クッションシールを貼ってコンベックス(凸状)キーキャップにしてみた

 オールコンベックスキーキャップにあこがれて、ウレタンクッションシールをキーキャップに貼ってみたのです。

直径14mmのウレタンクッションシールの写真
ウレタンクッションシール(写真は直径14mm・厚さ2mmの物)

オールコンベックスキーキャップとは?

 キーボードの、1つ1つのキーの指が触る面の形の話です。中央がくぼんでいて、左右が少し高くなっているキーキャップが多いと思います(シリンドリカル。円筒状)。または、中央がくぼんでいて前後左右とも少し高くなっている物もあります(スフェリカル。球面状)。ノートパソコンでは平らな物がほとんどです(フラット。平面状)。フラット以外の2種類は、中央がくぼんでいるのが特徴です(コンケイブ。凹型)。

 しかし、主に親指で押すキー(スペースキー・無変換キー・変換キー)は、逆に中央がふくらんで、前後が少し低くなっているキーキャップが多いです。この中央がふくらんだ形状のことをコンベックス(凸型)といいます

 オールコンベックスキーキャップとは、親指で押すキーだけでなく、すべてのキーをコンベックスにしたキーキャップのことです。親指キーは前後だけ低くなっている場合が多いですが、オールコンベックスキーキャップの場合は、前後左右とも低くなっている球面形、お椀型を指すことが多いと思います。

 しかし、市販されているキーボードやキーキャップで、オールコンベックスのものはほとんどありません。なんとか実現できないかと考えていたところ、ウレタンクッションシールという商品が目に入りました。クッションゴムや戸当りクッションとも呼ばれる物で、扉などの家具がぶつかる箇所に貼って音や衝撃を和らげたり、机に置く物に貼って滑り止めにしたりする目的で使われます。形状は商品によりさまざまですが、トラスコ中山のウレタンクッションシールが、形といい、大きさといい、自分がイメージするコンベックスキーキャップにぴったり

 これをキーキャップに貼り付ければオールコンベックスキーキャップが実現できるんじゃない?と思ってやってみたのです。

ウレタンクッションシール貼り付けの試行錯誤

直径14mm・厚さ2mm

 物差しでキーキャップの上面の大きさを測ったところ、だいたい横13mm*縦15mmでした*1。そこで、まずは直径14mm・厚さ2mmのウレタンクッションシールをキーキャップに貼ってみました。*2

直径14mmのクッションシールをキーボードのキーキャップに貼付した写真

直径14mmのクッションシールをキーキャップに貼付

結果、感触は悪くありませんでしたが、次の3つの問題があることがわかりました。

 1. キーに指を置いたときの安定感に欠ける。キーの端の方を押したときの打ちやすさはあるのですが、キーに指を置いた時点で指の場所が決まらない違和感があります。また、キーの中央をきちんと押せたときでもややふらつく感じがします。どうも、ふくらみの傾斜が大きすぎるように思えます。

 2. キーの高さが高くなってしまう。厚さ2mmのシールを貼ったので、その分キーの高さが高くなります。これが今までと感覚が変わって不満です。特に自分は、手首が反らないようにキーの打鍵面の高さが高くなりすぎないようにしているので、ここはこだわりたいポイントです*3。リストレスト(手首を置く台)の方も合わせて高くするという手もありますが、調整が微妙だし、現在せっかくキーボード部分とマウス部分のリストレストを同じ高さで運用できているので、このためにこれを崩すのもなあ。

 3. クッションシールが剥がれる。凹面に厚さ2mmのシールを貼ったので、安定して接着しません。すぐに剥がれて困るというほどではありませんが、気がつくと剥がれかけているということはたまに起こります。剥がれやすいのは特定のキーなので、貼る段階できちんと貼っていれば大丈夫だった気もしますが、このまま使い続けるとやがて剥がれるかもなあ。

直径16mm・厚さ2mm、キーキャップをDSAプロファイルに

 というわけで、対策を考えました。

 まず、クッションシールを直径14mmから直径16mmの物に交換しました。厚さは同じ2mmなので、その分ふくらみ方が小さくなって傾斜が緩やかになりました。キーの上面からは上下左右とも少しはみ出すサイズになりましたが、これまでの経験上、少しはみ出すくらいは問題ないことがわかっています。*4

直径16mmのクッションシールをキーボードのキーキャップに貼付した写真

直径16mmのクッションシールをキーキャップに貼付

 そして、キーキャップをDSAプロファイルに交換しました。DSAプロファイルは全段同じ形で(ノンスカルプチャード)、OEMプロファイルよりキーの高さが2mmほど低いのが特徴。これなら、クッションシールを貼ってもOEMプロファイルと同じくらいの高さになります。ついでに、キーのへこみ方もOEMプロファイルの物より小さかったので、シールが剥がれる問題もほぼ解消しました。*5*6

直径20mm・厚さ2mmを四角く切り抜く

 直径16mmのクッションシールに交換したことで、安定感はかなり改善しました。コンベックスキーキャップの良さを感じられてまずまず満足だったのですが、これでもまだ傾斜がやや大きいと思いました。しかし、これより薄いお椀型のクッションシールは見つからないし、これより直径が大きいと隣のキーと重なってしまいます。

直径20mmのクッションシールの剥離紙の裏面に切り取り線を引いた写真。

クッションシールの裏面に切り取り線を引く

 そこで、直径20mm・厚さ2mmのクッションシールを、切り抜いて使うことにしました。クッションシールの剥離紙の裏面に鉛筆で線を引いて、ハサミで切っていきます。大きさは1辺13mmとしましたが、あと1mm大きくても良かったかもしれません。正確にラインを引けるよう慎重にやりましたが、どうせハサミで切るときにずれるので、もっと大雑把に引いても同じだった気がします。

 正直、作業としては面倒くさかった……。正月休みの間にやったのですが、箱根駅伝がスタートする前から作業を始めて、終わった頃にはもう中継が終了して次の番組が始まっていました。シールを貼るだけのお手軽作業のはずだったのに(´・ω・`) 1回やれば済むことなので労力には見合うと思いますが……。*7

直径20mmのクッションシールを四角く切り抜いたものをキーボードのキーキャップに貼付した写真。

直径20mmのクッションシールを四角く切り抜いてキーキャップに貼付

 結果、いい感じになりました! キーに指を置いたときの不安定な感じはほぼなくなりました。キーの中央を安心して押せるようになったことで、キーの端を押したときでもスムーズに押すことができるという、コンベックスキーキャップの良さだけを受け取れるようになりました。これは気に入りました!

四角く切り抜いたウレタンクッションシールをキーキャップに貼付したDUMANGキーボード DK6 miniを上から写した写真。

オールコンベックスキーキャップ化成功!?

なぜオールコンベックスキーキャップにしたいと思ったのか?

アーケードスティックのボタンは凸型

 最初に書いたとおり、多くのキーボードのキーキャップはやや凹んだ形になっています(コンケイブ)。この形には以前から疑問を持っていました。

 念頭にあったのは、アーケードゲームのボタンです。自分の記憶だと、かなり昔(1980年代前半?)は中央が凹んだ形のボタンが多かったですが、1990年代、ストIIが大流行した頃かその少し後くらいのタイミングで、上面はややふくらんだ凸型のボタンの方が押しやすいということになって、以降はほぼその形になったと思います。実際、店頭に並ぶアーケードスティックのボタンを見てみると、ボタンの上面は平らか、ややふくらんだ形のものがほとんどです。

 また、家庭用ゲーム機のゲームパッドの移り変わりも似たようなものだと記憶しています。初期のファミコンの丸いボタンは凹んだ形でしたが、ゲームボーイ・ニューファミコン・スーパーファミコンのボタンはややふくらんだ凸型になりました。他のゲーム機も、昔は凹んだ形の物も多かったですが、時代が進むにつれて凸型のボタンが多くなり、現在はやはり凸型のボタンが多くを占めていると思います。ゲームパッドのボタンは主に親指で押すという違いはありますが、押しやすさの理屈は同じじゃないかなあ?

凸型の方がキーの端の方を押してもスムーズに押せる

 凹型のキーは、一見すると、キーの上面が指に添う形になっていて、キーの中央を安定して押せるように思えます。

 しかし、それはキーの中央をきちんと押せた場合の話です。この凹みには、キーの端の方を押してしまったときに、指を中央にガイドするほどの力はありません。端の方を押したらキーは端の方から沈みます。すると、キー全体がその方向に引っ張られて、キーの軸が傾いた状態で押されてしまいます。その結果、キーがスムーズに沈まず、引っかかるような感触になってしまいます。キーが凹んでいることで、端に引っ張る方向に力がかかりやすくなっているように思えます。

 キーが凸型になっていれば、キーの端の方を押しても、力は中央の軸の方に伝わりやすくなります。この方が、キーのどこを押してもキーがスムーズに沈んでくれると思うのです。

 実際に試してみることもできます[無変換]・[スペース]・[変換]の3キーだけはコンベックスキーになっているキーボードはよくあります。そのようなキーボードを縦に置いて(というか、自分が横を向いて)、それらの3キーを親指ではなく、他の指で押してみてください。打ちやすいと思いませんか? 特に、キーの端の方を押したときに、凹型のキーよりスムーズに沈むと思いませんか? わたしは思いました。

撫で打ち目的ではありません

 オールコンベックスキーキャップと言えば、自作キーボード界では大岡俊彦さんが作った物が有名です。薙刀式SHOPで販売されています。

make.dmm.com

 ウレタンクッションシールによるコンベックスキーキャップは、これより安価に実現できるのがメリットなわけですが、そもそも大岡さんと自分とでは、オールコンベックスキーキャップにする目的が違うという気がします。大岡さんがオールコンベックスキーキャップを推す理由は、「撫で打ち」という打ち方と密接な関係があると思います。

それが、指の腹(指紋のある部分)で撫でる撫で打ちであり、1キーで終わらせずに、次々に連続する、アルペジオ中心の文字配列だ。

僕がつくってるオールコンベックスは、キーを沈み込ませた状態からでも、沈んでないキーへの運指でぶつからないような曲面にしてあるので、すべらせてアルペジオできるんだけど、それができないだろうなー。ウレタンで摩擦も大きそうだし。

 たしかに、ウレタンクッションシールは弾力があって滑りにくいので、「撫で打ち」はできないのではないかと思います。撫で打ち目的でオールコンベックスキーキャップを導入したい場合は、ウレタンクッションシールによる方法はおすすめできません。やはり、薙刀式SHOPで販売されている品など、その目的に合った品を使用するべきでしょう。

ただ、欲を言えば……

 ウレタンクッションシールによるオールコンベックスキーキャップ化計画は、ひとまず成功しました。満足できる感触なので、当面このまま使い続けるつもりです。

 ただ、欲を言えば、まだ改善したい点はあります。

 まず、お椀型のクッションシールを四角く切り抜いたので、当然ながら断面はかまぼこ形にふくらんだ形になります。

直径20mmのウレタンクッションシールを四角く切り抜いた時の断面の写真。

クッションシールを切り抜いた断面

このふくらみはいらないんですよね。指が引っかかる原因になるだけ。四辺に向かってフラットに傾斜していってほしい。そう考えると、コンベックスの形状は、お椀型ではなくて、四角錐の角を丸めたような形が理想なのか? そんな形の品があったら良いですね……。

 また、高さを低く抑えるためにキーキャップをDSAプロファイルの物にしたわけですが、自分としてはフラットプロファイルよりステップスカルプチャー(段ごとにキーキャップの形が異なる)の方が好きなんですよね。ステップスカルプチャーで、高さが低く、上面がクッションシールを貼れる形=凹みが(大きく)ないキーキャップって、あるかなあ?

 それと、クッションシールを手作業でハサミで切ったので、仕上がりはバラバラでよく見ると美しくはない。よく見なければ気にならない、実用上は問題ないレベルではありますが……。

 あとは劣化しないかどうかですね。とりあえず、すぐにシールが剥がれたり、感触が変わったりする兆候はないですが、長年継続して使用したらどうなるかは未知数ではあります。

*1:DUMANGキーボード DK6 mini付属のキーキャップ。OEMプロファイル。

*2: 

*3:

*4:これまでも、無変換キーや変換キーにコルクテープを貼って、親指で押しやすいように少しだけ横に広げるということをやっていました。

*5:キーキャップはXDAプロファイルも試しました。下記の品だと表面がつるんとしているので、シールはより安定して接着します。しかし、キーの高さがDSAプロファイルよりわずかに高いので採用しませんでした。

*6:この時に行ったその他の変更点。

  1. キーキャップには静音化リングを装着していましたが、キーキャップを交換したら厚さ1.5mm*2個ではギリギリ効果が出なくなってしまったので、厚さ2mmのリングを使って2mm+1.5mmまたは2mm*2個にしたらちょうど良くなりました。
  2. キーキャップは無刻印の物にしたので、無刻印は寂しいので、刻印代わりのシールを貼りました。透明なウレタンシールの下に貼れるので、感触に影響したり、剥がれたりする心配はありません。ついでに、シールの切れ端を[F]と[J]に貼ってホームポジションのポッチ代わりにしました。
  • Xユーザーのkouy(山原コウ)さん: 「ウレタンクッションシールによるオールコンベックス(凸型)キーキャップ化計画のその後。 1 クッションシールを直径14mmから直径16mmの物に交換しました。 2 キーキャップをOEMプロファイルからDSAプロファイルに交換しました(文字キー部分のみ)。 https://t.co/ZDK9GvRWGp」 / X
    https://x.com/y_koutarou/status/1995086115519496222

*7: 

  • Xユーザーのkouy(山原コウ)さん: 「ウレタンクッションシールによるオールコンベックスキーキャップを改良。 やっぱり直径16mm厚さ2mmのものでも傾斜が大きすぎる感触なので、直径20mm厚さ2mmのものを買いました。そのままだと大きすぎるので、シートの裏面に鉛筆でラインを引いて、ハサミでキーキャップの大きさに切り抜きました。 https://t.co/HXHPHDRuYx」 / X
    https://x.com/y_koutarou/status/2007721307115581950