「フーゴ・ハルのラビリンストーリー #9」をやってみた

 『夢幻の双刃』のプレイを始めてからずいぶんたちますが、それに添付されている『剣社通信 Volume.15』をまだ読んでいませんでした。作者の対談って後書きみたいなものだから、本書をクリアしてからの方がいいかな、と思っていたので。でも、もうまじめにクリアするのはあきらめてしまったし、『指輪物語』を読み始めてしまって解析もいつできるかわからない。

 というわけで、もう読んでしまうことにしました。すると目に入ってくるのが「フーゴ・ハルのラビリンストーリー」。剣社通信に載っている迷路ゲームです。今回は「#9 インカの縄迷路」というタイトルが付いています。見ると、かなり複雑そうで見た目でちょっとくじけそう。でも、これを解かないと剣社通信を“読んだ"ことにはならないよね。というわけで挑戦です。

 ゲームのイメージは、そこはかとなく懐かしのテレビゲーム『ドンキーコングJR.』に似ています。上から27本の綱がつり下がっている。1つの綱は14節に分割されている。綱を上下左右に伝って移動して、スタートからゴールにたどり着けば勝ちです。

 節には4つの種類があります。「普通の綱」は1節上下に移動するか、2つ隣(1つ隣ではない)の綱に移動する。「オイル付の綱」は強制的に下に移動する。「毒薬付の綱」は、普通の綱と同様に移動可能だが、2回通ると死ぬ。「横へ移動の綱」は強制的に1つ隣の綱に移動する。

 文庫本よりも小さなサイズの紙に27*14ブロックのマップが描かれているのだから、見た目からしてかなり細かい。マップを目で追っていくのも大変そうなのでなので、テキストマップを作ることにしました。各節テキスト記号に置き換えてマップを作っていきます。さらに間違ってないか見直し。

 ほどなくテキストマップは完成しました。最初はこれを見て理詰めで解こうと思ってました。例えば、ゴール付近から逆算してみると、

┃ ↓ ┃ ┃
┃ ☆ ↓ ◆7
↓ ↓6◆ ↓5
◆ ◆4↓ ◆3
↓ ┃2┃ ゴ1
↓ ↓ ↓  

┃普通 ↓油 ◆毒 ☆隣 

1のゴールにたどり着くには、2か3のどちらかを通るしかない。しかし3は毒薬付きの綱。3に着くには4か5を通るしかないが、4は毒なので3と合わせて2回毒を通ってしまうのでこのルートは通れない。5から来るとしても、6は油付きの綱なので6から5へ来るのは不可能。すると5に来るには7を通るしかないが、7は毒なので不可。結局、1に着くには2を通るしかない……という具合です。

 しかし、この方法はすぐに行き詰まりました。選択肢が多すぎてとてもつぶしきれない。わかりやすい中間目標がないので、どのルートに可能性があるのかまるで見えてきません。毒は1回通過可能というのも厄介。その1回をいつ使うのかわかれば、それ以外の毒は避けるしかなくなるから考えやすくなるのだけど。

 理詰めで行くのは難しそうなので、見た目でルートが見えてくるようにマップを加工してみます。まず、油付き綱の表示を削除して空白にしました。油は上へも横へもつながっていない。下へ落ちるのみ。空白にして、空中を落ちるイメージにした方が見やすいのではないか。

 さっそく、“↓”を“ ”に置換します。こういう加工が簡単にできるのがテキストマップのいいところ。やってみると、確かに見やすくはなりましたが、まだ正解ルートは見えてきません。上下のつながりは見やすくなったけど、左右のつながりが依然として見えてこないなあ。

 そこで思い当たりました。そうか、これは2つのマップなんだ。横への移動が2つ隣ということは、奇数本目の綱と偶数本目の綱は別々のマップのようなものなんだ。いわば“表マップ”と“裏マップ”だ。すると横へ1つ移動する綱は、表と裏をつなぐ“ワープゾーン”と解釈できる。もともと2つのマップだったものを切り刻んで1つのマップにつなげてるから見にくいんだ。

 またマップを加工作業に入ります。2文字目を矩形選択で縦に切り取って、別の場所に貼り付けます。同様に4文字目、6文字目、8文字目……も切り貼りし、2つのマップに分割しました。さらに別マップで横へ移動の綱のあった場所に、“ワープアウト”の表示を加えました。

 これは効果抜群。つながりが分かりやすくなり、さまざまなことが見えてきました。まず、スタートとゴールは両方表マップにあります。ゴール付近では上から落ちてくるルートと、下から上がってくるルートの2つがあることも一目瞭然。そして、ワープゾーンを使わないで毒の通過を1つで済ませるルートはない。さらに、ワープアウトからゴールまで毒を通らないでたどり着けるルートがないこともわかりました。

 ということは、スタートしたらワープゾーンをめざし、さらに裏マップでもワープゾーンをめざす。この間、毒を1回も通ってはいけない。ここまでは確定です。中間目標がはっきりして考えやすくなりました。ここまでくればあと簡単。ほどなく正解ルートを見つけることができました。答えは『剣社通信 Volume.16』(『ドラキュラ城の血闘』に付属)に載ってます。

 それにしても見事なパズル。解くのに3時間ほどかかりましたが、楽しい時間でした。