前回は第2回スワローズ検定1級の答え合わせと問題分析をしてみましたが、今回はもう少し具体的に、スワローズ検定1級に合格するにはどうしたらいいかを考えてみます。
事前に知っておける問題は逃さない
事前の準備で重要なのが、試験に出る問題をできるだけ知っておくことです。事前に知っておければその問題はほぼ100%正解できますから。
前回も少し書きましたが、今回の1級の試験問題では、結果的に事前に知っていた問題がいくつもありました。問題を知るルートは主に3つ。1つ目は過去問。2つ目は『笑福亭べ瓶のスワいち!』で放送された問題。3つめが公募問題です。
まず過去問。第1回2級から14問出題されました。自分はまったく同じ問題が出るとは思わず、復習をおろそかにして1問落としてしまったのは前回も書いた通り。次回は、今回の1級試験から再び出題される問題もあるかもしれません、過去問のチェックは真っ先にやるべきでしょう。
ただ、今回は第2回なので、今回1級を受験した人の多くは第1回2級を受験していたと思います。しかし、次回からの1級受験者は「第1回2級合格・第2回1級不合格」「第1回2級不合格・第2回2級合格・第2回1級併願不合格」「第1回受験せず、第2回2級合格」など、さまざまなパターンが想定できます。それぞれに知っている過去問が異なることになります。いろいろな試験の過去問から出題されるとすれば、できるだけ多くの試験を受験していた人が有利です。また、友人間などで受験していない過去問についての情報交換ができれば非常に有利ということになります。ちょっと不公平な感じがします。
過去問集が発売されればこのような有利・不利は解消されることになりますが、過去問がそのまま試験に出題される状況を見ると難しいのかもしれません。それにしても、過去問集は出してほしいけど。受験すれば問題と解答は知ることができるけれど、解答の根拠はわからない。公式テキストのような問題の解説が読みたい。正直、いまだに納得できない問題もあるんだけど(^_^;)
次に、『スワいち!』で放送された問題について。全部で9問出題されました。この9問はこの番組を見ていればほとんど正解できます。この番組を見ていなかった人はそれだけでかなり不利と言えます。不公平な感じがしないこともないですが、スワローズ検定の勉強をしようと思ってネットで検索すれば知ることは可能な情報です。このくらいは知っておくべきということでしょう。
また、個人が独自に作った問題がブログなどにアップされていますが、それに近い問題が何問か出題されていました。主催者側も問題作成には苦労しているようなので、ネット上で簡単に見つかって問題にしやすそうな情報は、やはり出題されやすいということです。ネット検索は怠れません。
3つ目の公募問題ですが、これは釈然としない気持ちが残ります。自分も応募して、しかも1級に2問も採用されてしまったので「お前が言うな」状態ですが、これってずるくないですか? 問題を応募した人だけが問題を事前に知っているわけですから。過去問や『スワいち!』の放送と違って、ほかの受験者がその問題に触れるチャンスがほぼないので不公平感が強くなります。自分も含めて、採用された人は18人、そのうち2問以上採用された人が6人、最大5問採用された人もいます。
問題公募という試みはおもしろいと思います。スワローズ検定に「問題を作る」という楽しみ方を生み出している面もあります。しかし、自分で問題を作成した試験を受験するというのはやはり不自然です。不公正と言われても仕方がないと思います。公募するにしても何かしらの制限をつけるべきだと思います。たとえば、すでに合格した級にしか出題できないとか、自分が受験する級には出題できないとか、1人1問に限るとか。実際にどう実行するか難しい面もありますが。
2級・3級では今回も公式テキストから多くの問題が出題されたようですので、これが合格への足がかりとなります。しかし、今回の1級では公式テキストからの出題は1問もありませんでした。新しい公式テキストが発売されない限り、1級では今後も公式テキストからの出題はないと予想します。
古い問題ばかりとは限らない
1級(2級も)では国鉄以来のスワローズ全史が出題範囲となっています。古い時代の問題が難しいと考える人が多いでしょう。実際に試験問題を解いた人からもそういう声をよく聞きます。「1級は難問揃い」と聞くと「国鉄時代や初優勝以前の古い時代の難問が数多く出題されたのだろう」という印象を持つかもしれません。
しかし、実際に問題を調べてみると、そうでもありません。次の表は第2回1級の時代別問題数と自分の正解数です。時代の分類は前回書いた通りです。
第2回1級試験の時代別問題数
分類 |
西暦 |
問題数 |
正解数 |
正解率 |
歴史 |
~1949 |
2 |
2 |
100.0% |
国鉄 |
1950~1965 |
11 |
8 |
72.7% |
アトムズ |
1965~1973 |
9 |
8 |
88.9% |
V1時代 |
1974~1984 |
10 |
6 |
60.0% |
土橋関根 |
1985~1990 |
9 |
5 |
55.6% |
黄金時代 |
1991~2005 |
19 |
14 |
73.7% |
古田小川 |
2006~2014 |
11 |
7 |
63.6% |
現代 |
2015~ |
12 |
5 |
41.7% |
総合 |
- |
17 |
11 |
64.7% |
この通り、各年代から満遍なく出題されています。黄金時代の出題数が多いのは、優勝というのは球団史として重要な出来事だから当然です(単純に分類上の年数が長いというの理由もありますが)。問題の難度も、あくまで自分の場合ですが、古い問題の方が正解率が低いということはなく、むしろ最近の問題の正解率の方が低い傾向があります。自分の勉強が古い時代のものに偏っていた嫌いもあります。古い問題は、記録にしてもエピソードにしても、ある程度有名な・目立つ・問題にしやすいものからしか出題されないのに対して、最近の問題はどこから出題されるかわからないので、事前対策がしにくいという面もあります。
現代という短い期間から12問も出題されたというのも注目です。次回の試験でも同程度出題される可能性が高いでしょう。その年の出来事であれば過去問で対策することもできません。現在のヤクルトの動向も日々追っていくことも、1級合格には必要となります。
今回の1級試験では、日本シリーズ関連の問題が数多く出題されました。特に目立ったのが日本シリーズのスコアを示して、どの年の何試合目だったかを問う問題です。例えば、こんな問題。
次のスコアは何年の日本シリーズの第何戦のスコア?
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
|
西武 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
ヤクルト |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
X |
1 |
- 1992年第4戦
- 1992年第2戦
- 1993年第4戦
- 1997年第1戦
この問題を見て「1試合ごとのスコアなんて覚えてない」と思うかもしれません。でもこの問題、スコアを覚えていなくても解けます。
まず、日本シリーズの対戦相手と勝敗は覚えておく必要があります。
白黒だけを見て覚えようとすると大変ですが、「1978年は阪急有利と言われて、序盤は黒星先行したが、中盤で逆転し第7戦までもつれて大杉勝男の一発で上田利治監督猛抗議」、「1992年は杉浦享の代打サヨナラ満塁本塁打から始まるが、その後は下馬評通り西武が勝ってやはりダメかと思ったら第7戦までもつれて岡林洋一熱投」というようなストーリーを思い浮かべると比較的楽に覚えられます。1995年は「小林宏-オマリーの14球」がどんな状況だったか、2015年は山田哲人の3連発がどんな状況だったかを思い浮かべましょう。
そして「その試合がどの球場だったか(≒どちらが先攻か)」「先発投手は誰か」「その先発投手はそのシリーズでどのくらい活躍したか」を覚えておきましょう。球場はその年のどこか1試合わかれば全部わかります。先発の順番はその年のレギュラーシーズンの活躍と関連づけると覚えやすいと思います。
ここまでわかっていれば、この問題はスコアを知らなくてもまず解けます。まず勝敗の時点で3と4の2択になります(実は、2は先攻・後攻が逆なだけで同じスコアなので、勝敗がわからないと難しくなります)。そして4はヤクルトが先攻なので、これだけで3で確定です。
先攻・後攻が分からない場合でも、1993年4戦のヤクルトの先発は川崎憲次郎で、このシリーズで川崎憲次郎はMVPを受賞していることを思い出せればヒントになります。1997年第1戦先発の石井一久も1-0完封ですが、1997年第1戦については、公式テキストの142問目でテータムが8回に均衡を破る本塁打を打ったという問題があるので、これを思い出せれば。
というように、日本シリーズのスコア問題は、そのシリーズに関する総合的な知識が問われ、しかもさまざまなアプローチで答えにたどり着ける良問だと思います。
このような日本シリーズスコア問題は全部で3問ありました。それも含めて日本シリーズに関する問題は全部で13問出題されました。日本シリーズはしっかり勉強しておく必要があるでしょう。
それに対して、もう一つのポストシーズンであるクライマックスシリーズ(CS)に関する問題は、なんと1問も出題されませんでした。昨年は久々に日本シリーズに出場できましたが、それまでは近年のヤクルトのポストシーズンと言えばCSでした。名場面もたくさんあったと思うのに1問も出ないとは。意外だし、個人的に思い入れが強い試合が多いので残念だし、だから出題されれば正解できたと思うのでその点でも残念でした。比較的新しい出来事なので、1級の問題としては難度が足りないと判断されたのかもしれません。
第1回2級で難問として猛威を振るった「順番問題」、つまり「次の4選手のうち、○○が×番目に多いのは?」という形式の問題(第1回2級の記事で何問か引用しました)は1問も出題されませんでした。通算成績1位を当てる問題が1問出題されたのみです。なんでだろう? スワローズに対する総合的な知識が問える良い問題だと思うのだけど。特に、通算成績は意外な数字にはなりにくいので、丸暗記しなくても成績への理解があると正解できる可能性が高くなる。良問を作りやすいと思います。
スワローズ検定1級合格に一番重要なこと
以上を踏まえて、1級試験合格にはどういう勉強をすればいいか。まず、Web検索。『スワいち!』はレギュラー番組としては(今日で!)終了するようなので来年以降はどうなるか分かりませんが、出題されるかもしれないと告知されているものがないかどうか必ず調べておきましょう。また、告知されていなくてもWeb上の情報を参考に試験問題が作られる可能性は高いので、個人で練習問題を作っている方のブログなどは要チェックです。Wikipediaから出題される可能性も高いので、東京ヤクルトスワローズのページはもちろん、スワローズ関連の選手・事柄などに関するページは読んでおいて損はないです。有名なシーンはYouTubeなどに動画がアップされていることも多いので、見ておく印象に残りやすいと思います。
球団史に関することは『東京ヤクルトスワローズ公式サイト』で得ることができます。「球団のあゆみ」や「球団アーカイブ」、「40周年記念サイト」、つい先日公開された「MEDIA GUIDE」は役に立つ資料です。直接ここの情報から作られたと思われる問題も多いです。
本も読んでおく必要があるでしょう(DVDなども)。2級以上は試験範囲が国鉄時代から現代まですべてなので、スワローズ関連であればどんなものでも有用です。古い時代の話で入手しやすいのは『国鉄スワローズ1950-1964 400勝投手と愛すべき万年Bクラス球団』です。『スワローズ激動の歩み』や『ヤクルトスワローズ球団史〈1992年度版〉』はおもしろい本ですが入手困難。『東京ヤクルトスワローズまるわかり!大百科』は役に立つと思いますが、自分はまだ読んでないんだよね(^_^;) あと、長谷川晶一氏が『哀愁のスワローズ全史』という本を執筆中らしいので、来年以降は必読の本になるかもしれません。(その後、『いつも、気づけば神宮に 東京ヤクルトスワローズ「9つの系譜」』という書名で出版されました。)
そして、現在の東京ヤクルトスワローズをしっかりと見ておくこと。1級でも現在から多くの問題が出題されます。現在のヤクルトの試合内容や試合風景、新聞やテレビを見ておきましょう。
何よりも重要なのは「スワローズ愛」があることです。基本的に受かっても何の役にも立たない検定ですから、勉強の動機になるものは、それぞれあるでしょうが、突きつめると結局はスワローズ愛ということになると思います。現在のスワローズの動向を追いかけるにしても、スワローズ関連の本を読んだりネットの記事を読むにしても、スワローズのことが好きでないと続かないでしょう。
それと、現在2級を持っていなくて1級まで取りたいという場合は、1級・2級を併願した方がいいと思います。1級と2級は試験範囲がほとんど同じです。先に2級を取得してしまうと、1級試験で再び同じ範囲の勉強をしなくてはならなくなります。自分は今回、それでモチベーションが上がらず苦労しました。1級と2級の唯一の違いは、(第2回では)2級は公式テキストから問題が出題される点ですが、公式テキスト程度の知識は身につけておかないと1級も2級も受からないと思いますので、試験範囲としては大した違いにはなりません。
次回のスワローズ検定1級予想問題
最後に、次回のスワローズ検定1級の問題をズバリ予測しましょう(^_^;) 5問作りました。解答は書きませんので、興味がある方は自習しておいて下さい。最後の問題は公式テキストにも書いてあるし。
2020/07/12(日)追記:解答書きました。
問001 2013年9月15日、バレンティンは日本プロ野球シーズン新記録となる56号本塁打を放った。その時の相手投手は誰?
- 大竹寛
- 野村祐輔
- 榎田大樹
- メッセンジャー
問002 2015年の時点で、いままで神宮球場で行われたクライマックスシリーズは全部で何試合?
- 3試合
- 4試合
- 7試合
- 8試合
問003 高津臣吾が現役選手として最後に所属した球団はどこの国の球団?
- 日本
- アメリカ
- 韓国
- 台湾
問004 次のスコアは何年の日本シリーズの第何戦のスコア?
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
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? |
0 |
2 |
0 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
ヤクルト |
2 |
0 |
1 |
0 |
2 |
0 |
0 |
3 |
X |
8 |
- 1978年第2戦
- 1993年第1戦
- 2001年第3戦
- 2015年第3戦
問005 内藤尚行に「ギャオス」というニックネームを付けたのは誰?
- 石岡康三
- 野村克也
- 尾花高夫
- 小谷正勝
2020/07/12(日)追記:予想問題解答
その後、時間もだいぶ経って、スワローズ検定も開催されなくなったし、いつまでも宿題にしておくのも何なので、答えを書いておきます。
問001 3. 榎田大樹
なお、タイ記録の55号は大竹寛、現最多記録の60号はメッセンジャーから。
問002 3. 7試合
2015年までヤクルトがクライマックスシリーズに出場したのは、2009・2011・2012・2015年の4回。うち、神宮球場で試合があったのはレギュラーシーズン2位の2011年と、優勝した2015年。
2011年はファーストステージの3試合が神宮開催。2勝1敗で勝ち抜けるが、ナゴヤドームに舞台を移したファイナルステージで2勝4敗で敗退。このクライマックスシリーズはヤクルト球団史屈指の名場面。そんな記事も書きました。
2015年はファイナルステージから登場。4勝1敗(アドバンテージ1勝を含む)で日本シリーズ進出。
というわけで、3試合(2011年)+4試合(2015年)の計7試合が正解。
問003 1. 日本
通算セーブ数のNPB記録を更新(当時)するなど、長らくヤクルトのクローザーとして活躍した高津臣吾だが、MLB移籍後は打って変わって世界を股に掛けたジャーニーマン野球人生を送ることになる。
高津臣吾のプロ入り後の選手経歴は以下の通り。
- 1991-2003:(日本)ヤクルト
- 2004-2005:(アメリカ)ホワイトソックス
- 2005:(アメリカ)メッツ
- 2006-2007:(日本)ヤクルト
- 2008:(韓国)ウリ
- 2009:(アメリカ)ジャイアンツ傘下
- 2010:(台湾)興農
- 2011-2012:(日本)新潟
現役最後に所属したのはBCリーグの新潟アルビレックスなので、日本の球団。
「辞めるのがこわい。どうなっちゃうんだろうって思うんです。きびしい場面で打者に向き合ったときと似ている。想像もしたくない」
問004 4. 2015年第3戦
山田哲人が3打席連続本塁打を放った試合。5回までの5得点はすべて山田の本塁打。このスコアの「先制‐勝ち越し‐逆転」の展開を見れば、ヤクルトファンなら何年経ってもこの試合だと思い出せることでしょう。
しかし、この日本シリーズでヤクルトが勝ったのはこの1試合だけ。1勝4敗でソフトバンクに敗退した。ヤクルトは5試合とも先発が5回もたずに降板。シーズン中は「ゆとりローテ」で何とかやりくりしていたが、ソフトバンクには通用しなかった。
問005 4. 小谷正勝
『スワローズ検定公式テキスト』118ページ。
「ギャオス」のニックネームを付けられたのは、マウンドで雄叫びを上げる姿を小谷正勝投手コーチから「ギャーギャーうるさい。怪獣映画のギャオスみたいだ」と言われたことが理由だ。」