『危難の港』で保存食を持ってスタートするか問題

ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活~』も少しずつプレイしています

 『ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活~』が発売されていて、前回に引き続き今回も少しずつプレイしています。現在、1冊目の『死の罠の地下迷宮』を一通り終えて、2冊目の『危難の港』に入っているところです。

 『危難の港』は2017年、シリーズ2度目の復活を果した際に発売された、ファイティングファンタジーとしては“新作”となる作品です。もちろん今回初邦訳。あの重厚な世界観と大味なゲームバランス*1で有名なイアン・リビングストンが、2017年になってどんなゲームブックを書いたのか。期待して読み始めました。
 しかし、ゲームのルールと冒頭の「背景」を読んでいるとさっそく違和感が……。これ、ルール合ってますか?

ルールには保存食を持っていると書かれているが……

 『危難の港』のルールには次のように書かれています(p. 306)。

ゲームの開始時にきみは一〇食分の保存食を持っている。

 保存食を10食分持ってゲーム開始というルールは、FFシリーズの第1作『火吹山の魔法使い』から存在するルールです。保存食を食べると体力点が4点回復します。多くの作品でこのルールは採用されており、FFシリーズの標準ルールの一つになっています。『危難の港』もこのルールが採用された形となっています。

 しかし、冒頭の「背景」では、今回の主人公である“きみ”に関して次のように書かれています。

空腹で疲労困憊のまま、ここチャリスに到着することとなった。

交易商人が放置した残飯をあさり、路地での寝泊まりを余儀なくされる。

この後も、生ゴミの山をあさったり、もらった食べ物を即座にむさぼり食ったり、背負い袋の中をかき回して食べかすを探したりなど、今日食べる物にも困っている様子がたびたび描かれています。

 保存食を10食分も持っているのに、そんなことする必要あるかなあ? かなり違和感を覚える記述です。当初は、保存食は“冒険用”であって街中では手を付けないという冒険者魂なのかな?とも思ったのですが、街を出て旅を始めてからもひもじい思いをしているようだしなあ。

 本当は食糧なんて持ってないんじゃないの? 本当に保存食10食持ってスタートしていいの?

保存食なしが“ハードモード”

 というような感想をTwitterに書いたところ*2安田均先生からこんなレスをいただきました。

 10食分の保存食を持ってスタートするのはイージーモード保存食なしでスタートするのがハードモードとの見解です。

 これは自分としては結構衝撃的でした。疑問は持っていましたが、そうは言ってもルールにはっきり“持っている”と書かれている以上、持っているのは動かせないかなと思っていました。書いてあるルールが正しいかどうかから疑わないといけないとは。

 確かに、言われてみれば思い当たる節もあります。『危難の港』ではゲーム開始直後の1番のパラグラフで「体力点を一点加える」という指示があります。ゲーム開始直後なので当然、体力点は満タンです。ゲーム的には無意味な指示です。訳者もさすがにどうかと思ったらしく、次のような注釈が付けられています。

(訳注:当面、原体力点を超えてよいでしょう)

妥当な処理だと思いますが、このゲームブックは、ゲーム的には一目でナンセンスだと分かる指示を平然と行うということです。ゲームとして厳密にルールを考えているとは思えない。「状況に合うようにそっちで適当に解釈してよ」という作者の声が聞こえてきそうです。

 そもそも、FFシリーズ自体がわりとルールが曖昧なところがあるからなあ……。これまで自分も、『盗賊都市』での食事を取れるタイミングの問題だったり、鎖帷子を入手すると技術点マイナス2を喰らってしまう問題だったりを取り上げてきました。自分は、ゲームの有利不利に関する部分はきっちりかっちり厳密に、少しでも確率的に有利になる選択を考えるのが好きなので、ルールの解釈も厳密に考えてしまうのですが、ちょっとやりすぎだったかもしれません。ゲームブックのルールはそういうもんじゃねーだろ。まず文章があって、状況説明があって、それに合うようにルールを解釈する、と考えるべきかもしれません。

 往年の名著『ゲームブックの楽しみ方』に次のような記述があります。

日本でのゲーム・プレイヤーを見ていると、《中略》サイコロを使うゲームときくと、サイコロをふるだけが嬉しくて、なにも考えずにただ向かっていく(戦う)だけの人と、逆に勝ち負けにこだわって、数値面の有利不利にだけこだわる人の二つのタイプがかなり多い。(p. 29)

 自分はあきらかに後者タイプなので、ゲームブックのルールは必ずしも厳密に考えるのではなく、状況、雰囲気、難度などによって柔軟に、“ゲームブックを楽しむ”ことを第一に考えよう、と反省しました。

Twitterアンケート作ってみました

 しかし、そうは言っても『危難の港』の場合はルールにはっきり「保存食を持っている」書かれています。これを覆すのは相当な難題です。多くのプレイヤーは、文章描写に違和感を覚えつつも、保存食を持っていることにしてプレイするんじゃないかなあ?*3

 「保存食なしでやるのがハードモード」という見解を知った上で、さあ、どうするか。かなり迷うところだと思います。

 というわけで、Twitterでアンケートを作ってみました。

 現在(2022/08/10(水) 20:30)のところ、2票差で「保存食10食分持ってスタート」がリードと、かなり票が割れている状態です。まだ『危難の港』を始めていないという方も、もしプレイするとしたらどうすると思うか、ぜひ投票下さい。

 自分は現在、2周目から保存食なしでスタートしました。厳しさは感じないけれど、まだ前半戦だからなー。リビングストン作品でハードモードか……。不安だ(^_^;)

リンク集

 本文で取り上げた以外で、この問題について言及してあるツイートを集めてみました。

関連する記事

y-koutarou.hatenablog.com

*1:リビングストン先生は指セーブ公認ですから……。

*2:

*3:自分としても、そもそも「食事を取って体力点回復」というルール自体が極めてゲーム的な処理なので、保存食は“食糧”とは別に純粋に回復アイテムとして扱うという解釈もありかな……とも思います。

『モンスター誕生』の謎?

2つのリプレイ

 自分の感想などをつらつら書く前に、まず『モンスター誕生』の傑作リプレイを2つ紹介したい。

 デッドエンド時の状況のみを書いた短い文章とイラストが心に刺さる(^_^;) これこそ『モンスター誕生』! 大したネタバレはないので、未読で『モンスター誕生』がどんなゲームブックなのか興味がある方が読んでもよいと思います。

 こちらは、「真の道」を知っている状態で最低能力値でプレイ。これでもこんなに大変なのか……。不可避戦闘は多いので、技術点7だとさすがにつらいか。本作はダメージは1点(2点ではない)で即死ルールもありますが、それでも戦闘になれば技術点が一番大事。あと、複数相手の戦闘ルールがデフォルトで同時戦闘なのも微妙に厳しい(そして面倒)。

 こちらはネタバレなので、未読の方にはおすすめしません。


 以下は自分が『モンスター誕生』をプレイしての疑問・感想などを書きます。かなりネタバレなので、未プレイの方は注意して下さい。

モンスター誕生の謎?

日の光を浴びる?

 277番でコウモリに左目を傷つけられた事による技術点-1は「日の光を浴びる(外に出る)ことができれば、この技術点の減少は回復する」とされています。わざわざ括弧書きで「外に出る」と書かれていますが、最初に外に出る項目である442番は夜の描写です。回復条件は「日の光を浴びる」だから、この時点ではまだ回復しないと解釈するべきでしょう。というわけで、技術点が回復する項目は、朝を迎える362・162・324番のどれか。忘れないように。

金貨を入れておく袋?

 197番の「戦闘用の盾」入手時に「盾についている袋に、これから拾う金貨を入れることができる」と書かれているが、これの意図は? この文からは、この袋がない限り金貨は持ち運べないとも解釈できますが、そういう意図とはとても思えないなあ……。

 金貨が入手できる項目は5つ*1。多くの金貨は袋付きで入手できるし、袋付きではない91番と125番でも袋がないと持ち運べないというような指示はないので、見つけた人は普通に持っていってしまうでしょう。

 また、250番で入手できる茶色の袋は「文章にどれか一つしか持っていけないと書かれていても、見つけたものはすべて持っていくことができる」という効果がありますが、今後そんな場面はないような……。380番の花を、項目を行ったり来たりして全部持っていけるということなのかなあ……?

一生無限ループ?

 もう1つ、197番の「戦闘用の盾」の話。この盾には「扉を壊すことによって体力点を一点失うと書かれている場合も、体力点を失わずにすむ」という効果があります。ありがたい効果ですが、349番ではこれが仇に。無限ループ中の体力点-1も無効になってしまうので、いつまでもゲームオーバーになれない。読者自身が無限ループを一生読み続けるハメになります!

木箱の中身は?

 15番の工作室の木箱。開けただけで強烈な呪いを喰らうが、中身は一体何なのだろう? 

 また、その呪いを喰らった後の処理がおかしい。「足がひとりでに動き、きみは東の扉から部屋の外に出ていった」と書かれているのだから、436番ではなく49番へ行くべきでしょう。もっとも、436番経由でも何事もなく49番へ行くのは確定ですが……。

 そして、何よりも謎なのが、木箱を部屋の窪みから下に落とすという行動ができること。てっきり後半のフラグかと思ったら、ゲーム上は何の意味もない。これはいったい……。

運点無限アップ?

 237番で「隠し扉を発見するたびに、きみの運点に一点を加えることができる」と指示されます*2。実際に隠し扉を発見した項目では運点アップの指示はないので、忘れずにもらっておきましょう。

 そして、隠し扉を発見する項目である40番と233番は双方向移動ブロックにあるので、隠し扉を通過せずに戻れば再び“発見”することができます。これを利用すれば運点を無限に回復させることができます。やるかどうかはプレイヤー次第。これは気が引けるという向きも、40番と233番の運点アップを両方もらっておくくらいは良いでしょう。

墓から離れる?

 地上に出たすぐ後に行ける198番の墓所。「すぐにその場から離れる」で67番に行ってしまうのは理不尽だと思う。67番は、226番では「あえて残りの墓を調べてみる」で行く項目だし、離れるはずなのに「きみはそのなかでも一際大きいものに近づいていった」と書かれていて行動としても不自然。

 ここは261番へ行くの間違いじゃないかなあ?

コーヴンの村の食料品店

 32番、コーヴンの村の食料品店での一幕。怪物が店に入ってきて隅で震えていたら、怪物が金貨を差し出してきた!というほのぼのイベント。大好きなシーンですが、しかしここを通ると必須イベントを逃してデッドエンド確定なシーンでもある……。

標識が修理された?

 130番の標識。

北東が〈ドリー※※〉、南が〈コーヴン〉、北西が〈かえる沼(ブ・フォン・フェン)〉

となっていますが、社会思想社版では

南が〈ドリー※※〉、北西が〈コーブン〉、北東が〈ブ・フォン・フェン〉

となっていました。

 大抵のプレイヤーはここはカエル沼へ行きたいはず。社会思想社版では、ここからドリーの村へ着いてしまって絶望したプレイヤーは多いだろう。

 「真の道」を通っているプレイヤーはコーブンの村が南にあることは分かっているはずなので、標識の向きが間違っていることを読み取るという謎解きかと思っていたのですが、修正されたのですね……。

オフィディオタウルスを乗りこなすには?

 127番のオフィディオタウルスに乗ろうとする場面。サイコロ2個で技術点を目標とするロールを行います。こういうロールは大抵は技術点以下の目を出せば成功ですが、ここでは技術点より小さい目を出さないといけないという微妙に厳しい判定になっています。しかも成功しないとデッドエンド確定。後半で一番の難所。

訓練所の罠?

 デッドエンド確定のイベントと言えば、訓練所が丸々デッドエンド確定ブロックになっているのは大トラップですよね。いかにも正解っぽいルートがあるのにそれもダメで、しかもイベントが結構続くのがタチが悪い。このあたりのデッドエンドブロックをさまよってプレイ回数を費やしたプレイヤーは多いでしょう。

 どうせなら、スカル藻をドリーの三姉妹の元に持ち帰った(141番)のちに飛ばされる項目を、423番ではなくて191番あたりにすれば良かったのに。それなら訓練所も「たった一つの道」に取り込めるので、訓練所経由でデッドエンドを重ねたプレイヤーも報われるだろう。逆にオフィディオタウルスの意味がなくなってしまうが、このイベントは技術ロール一発でデッドエンド確定の理不尽イベントなので、むしろこの方が難度は下がるかもしれない。

目的のある人生

 訓練所での82番。毎食のホビット・シチューで体調を整えつつ、訓練で技術点の原点も上げつつ、サグラフを暗殺する機会をうかがって、ついに実行に移すという場面。

 しかし、43番によると毎食のホビット・シチューには操り草が入っているはずなのに、サグラフの暗殺なんて実行できるのか。操り草の効果も大したことないな。そう考えると、43番はそれほど悪い結末には見えないな。

わざと罠にかかる?

 341番。わざと罠に掛かってガレーキープに潜入する場面ですが、なんでここでは反撃できるんだろう。罠に掛かったばかりでまだ元気いっぱいということなら、336番だって同じ事じゃん。

天候の魔法使い?

 158番。ガレーキープの中にあって、問答無用のデッドエンドではなく扉の選び直しの機会を与えてくれる、慈悲深き“天候の魔法使い”ニンビカス。いったい何者なんだろう? 『トロール牙峠戦争』にも出てこなかったし……。 

序盤でデッドエンドになる確率

 『モンスター誕生』の象徴とも言える、序盤の行動をサイコロで決められてしまう場面。プレイヤーが選択する余地がまったくないというゲームブックにはあるまじき展開。しかも、サイコロで選ばれた選択肢だけでデッドエンドになってしまう可能性が結構あります。具体的にはどれくらいの確率でデッドエンドになるのか?

 399 148 72 165  確率     行動
┳1-3 ━━━━━━━━18/36(50.0%)直接西へ。
┗4-6┳1-2━━━━━━ 6/36(16.7%)木の扉を開けずに引き返す。
   ┗3-6┳1 ━━━━ 2/36( 5.6%)木の扉を破ってから引き返す。
     ┗2-6┳4-6━ 5/36(13.9%)鉤爪獣の部屋から西へ。
        ┗1-3━ 5/36(13.9%)鉤爪獣の部屋から北へ。

 一番下まで行ってしまうとデッドエンド確定。つまり、5/36(13.9%)の確率でサイコロの選択だけでデッドエンド確定となります。

 さらに、205番でホビット(技術点5・体力点6)を3ラウンド以内に倒した場合は運だめし失敗で終了。倒せなかった場合はサイコロ1個振って1-4なら終了。技術点と運点にもよりますが、10%以上はここでデッドエンドになると思う。

 合わせると、4回に1回近くは序盤のサイコロ運だけで、382番の理性の煙にもたどり着けずデッドエンドになるということになります。

 ……やってられるか。

『モンスター誕生』の魅力とは?

 というように、とにかく「ひどい」のが『モンスター誕生』の特徴というのは間違いなく事実。序盤のサイコロで行動を決める部分以外でも、「たった一つの道」を辿っていても運だめしなどのサイコロ運だけでデッドエンド確定になってしまう場面がいくつかある。「たった一つの道」の発見も非常に困難。基本的にノーヒントの総当たりで探索するしかない上、単純に枝分かれするような構造になっていないので分岐を把握するのも難しい。総当たりで探索した結果、すべてデッドエンドに繋がっていて任務達成にはまったく関係ないというデッドエンドブロックも多い。極めて意地悪。正直言って、ゲームとしては破綻していると言ってもいいと思います。

 しかし、だから『モンスター誕生』が面白くないかというとそんな事はありません。むしろ、だからこそ『モンスター誕生』は面白いゲームブックだと思います。

 『モンスター誕生』は、開始前の「背景」で17ページもあるなど文章量が多いことからもうかがえるように、物語指向が高いゲームブックです。物語指向が高いゲームブックというと「選択肢は申し訳程度で、低難度でほぼ一本道」というような構成が思い浮かぶかも知れません。ところが、『モンスター誕生』は高難度で道筋も非常に複雑なのは先ほど書いたとおりです。

 このような高難度は、一見物語を楽しむ為には邪魔なようにも思えます。しかし、『モンスター誕生』では、選択肢の選択方法や複雑な道筋、難度も物語の演出に一役買っています。序盤の選択決定は、サイコロでなければいけない理由がある。このモンスターが、理性を獲得し、言葉を理解し、人生の目的を得ていく過程が、そんな簡単であるはずがない。この物語はこの難度でなければいけない。この高難度は、ゲームとしては破綻していても、物語上は大きな意味がある。

 『モンスター誕生』は、“ゲームブックを利用した小説”として、ゲームブックの最高峰の作品だと思います。

プレイ記録(Twitter

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*1:金貨が入手できる項目。

  •  2 12枚(集会所のホビット
  • 412 2D枚(3人の冒険者
  • 249 2枚(狂獣の部屋の人間の死体)
  •  91 3枚(ハーフ・オークの死体)
  • 125 2枚(グロッグからもらう)

序盤のドワーフ冒険者も金貨を持っているが、入手できるという描写はない。

*2:なぜか290番ではこの指示はない。所詮ハズレルートだから運点アップに値しないということだろうか……。

『モンスター誕生』の手描き地図 & テキストマップ

 やっと、ファイティング・ファンタジー・コレクションの第1弾の中の1冊『モンスター誕生』のテキストマップを作り終えました。後回しにしていたら、もう第2弾、『ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活』の発売目前になってしまいました。なんとか間に合った(^_^;)

 例によって、ややネタバレなので、未プレイの方は注意して下さい。

手描き地図

 社会思想社版をプレイした大昔に作った手描きマップです。前半は地下ダンジョンが舞台で空間的なつながりも分かるように書かれているので、それが分かるように描きました。後半はオープンフィールドなのでイベントのつながり重視の地図にしました。いま見るとやや間違っていてる部分があるのはご愛敬(^_^;)

前半

『モンスター誕生』お手製手描きマップ:前半

後半

モンスター誕生お手製手描きマップ:後半

暗号

 前半の暗号で書かれている部分を解読したメモ書きです。すさまじくネタバレなのでまだクリアしていない方は決して読まないように!

『モンスター誕生』手描きメモ:暗号解読1

『モンスター誕生』手描きメモ:暗号解読2

テキストマップ

前半:ザラダンの地下帝国

 前半はできるだけ位置関係を表現した地図を作りました*1。西側のブロックは2つの階層で構成されていますが、1枚の地図にまとめてあります。

 基本的には一方通行のダンジョンですが、一部双方向移動が可能なブロックがあります。それを(完全ではありませんが)表現するために、マップ上の所々に矢印を入れました。矢印をさかのぼる方向には進めませんが、逆に言えばそうでない部分は移動できます(場合もあります)。一見逆走するような方向にも移動できる部分もあります。これにより、移動先の選択肢が増え、「たった一つの道」の発見がより難しくなっています。

 ついでに、ドブドロ川の流れている場所(推測)も表現してみました。

                                     ※Aへ  《《                    
                                 || ┃┌─□─┐ 》》                   
                                 || ┃│ ↑ │《《                    
                    182イエローストーン金山  || ┃│   │ 》》                   
                          ┏━━━━━┓||┏┛└┐―┌┘《《                    
                          ┃     │↑│  │-│  》》            40二体の骸骨 
                          ┃     │||│  │‐│ 《《             ┏━━━┓  
                          ┗─────┘||│ ┏┷■┷┓ 》》            ┃   ┃  
                       ===←==65== 424│ ┃   ┃《《             ┃ 40 ┃  
                          ┏─┐↑┌─┐||│ ┃ 184 ┃ 》》184許可         ┃   ┃  
                          ┃ │||│ ┃↓┃ ┃   ┃《《             ┗┯∞┯┛  
                          ┃ │||│ ┃108┃ ┗┯□┯┛ 》》        20漆黒の闇┃20┃   
       144蜂の巣            ━━━┛ │||│ ┃ ┃  │ │ 《《     155水晶球     ┃ ┃   
      /─\/\                 │||│108     │ └─┬┬┬───┐  ┏━━━━━━┛81┃   
      │    ─────────┐       │||│泥スライム │   ・・・   │  ┃155 443 279   ┃   
      \ 144  →  239 314 → │       │||│      └───┴┴┴─┐↑│369 ┗━━┓ ┏━━━┛   
      /    ──┐↑┌──┐ │       │‐│~~~~~~~~~~~》》 │ │四つの顔 ┃ ┃       
      \ ↑ /  │ │  │‐│ ┏━━━┓ │-│《《~~~~~~~~~~~┏┷∞┷┓  ※B→┃ ┃   /━\ 
       │116│  ┏┷□┷┓ │-│ ┨   ┠─┘―└┳┳┳──────────┨   ┗─┳━━┛ ┗━┳┳   \
       │↑└──┨   ┃ │―│   425 ■221   ・・・142 ←227 79  ← S 369  ←S213 37 300  ■  50 ┃
       │403  204□ 435 ┃ │↓│ ┨   ┠────┻┻┻────┐ ┌───┨   ┏─┷━━┓ ┏━┻┻   /
       │137┌──┨   ┃ │404│ ┗━━━┛     》》142   │ ├───┻━━━┫ 213行き┃300┃   \━/ 
       │ ↑│  ┗━□━┛ │ │ 425黒エルフ    《《 黒い川 │ │       │ 止まり┃365┃  50かまど 
       │371│  435サイ男  │ │           》》    │ │ ┏━──┐ │    │ │       
 342金属音  │ │        │ │          《《     │ │ ┃  375│ │    │ │       
┌─━━━──┘ │        │ │           》》    │ │ ┃356┃ │ │    │ │       
│  342  280 309│        │ │          《《  273  │ │ ┗━┛ │ │    │ │       
└─━━━──┐ │        │ │         ~~》》 骨の山│ │273    │ │    │ │       
      /┸─┸────────┘ └────┐    《《~~    │ └─────┘ │    │ │       
     /            136 298 →  │241老人  》》     │240        │    │ │       
    / /┰─┰─────────────┐ ┣━━━┓ 》》     └─────────┘    │ │       
   / / │ │             │373┃   ┃《《     396書類┏━━━┳────────┤ │       
   │ │ │ │  ┏━┓        │138□ 241 ┃ 》》       ┃   □ →      S…│       
   │ │ │ │  ┃354┃        │↓┃   ┃《《  49 208   ┃ 396 ┠────────┤↑│       
   │ │ │ │  ┃ ┃156十字路   ┏┷□┻┳━━┛ 》》 石橋    ┃   ┣━□━┓   /┷ ┷\      
   │41└─┸─┸──┛ ┗━━┳────┨   ┠───┳┳┳───────┻━■━┫   ┠───┨   ┃      
   │401 →     156  310S→ 331→□ 15 □→ 49・・・208 441 457 122 450→■ 263 □ →293■ 161 ┃161話し声  
   │↑┌─┰─┰──┓ ┏━━┻────┨   ┠───┻┻┻──┐ ┌──────┨   ┠───┨   ┃      
   │―│ │ │  ┃ ┃       ┗┯□┯┛   《《   │↑│   263狂獣┗┯■┯┛   \┯□┯/      
   │-│ │ │  ┃212┃        │↑│15工作室 》》  │ │       │↑│     │164│       
   │‐│ │ │  ┗━┛   61黒い布 │172│    《《   │ │       │232│     │ │       
   │ │ │ │        ┏━━━┓│ │     》》  │ │       │ │     │ │       
   \ \ │ └────────┨   ┃│ │    《《   │ │       │ │  ┏━━┘ │       
   / / │ ← 444        61 ┃│ │~~~~~》》  │ │       │ │  ┃285 6  │       
   \ \ └────┐ ┌───┨   ┃│ │《《~~~~~  │ │       │ │  ┃ ┏──┘       
   / /      │↑│   ┗━━━┛│ │ 》》      │ │       │ │  │ │285 6黒い輪     
   \ \      /  \257暗闇    │ │《《       │↑│       │ │  │ │          
   / / ┏━━┓/   \ ┏━━───┘ └┳┳┳──────┘ │       │ │  │ │          
   \ \ ┃458 S  257 /←┃■149 ← 353 ・・・← 75    326│       │ │  │ │          
   / / ┗━━┛    \ ┗━━──────┻┻┻─┐ ┌────┘       │ │  │ │          
   \ \      \358/ 149落し穴   353悪臭《《  │ │            │ │  │ │          
  / ↑ /\    │ │            》》 │ │            │ │  │ │          
 ─/     \───┘↑│           《《  │↑│            │ │  │↑│          
 \  88   77 ←  166│            》》 ┃ ┃            │ │  │ │          
 /      /───┓‐┃           《《  ┃311┃311死体         │ │ ┏┷□┷┓         
 ─\/─  / ~~~┃-┃~~~~~~~~~~~~》》 ┃ ┃            ┃ ┗─┨   ┃         
  77怪物\/  》》~┃―┃~~~~~~~~~~~~~~ │ │       153ねばねば┃153 84■ 268 ┃268光る物体    
        《《  ┃115┃115岩棚            │ │            ┃ ┏─┨   ┃         
         》》 │ │    101闘いの跡      │ │   390集会所     │ │ ┗━━━┛         
~~~~~~~~《《  ┃↑┃  ┏━━━┓        │↑│   ┏━━━┓    │ │               
~~~~~~~~~~  ┃ ┗━─┨   ┠────────┘ └───┨   ┠────┘ │               
            ┃51 ← □ 101 □ →       33      390  →     │               
            ┗━━━─┨   ┠──────────────┨   ┠──────┘               
           51リーダー ┗┳□┳┛              ┗━━━┛                      
                  ┃↑┃446コウモリ                                     
                  ┃446┃            ┌───────────━━━───━━━         
                  │ │            │      408 →   372 →   63          
                  │ │            │ ┌───┐ ┌───━━━───━━━         
                  │ │        282ロープ┃282┃   │↑│   372袋    63闇エルフ       
                  │ │            ┗━┛  ┏┛ ┗┓                    
                  │ │          ┌──────┛   ┃                    
                  │ │          │     ←  170 ┃170鉤爪獣                
     【ザラダンの地下帝国】  │ │    ┌─────┘ ┌────┓   ┃                    
                  │ │    │344      │    ┗┳□┳┛                    
                  │ │    │ ┌─────┘     ┃↑┃148引き返す?               
                  │ │   ┏┛↓┗┓          ┃148┃                     
                  │ └───┛   ┗\/\/━━━───┘ │                     
                  │    ←  205 ←308 ←  419      │                     
                  └─────┓   ┏\/\/┓ 1┏─────┘                     
                        ┗━━━┛    ┃ ┃1モンスター誕生                    
                        205冒険者     │ │                           
                                 └─┘                           

後半:トロール牙峠

 後半はオープンフィールドでの冒険となります。主にイベントのつながりを示した地図ですが、東西南北に移動する部分は、その項目から出る線と方角の向きが(だいたい)合うようにしました。

 道のりは前半にも増して複雑。踏み込んだ瞬間にデッドエンド確定な上に、まったく任務達成に関係ないというデッドエンドブロックも多い。いたるところに「57罠」という項目があるのが、後半の意地悪さを物語っています(^_^;)

 ┏━━━━━━━━━┓ ┏━━━━━━┓ ┏━━━━┓                             
 ┃329ザラダン・マー ┠→┃417次元の門 ┠→┃361慈悲 ┃                             
 ┗━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛ ┗━━━━┛                             
      ↑ ┏━━━━━┓┏━━━━━━━┓┏━━━━━━━━━┓                      
      │ ┃29業火の主┃┃129赤いローブ ┃┃158天候の魔法使い ┃                      
      │ ┗━━━━━┛┗━━━━━━━┛┗━┯━━━━━━━┛  【トロール牙峠】            
      │      ↑     ↑     ↑↓                              
   ┏━━┷━━┓ ┏━┷━━━━━┷━━━━━┷━┓ ┏━━━━━┓                     
   ┃346船長室 ┃←┨    312・459五つの扉    ┠→┃111実験室 ┃                     
   ┗━━━━━┛ ┗━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━┛                     
                   ↑                                     
  ┏━━┓        ┏━━━━┷━━━┓           ┏━━┓                  
  ┃57罠┃        ┃189ガレーキープ ┃           ┃57罠┃                  
  ┗━━┛        ┗━━━━━━━━┛           ┗━━┛                  
   ↑               ↑                ↑                    
 ┏━┷━┓ ┏━━━━┓ ┏━━━━┷━━━┓ ┏━━━━━┓ ┏━━┷━━┓                 
 ┃126蔦 ┃←┨139紋章 ┃←┨366白髪のエルフ ┠→┃272銀の池 ┠→┃52ホビット┃                 
 ┗━━━┛ ┗━━━━┛ ┗━━━━━━━━┛ ┗━━━━━┛ ┗━━┯━━┛                 
                   ↑←───────────────↓────┐               
        ┏━━┓ ┏━━━━━┷━━━━━━┓     ┏━━━━━━┓ │               
        ┃57罠┃←┨423オフィディオタウルス ┃←───┐┃183クモの森 ┃ │               
        ┗━━┛ ┗━━━━━━━━━━━━┛    │┗━━━━━━┛ │     ┏━━┓      
                   ↑           │       ┏━┷━━┓  ┃57罠┃      
                ┏━━┷━━┓        │     ┌→┃449脱出 ┃  ┗━━┛      
                ┃92スカル藻┠┐       │     │ ┗━━━━┛   ↑        
                ┗━━━━━┛│┏━━┓ ┏━┷━━━━┓│┏━━━━━┓ ┏━┷━┓ ┏━━━┓
                   ↑   │┃57罠┃←┨17ドブドロ川┃│┃82サグラフ┃←┨455門 ┠→┃43決心┃
         ┏━━━┓ ┏━━━┷━━┓│┗━━┛ ┗━━━━━━┛│┗━━━━━┛ ┗━━━┛ ┗━━━┛
         ┃267花 ┠→┃315カエル人 ┃│          ↑  │     ↑ ┌──↑────→↑  
         ┗━━━┛ ┗━━━━━━┛│       ┏━━┷━┓│   ┏━┷━┷┓ │  ┏━━┷━┓
           ↑       ↑┌──┴────┐  ┃12木こり┃│   ┃271訓練 ┃ │←─┨348自問 ┃
         ┏━┷━━━━┓  ││       ↓  ┗━━━━┛│   ┗━━━━┛ │  ┗━━━━┛
         ┃307かえる沼 ┠──┘│   ┏━━━━━━━┓ ↑  │   ┌───↑──│────→↑  
         ┗━━━━━━┛   │┌─→┃134ドリーの村 ┃ │ ┏┷━━━┷┓ ┏┷━┓│┏━━━━┷━┓
             ↑←─────┘│  ┗━━━━━━━┛ │ ┃377オーク ┠→┃216 ┠┘┃284ゴブリン ┃
┏━━━━┓     ┏━┷━━┓    │    ↑ ↑     │ ┃ とサイ男 ┃ ┃食事┃ ┃ とエルフ ┃
┃340洞窟 ┠────→┃130月夜 ┠────┘┌───┘ │     │ ┗━━━━━┛ ┗━━┛ ┗━━━━━━┛
┗━━━━┛     ┗━━━━┛     │┏━━━━┷━━━━┓│    ↑     ↑        ↑  
 ↑  ┏━━━━━━┓↑↑        │┃301チャブリーの実 ┃│    │ ┏━━━┷━━━━━┓  │  
 │┌→┃252ロシーナ ┠┘│        │┗━━━━━━━━━┛│    └─┨   229訓練所  ┠──┘  
 ││ ┗━━━━━━┛ │   ┏━━━━┷━┓   ↑     └────┐ ┗━━━━━━━━━┛     
┏┷┷━┓ ┏━━━━━━┷━┓ ┃299     ┃ ┏━┷━━┓ ┏━━━━┓└────────┐ ↑      
┃177丘 ┃←┨96・107逆風平原 ┃←┨オシャベリ鴉┃←┨324探索 ┠→┃304村人 ┠───────┐ │┏┷━━━━━┓
┗━━━┛ ┗━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛ ┗┯━━━┛ ┗━━━━┛       │ │┃191食糧探し ┃
        ↑     ↑            │ ↑        ┏━━━━━━┓│ │┗━━━━━━┛
 ┏━━━━━━┷━━┳━━┷━━━━━━━━━┓  │┏┷━━━━━━┓ ┃261     ┃↓┏┷━━━┓↑   
 ┃274ハーフ・オーク ┃374ハーフ・オークの死体 ┃  │┃123      ┠→┃よじれ樫の森┠→┃244標識 ┠┘   
 ┗━━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━┛  │┃ドリーの三姉妹┠┐┗━━━━━━┛ ┗━┯━━┛    
      ↑ ↑   ↑     ↑        │┗━━━━━━━┛│ ↑    ↑    ↓       
      │ │┏━━┷━━┓┏━┷━━┓     │ ↑    ┌──│─┘    │   ┏━━┓     
      │ └┨32食料品店┃┃211薬屋 ┃     │┏┷━━━━┷┓ ↓┏━━━━┓│   ┃57罠┃     
      │  ┗━━━━━┛┗━━━━┛     │┃442迷宮の外 ┠─→┃198墓所 ┠┘   ┗━━┛     
      │     ↑     ↑        │┗━━━━━━┛  ┗━┯━━┛             
      │ ┏━━━┷━━━━━┷━┓      │    ↑       │ ┏━━━━┓         
      └─┨  95コーヴンの村  ┃←─────┘    ※A       └→┃454階段 ┠→※Bへ      
        ┗━━━━━━━━━━━┛                     ┗━━━━┛         

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*1:イベントのつながりの地図も作ってみたのですが、東西南北や左右の位置関係さえ合っていないのが分かりにくいのと、やはり空間の感じがないのは寂しいので、こちらの形式にしました。

カーリング観戦沼ビンゴ(見たことのある珍しい場面)

カーリング沼ビンゴを作りました

 「カーリングで見たことのある場面(観戦歴チェック)」というビンゴを作りました。要するにカーリング沼ビンゴ。

mekepon.com

 カーリングで起こりえる珍しい場面を見たことがあればチェック(または現地観戦などをしたことがあれば)。カーリング観戦歴が長ければ長い人ほどチェックが増えるはず。めざせ全チェック!

 説明文にも書きましたが、「見たことがある」の定義はプレイする人それぞれにお任せします。自分は、「現地または生中継で見た試合か、録画をあまり時間を置かずに見た試合で」という条件にしました。その結果……。

カーリングで見たことある場面(観戦歴チェック) プレイ結果

 まさかの0ビンゴ!(>_<) もう10年以上(無料の)テレビで放送される試合は欠かさず見ているのだけど……。

 エキストラエンドがブランク、1試合14点以上、時間切れ負けあたりはありそうで見たことないなあ。エイト・エンダーはテレビで中継されるレベルの試合ではなかなか……。メジャー関連では、同距離判定と目視測定は見たことないですね。

 ビンゴをプレイすると、それぞれのマスを何パーセントの人がチェックしたのか表示されるので、そのシーンのレア度アンケートにもなっています。やはり最難関は「プレー中に石が割れる」ですかね。

自分が見たことがある・知っているレアシーン

 自分が見たことがある・知っている珍しい場面をいくつか紹介します。

エキストラエンドがブランク

 2021年世界選手権女子、日本-ドイツ。NHK BS1で放送予定でしたが、中継スタッフに新型コロナ感染が出たためテレビ中継は中止。YouTube「カーリングYAMAチャンネル」で、公式サイトの「Shot by Shot」という1投ずつ更新される図を使って生配信されていました(自分も見てました)。

youtu.be

 しかも、ドイツの選手にも新型コロナ感染が出たため、ドイツは3人で試合をしているという別のレアシーンを見られた試合でもありました。この試合が中継されていれば、多くの人が2つのチェックを獲得できたことでしょう。

時間切れ負け

 2016年PACC女子、決勝の中国-韓国。

youtu.be

 ダブルテイクが決まれば優勝勝ちの中国ラストストーンを前に、厳しい顔のキム・ウンジョン(メガネ先輩)と、時間切れに気がついた瞬間の王氷玉の表情が見物。

 また、2021年ミックスダブルス日本代表決定戦、吉田・松村-竹田・竹田。竹田・竹田が残り17秒で「いや、やってみよう」と最終エンド突入して、これは時間切れが見られるぞと思ったら、間に合いやがった(^_^;)

 先攻なので1投目は0秒で投げて、2~4投目を17秒以内で投げきって、最後はタイムアウトを使って0秒投球。残り時間は2秒でした。

エイト・エンダー

 2021年世界選手権女子、スイス-デンマーク

 世界選手権でエイト・エンダーは空前絶後で間違いないと思うが、前述のコロナ禍の影響があった大会なので、断片的な映像しか残っていない。残念でならない。

3人で試合をしている

 つい最近。2022年世界選手権女子、スイス-日本。コロナ禍の影響で日本が石郷岡・鈴木・北澤の3人で試合をした。NHK BS1の中継もありました。

 また、自分が最も印象に残っているのが、2015年日本選手権女子、チームフジヤマ-青森県協会。3人で試合をした青森県協会が勝ちました(^_^;) チームフジヤマは後の富士急で、まだ4強と呼ばれる前のこと。小穴や西室という選手はこの試合で初めて知りました。青森県協会には、先日行われた2022年日本選手権にも出場した木原(フィロシーク青森)と兼田(札幌協会)も所属していました。

6点差以上を逆転勝ち

 自分が知っているのは2010年バンクーバー五輪女子、日本-ロシア。

 5エンド終了時0-6から逆転勝ち。

 自分がはっきり「この試合を見た」と覚えている一番古い試合です。実況が「6点という点差はカーリングでは逆転可能ですか?」のような質問をして、解説が「難しいが不可能ではない」のように答えていたと記憶しています。自分は「1点取らせて2点取るのがセオリー」というのは知っていたので、いやいや6点は返らないでしょうと思って見ていたら、本当に、しかも結構すぐに追いついたので、「そうかー、カーリングは6点くらいは射程圏内なんだー」としばらく思っていましたが……。

 いや、やっぱり6点差逆転は相当ないですよ。「じりったー」のデータでも、-6点はすべて勝率0%です。

2023/02/11(土)追記:7点差逆転

 2023年日本選手権で7点差逆転の試合がありました。プレーオフ女子 予選3位-予選4位のSC軽井沢クラブ-フィロシーク青森戦。

 6エンド終了時1-8から逆転勝ち。

 6点差逆転でも上に挙げた試合以来見ていないと思うけど、まさかそれを上回る逆転劇が日本選手権プレーオフで見られるとは……。上記のリンクからYouTubeで実況解説付きで見られるので、みなさんぜひ見て下さい。とてもカーリングらしい試合でした。ピンゴの1チェックも達成できるし(^_^;)

投げる順番を間違える

 投げる石の色を間違えるのは時々あるのだけど、順番を間違えるのは1回しか見たことないと思う。でも、これは見たことある人も多いんじゃないかな? 注目されている試合で大々的にやらかしましたから。

y-koutarou.hatenablog.com

 2019年日本選手権女子、プレーオフ1位-2位の中部電力-ロコ・ソラーレ。9エンド、中部電力のサード2投目、松村が投げるはずのところで、フォースの北澤が投げてしまいました。NHK BS1の中継があった試合だったので、ひとしきり話題になりました。

測定の結果、同距離判定(2023/04/13(木)追記)

 2021年ミックスダブルス日本選手権、予選の吉田・清水-チーム栁澤。

www.youtube.com

 3石メジャー。ナンバー1は赤ですぐに決まるが、ナンバー2が赤か黄か、メジャーで測っても確定できない。接戦の終盤で、パワープレーを使って1点になるか2点になるかという、試合の行方を左右する重要な1点です。審判長も呼び寄せて何度も測定した結果、同距離と判定される。ナンバー1の赤だけ得点で、ナンバー2以降はカウントされず、赤1点となりました。

R11. スコア
(f) 目視でも測定機器を用いても決定できなければ同距離とみなし、以下の手順に従う。
(i) 測定が、どちらのチームが近いかを決定するための場合には、ブランクエンドとする。
(ii) 測定が 2 点目以上を決定するための場合は、それよりティーに近いストーンだけをカウントする。

*1

プレー中に石が割れる

 そんなことあるのかな? でも、ちゃんとルールブックに書いてあるので、きっと起こりえる事態なんでしょう(^_^;)

R2. ストーン

(c) ストーンがプレー中に割れた場合、「カーリング精神」に基づいて代替のストーンを置きなおす。合意が得られない場合は、エンドをやり直す。

*2

 

*1:このルールだと、後攻で相手にセンターラインを固められて、どう見ても1点取らされか1点スチールの形にされたけど、ラストドローで奇跡の同距離判定をもぎ取ってブランクに持ち込む……なんてことがあり得るわけ? 見てみたいなあ。

*2:以前、「一番大きい破片が止まった場所に置く」 と聞いた記憶があるのだけど……。いつからか変わったんでしょうか?

http://www6.plala.or.jp/t-ozawa/Baron/dete/rule2007.pdf

カーリング規則

2.ストーン

(c)ストーンがプレー中に割れた場合、代替のストーンは一番大きい岩片が静止した場所に置く。

「カーリング、9エンドの戦術の考え方」は正しかったのか?

「AIじりつくん」のカーリング勝率テーブル

 「AIじりつくん」というTwitterアカウントで、カーリングの勝率テーブルが公開されています。過去の試合結果を集計して、ある残りエンド数・点差・先攻/後攻である場合に、その試合を何パーセント勝っていたかを表にしたものです。

 この表を使うと、例えば、試合開始時の後攻の勝率は何パーセントか? 9エンド1点ダウンの後攻は、2点取りとブランクのどちらを選択した方が良いのか? などを調べることができます。

 9エンドの選択と言えば、自分は以前「9エンドの戦術の考え方」という記事を書いたことがあります。

y-koutarou.hatenablog.com

 僅差の9エンドでどのような狙いで試合を進めるのが良いのか、9エンドはそれまでのエンドとは点数の価値が大きく異なる場合がある、ということを書いた記事です。しかし、この記事での勝率は自分の観戦体感に基づいて書いたので、主観的でいまいち根拠に欠けました。

 「AIじりつくん」の勝率テーブルを見れば、自分の考えていた9エンドの戦術が正しかったかどうかわかるじゃないか。というわけで調べてみます。

勝率テーブル(先攻/後攻まとめ版)

 まず、後攻と先攻の勝率テーブルは1つの表にまとめた方が見やすいと思ったので、そのような表を作ってみました。*1

勝率テーブル(先攻/後攻まとめ版)

f:id:y_koutarou:20220228190805p:plain

カーリング勝率テーブル(先攻/後攻まとめ版)

 まず、試合開始時の後攻の勝率を調べてみましょう。試合開始時ということは、残りエンドは10*2、点差は0です。よって、縦は左端の「10」の列、横は「0」の「後」の行を見ます。すると、後攻の勝率は60.4%であることが分かります。試合開始の時点で後攻の勝率が60%以上あるというのは、注目すべき点です。

f:id:y_koutarou:20220228191825p:plain

勝率テーブル:部分図

 次に、1エンドがブランクになった場合の後攻の勝率を調べてみます。点差は0のまま、先攻後攻も変わらないので、すぐ右の列を見れば良いことになります。勝率は61.5%です。ブランクにすると少しだけ勝率が上がることが分かりました。

 そして、2エンドは後攻が1点取ったとしましょう。1点アップになりますが、1点取ったので先攻になります。したがって右上の「+1」の「先」の行を見ます。勝率は58.0%。後攻が1点取ると勝率が少し下がることが分かります。

 逆に、2エンドは先攻に1点スチールされた場合の勝率はどうなるか? 1点ダウンになったので点差は-1、点を取られたので後攻のままです。右下の「-1」の「後」の行を見ると42.0%。1点スチールされると、1点取らされた場合と比べても勝率を大きく落とすことが分かります。

後攻の勝率変化表

 表をもう1種類作りました。ある点差の後攻が、どの残りエンドで・何点取ると(取られると)勝率がどれくらい変化するかを、勝率テーブルを見て計算して表にしたものです。

 表は後攻から見て1点アップ・同点・1点ダウン・2点ダウンの4種類作りました。横がそのエンドを終えての残りエンド数、縦が後攻が取った点数です*3

後攻の勝率変化表:1点アップ

f:id:y_koutarou:20220228190802p:plain

後攻の勝率変化表:1点アップ
後攻の勝率変化表:同点

f:id:y_koutarou:20220228190809p:plain

後攻の勝率変化表:同点
後攻の勝率変化表:1点ダウン

f:id:y_koutarou:20220228190800p:plain

後攻の勝率変化表:1点ダウン
後攻の勝率変化表:2点ダウン

f:id:y_koutarou:20220228190757p:plain

後攻の勝率変化表:2点ダウン

 例えば、試合開始直後(=同点)の1エンド(=残り9エンド)の後攻は、ブランクにすると勝率が1.1上がる*4、2点取ると12.7上がる*5、1点取らされると5.7下がる*6ことが分かります。

 この表を見ると、その得点を取ることの価値がどれくらいか、またその価値が他の点差・エンドと比べて大きいか少ないかが分かりやすいと思います。

「9エンドの戦術の考え方」の内容は正しかったのか?

 以上の表を使って、「カーリング、9エンドの戦術の考え方」で書いたことが正しかったかどうか調べてみましょう。

序盤~中盤はやはり原則通り

 序盤~中盤のそれほど点差が離れていないエンドについて、「9エンドの戦術の考え方」では次のように書きました。

  • 後攻:2点取り > ブランク > 1点取り > 1点スチール
  • 先攻:1点スチール > 1点取らせ > ブランク > 2点取られ

 この原則が正しいことは、勝率テーブルからも読み取れます。ほとんどのエンド・点差で、後攻にとっては1点取りよりブランクが、ブランクより2点取りが勝ります。極めて少数の例外*7を除いて上記の関係が崩れることはありません。

 というわけで、この点に関しては自分が思っていたとおりでした。

10エンド1点ダウンの後攻は結構不利

 しかし、10エンドの状況は自分が思っていたものとは違いました。「9エンドの戦術の考え方」では次のように書きました。

10エンド同点の後攻が勝つ確率は2/3~3/4という感覚です。
  • 10エンド同点なら後攻有利
  • 10エンド後攻1点ダウンなら互角
  • 10エンド後攻2点ダウンなら先攻有利

 まず、10エンド同点の後攻の勝率が自分のイメージと異なりました。勝率テーブルによると、10エンド同点の後攻の勝率が75.0%もあります。「2/3~3/4」と書いた上限ぎりぎりです。思ったより高いという印象です。

 そして、後攻1点ダウンは先攻・後攻とも互角という点も、勝率テーブルによると違いました。

  • 10エンド1点ダウンの後攻:42.3%
  • 10エンド1点アップの先攻:57.7%

1点アップ先攻の方が有利というデータです。しかも、結構大きな差があります。これは意外でした。

 なお、「2点ダウンの後攻」と「同点の先攻」の比較では、次のように書きましたが、

「2点ダウンの後攻」より「同点の先攻」の方が有利です。
  • 10エンド同点の先攻:25.0%
  • 10エンド2点ダウン後攻:14.5%

2点ダウンの後攻より同点の先攻の方が勝率が高い。これについては、自分が思っていたとおりでした。

9エンドの戦術にもズレが……

 これに伴い、9エンドの戦術の話も修正が必要になります。「9エンドの戦術の考え方」では、9エンド同点の場合について、次のように書きました。

9エンド同点

後攻:2点取り > ブランク >>> 1点取らされ = 1点スチール
ブランクの価値が高い。2点取るのも良いが、ブランクでも十分有利。1点スチールは怖くない。
先攻:1点スチール = 1点取らせ >>> ブランク > 2点取られ
狙いはほぼ1点取らせのみ。スチールの価値が低い。

要するに、同点の後攻はブランクの価値が高く、1点スチールされても問題ないという事です。

 しかし、勝率テーブルを見て、9エンド同点の後攻が9エンドの結果によって勝率がどうなるかを調べと、次のようになります。

  • 2点取り:85.5%
  • ブランク:75.0%
  • 1点取らされ:57.7%
  • 1点スチール:42.3%

 ブランクの価値が高いのは確かですが、2点取りの価値もブランクより十分高いように思えます。また、1点取らされと1点スチールを比べても、1点スチールの方が十分痛いように見えます。

 後攻の勝率変化表を見ても、同点の残り1エンド(=9エンド)をブランクで終えると+9.0となっています。8エンドのブランクはわずか+0.1ですし、それより前のブランクも高くても+3くらいなので、9エンド同点のブランクの価値が高いのは確かです。しかし、同じエンドで2点取りなら+19.5。ブランクの+9.0よりかなり大きいです。

 また、1点取らされは▲8.3と、それまでのエンドと比べてマイナスが大きいのは確かですが、1点スチールは▲23.7とそれ以上に大きい。「1点スチールは怖くない」は言い過ぎのように思えます。

 1点ダウン後攻の場合も似たような感じです。「9エンドの戦術の考え方」の記述は以下の通りです。

9エンド後攻1点ダウン/先攻1点アップ

後攻:2点取り = ブランク >>> 1点取らされ > 1点スチール
狙いはほぼブランク。2点取りのメリットがない。
先攻:1点スチール > 1点取らせ >>> ブランク = 2点取られ
1点スチールか1点取らせ。2点取られは怖くない。

後攻は2点取りの価値が低く、ブランクの価値が高いと思っていました。しかし、9エンド1点ダウンの後攻の勝率がどうなるかを勝率テーブルで調べると、次の通りです。

  • 2点取り:57.7%
  • ブランク:42.3%
  • 1点取らされ:25.0%
  • 1点スチール:14.5%

 ブランクにして1点ダウンの後攻を維持するよりも、先攻になってでも2点取って逆転してしまった方が勝率が高くなります。「2点取りのメリットがない」なんてことはありません。

 また、先攻としても1点取らせの価値は高いですが、簡単にブランクにできるところを、1点取らせを狙って失敗して2点取られてしまう損もそれなりに大きいです。1点取らせのチャレンジをする場合は、成功率を考える必要があるということになります。

 総じて、勝率テーブルから読み取れることは、カーリングの後攻・先攻の狙いの原則――

  • 後攻:2点取り > ブランク > 1点取り > 1点スチール
  • 先攻:1点スチール > 1点取らせ > ブランク > 2点取られ

――は、ほとんどの場合に有効であるということです。多少の違いは生じますが、極端に大きな違いはない。後攻は2点取りを狙う。できないならブランクを狙う。先攻は1点取らせ、できれば1点スチールを狙う。接戦の終盤でも、この原則は変わらないということだと思います。

その他の勝率テーブルから読み取れること

 これまで見てきた以外で、勝率テーブルを見て思ったことをいくつか書きます。

「偶数エンドの後攻を持つと有利」は本当か?

 よく「偶数エンドの後攻を持つと有利」と言われます。お互いに後攻で得点を取るとすると、交互に後攻エンドが回ってくる。すると、偶数エンドで後攻を持つ方が後攻エンドが1回多くなり、より多く得点できるということです。

 偶数エンドで後攻を持った方が有利ということは、後攻にとって、奇数エンドをブランクにする価値が高い、また偶数エンドで得点を取る価値が高い、となっているはずです。

 後攻の勝率変化表を見ると、確かにそう読み取れる部分もあります。例えば、1点ダウンの表の0点(ブランク)の行を見ると、ちょうど残り5・3・1エンドではプラス、残り4・2エンドではマイナスになっています。つまり、5・7・9エンドをブランクにして偶数エンドを後攻で迎えると勝率が上がるが、6・8エンドをブランクにして奇数エンドを後攻で迎えても勝率は下がるということです。

 また、同点の表の1点取りの行でも、残り4・2エンド=6・8エンドで1点取っても勝率の減少はわずかですが、残り3・1エンド=7・9エンドで1点取ってしまうと6・8エンドで1点取るよりも大きく勝率が下がります。

 しかし、偶数エンドか奇数エンドかによる勝率変化の差は、それほど大きくありません。そして、偶数エンドでも奇数エンドでも、2点取れば勝率は大きく上がります。例えば、1点ダウンの後攻の9エンドをブランクにすると+7.0。これはブランクによる勝率アップとしては大きな数字ですが、しかし、同じエンドで2点取れば+22.4。ブランクよりもかなり大きいです。その他の部分を見ても、どのエンドでも2点取ると、ブランクや1点取りの場合と比べて勝率は大きく上がります。

 こう見ると、結果的に偶数エンドが後攻になるのは悪くありませんが、それを積極的に狙うほどの大きな得はないように思えます。たとえば、奇数エンドの後攻だからといって、2点取る可能性をなげうってまで最初からブランク狙いに行くのは、損をしている可能性が高いと思います。

8エンド同点のスチールは価値が高い

 そんな中、大きな違いがあると言えると思うのが、同点の表の残り2エンドの-1点。つまり、8エンド同点の1点スチールです。▲30.6(先攻から見れば+30.6)という大きな勝率変化になっています。1点取らせでは▲1.2ですので、表の他の部分と比べてもその差は大きいです。同じ8エンドスチールでも、同点以外ではそこまで大きな差はありません。

 8エンドを同点で迎えた先攻は、1点取らせで満足せず、何が何でもスチールを狙う価値は十分あると思います。逆に、後攻は悪くても1点は取る。とにかくスチールは避けたい。

 また、8エンド1点ダウンの後攻も似たような数字になっています。2点取りは+23.7、ブランクは▲5.7なので、2点取りの価値がすごく高い。ブランクでは不十分。

 9エンドを迎えた時点で、先攻なら1点リード、後攻なら同点。ここがその試合を勝てるかどうかの境目のスコアという事でしょう。*8

やっぱりスチールは痛い

 後攻の勝率変化表のほとんどの部分で、スチールされると後攻の勝率は大きく下がります。やはり後攻にとってスチールされるのは痛いことがわかります。

 5ロックルールになって後攻の価値が高くなったと考えると、1点スチールして不利な先攻のままでいるよりも、1点取らせて後攻になって次に3点以上を狙う方が良いのでは?と思うこともありました。しかし、表から読み取れるデータではそんな事はありません。序盤でも終盤でも、勝っていても負けていても、スチールできるならスチールするに越したことはないということです。

本当にこの勝率なの?

 ここまで書いてきましたが、本当にこのデータは実際の試合の勝率を表わしているのか?という疑問は少しあります。

 先日まで行われていた北京五輪男子準決勝のスウェーデン-カナダの試合の中継の中で、こんな場面がありました。8エンドを終えて、4-3でスウェーデンリード。9エンド後攻はカナダ。つまり、9エンド後攻1点ダウンという状況です*9。解説は両角友佑。実況はTBSの熊崎風斗。

実況「9エンド目カナダが点数を取ると今度10エンド目スウェーデンが後攻になると考えますと、カナダはここ確実に複数得点ですよね?」
両角「もしくは、ブランクという手もありますね」
実況「はあー! なるほど」
両角「要は、複数得点が取りやすい後攻であれば、1点ダウンの状態で最終エンドを迎えるというのも選択肢の一つに入ってくるので」
実況「なるほど」
両角「逆に言うと、いま5ロックルールというのになってから、1ダウンで最終エンドを後攻で迎える方が、いいって思ってるチームもいるので。逆にここで2点を取ることによって、自分が1ダウン(筆者注:アップの言い間違い)の先攻になってしまう方が不利と捉えるチームの方がいま多いんですよね」
実況「そういうことなんですね」
両角「なのでここは複数得点を狙うよりも、おそらく気持ちはブランク側に……をしたいという思いの方が強いのではないかと思いますね。
 逆に言うと、スウェーデンはここ2点取られてもいいので多少無理できるんですよね」

 実際、このエンドのカナダはテイクを多用する守備的な戦術で、解説通りのブランクになっています。

 勝率テーブルによると、先にも紹介したとおり、10エンド1点アップの先攻の勝率は57.7%、1点ダウンの後攻の勝率は42.3%。両角解説によると、1点アップの先攻の方が不利と考えるチームの方が多いという話ですが、勝率テーブル上はそうなっていません。これは、選手たちの感覚の方が正しいのか、この勝率テーブルを見たら考えが変わるのか、あるいは違うデータを見ているのか。*10

 冒頭に紹介したAIじりつくんのツイートによると、この勝率テーブルは「女子トップチームの過去3シーズンの2000試合以上」を調べた結果だそうです。2000試合というのは十分な試合数のようにも思えますが、勝率テーブルを見ると、理屈の上ではおかしな部分がいくつかあります。例えば、「残り1エンド同点(=10エンド同点)」と「残り0エンド同点(=エキストラエンド)」は勝ち負けの条件は同じなので、勝率は近い数字になるはずです。しかし、残り1エンド同点の勝率は75.0%、残り0エンド同点の勝率は81.5%、無視できない差があるように思えます。この差はサンプル数を増やせば解消するのでしょうか?

 ただし、サンプル数を増やそうとする場合は、問題が1つ。カーリングはルールが変わることです。少し前には、2018-2019年シーズンからフリーガードゾーンのルールが4ロックから5ロックルールに変更されたという事がありました。当然、変更前と変更後では、戦術選択やその結果、勝敗に変化があったことでしょう。

 そして、2022年の世界カーリング選手権(女子は3月19日から、男子は4月2日から)では、ウィック禁止ルール(センターライン上にある石は、フリーガードゾーンルールが明けるまでセンターラインから外してはいけない)が採用されるそうです。

 ということは、これからデータの取り直しをする必要があるということですか? データを集めるというのも本当に大変なことです。

*1:残り0エンド・-1エンドで点差がある場合の勝率を入れています(100%か0%)。

*2:10エンド制の試合の場合。以下、この記事では試合は10エンド制であることにします。

*3:なお、ほとんどの場合で1点取るよりブランクの方が勝率が高くなるので、「0」の行を「1」の行の上に配置しています。

*4:60.4%→61.5%。

*5:60.4%→73.1%。

*6:60.4%→45.3%

*7:例えば、2点ダウンの残り8エンドの後攻は、ブランクにすると22.2%、1点取ると27.7%なので、1点取る方が勝率が上がるということになっています。また、当然ながら、残り1エンド同点の後攻は、ブランクよりも1点取る方が勝ります。

*8:なお、8エンド同点の後攻は、ブランクにできるところを1点取る必要はありません。9エンド1点アップの先攻より、9エンド同点の後攻の方が勝率は(少しですが)高いので。

*9:次のリンク先で試合動画を見ることはできますが、紹介した解説部分は含まれていません。

*10:男子と女子では異なるということもかも知れませんが。