『ATOK』の「辞書」と「辞典」の意味

 「辞書」の「辞典」の違いってなんでしょうか? 『広辞苑 第6版』にはこう書かれています。

じ‐しょ【辞書】
(1)ことばや漢字を集め、一定の順序に並べ、その読み方・意味・語源・用例などを解説した書。辞典。辞彙(じい)。「―を引く」「英和対訳袖珍―」→事典 →字書。
じ‐てん【辞典】
辞書〓に同じ。「字典」「事典」と区別して「ことばてん」ともいう。「英和―」

というわけで一般的には同じ意味ということでいいと思います。

 しかし、『ATOK』においては「辞書」と「辞典」は明確に使い分けられています。広辞苑 第6版』では「辞書」の意味にこうも書かれています。

(2)ワード‐プロセッサー・自動翻訳システムにおいて、漢字・熟語・文法などを登録してあるファイル。

ATOK』では「辞書」はこの意味で使っています。一方、「辞典」は先に引用した「辞書」の(1)の意味で使っています。

 つまり、『ATOK』においては「辞書」と「辞典」は次のように使い分けられています。

  • 辞書:入力した文字を変換する時に使うもの。変換辞書。IME的な意味での辞書。
  • 辞典:ことばの意味を表示する時に使うもの。電子辞典。本来の意味での辞典。

 『ATOK』のことをいろいろ調べる時に、これを知らないと混乱したり勘違いしたりする元になるので書いてみました。この前、“『はてなキーワード電子辞典』(「辞書」ではない)”と書いたのは、こういう事情からです。