ラグビー観戦初心者が混乱することの一つに、タッチラインを割った場合の再開が「どこから」「どちらのチームが」行うかわからない、というものがあると思います。ラインアウト(場合によってはクイックスロー)で再開するというのはわかると思いますが、ラインアウトを行う地点やどちらのボールかが状況によって異なるのです。サッカーなどと比較すると理解できないシーンが多いと感じる方も多いと思います。
タッチキックの再開方法に影響する要素は以下の通りです。
- 「ペナルティキック(PK)」か「それ以外」か
- 蹴った地点が自陣22mラインより「内側」か「外側」か
- 蹴ったボールが「ノーバウンド」でタッチラインを割ったか、「ワンバウンド以上」してからタッチラインを割ったか
この3つの組み合わせで次の項目が決まります。
- 再開地点が「ボールが外に出た地点」か「蹴った地点の真横」か
- ボールが「相手ボール」か「マイボール」か
サッカーなら、どんな状況でも「ボールが外に出た地点」から「相手ボール」でのスローインの1パターンしかありません。ラグビーの場合はこれだけの要素があるわけです。一見複雑そうですが、覚える必要があるパターンは4つだけです。ラグビーの試合を見る上でとても重要ですので、わからない方はぜひ覚えて下さい。
(1) PKで蹴ったボールがタッチラインの外に出た場合
→ 外に出た地点から、マイボールで再開
ペナルティキックで外に出した場合は必ずこれになります。蹴った地点やバウンドしたかどうかは関係ありません。キックで大きく前進した上にマイボールで再開できるので、蹴り出した側がとても有利です。ペナルティキックを得た時にタッチキックで前進するというのは、ラグビーの常套手段です。なお、マイボールで再開できるのはこの場合だけです。
以下はペナルティキック以外のキックで外に出た場合です。
(2) 自陣22mラインより内側から蹴ったボールがタッチラインの外に出た場合
→ 外に出た地点から、相手ボールで再開
この場合はバウンドしたかどうかは関係ありません。相手ボールにはなってしまいますが、自陣深くの危険な地帯からは脱出できる上に、ラインアウトになればいったんプレーを切ることができます。自陣深くでボールを取り返したときに、とりあえず斜め前のタッチに蹴り出して危機回避するというのはよく見るシーンです。
(3) 自陣22mラインの外側から蹴ったボールが、ワンバウンド以上してタッチラインの外に出た場合
→ 外に出た地点から、相手ボールで再開
ワンバウンド以上して外に出すというのが重要です。相手陣深くに蹴り込んでワンバウンドでタッチラインを割るキックは「ナイスキック」と讃えられます。相手ボールにはなってしまいますが、前進できるのは大きなメリットです。
(4) 自陣22mラインの外側から蹴ったボールが、ノーバウンドでタッチラインの外に出た場合
→ 蹴った地点の真横から、相手ボールで再開
ノーバウンドで外に出てしまうと、なんとボールを蹴った地点の真横まで戻された上に、相手ボールになってしまいます。これを「ダイレクトタッチ」といいます。まったく前進できない上に相手ボールになってしまうので、蹴り出した側の大損となります。自陣22mラインより前でキックする時は、ダイレクトタッチにならないように注意する必要があります。
整理すると、以下通りです。
(1) PK──────────────:外に出た地点 マイボール
(2) PK以外┬ 22m内側───────:外に出た地点 相手ボール
(3) └ 22m外側┬ワンバウンド:外に出た地点 相手ボール
(4) └ノーバウンド:蹴った地点横 相手ボール
直感的にふつうなのは「外に出た地点から、相手ボール」での再開だと思いますので、直感と反する事態になるのは(1)と(4)の場合だけということになります。