『ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド復刻版』のテキストマップ

 昨秋に復刊されたルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド復刻版』*1のテキストマップを作りました。

 『ルパン三世ゲームブック』は1985~1991年に掛けて19作発売されています。自分は何冊かは持っていますが、1冊も読んだことはありませんでした(^_^;) 今回が初プレイ。

 軽快な読み口で、まさに金曜ロードショーのテレビスペシャルの感じ。19作続く人気シリーズになったのもうなずける。読む前は「ルパンはアニメの動きと声があってこそだろ」と思う気持ちもあったが、読んでみると本当にアニメのルパンを見ている感覚でした。

 それほど難度は高くなく、サクサク進みます。サイコロ要素はなく、記録する必要があるのは体力・武器・情報の3つのポイントのみです*2。後半になっても必要とされるポイントはそれほど高くならないので、序盤でマイナスを食らわなければ、後半はポイントでENDになる可能性は低いです。さらに、ENDになっても〈再チャレンジは○○へ〉と戻るべきパラグラフが用意されている親切設計。*3

 ゲーム的な難度が低いので、展開を想像して、おもしろい選択肢を選ぶというゲームブックの醍醐味が十分味わえます。状況が(数字ではなく)文章によって提示されて、文章の選択肢を選ぶというのがゲームブックの最大の特徴だと思う。最近、デッドエンドになった回数を自慢するようなゲームブックばかりやっていたから新鮮だ。

 以下、ネタバレなのでまだ読んでいない方は注意して下さい。

テキストマップ

 ゲームよりもストーリーを楽しむ面が強いゲームブックなので、イベント選択では大きな分岐はなく、基本的に一本道です。イベント選択の分岐よりも、一つのイベントの中での分岐が多いタイプのゲームブックです。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━┓     
┃400『リターン・オブ・ニンジャ』  ┃     
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     
    ↑            ↑      
┏━━━┷━━━┓ ┏━━━━━┓│      
┃315カールゼン ┃←┨395挑戦状 ┃│      
┗━━━━━━━┛ ┗━━━━━┛│      
             ↑   │      
┏━━━━━━━━┓ ┏━┷━━━┷┓     
┃351カーチェイス ┠→┃262大統領  ┃     
┗━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛     
    ↑                   
┏━━━┷━━┓                
┃271マシュー ┃                
┗━━━━━━┛                
    ↑                   
┏━━━┷━━━━━━┓            
┃150アッシュフォード ┃←──┐        
┗━━━━━━━━━━┛   │        
    ↑          │        
┏━━━┷━━━━━┓ ┏━━┷━━┓     
┃100シャーマン戦車 ┠→┃45武器倉庫┃     
┗━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━┛     
    ↑                   
┏━━━┷━━━━━━━━━┓         
┃132『さらば愛しき巴里よ』 ┃         
┗━━━━━━━━━━━━━┛         
    ↑                   
┏━━━┷━━━━━┓             
┃364フィルム保存庫 ┃             
┗━━━━━━━━━┛             
    ↑                   
┏━━━┷┓       ┏━━━━━┓    
┃323侵入 ┃←──────┨130銃撃戦 ┃    
┗━━━━┛      ↑┗━━━━━┛    
    ↑       │  ↑        
┏━━━┷━━━━┓ ┏┷━━┷━━┓     
┃101フィルム倉庫 ┠→┃377傭兵部隊 ┃     
┗━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛     
    ↑                   
┏━━━┷━━┓                
┃223反撃開始 ┃                
┗━━━━━━┛                
    ↑                   
┏━━━┷━━┓                
┃9ギャグニー ┃←─────┐         
┗━━━━━━┛      │         
    ↑         │         
┏━━━┷━━━━━┓ ┏━┷━┓       
┃117天守閣スタント ┠→┃343毒 ┃       
┗━━━━━━━━━┛ ┗━━━┛       
 ↑  ↑                   
 │┏━┷━━━━━━━━━━━━┓      
 │┃92日本レストラン「OTAFUKU」 ┃      
 │┗━━━━━━━━━━━━━━┛      
 │  ↑         ↑         
┏┷━━┷━━━┓    ┏┷━━━━━━━━┓
┃382五ェ門の薬 ┃←──┐┃115不二子の見舞い ┃
┗━━━━━━━┛   │┗━━━━━━━━━┛
    ↑       │ ↑         
┏━━━┷━━━━┓ ┏┷━┷┓        
┃113水中スタント ┠→┃88入院┃        
┗━━━━━━━━┛ ┗━━━┛        
    ↑       ↑           
┏━━━┷━━━━━━━┷┓ ┏━━━━━━┓ 
┃200石垣スタント     ┃←┨186ワニの餌 ┃ 
┗━━━━━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━┛ 
    ↑            ↑      
┏━━━┷━━━━━━━━━━━━┷┓     
┃254キャッシーとミスター・ヤマモト ┃     
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┛     
    ↑                   
┏━━━┷━━━━━┓             
┃140ガーブスリップ ┃             
┗━━━━━━━━━┛             
    ↑                   
┏━━━┷━━━━━━┓            
┃2グローバル本社ビル ┃            
┗━━━━━━━━━━┛            
    ↑                   
┏━━━┷━━━┓    ┏━━━━━┓    
┃360ハリウッド ┃←───┨63パトカー┃    
┗━━━━━━━┛   ↑┗━━━━━┛    
 ↑  ↑       │   ↑       
 │┏━┷━━━┓  ┏┷━━━┷━━┓    
 │┃195積み荷 ┠─→┃127街の近くで ┃    
 │┗━━━━━┛  ┗━━━━━━━┛    
 │  ↑         ↑   ↑     
┏┷━━┷━━━━━┓ ┏━┷━━┓│     
┃216ドライブ・イン ┠→┃162背後 ┃│     
┗━━━━━━━━━┛ ┗━━━━┛│     
    ↑             │     
┏━━━┷━━━━━━━━┓    │     
┃161アボットコステロ  ┠────┘     
┗━━━━━━━━━━━━┛          
    ↑       ↑           
┏━━━┷━━━━┓ ┏┷━━━━━━━┓   
┃1砂漠の田舎道で ┠→┃380ガラガラヘビ ┃   
┗━━━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━┛   

感想など

 以下、プレイした感想などをいくつか。かなりネタバレです。

序盤が難しい

 先ほど「それほど難度は高くなく」と書きましたが、まったく難しいところがないというわけではありません。

 特に難しいのが序盤。このゲームブックで一番難しいのは、最初のいくつかの選択肢だと思います。どちらもありそうな迷う選択肢が続くし、ポイントマイナスも大きい。特に、283番→65番で体力ポイント-2・武器ポイント-1って厳しすぎません? こんな一気にポイントマイナスを食らうのはここだけだし。序盤でこのマイナスを食らうと、162番・52番・350番で〈再チャレンジ〉を使っても先に進めないハマリ状態になる危険が高くなります。

 TBSラジオ「たまむすび」でこの本が取り上げられた際、パーソナリティの赤江珠緒が最速バッドエンドを引いたと聞き「さすが赤江珠緒!(ポンコツ!)」と思いましたが、撤回します(^_^;) このゲームブック、このENDが一番陥りやすいよ!

www.tbsradio.jp

謎な選択肢

 なんでこんな選択肢があるんだろう?という箇所が2つあります。

 1つ目。五ェ門に「日本料理を食いに行こう」と誘われるシーン(5番)。当然、日本料理屋に行くのが普通の展開。しかし、ここで「君がもし、日本料理が口に合わず、ついていかないというのなら(ただし情報ポイントが2低下します)」という選択肢が存在します。五ェ門の誘いを断る理由がないし、情報ポイント-2なんてべらぼうなペナルティを払ってこんな選択肢を選ぶわけがない。

 2つ目。アッシュフォードのガードマンに取り囲まれて捕まるシーン(150番)。一度敵に捕まった後に一展開あるというよくあるパターンですが、ここで「どうしても捕まるのがいやなら必死の反撃を試みてみよ(体力ポイント3とひきかえに)」という選択肢が存在します。この状況で反撃するなんて極めて不自然だし、体力ポイント-3というペナルティも厳しすぎて(実際、この後ENDになる可能性が高い)、こんな選択をするわけがない。しかも、この選択肢を選ぶと不二子の登場シーンがすっ飛ばされるので矛盾が生じるし。

 どちらも、この選択を選ぶことは物語的にもゲーム的にも意味がないし、この選択肢を選ぶプレイヤーがいるとは思えない。無くても十分成立するし、無い方が自然。何でこんな選択肢を作ったんだろう?

マシューに会ったことある?

 後半のマシューの登場シーン(135番)で、ルパンはマシューのフルネームを知っていることになっていますが、知る機会あったかなあ?

 パトカーでハリウッドに来た場合はもちろん知っていますが(63番)、それ以外の手段で来る場合もあります。グローバル本社(2番)で、「あの警官」であることはわかりますが、パトカーに乗って来なかった場合は名前はわからない。入院中は、「M・M」に心当たりがなければもちろんわからない(88番)。日本料理屋で銭形がマシューと呼んでいるシーンはありますが(89番)、フルネームはわからない。他にマシューの名前が出てくるシーンはなかったと思うけど……。

35の結末が君を待つ?

 冒頭の「ゲームブックの遊び方」で、「この本では読者のために、それぞれ異なった三十五の結末が用意されています。」と書かれていますが、「END」で終わるパラグラフは37個あったような……。*4

 311番や400番はカウントしないのかな?とも思ったけど、そのあとに「結末のうち、読者を満足させるハッピーエンド、ベターエンドはごくわずかです」とも書かれているし……。

情けないエンド

 それらのENDの中でも自分が大好きなのが355番。あっさり敵の手裏剣の餌食になるなんとも情けないEND。文章が短いのがまたいい。そりゃそうなるよな。

 これまでは選択ミスでENDになる場合でも、その前か後にポイントによる救済がある場合が多かったが、ここでは選択ミス一発でENDになる。ゲーム後半になっていよいよ殺しにきてるなと実感するイベント。

2つのグッドエンド

 もう一つ、印象的なENDが311番。「END」と書かれているが、そのあと400番へ行けるようになっている。自分としては、こちらのルートの方が好きだな。

甘酒進上

 「甘酒進上」という言葉、初めて知ったなあ(206・278番)。要するに「やーい、ここまでおいで」に続けて相手をからかう言葉か。『火吹山の魔法使いふたたび』の「多多益益弁ず」に続いて、ゲームブックは勉強になります(?)。

入院シーンを通らないのはもったいない

 ルパンがケガをして入院するシーン(88番)。謎の花束が贈られてきたり、不二子が謎の行動を取ったりと面白い場面・面白い選択肢が続くこのゲームブック屈指の名シーン。しかし、基本的にポイントが基準以下か、選択ミスで来るシーンなので、最善の選択肢を選んでいると通らない。ここを通らないでクリアできてしまうのはもったいない。

 また、後半の傭兵部隊との銃撃戦のシーン(130番)も、弾倉交換や不発などかっこいい場面が多く、なかなか複雑な分岐をするイベントだが、赤外線警報装置を爆破しようとして敵に気づかれた場合にしか通らない。武器ポイントが3~4の場合しか来られないというレアイベントになっている。

分岐も合流もないパラグラフが多い

 このゲームブックの欠点として指摘しておかなければいけないのが、分岐も合流もないパラグラフがかなり多いこと。つまり、ゲームブックの構造上は分割する必要がないのに複数のパラグラフに分割されている箇所が多い。これをされると、パラグラフを探す回数が無意味に多くなって読む手間が掛かる。こういうパラグラフはできるだけ1つにまとめてほしかった。

 この点は、この本の「資料編2 ゲームブックの作り方」でも書かれて「時間経過や場面転換表現として《中略》演出的に次の項目に移動するのはアリということにはなっていました」(265ページ)とあります。多少はありだと思いますが、それにしても。

一番美しいルート?

 このゲームブックは簡単すぎて歯ごたえがないと思っている方へ。こんな遊び方はいかが?

 以下の項目をすべて達成した上でクリアできるか? なお、〈再チャレンジ〉は使わない。また、ポイントの初期値は最低1(0は不可)で、開始後は0やマイナスもあり得るとします。

  1. パトカーでハリウッドに行く(381番)
  2. 水中スタントを行う(113番)
  3. 入院中に不二子と会う(115番)
  4. 手裏剣でケガをする(157番か212番)
  5. ルパンから「君」への呼びかけを受ける(253番)

 これらのポイントを通るのが物語的に美しいルートだと思う。パトカーに乗らないとマシューとの接点が薄い。水中スタントは前半の難所。入院して不二子と会うシーンはこのゲームブック屈指の名場面。手裏剣でケガをしないと複線を回収できない。400番への道はいくつかあるけど、253番は特別感があるよね。というわけで、これらを通過するルートでクリアしてみようというチャレンジ。

 この遊び方の攻略ポイントを挙げると、最大の難所は天守閣スタント(28番)。ここで体力+武器+情報ポイントが11以下であることが必須となる。12以上あると手裏剣を回避してしまうので「手裏剣でケガをする」が達成できない。よって、序盤はあえてポイントマイナスを食らう・ポイントプラスを取らない選択をする必要がある。

 しかし、ポイントが低ければ良いというものではない。最終的には体力ポイント4以上・武器ポイント6以上が必須となる。28番を合計11ポイント以下で通過した後でこれを実現できるか? 28番以降で体力ポイント-1は確定だし、武器ポイントが高すぎると取れないプラスもある。1ポイントも無駄にはできない。

 序盤の抜け方も難所。基本的に体力ポイントと武器ポイントが不足しがちなので、その2つに初期値を割り振りたいところ。しかし、その2つが高すぎると、ドライブ・イン(294番)の23番で体力+武器ポイント7以上だとトレーラーでハリウッドに行ってしまい「パトカーでハリウッドに行く」を達成できない。しかし、23番を回避して44番へ行くと、その場合は情報ポイントが低いはずなので、44番で情報ポイント3以上ないとENDになってしまう。ここを抜けるには?

 また、水中スタントを経て入院するには、石垣スタント(200番)を抜けた上で水中スタントで武器ポイント3以上(220番)が必須なので、ここでも工夫が必要。

 コツとしては、情報ポイントは序盤から上がりやすく、プラス・マイナスを取るかどうか選べる場合が多いので、ここで調整する。それでも条件はかなり厳しい。最善の選択肢を選ぼうとするプレイではなかなか通らないルートを使う必要もあるので、ひと味違ったプレイにもなると思う。興味のある方はぜひ挑戦して下さい。

*1:ところで、Amazonのページではタイトルが『ルパン三世ゲームブック さらば愛しきハリウッド復刻版 (ゲームブックシリーズ 1)』と、“(ゲームブックシリーズ 1)”がついた形になっています。しかし、“ゲームブックシリーズ 1”は旧版のタイトルであって、確かに復刻版の表紙にも書いてあるけれど、それは旧版の表紙をそのまま取り込んだデザインだから載っているだけであって、復刻版のタイトルとしては“ゲームブックシリーズ 1”は含まれていないですよね? 要するに、Amazonは復刻版が2・3……と続いていくと考えているに違いない(^_^;)

*2:まれに、行動記録メモを取るように指示されますが、記憶に頼っても十分な程度です。

*3:これを使っても先に進めなくなることもありますが……。

*4:「END」で終わる項目番号を列挙しておきます。

  1. 13
  2. 35
  3. 38
  4. 22
  5. 181
  6. 141
  7. 359
  8. 139
  9. 236
  10. 163
  11. 210
  12. 194
  13. 193
  14. 328
  15. 355
  16. 373
  17. 335
  18. 301
  19. 21
  20. 317
  21. 147
  22. 202
  23. 320
  24. 229
  25. 137
  26. 285
  27. 239
  28. 136
  29. 244
  30. 265
  31. 296
  32. 204
  33. 234
  34. 311
  35. 114
  36. 231
  37. 400