8年ぶりに新しいパソコンを買った

 メインで使うPCを買いました。

 購入した最大の理由は、いままで使っていたPCが壊れかけたから。1年ほど前から突然ブルースクリーンで落ちることが時々あって、もうそろそろ買わないといけないなあと思いつつそのまま使ってました。そうしたら、10月はじめごろに1日に3回立て続けにブルースクリーンで落ちた(´・ω・`) これはさすがにやばいと思ってあわてて購入した。

 自宅に据え置きで使うPCだから、やはりミニタワーくらいの大きなケースのPCがいいよね、と思って探し始めました。でも、大手メーカーだともうミニタワーみたいなPCは売ってない。据え置き型だとディスプレイ一体型のPCしか見つからない。確かにこういうPCでもいいのかもしれない、と思わなくもないけど。面倒くさがりの自分は実際そんなに増設とかしない。テレビはHDD内蔵型を便利に使っている。一体型に拒否反応を示すのは合理的ではないかもしれない。とはいえ、PC本体とディスプレイが分離できないというのはまだ抵抗あるなー。ノートならわかるけど。それと、旧PCに2TBのハードディスクを増設していて、それは取り出して新PCにつなげるつもりだし。

 というわけで、今回はマウスコンピューターBTOパソコンを購入しました。マウスコンピューターは安いという評判は聞いたけれど、PCの性能の細かいことはわからないので、他社製品と比べて安いかどうかというのはよくわからない。

 今まで使っていたPCを買ったのは8年前のこと。もうそんなになるか……。自分が今まで使っていたPCの中で、一番長く使っていたPCということになります。それでも、性能的にはまだまだ全然使えるつもりだったけどね。まだサブPCとして使うつもりだし。ブルースクリーンさえ出なければ。

 愕然とするのが、8年前に買ったPCのHDDが500GBだったという事実。しかもCドライブは80GBしかない。これでも当時はそれなりの容量だったはずだ。今回買ったPCはCドライブだけで240GB、しかもSSD。さらにHDDで4TB。この容量でも少ないと思う日が来るのでしょうか。

 初めて自分用のPCを買ったのは(たぶん)2000年だけど、そのときはCドライブ12GB、Dドライブ2GBだった。昔は数秒の動画でも扱うのは大変でした。でも、当時はこのPCであれもこれもやってたんだよなあ。新下駄配列が完成したのは今まで使っていたPCになってからだけど、その流れの大元になるのはローマ字入力でもかな入力でもない配列を使い始めたことで、それは初代PC時代のこと。重要なことはすべて初代PCで始めていて、その後はマイナーチェンジばかりでなんて進歩のないヤツだ、と思うことが時々あります。どうでもいい話ですが。

 8年ぶりに新しいPCになって、OSも『Windows Vista』から『Windows 10』になったり、64ビットになったりしました。思ったこともいろいろあるので、これからぼちぼち書いていきます。

参考ページ:8年前にPCを買った時の話

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今浪「野球は一切やめるつもりで、道具も後輩に譲りました」

 この前の日曜日に神宮球場行きました、そこで『月刊まるごとスワローズ 第28号』を配っていたので読んだのですが、それに載っていた今浪隆博の記事がおもしろかったので紹介します。

 歌舞伎役者でヤクルトファンの板東亀三郎との対談コーナー「カメトーーク!」で、今浪の生い立ちから現在に至るまでのエピソードが語られています。

 特に面白かったのが、ケガもあり挫折していたという大学時代の話。4年生のとき、卒業したら野球はやめるつもりで月~土まで大学に通って練習は一切出ず、日曜だけ真剣に野球をしたらたまたま結果が出だした。それでも、プロへ行く気はまったくなかったという。

今浪「野球は一切やめるつもりで、道具も後輩に譲りました。スカウトの話も全くなかったのですが、けじめのつもりで一応、プロ志望届を出しました。周りからは『ばかじゃないか』と言われました」

 そうしたら、ドラフトの前日、吉野家のバイトの面接に行こうとしていたときにマネジャーから電話がきて、“スカウトが来ているから今すぐ寮に来い”と言われたそうです。

 野球をやめるつもりだった状態から突然ドラフト指名されて、プロでここまで活躍する選手になるということがあるんですね。ここ2年の今浪を見てるとなんていい選手なんだろうとほれぼれするもの。8月7日の阪神戦も神宮に見に行っていたのだけど、藤川球児から15球粘って四球を取ったシーンはすごかった。

 『明大スポーツWEB』にドラフト指名当時の今浪の記事があるけれど、今回のようなおもしろエピソードはなく、至って真面目な感じですね。

 ところで、このドラフトのエピソードは続きがあって、スカウトの話は「ある選手が獲得できなかったら指名もあるかも」という話で、その選手とは「●●です」「えーーっ!!」となります。その選手って誰でしょうね? 注釈で「名前は出せませんが、あの選手。やはり縁があるのですかねぇ」と書いてあります。記事中でわかるヒントを整理すると以下の通り。

  • 今浪と同じタイプ
  • 2006年ドラフトで日本ハムが狙っていたが獲得できなかった
  • 今浪と縁がある
  • 名字は2文字?

 上田剛史は2006年ドラフトだけどポジションが違うしなあ。この年のヤクルトは内野手は1人も獲得していない。結果的に今浪を獲得しているだから日本ハムが獲得した選手でもない。ほかの球団が獲得した内野手で今浪と縁がありそうな選手を探すと……大引啓次かな? 2006年オリックスのドラフト3位。ルーキーイヤーから正遊撃手(多少休みはありますが)。2013年に糸井嘉男らと共に日本ハムに移籍して2013~2014年途中まで今浪とチームメイトになる。2014年途中に今浪はトレードでヤクルトに移籍するが、2015年、今度は大引がFAでヤクルトに移籍して再び遊撃手の座を争うことになる。なかなかの縁だ。でも、大引なら名前出してもいい気がするけど。

 そういえば、今年の8月14日の『スワローズキッズアカデミー』というテレビ番組に今浪が出ていて、うろ覚えですが「プロ野球選手になるには?」みたいな質問に「しっかり勉強していい学校へ行くこと」(野球の強い学校という意味か?)「いや、就職先が良くなると言う意味で」というように答えていた記憶があります。今回のエピソードを知ると、この言葉も納得できるような気がします。まあ、今浪のことなのでどこまで本気かはわかりませんが……。


 蛇足です。『スワローズキッズアカデミー』と言えば、今年の7月3日の坂口智隆は素晴らしかった。番組冒頭、恒例の「みんな、おはよう」のあいさつに苦戦する選手が多い中、元気いっぱいに「みんなおはよっ!!」\(^ω^) と過去最高の明るい笑顔を披露してくれました。これはもっと評価されるべき。

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新下駄配列でもロールオーバーで打てる部分

 新下駄配列を使ってタイピングゲームでいいスコアを出したい、あるいは少しでも早く入力したいという場合の話をしようと思うのです。「新下駄配列って何?」という話は今回は省略します。機会があればいずれまた。今すぐ知りたいという方は次のページを読んでください。

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新下駄配列はロールオーバーで打てない?

 新下駄配列で速く打とうとすると、「ロールオーバーで打てない」ということがネックになってきます。ここで言う「ロールオーバー」とは、例えば「[D]を押し下げて、[D]を離す前に[K]を押す」という動作のことです。新下駄配列の場合、[D]→[K]と押して「かい」と入力しようとして[D]を離す前に[K]を押してしまうと、[D]と[K]が同時打鍵と判定されて「れ」と入力されてしまうという問題があります。

 この問題の回避方法は、基本的には[K]を押す前に[D]を離すことです。しかし、[D]を離したからでないと次のキーを押せないわけですから速度的には不利です。要するに「ゆっくり打ちましょう」ということです。ミスするくらいならゆっくり打った方が速いです。

 普通の文字入力の手段として新下駄配列を使う分にはそれでいいのですが、タイピングゲームでいちいち前のキーを離してから次のキーを押しているのでは良いスコアは出ません。

 実は、新下駄配列でもすべての部分でロールオーバーで打てないわけではありません。ロールオーバーで打てないのは、基本的にシフトが絡む単打の左右交互打鍵です。それ以外はオールオーバーで打てる部分がかなりあります。それを意識して打てると、あるいは無意識で打てるくらいまで習熟すると有利です。

 自分が新下駄配列でタイピングするときにロールオーバーできること・できないことを意識している文字列をいくつか挙げます。

ロールオーバーで打てない例

シフトキーが絡む左右交互

  • しん([L][F])
  • かい([D][K])
  • いん([K][F])
  • こと([I][S])
  • ひと([P][S])

 先に、ロールオーバーするとタイプミスになってしまうパターンを見ておきます。

 「しん」は出現率が高い上に非常にミスしやすいです。自分は「しん」が出てきたときには意図的に速度を落とします。「新下駄配列」の出だしは要注意(^_^;) 「かい」と「いん」も頻出パターン。「ひと」は出現率はそれほどでもありませんが、急いで打つと確実にミスします。1打鍵目が打ちにくいキーで、かつ2打鍵目が打ちやすいキーだからでしょう。

 全般的に、「い」([K])がシフトキーなので、左手で打ったあとに「い」を打つパターンは引っかかりやすいです。

ロールオーバーで打てる例

シフトキーがない左右交互

  • てん([F][N])
  • なん([;][F])
  • って([G][N])
  • った([G][M])
  • す。([Z][.])
  • る。([V][.])
  • です([,][Z])

 ロールオーバーで打てないパターンというのは、要するに単打面の左右交互打鍵で、かつシフトが絡む場合です。新下駄配列では「ん」([F])がシフトではないので、2打鍵目が「ん」ロールオーバーで打てるパターンがかなりあります。とは言え、左右交互打鍵でロールオーバーで打てることを瞬時に感じ取るのは習熟が必要です。「って」「った」や文末部分は明らかにシフトから外れていることが分かりやすいので、この辺から意識していくと良いと思います。

同手連打

  • てい([N][K])
  • こう([I][J])
  • して([L][N])
  • かん([D][F])
  • ない([;][K])

 同時打鍵シフトは基本的に両手を使うものしか設定されていないので、同じ手で打つ限りは好きなだけロールオーバーできます。アルペジオで打てるパターンは見逃さずに叩きましょう。

 「ない」([;][K])はアルペジオというほど打ちやすくはないかもしれませんが、これをスムーズに打てるかどうかはかなり重要です。『e-typing』の腕試しレベルチェックではよく出てくる印象があります。

[シフト]→[単打]

  • しょう([EI][J])
  • よう([DI][J])
  • せい([DN][K])
  • さい([SL][K])
  • けん([EL][F])
  • さん([SL][J])

 ロールオーバーで打てる恩恵が最も大きいのがこのパターンです。[単打]→[単打]よりも打ちやすい場合もあるくらいです。例えば、「いん」([K][F])は[K]がシフトなのでオールオーバーできません。しかし、「れん」([DK][F])になると、[K]のシフトが[D]に使われるので、[F]をロールオーバーで打つことができます。

 「ょう」「ゅう」は非常に出現率が高い連なりです。特に「ょう」は2位以下に大差を付けての1位です。この連なりを非常に打ちやすいアルペジオで打てます。例えば「しょう」は[EI][J]で打てます。新下駄配列で拗音が打ちやすい理由がここにあります。

 漢字の音読みも気持ちよくアルペジオで打てることが多いです。漢字の音読みの2文字目は「い」「う」「ん」が多く来ます。新下駄配列でシフト側に配置されている文字は、次の文字に来ることが多い文字が、

  1. 「い」([K])ならば[L]シフト
  2. 「う」([J])ならば[K]シフト
  3. 「ん」([F])ならば[D]シフト

に配置してあることが多いのです。

 なお、[単打]→[シフト]の場合はロールオーバーできません。例えば「から」([D][SJ])の場合、[D]を離さないで[SJ]を押すと、[DJ][S]と判定されて「あと」となってしまう可能性があります。[D][S][J]の順番で打鍵すればロールオーバーしても確実に「から」になりますが、打つ順番が制約されるのでは同時打鍵の魅力半減です。

 また、[シフト]→[シフト]はロールオーバーで打てますが、アルペジオで打てるパターンはそれほど多くありません。「され」([SL][DK])「られ」([SJ][DK])はそこそこ出てきます。

2文字連なり出現数100位まででロールオーバーで打てるかの一覧表

 新下駄配列を作るときに使った100万字データの2文字連なり出現数100位までの連なりをロールオーバーで打てるかどうか調べてみました。ロールオーバーで打っても大丈夫な連なりがかなりあることがわかります。同手連打と[シフト]→[単打]は感覚的にロールオーバーで打てることが比較的わかりやすいと思うので、タイピングゲームに限らず実用入力でも打てる部分を増やせると有利です。

 しかし、実際は意識して(あるいは無意識に)できているのはほんの一部です。特に、シフトが絡まない左右交互打鍵は難しいです。シフトが絡むかどうか瞬時に判断することができません。いくつロールオーバーで打てるパターンを打てても、一つでもロールオーバーでミスになるパターンを打ってしまうと台無しです。この表をマスターして、ロールオーバーで打てる部分はしっかり踏み込んでロールオーバーで打てるようになれば、『タイプウェル国語K』で総合成績Machineになれるのかなあと思ったりします。

2文字連なり出現数100位までの新下駄配列での打鍵方法一覧
順位 出現数 1

2

1


2


RO 打鍵内容
1 15033 EI J [シフト]→[単打]
2 7484 N K 同手連打
3 6341 EI   ※拗音
4 6117 G N シフトがない左右交互
5 5998 WI J [シフト]→[単打]
6 5875 L N 同手連打
7 5588 ; K 同手連打
8 5389 D K × シフトが絡む左右交互
9 5357 DI J [シフト]→[単打]
10 5318 I J 同手連打
11 5196 G M シフトがない左右交互
12 5075 D F 同手連打
13 5059 J L 同手連打
14 5009 L M 同手連打
15 4765 I S × シフトが絡む左右交互
16 4724 DN K [シフト]→[単打]
17 4691 M K 同手連打
18 4319 EO   ※拗音
19 4239 Z . シフトがない左右交互
20 4040 M . 同手連打
21 3950 Z V 同手連打
22 3904 D SJ × [単打]→[シフト]
23 3840 S K × シフトが絡む左右交互
24 3804 K L 同手連打
25 3743 X Z 同手連打
26 3740 WI   ※拗音
27 3661 E R 同手連打
28 3632 F L × シフトが絡む左右交互
29 3497 , Z シフトがない左右交互
30 3469 V . シフトがない左右交互
31 3448 F A 同手連打
32 3443 FI   ※拗音
33 3382 K V × シフトが絡む左右交互
34 3352 K A × シフトが絡む左右交互
35 3326 K J 同手連打
36 3299 J W シフトがない左右交互
37 3279 SL K [シフト]→[単打]
38 3206 DJ V [シフト]→[単打]
39 3169 L F × シフトが絡む左右交互
40 3073 DN F [シフト]→[単打]
41 3055 F , シフトがない左右交互
42 3028 S J × シフトが絡む左右交互
43 2951 J A シフトがない左右交互
44 2930 K M 同手連打
45 2925 CI   ※拗音
46 2916 F O × シフトが絡む左右交互
47 2860 S L × シフトが絡む左右交互
48 2859 GI   ※拗音
49 2854 SI J [シフト]→[単打]
50 2752 J D × シフトが絡む左右交互
51 2750 SM K [シフト]→[単打]
52 2737 EL F [シフト]→[単打]
53 2711 F S 同手連打
54 2666 N C シフトがない左右交互
55 2610 K D × シフトが絡む左右交互
56 2560 S; J [シフト]→[単打]
57 2549 F W 同手連打
58 2526 SL F [シフト]→[単打]
59 2486 O R × シフトが絡む左右交互
60 2482 A , シフトがない左右交互
61 2456 K N 同手連打
62 2447 K X × シフトが絡む左右交互
63 2443 F D 同手連打
64 2442 AK J [シフト]→[単打]
65 2322 A D 同手連打
66 2320 W E 同手連打
67 2318 O K 同手連打
68 2288 EL K [シフト]→[単打]
69 2229 K S × シフトが絡む左右交互
70 2217 V S 同手連打
71 2195 K . 同手連打
72 2121 F SM シフトがない[単打]→[シフト]
73 2090 K F × シフトが絡む左右交互
74 2086 FK A [シフト]→[単打]
75 2085 N R シフトがない左右交互
76 2076 K W × シフトが絡む左右交互
77 2071 F SK × [単打]→[シフト]
78 2050 P S × シフトが絡む左右交互
79 2046 / F シフトがない左右交互
80 2045 J SK × [単打]→[シフト]
81 2043 F AL × [単打]→[シフト]
82 2041 WO   ※拗音
83 2033 D H × シフトが絡む左右交互
84 2033 W ; シフトがない左右交互
85 2026 SJ K [シフト]→[単打]
86 2023 , E シフトがない左右交互
87 2016 @ F シフトがない左右交互
88 2006 E ; シフトがない左右交互
89 1996 H L 同手連打
90 1958 R I × シフトが絡む左右交互
91 1951 , DJ × [単打]→[シフト]
92 1942 V A 同手連打
93 1935 ; D × シフトが絡む左右交互
94 1922 I A × シフトが絡む左右交互
95 1920 K G × シフトが絡む左右交互
96 1915 AO   ※拗音
97 1914 A L × シフトが絡む左右交互
98 1910 , R シフトがない左右交互
99 1889 A E 同手連打
100 1885 EI H [シフト]→[単打]
  • ROはロールオーバーで打てるかどうか
  • 1文字目が拗音文字の場合の1動作目は一例

 

『美術手帖』に突然掲載された「真夜中をさまようゲームブック」

『真夜中をさまようゲームブック

 『美術手帖』2015年10月号に突然ゲームブックが掲載された、ということを「冒険記録日誌」読んで知りました。というわけで読んでみました。

 内容は、深夜に帰宅した主人公が玄関の鍵をなくしていたことに気づき、一晩の居場所を求めて深夜の街をさまようというもの。難しいルールはなく、基本的に選択肢を選んで行き先のパラグラフを決めるだけです。注意書きにはメモを取ると良いと書いてありますが、自分はメモは取らずにプレイしました。持ち物や行動記録は記憶で何とかなる範囲だと思います。すぐにデッドエンドになる選択肢もあるのでどのパラグラフをたどってきたかわかると便利は便利ですが、指セーブを活用すれば大丈夫でしょう(^_^;)

 序盤で1回デッドエンドになった以外はすんなり“(了)”まで読み進めることができました。しかし、この結末は事件の真相が最も分からない結末なんですね。最初から、今度はすべてのパラグラフを読むつもりでもう一度読みます。初回は公園をスルーしたし……。パラグラフ番号の表記が○と□に分かれているのは何か意味があるのかと思ってメモしながら解析して、半分くらい進んだあたりで単に偶数と奇数で分けられていることに気がついた。全部で2時間くらいで読み終わりました。

 このゲームブックでは、ランダム要素として「100ページ目以降を無作為に開いて、そのページの2桁目が奇数か偶数か」という乱数が使われています。なんで100ページ目以降なんだろう? 雑誌自体が全部で220ページくらいで、このゲームブックが掲載されている部分が100ページくらいなので雑誌の後半を開くことになる。しかし、172~3ページの間に綴じ込み冊子があるので開きにくい。実質50ページくらいの中から開くことになる。「2桁目」ではなく「十の位」を見ることにすれば良いのでは? それなら90ページ以上の中から開く場所を選べる(そこで1桁のページを開く人はきらいです)。

 このゲームブックを書いた津村記久子という方は、芥川賞など数々の賞を受賞している作家だそうです。文章の良さはもちろんですが、複数の結末を読むと事件がつながる感じとか、デッドエンドになる選択肢の作り方(短編なので唐突感は否めませんが)やデッドエンドになった場合の理由の説明があって理不尽さをあまり感じないところなど、ゲームブックとしてもセンスが良いと思いました。これならもっと本格的なゲームブック作品も読んでみたいです。

 それにしても気になるのが、なんで『美術手帖』にゲームブックが掲載されたんでしょうね? 『美術手帖』という雑誌は今回初めて手に取りました。「普段は普通の短編小説が掲載されているページなのかな?」と思いましたが、図書館で前後の号をいくつか読んだところ、小説の掲載自体がそれほど頻繁にあるわけではないようです。ゲームにも小説にもそれほど関係が深いとは思えない雑誌での突然のゲームブックの掲載。雑誌側の要望なのか、作家側の意向なのか。いずれにせよ、次があってほしいです。

2020/07/31追記:『サキの忘れ物』に収録されました

 その後、2020年6月29日発売の『サキの忘れ物』に「真夜中をさまようゲームブック」が収録されました。

2023/09/04さらに追記:『サキの忘れ物』の文庫版が発売されました

 さらにその後、2023年8月29日に『サキの忘れ物』の文庫版が発売されました。

 

論理パズルゲーム『ロンパル殺人事件』が面白い

 『ロンパル殺人事件』という論理パズルゲームがあります。かなり古いフリーゲームで、自分がインターネットを触りだしてすぐの頃にずいぶんプレイした記憶があります。先日、久しぶりにプレイしたらおもしろくて、懐かしくて作者のサイトを見たところ、なんと今年の2月に約10年ぶりのバージョンアップをしたばかりではないですか!(軽微なバグを取り除いただけのようですが) 10年周期でこういうゲームがやりたくな習性があるのでしょうか? これも何かの縁だということで、このゲームを紹介します。

『ロンパル殺人事件』のルール 

 ある屋敷で当主の郷田貴文が殺されました。容疑者は当日屋敷招かれていた5人。この5人の容疑者から「○時に自分は××にいて、△△さんを見た」という証言を集めて、犯行時刻と犯人を当てるのが目的です。

 「犯人以外はウソをつかない」「犯人も犯行時刻以外の証言ではウソをつかない」というのがポイントです。これを利用して犯行時刻を絞り込んでいき、証言の矛盾を引き出して犯人を告発します。

 証言の内容は画面に一覧表の形で残っていくので、常に(ほぼ)すべての情報を参照しながら推理することができます。できるだけ少ない尋問回数で犯人を当てると高得点になります。犯行時刻と犯人はランダムで毎回変わるため、何回でも楽しむことができます。

 ルールは次の通りです(説明書からの引用です)。屋敷の見取り図はウインドウの左上に表示されています。黒の間と白の間はつながっていないことに注意してください。

  1. 犯人はひとり。
  2. 犯行時刻には、犯人と生きている郷田(被害者)だけが黒の間にいた。
  3. 犯行後、死体はずっと黒の間にあった。
  4. 各容疑者は、自分のいた部屋と隣の部屋に誰がいて誰がいなかったかを見ることができた。
  5. 黒の間にいた人物は死体があれば見ることができたが、隣の部屋から死体を見ることはできなかった。
  6. 1時間の間に隣の部屋より遠くに移動することはできない。
  7. 犯人以外は、故意と過失とを問わず、ウソをつかず事実を隠さない。
  8. 犯人も、犯行時刻以外では故意と過失とを問わず、ウソをつかず事実を隠さない。
  9. 犯人は、他の容疑者との雑談により、自分が見ていない事実を知っている場合がある。
  10. 被害者がn時とn+1時の間に殺されたとき、n時を犯行時刻とする。n時ちょうどに殺されたということはないものとする。

 それと、説明書には書かれていないですが、犯人のウソの内容は大きく分けて2つしかありません。これ以外のウソはつきません。

  1. 犯人は、犯行時刻に黒の間以外の場所にいたと証言する(必ずする)。
  2. 犯人は、ある人物を犯人に仕立て上げる証言をする(適当なターゲットがいない場合はしない)。
    1. 犯行時刻に黒の間にいなかった人物を黒の間にいたと証言する。
    2. 犯行時刻に黒の間以外にその人物がいたという事実を隠す。

プレイの実例 その1

 では、実際のプレイの例をみながら、ルールとテクニックを説明していきます。画像をクリックすると拡大して表示できます。

 最初は犯行時刻を絞るのが目標です。まず、12時に郷田が生きているか殺されているかを調べます。12時に生きていれば犯行時刻は12時以降ですし、12時に既に殺されていれば犯行時刻は11時以前ということがわかります。

プレイ例1-捜査開始

 12時の中村の証言を取ってみます。12時の中村のマスをクリックして水色にして「尋問」ボタンを押します。

プレイ例1-証言1

 画面下部の白い部分に証言が表示されます。中村自身が黄の間にいたという証言を得られました。これは「(黄の間から見える)藍の間と紫の間には誰もいなかった」という証言でもあります。

 同時に、証言表に証言内容が記号で記録されます。12時の中村のマスの“7A”は「部屋7(黄の間)に中村がいたとA(中村)が証言した」という意味です。7が丸で囲んであるのは、その証言がA自身の証言であったことを示しています。

 実は、この証言だけで11時と13時の中村のアリバイ(=その時刻にその人物が殺したのではない)が成立します。理由は後ほど説明します。マスを右クリック(右ドラッグでも可)すると緑色になります。アリバイが成立したマスを緑にしておくと推理の役に立ちます。

 この証言だけでは郷田が生きているのか既に殺されているのかわからないので、まだこの時刻の尋問を続けます。今度は鈴木に尋問してみます。

プレイ例1-証言2

 鈴木は12時に黒の間にいて、既に郷田は殺されていたと証言しました。犯人であっても郷田の所在・生死についてウソはつかないので、この証言は真実です。したがって、犯行時刻は12時より前です。つまり、12時以降の全員のアリバイが成立します。すべてのマスを緑にするのは面倒なので、ここでは12時の縦1列だけ緑にします。

 犯行時刻は0~11時なので、次は5時か6時に郷田が生きていたかどうかを調べるのがセオリーです。6時の中村の証言を取ってみます

プレイ例 1-証言3

 またも郷田は既に殺されていたという証言でした。6時以降の全員のアリバイが成立します。次は3時の中村の証言を取ってみます。

プレイ例1-証言4

 郷田を橙の間で見たという証言を得られました。郷田は黒の間にいるときに殺されますから、この時刻は犯行時刻ではありません。したがって犯行時刻はこれより後です。しかも6時より前。つまり4時か5時です。だいぶ絞れてきました。

 ここで、中村が見たと証言した鈴木・市川・島谷の3人のこの時刻のアリバイが成立します。なぜなら、中村の証言が正しいとすれば、この3人はこの時刻に黒の間にはいなかったのだから犯人ではありません。中村の証言がウソだとすれば、中村が犯人ですから3人は犯人ではありません。*1

 さらに、鈴木と島谷の2人については1時間前と1時間後のアリバイも成立します。何故なら、1時間で隣の部屋より遠くへ移動することはできないので、角部屋にいたこの2人は1時間前と1時間後に黒の間にいることができないからです。これを「角部屋のアリバイ」と呼びます。「角部屋のアリバイ」は尋問時刻以外のアリバイを成立させることができるので、とても役に立ちます。

 「角部屋のアリバイ」は証言者自身の証言であっても成立します。先ほど12時のときに保留した、中村の11時と13時のアリバイが成立した理由がこれです。12時の中村の証言が正しいとすれば同じ理屈ですし、証言がウソだとすれば12時が犯行時刻ですから11時や13時は犯行時刻ではありません。

 さて、犯行時刻は4時か5時に絞られています。次は4時の島谷の証言を取ります。

プレイ例1-証言5

 島谷は、郷田と中村が黒の間にいるのを目撃していました。島谷は4時のアリバイはすでに成立しているので、この証言は真実です。「犯行時刻には犯人と郷田だけが黒の間にいる」という条件と一致しています。この時刻が犯行時刻だとすれば犯人は中村です。しかし、犯行時刻が5時という可能性もまだあるので、確定させるために中村の証言を取ります。

プレイ例1-証言6

 証言が矛盾しました。中村は「自分は橙の間にいた」と証言しましたが、さきほど島谷は「中村は黒の間にいた」と証言しました。島谷の証言は正しいので中村の証言がウソです。したがって「犯人は中村。犯行時刻は4時」で確定しました。

プレイ例1-告発

 さあ、告発です。中村の4時のマスをクリックして水色にして「告発」ボタンを押します。

プレイ例1-告発成功

 見事正解でした。たった6回の尋問で告発に成功しました。

プレイの実例 その2

プレイ例2-証言1-3

 まず、12時の証言を鈴木・市川・山野の順番で取りました。山野が郷田の死体を見ているので、犯行時刻は12時より前であることが確定しました。アリバイが成立したマスを右クリックして緑にしておきます(12時以降はすべてアリバイ成立していますが、省略します)。「角部屋のアリバイ」により11時のアリバイが成立した人物がいるのが後に生きます。次は6時の証言を取ります。

プレイ例2-証言4-6

 6時の証言を鈴木・市川・山野の順番で取りました。アリバイが成立したマスを緑にします。白の間にいた鈴木は2時間前から2時間後にかけての5時間のアリバイがすべて成立します。

 さて、この時刻は3人の証言を取りましたが、まだ郷田を見たという証言が得られません。この3人が見ていた部屋は、鈴木が部屋1・2・3、市川が部屋5・7・8・9、山野が部屋1・4・5・7です。総合すると、部屋6を見たという証言が得られていません。もしかしたら、郷田は部屋6にいるのかもしれません。中村が部屋3から部屋6を見ているはずなので、ここは中村の証言を取るべきです(島谷でも同じ)。もし、中村が郷田を見ていなければ、郷田は既に殺されていることが確定します。なぜなら、すべての部屋を誰かが見ているのに誰も郷田を見ていないのは、郷田は黒の間で死体となっているからとしか考えられないからです。

プレイ例2-証言7

 中村が郷田を目撃していました。これで犯行時刻は7~11時に絞られました。もしこの証言が得られなければ、0~5時が犯行時刻である可能性も考慮せざるを得ず(むしろ、その可能性の方が高い)、かなりの無駄足を踏まされる恐れもありました。次は9時の証言を取ります。

プレイ例2-証言8-9

 9時の山野・中村の証言を取りました。中村が郷田を黒の間で見た(他の人はいなかった)と証言しています。この証言は真実でしょうか? この証言がウソで、実は中村はこの時刻に黒の間にいて郷田を殺害していたという可能性はあるでしょうか? 中村が紫の間にいることは山野と中村自身の2人が証言しています。ウソをつくのは犯人だけですから、2人が同じ事を証言したらそれは真実です。したがって、中村のアリバイが成立するので中村の証言は真実です。この時刻は郷田は1人で黒の間にいたので、犯行時刻はこの時刻より後です。つまり、犯行時刻は10時か11時です。

プレイ例2-証言10

 10時の山野の証言を取りました。郷田が紫の間にいたという証言を得られました。実は、この時点で犯人と犯行時刻を特定できます。犯人であっても郷田の居場所についてウソはつかないので、この時刻は犯行時刻ではありません。つまり、犯行時刻は11時で確定します。

 そして、10時の山野自身の証言で、「角部屋のアリバイ」により山野の11時のアリバイが成立します。中村・鈴木・島谷の11時のアリバイは、すでに12時の証言の「角部屋のアリバイ」により成立しています。

プレイ例2-証言10_2

 よって、唯一11時のアリバイがない市川が犯人です

 12時で3回、6時で4回の証言を取るなど序盤は捜査が滞った感じもありましたが、結局は10回の尋問で告発に成功しました。犯行時刻である11時の証言は1つも取りませんでした

『ロンパル殺人事件』の醍醐味

成績表

 犯行時刻と犯人の組み合わせは、24*5=120通りもあります。一見すると何十回も証言を取る必要があるように感じるかもしれません。しかし、慣れると平均10回以内で告発できるようになります。非常に難しい・絶対に特定できないこともありますが、そうなる可能性はかなり低いです。画像は自分の成績です(何回かリセットしていると思いますが)。

 作者のサイトにヒントがいろいろ書かれていますが、それ以外にもさまざまなテクニックがあります。例えば「プレイの実例 その2」で6時の鈴木のアリバイが成立するのはなぜでしょうか? のちに中村の証言などで補強されましたが、鈴木自身の証言だけで成立します。また、「プレイの実例 その1」で犯行時刻が4時か5時に絞られた次に、4時の島谷の証言を取ったのはなぜでしょうか? 運の要素はありましたが、「4時の島谷が役に立つ証言が得られる可能性が一番高い」と思って選んでいます。

 このようなテクニックを駆使して、どの時刻の誰を尋問したら良い証言が得られるかを予想して、尋問数を1回でも減らすよう工夫する。これが『ロンパル殺人事件』の醍醐味です。

*1:もっとも、この時刻は犯行時刻ではないという時点で、この時刻の全員のアリバイはすでに成立していますが。