった。その後、会場への飲食物の持ち込みを一部認める事になった。

*2:

運営側は代替会場での無観客試合のほか、3連休最終日となる14日への延期も検討している。ただいずれもチームの移動や宿泊場所の確保、観客への周知など課題が多く、9日午前現在で決定に至っていない。幹部は「様々な想定を重ね準備している」という。

*3:

組織委は12日の2試合について会場を変更したうえで、無観客で行うことなどを検討していた。しかし準備期間が極端に短く、チームの移動や宿泊、警備など課題が多く、1次リーグに関しては試合中止の規定もあったため、今回の判断となった。アラン・ギルピン大会統括責任者は「リスクが広範すぎて、すべてのチームを平等にすることができなかった。安全第一に考えた」と話した。

*4:

ドッドソン氏は「大会のインテグリティー(健全性)に関わる。日程に柔軟性を持たせるべきで、再考してほしい。開始を24時間遅らせてでもプレーしたい。どこでも、無観客でも構わない」と話した。英メディアによると、中止となった場合は主催者側への法的措置も検討しているという。

日本戦「日程変更してでも」 スコットランド協会が訴え - 一般スポーツ,テニス,バスケット,ラグビー,アメフット,格闘技,陸上:朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/articles/ASMBC6HGMMBCUTQP02M.html

*5:

我々が、日曜日の試合を日程通りに行えるようできる限りのことをしている中、そして1958年以来最も大きく破壊的と予想されている台風による、公衆安全への深刻な被害が懸念される状況で、スコットランドラグビー協会があのような声明を発表したことについて失望している。

*6:その後、7万ポンド(約945万円)の罰金ということになりました。

*7:

組織委からは会場や日程の変更が可能か、問い合わせがあったという。「チーム内で検討した。選ぶ権利があるのなら、1日前倒しして金曜日(11日)にしたかった」と話した。一方で、中止の判断については「危険を顧みず試合をするか、安全を優先するかであれば、安全が大事なのは言うまでもない」と理解を示した。
史上最多タイの5度目のW杯出場で、今大会限りでの現役引退を表明しているセルジオ・パリセ主将は「台風の季節にやるのは分かっていたこと。プランB(代替策)をつくるべきだった」と話した。
天候に関してのリスクマネジメントについても言及。「W杯は、別のプランを用意しておくべきだ。イタリアとニュージーランドが中止を望むのならいいが。何度も言うようだが、ニュージーランド(の決勝トーナメント進出)に(一定以上の)勝ち点が必要だったら中止にはならなかったはずだ」。逆の立場なら試合は行われていたと繰り返した。
  • 戦わずに敗退 イタリア主将が非情の中止に訴え「つらい」「こんな決定はおかしい」 | THE ANSWER スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト
    https://the-ans.jp/rugby-world-cup/87781/

最下位ヤクルト2019の『ベストプレープロ野球』のデータを作った

 今年もまた東京ヤクルトが最下位になってしまいましたね(´・ω・`)

 最下位ペースがはえーよ。2013・2014・2017・2019年。ここ7年で4回最下位。これって立派な暗黒時代なのでは……。最下位の合間の2015年に優勝(!)しているのが暗黒時代としては弱いところですが……。

 と言うわけで、今年もヤクルトが最下位になったことを記念して、『ベストプレープロ野球'00』のヤクルトのデータを作りました。前回のデータからわずか2年しか経っていないので、両方に共通している選手も多い。比較してみると、成長が感じられたり、そうでもなかったりしておもしろいかもしれません。

【2019年東京ヤクルトスワローズ

2019年ヤクルトと言えば村上宗隆。高卒2年目ながら開幕スタメンに名を連ねると、低打率ながら本塁打はコンスタントに放ち続け、徐々に注目される存在に。打率は最後まで低空飛行のままだったが、本塁打のペースは衰えることなく36本を記録。中西太王貞治清原和博松井秀喜ら球史に残る名選手の高卒2年目記録と比較され、燕ファンのみならず球界全体の期待を背負う選手となった。しかしチームは投壊の末最下位。

;--------------------------------------------------------------------
; チーム名                  略称         記    球場
  東京ヤクルトスワローズ19  ヤクルト2019 ヤ    明治神宮野球場

; UNIFORM                   SYMBOL       BGM
  S_h          s_v          swallows     swallows

; 監督             タ 投 選 打 バ エ 盗 A 抑
  小川淳司         +1 +2 -1 -1 -2  0 +2 -2 -2

; 野手             席 タ C 1 2 3 S O 肩 走 眼 実 ス 巧 長 信 左 指数
5 太田賢吾         L  S  - D B C C -  B  C  C  D  C  C  D  0 -1  260
8 青木宣親         L  S  - - - - - B  D  C  B  A  B  B  C  0 -1  300
4 山田哲人         R  P  - - B - - -  A  A  A  B  B  E  A -1  0  270
7 バレンティン     R  S  - - - - - E  A  D  C  A  B  E  A  0 +1  280
9 雄平             L  P  - - - - - C  A  C  C  B  B  B  C -1 -1  270
3 村上宗隆         L  P  - D - E - -  B  C  E  E  S  E  A +1 -1  260
2 中村悠平         R  S  B - - - - -  B  D  C  C  B  C  C  0  0  270
6 廣岡大志         R  P  - D - C B -  C  C  E  E  C  D  B -1  0  250
- 山崎晃大朗       L  S  - - - - - B  C  A  D  E  D  B  E -2 -2  260
- 西田明央         R  P  C D - - - -  C  D  D  D  D  D  D  0  0  240
- 荒木貴裕         R  S  - C C D - D  C  C  C  C  C  D  D +2 +2  260
- 奥村展征         L  S  - - B D B D  C  C  E  D  D  B  E -1 -2  250
- 西浦直亨         R  P  - - - - B -  C  C  D  D  E  B  D  0  0  250
- 大引啓次         R  S  - - - B B -  D  C  D  B  E  C  E -1  0  250
- 上田剛史         L  S  - - - - - B  C  A  E  C  D  C  E  0 -2  250
- 中山翔太         R  P  - - - - - E  C  D  E  E  E  D  B -1  0  250

; 投手             投 タ 球速 切 制 安 質 術 ス  回 指数
P 石川雅規         L  D   134  A  A  C  E  S  C  22  200
P 小川泰弘         R  A+  144  A  B  D  E  D  B  22  200
P ブキャナン       R  A+  145  A  D  D  D  B  B  20  200
P 高橋奎二         R  A   145  C  D  D  C  E  C  22  200
P 高梨裕稔         R  A+  144  B  C  E  E  D  C  20  200
P 原樹理           R  C   144  A  B  D  E  E  C  14  200
P 梅野雄吾         R  A+  146  D  C  D  D  E  D  30  200
P ハフ             L  B   144  B  B  C  C  D  E  30  200
P 近藤一樹         R  A   144  B  C  B  D  D  E  28  200
P 五十嵐亮太       R  A+  142  B  C  D  C  B  E  24  200
P 石山泰稚         R  B   144  A  B  B  C  E  E  14  200
P マクガフ         R  B   148  C  B  D  B  E  D  30  200

 山田の二塁守備はAでもいいと思うのだけど、ベスプレの場合、二塁と遊撃の守備力はチーム防御率に多大な影響があるので、今年のヤクルトの状況ではAはあげられない。

 バレンティンの走力はEを考えていたけれど、8月29日の横浜DeNA戦、6回表のヤクルトの攻撃。1死2塁。2塁走者は山田。バレンティンが三遊間をゴロで抜けるレフト前ヒット。山田は打球が抜けるのを見てからスタートしたので3塁ストップ。レフトの梶谷は3塁ベース付近へ緩く返球。したのを見てバレンティンは急激に速度を上げて2塁到達! この走塁を見たらEは付けられないわ。守備もDでもいいと思うんだけど、やはりチーム防御率を考えると守備力は上げづらい。

 村上は、眼E巧Eだと打率が2割以下とか本当にひどいことになりがちなので、他の能力を底上げしています。実際の村上も打率は低いけれど、そうはいっても安定して.230前後は打っていたので。

 投手は、球速が速いとそれだけでかなり抑えられるので、実際の球速より控えめにしたり、球速145以上の投手は他の能力をかなり削ったりしています。1980年~2000年代のゲームなので、その頃は150km/h投げる投手なんてそんなにいなかった。


 以下は現実のヤクルトの来季への期待などを。

 ここ7年の最下位4回の原因は投手力。2013年からずっと投懐状態が止まらない。2015年の優勝も、投手は"ROB"(ロマン・オンドルセク・バーネット)+秋吉亮の最強リリーフ陣だけだった。先発陣は“ゆとりローテ”でなんとかやりくりして1シーズン持たせた。それでも最後の方は先発も酷使気味で、これ以降館山と杉浦は……ということになっている。日本シリーズでは5試合全部、先発が5イニング持たなかった。

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 7年間も立て直しができないというのは何か原因があるんじゃないのか? 特に期待外れなのが小川泰弘と杉浦稔大小川泰弘はルーキーイヤーの2013年、チームは最下位の中で最多勝と新人王を取った時は「これはヤクルトの大エースになる」と思ったものだ。が、その後は、そこそこではあるが、チームを引き上げるような活躍はできていない。

 杉浦稔大はルーキーイヤーの2014年の終盤に4試合先発して2勝。これは来年が楽しみだと思ったら、2015年は開幕直後にケガで離脱。それでもシーズン終盤に復帰して、チームが苦しいところで好投して優勝に貢献。来年こそエース級だと思ったら、翌年から不振で2017年途中にトレード。日本ハムでもそこまでの活躍できていないけど、まだこれからがあるんだよな!?

 他の投手も、2013年から成長している選手が見当たらない。石川雅規はがんばってはいるけれどもう大活躍は望めない年齢だし、館山昌平村中恭兵由規もその後はそれぞれに存在感が小さくなっていった。期待のドラフト1位勢も、杉浦は前述の通りトレード。増渕竜義は伸び悩みの末にトレードしてその後引退。赤川克紀は伸び悩みの末に引退。原樹理は伸び悩み中。こんなにダメダメな投手陣なるはずじゃなかったんだけど……。奥川恭伸は大エースに育ててくれよ。

 2010年に二桁勝利投手が4人出たときは夢いっぱいの先発陣だったのにね。石川雅規30歳、館山昌平29歳、村中恭兵23歳、由規21歳。左右2人ずつ、中堅2人と若手2人で、実にバランスが良い。この態勢で7~8年は安泰だと思っていたのに……。2011年の無茶がたたっているのだろうか……。

 あと、やっぱり秋吉亮をトレードに出してしまったのってどうなの? 日本ハムで大活躍じゃないか。確かにクローザーに石山泰稚はいたけれど、信頼できるリリーフ投手は多ければ多いほどいい。近藤一樹や梅野雄吾は良くやってたけど、そこまで信頼できるというほどでもなかったと思う。ただ、秋吉とトレードで来た高梨裕稔と太田賢吾もそこそこ活躍しているからなあ。先発の方が足りなかったと言われればその通りだったので、何とも評価しづらい。

 ここのところ、ヤクルトはトレードはうまくいってる。近藤一樹八木亮祐とトレード)・奥村展征相川亮二のFA補償)は活躍してるし、「大引啓次をFAで取るくらいなら川島慶三を出さなければ良かったんじゃないの?」とはちょっと思うけど、川島とトレードで来た山中浩史も優勝に貢献したしね。