ラグビーが台風で中止になったのはしょうがなかったんですか?

 ラグビーワールドカップ2019は南アフリカの優勝で幕を閉じました。事前には、日本では盛り上がりに欠けるのではないかという心配もありました。しかし、蓋を開けてみれば大盛況。日本は予選プール4戦4勝で初の決勝トーナメント進出という躍進。日本以外の試合も注目を集め、大会自体は大成功に終わりました。

 自分としてもおもしろい試合を多数見られて大満足。ちなみに、自分が見た中で一番おもしろかった試合は、予選プールのフランス-アルゼンチンです。前半はフランスが地力を見せて20-3とリードするが、後半は一転してアルゼンチンが猛追。ついに20-21と逆転。「これは大逆転ゲームきたか?」と思った直後、フランスがドロップゴールを決めて再逆転。残り約10分。79分過ぎにアルゼンチンがPGのチャンスを得るが、惜しくも左に曲がって外れノーサイド。フランスが23-21で勝ったという試合でした。

 しかし、全体として大成功でも反省するべき点もあったと思います。自分が気になるのが、台風19号の影響で3試合が中止、延期ではなく試合自体が行われない中止という事態になったことについてです。*1

台風が来たら中止って知ってましたか?

 みなさんは、予選プールの場合は(延期ではなく)中止というルールになっていることを知っていましたか? わたしは知りませんでした。そして、今回の台風でそのルールを知ってびっくりしました。当然、予備日が1・2日はあるものだと思っていました。その予備日もアクシデントで試合ができないという事態になったら中止もやむを得ないと思いますが、予備日もなくいきなり中止になるなんて。4年に1度しか開催されない世界3番目とも言われる大きなスポーツ大会で、こんなルールになっているなんて思いもよりませんでした。

 中止の可能性がニュースで出始めた直後の段階では、代替会場や無観客試合での試合開催を検討しているという報道もありました*2。とはいえ、無観客試合にしても、実際に台風が来ている状況になれば選手や関係者の安全面も考える必要があるし、これだけの規模の試合を急遽延期したり代替会場を確保したりするのは難しいだろう、と思っていました。ただ、運営側は密かにBプランを用意していて、それに沿って動いているのでは?という期待も抱いていました。

 しかし、その期待むなしく、10月12日のニュージーランド-イタリア(豊田)、イングランド-フランス(横浜)*3、13日のカナダ-ナミビア(釜石)の3試合が中止となました。ラグビーワールドカップの試合が中止になったのは、9回目で初のことになります。

 また、13日の日本-スコットランド(横浜)は、関係者の懸命な努力により開催することができましたが、その前に中止が懸念された段階で、スコットランド側が中止の場合は法的措置も検討しているという声明を出しました*4。この発言は問題視され、その後勝ち点剥奪も懸念される事態になっています。*5*6

台風が来たら中止にするのは当たり前でしょう

 さて、この出来事を自分はどう考えるか。

 まず、観客などの安全を考えて中止にした判断が正しいことは論を待ちません。事前の準備がなかった中で、会場変更・延期などが難しいことは容易に想像できます。結果的に中止にしたことは納得できます。

 無観客試合や会場変更、延期等の検討もするべきではなかったという意見があります。それも一理あると思いますが、自分はできる限り試合を開催するように努力した運営側は正しいと思います。何が起こっても事前に決めたルール通りにやるというのも一つの方法ですが、事前に決めたルールが適切ではなかったと気がついたなら、その場でできる限り柔軟に対応するのは良いことだと思います。その場でルールを変更すると公平性が大きな問題になりますが、今回は“想定外の事態”だったわけですから、ルール外の処置を検討するのも許容できると思います。

 スコットランドの声明は、法的措置を言い出したのはやり過ぎだったとは思ますが、理解できる部分もあります。試合が中止になったことに対して不満を述べたのはスコットランドだけではありません*7 。試合開催を熱望する気持ちは十分に理解できます。それはスコットランドも日本も、その他のラグビー関係者・ファンも同じではないのですか? 一方で、中止するかどうかは運営側が状況を総合的に判断することであり、スコットランドの主張とは関係なく決めるべきです。スコットランドがなんと言おうと運営側は中止の判断をする。それだけでいいと思います。

台風が来たらどうするか事前に考えていましたか?

 自分が気になるのは、なんで(代替試合なしの)中止というルールになっていたのか?という点です。

 まず、自分の思いは、「ラグビーワールドカップの試合が、行われないことが、いいわけがない」です。当日のアクシデントにより試合ができないことを想定して、「無観客試合はできないか?」「別会場で開催できないか?」「延期することはできないか?」などを事前に十分に検討して、できる限り試合が行われないという事態を避ける準備をするべきだと思います。

 そういう検討・準備は十分にしたが、それでも日程・会場・金銭などの問題で代替試合の開催は不可能であることがわかったからこのルールにした、ということならしょうがないと思います。でも、そうなんですか? 4年に1度開催の世界3番目とも言われる大きなスポーツ大会で、1ヶ月以上も開催期間がある大会で、予備日や別会場を用意しておくことは、不可能なことですか? 予選プールではなく決勝トーナメントの場合なら、中止の場合は延期になるということです。決勝トーナメントでできるなら、予選プールでも1回や2回の予備日を設けることはできたんじゃないですか?

 もしかしたら、ラグビーの試合は基本的に悪天候により中止ということがないので、延期にするのは極めて例外で、予備日は設けないのが普通。アクシデントが起こった場合は中止で構わない。という合意が関係者やファンの間であるのかしれない、とも思いました。そうだとしたら、それは考え直してほしいです。

 大会後、こんな記事がありました。

中止の判断については、本当にそれで正しいのかを「百万回」自分に問いかけたが、もっと良い解決策は出てこなかったという。ギルピン氏は「台風の勢力が判明した時点で、会場を別の場所に移し、限られた時間の中で、大所帯の各チームに日本を縦断してもらうのは現実的ではないと分かった」と話し、自身の判断に「後悔はない」と強調した。

 これを読む限り、「アクシデントの場合は中止にすれば問題ない」と考えていたわけではないと思います。これには少しほっとしました。一方で、大会中には次の記事も出ています。

「われわれは台風の可能性に備えていた。日本で台風が発生するのは何ら珍しいことではない。しかし、今回の台風は50年に一度の例外だった」「どうか理解してほしい。今回起きたことは異例であり、その中で大会側は見事な対応をした。台風の到来は予測していたが、規模は想定外だった」

 これは認識が甘いと思います。確かに今回の台風は大きな台風でしたが、想定し得ないというほどではなかったと思います。「50年に一度」は例外と言える頻度じゃないと思います。また、これほどの規模の台風でなくても、交通機関が止まったり、観客の安全面が懸念される事態は十分起こると思います。「規模は想定外だった」って、小さな台風だったら中止以外の対応をすることができたんですか? もっと規模の小さい台風だったとしても、試合時間に直撃したら中止せざるを得ない可能性は高かったと思います。

 自分が心配するのは、台風などのアクシデントも来る可能性は十分認識していたにもかかわらず、何となくそんな事は起こらないだろうと思って何の対策もしていなかったという可能性です。台風が来る可能性があることは分かっていたとしても、実際に大会期間中に台風が直撃する可能性なんてごくわずかです。何の対策をしていなくてもうまくいく可能性は高いし、対策は無駄になる可能性の方がずっと高い。だから、何となく今までどおりのルールにして、それに対して誰も異議を唱えず、参加国は同意して、わたしは知りもしようとせず、そしてラグビーワールドカップの試合が中止になるという日を迎えてしまった。そういうことではないですか?

 実際にそういうことだったのかどうかは分かりませんが、もしそうだったとしたら今後は改める必要があると思います。きっと、次はもっとうまくできるでしょう。

2019/11/17(日)追記:この記事の続きを書きました

 その後、この記事を書いたときには知らなかったことを知ったり、新たな情報・続報が出てきたりしたので、この続きの記事を書きました。

y-koutarou.hatenablog.com

リンク集

*1:その他の反省するべき点。

 その1:微妙な判定に反論が相次ぎ、主催者側が判定に一貫性がなかったことを認める事態となった。

 その2:会場の売店で売り切れが相次ぎ、観客が飲食物を調達できない事態となった。その後、会場への飲食物の持ち込みを一部認める事になった。

*2:

運営側は代替会場での無観客試合のほか、3連休最終日となる14日への延期も検討している。ただいずれもチームの移動や宿泊場所の確保、観客への周知など課題が多く、9日午前現在で決定に至っていない。幹部は「様々な想定を重ね準備している」という。

*3:

組織委は12日の2試合について会場を変更したうえで、無観客で行うことなどを検討していた。しかし準備期間が極端に短く、チームの移動や宿泊、警備など課題が多く、1次リーグに関しては試合中止の規定もあったため、今回の判断となった。アラン・ギルピン大会統括責任者は「リスクが広範すぎて、すべてのチームを平等にすることができなかった。安全第一に考えた」と話した。

*4:

ドッドソン氏は「大会のインテグリティー(健全性)に関わる。日程に柔軟性を持たせるべきで、再考してほしい。開始を24時間遅らせてでもプレーしたい。どこでも、無観客でも構わない」と話した。英メディアによると、中止となった場合は主催者側への法的措置も検討しているという。

日本戦「日程変更してでも」 スコットランド協会が訴え - 一般スポーツ,テニス,バスケット,ラグビー,アメフット,格闘技,陸上:朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/articles/ASMBC6HGMMBCUTQP02M.html

*5:

我々が、日曜日の試合を日程通りに行えるようできる限りのことをしている中、そして1958年以来最も大きく破壊的と予想されている台風による、公衆安全への深刻な被害が懸念される状況で、スコットランドラグビー協会があのような声明を発表したことについて失望している。

*6:その後、7万ポンド(約945万円)の罰金ということになりました。

*7:

組織委からは会場や日程の変更が可能か、問い合わせがあったという。「チーム内で検討した。選ぶ権利があるのなら、1日前倒しして金曜日(11日)にしたかった」と話した。一方で、中止の判断については「危険を顧みず試合をするか、安全を優先するかであれば、安全が大事なのは言うまでもない」と理解を示した。
史上最多タイの5度目のW杯出場で、今大会限りでの現役引退を表明しているセルジオ・パリセ主将は「台風の季節にやるのは分かっていたこと。プランB(代替策)をつくるべきだった」と話した。
天候に関してのリスクマネジメントについても言及。「W杯は、別のプランを用意しておくべきだ。イタリアとニュージーランドが中止を望むのならいいが。何度も言うようだが、ニュージーランド(の決勝トーナメント進出)に(一定以上の)勝ち点が必要だったら中止にはならなかったはずだ」。逆の立場なら試合は行われていたと繰り返した。
  • 戦わずに敗退 イタリア主将が非情の中止に訴え「つらい」「こんな決定はおかしい」 | THE ANSWER スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト
    https://the-ans.jp/rugby-world-cup/87781/

最下位ヤクルト2019の『ベストプレープロ野球』のデータを作った

 今年もまた東京ヤクルトが最下位になってしまいましたね(´・ω・`)

 最下位ペースがはえーよ。2013・2014・2017・2019年。ここ7年で4回最下位。これって立派な暗黒時代なのでは……。最下位の合間の2015年に優勝(!)しているのが暗黒時代としては弱いところですが……。

 と言うわけで、今年もヤクルトが最下位になったことを記念して、『ベストプレープロ野球'00』のヤクルトのデータを作りました。前回のデータからわずか2年しか経っていないので、両方に共通している選手も多い。比較してみると、成長が感じられたり、そうでもなかったりしておもしろいかもしれません。

【2019年東京ヤクルトスワローズ

2019年ヤクルトと言えば村上宗隆。高卒2年目ながら開幕スタメンに名を連ねると、低打率ながら本塁打はコンスタントに放ち続け、徐々に注目される存在に。打率は最後まで低空飛行のままだったが、本塁打のペースは衰えることなく36本を記録。中西太王貞治清原和博松井秀喜ら球史に残る名選手の高卒2年目記録と比較され、燕ファンのみならず球界全体の期待を背負う選手となった。しかしチームは投壊の末最下位。

;--------------------------------------------------------------------
; チーム名                  略称         記    球場
  東京ヤクルトスワローズ19  ヤクルト2019 ヤ    明治神宮野球場

; UNIFORM                   SYMBOL       BGM
  S_h          s_v          swallows     swallows

; 監督             タ 投 選 打 バ エ 盗 A 抑
  小川淳司         +1 +2 -1 -1 -2  0 +2 -2 -2

; 野手             席 タ C 1 2 3 S O 肩 走 眼 実 ス 巧 長 信 左 指数
5 太田賢吾         L  S  - D B C C -  B  C  C  D  C  C  D  0 -1  260
8 青木宣親         L  S  - - - - - B  D  C  B  A  B  B  C  0 -1  300
4 山田哲人         R  P  - - B - - -  A  A  A  B  B  E  A -1  0  270
7 バレンティン     R  S  - - - - - E  A  D  C  A  B  E  A  0 +1  280
9 雄平             L  P  - - - - - C  A  C  C  B  B  B  C -1 -1  270
3 村上宗隆         L  P  - D - E - -  B  C  E  E  S  E  A +1 -1  260
2 中村悠平         R  S  B - - - - -  B  D  C  C  B  C  C  0  0  270
6 廣岡大志         R  P  - D - C B -  C  C  E  E  C  D  B -1  0  250
- 山崎晃大朗       L  S  - - - - - B  C  A  D  E  D  B  E -2 -2  260
- 西田明央         R  P  C D - - - -  C  D  D  D  D  D  D  0  0  240
- 荒木貴裕         R  S  - C C D - D  C  C  C  C  C  D  D +2 +2  260
- 奥村展征         L  S  - - B D B D  C  C  E  D  D  B  E -1 -2  250
- 西浦直亨         R  P  - - - - B -  C  C  D  D  E  B  D  0  0  250
- 大引啓次         R  S  - - - B B -  D  C  D  B  E  C  E -1  0  250
- 上田剛史         L  S  - - - - - B  C  A  E  C  D  C  E  0 -2  250
- 中山翔太         R  P  - - - - - E  C  D  E  E  E  D  B -1  0  250

; 投手             投 タ 球速 切 制 安 質 術 ス  回 指数
P 石川雅規         L  D   134  A  A  C  E  S  C  22  200
P 小川泰弘         R  A+  144  A  B  D  E  D  B  22  200
P ブキャナン       R  A+  145  A  D  D  D  B  B  20  200
P 高橋奎二         R  A   145  C  D  D  C  E  C  22  200
P 高梨裕稔         R  A+  144  B  C  E  E  D  C  20  200
P 原樹理           R  C   144  A  B  D  E  E  C  14  200
P 梅野雄吾         R  A+  146  D  C  D  D  E  D  30  200
P ハフ             L  B   144  B  B  C  C  D  E  30  200
P 近藤一樹         R  A   144  B  C  B  D  D  E  28  200
P 五十嵐亮太       R  A+  142  B  C  D  C  B  E  24  200
P 石山泰稚         R  B   144  A  B  B  C  E  E  14  200
P マクガフ         R  B   148  C  B  D  B  E  D  30  200

 山田の二塁守備はAでもいいと思うのだけど、ベスプレの場合、二塁と遊撃の守備力はチーム防御率に多大な影響があるので、今年のヤクルトの状況ではAはあげられない。

 バレンティンの走力はEを考えていたけれど、8月29日の横浜DeNA戦、6回表のヤクルトの攻撃。1死2塁。2塁走者は山田。バレンティンが三遊間をゴロで抜けるレフト前ヒット。山田は打球が抜けるのを見てからスタートしたので3塁ストップ。レフトの梶谷は3塁ベース付近へ緩く返球。したのを見てバレンティンは急激に速度を上げて2塁到達! この走塁を見たらEは付けられないわ。守備もDでもいいと思うんだけど、やはりチーム防御率を考えると守備力は上げづらい。

 村上は、眼E巧Eだと打率が2割以下とか本当にひどいことになりがちなので、他の能力を底上げしています。実際の村上も打率は低いけれど、そうはいっても安定して.230前後は打っていたので。

 投手は、球速が速いとそれだけでかなり抑えられるので、実際の球速より控えめにしたり、球速145以上の投手は他の能力をかなり削ったりしています。1980年~2000年代のゲームなので、その頃は150km/h投げる投手なんてそんなにいなかった。


 以下は現実のヤクルトの来季への期待などを。

 ここ7年の最下位4回の原因は投手力。2013年からずっと投懐状態が止まらない。2015年の優勝も、投手は"ROB"(ロマン・オンドルセク・バーネット)+秋吉亮の最強リリーフ陣だけだった。先発陣は“ゆとりローテ”でなんとかやりくりして1シーズン持たせた。それでも最後の方は先発も酷使気味で、これ以降館山と杉浦は……ということになっている。日本シリーズでは5試合全部、先発が5イニング持たなかった。

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 7年間も立て直しができないというのは何か原因があるんじゃないのか? 特に期待外れなのが小川泰弘と杉浦稔大小川泰弘はルーキーイヤーの2013年、チームは最下位の中で最多勝と新人王を取った時は「これはヤクルトの大エースになる」と思ったものだ。が、その後は、そこそこではあるが、チームを引き上げるような活躍はできていない。

 杉浦稔大はルーキーイヤーの2014年の終盤に4試合先発して2勝。これは来年が楽しみだと思ったら、2015年は開幕直後にケガで離脱。それでもシーズン終盤に復帰して、チームが苦しいところで好投して優勝に貢献。来年こそエース級だと思ったら、翌年から不振で2017年途中にトレード。日本ハムでもそこまでの活躍できていないけど、まだこれからがあるんだよな!?

 他の投手も、2013年から成長している選手が見当たらない。石川雅規はがんばってはいるけれどもう大活躍は望めない年齢だし、館山昌平村中恭兵由規もその後はそれぞれに存在感が小さくなっていった。期待のドラフト1位勢も、杉浦は前述の通りトレード。増渕竜義は伸び悩みの末にトレードしてその後引退。赤川克紀は伸び悩みの末に引退。原樹理は伸び悩み中。こんなにダメダメな投手陣なるはずじゃなかったんだけど……。奥川恭伸は大エースに育ててくれよ。

 2010年に二桁勝利投手が4人出たときは夢いっぱいの先発陣だったのにね。石川雅規30歳、館山昌平29歳、村中恭兵23歳、由規21歳。左右2人ずつ、中堅2人と若手2人で、実にバランスが良い。この態勢で7~8年は安泰だと思っていたのに……。2011年の無茶がたたっているのだろうか……。

 あと、やっぱり秋吉亮をトレードに出してしまったのってどうなの? 日本ハムで大活躍じゃないか。確かにクローザーに石山泰稚はいたけれど、信頼できるリリーフ投手は多ければ多いほどいい。近藤一樹や梅野雄吾は良くやってたけど、そこまで信頼できるというほどでもなかったと思う。ただ、秋吉とトレードで来た高梨裕稔と太田賢吾もそこそこ活躍しているからなあ。先発の方が足りなかったと言われればその通りだったので、何とも評価しづらい。

 ここのところ、ヤクルトはトレードはうまくいってる。近藤一樹八木亮祐とトレード)・奥村展征相川亮二のFA補償)は活躍してるし、「大引啓次をFAで取るくらいなら川島慶三を出さなければ良かったんじゃないの?」とはちょっと思うけど、川島とトレードで来た山中浩史も優勝に貢献したしね。

ラグビーが強い国はどこか表にしてみた

 ラグビーワールドカップ2019日本大会が開幕しています。日本は開幕戦でロシアに4トライのボーナスポイント付きで勝つという上々の立ち上がりでした。ラグビーのワールドカップは大会期間が長い。決勝戦は11月2日(土)とまだ1ヶ月以上先の話。その頃にはもう野球の日本シリーズも終わってるんですね。予選プールだけでも10月13日(日)まで続く長丁場(日本の最終戦もその日)。まあ、のんびりいきましょう。

 日本開催ということで注目度も高く、日本戦以外にも数々の試合が地上波やBSで放送されています。できるだけ見たいと思いますが、どの国が強いのか事前に分かっていた方が、予選プールの戦いを楽しめるよな。というわけで、ラグビーはどの国が強いのか調べて表にしてみました。

ラグビーが強い国

地域別、ラグビーが強い国
地域 強豪 中堅 下位
南半球
  • アルゼンチン (11)
 
ヨーロッパ
  • イタリア (14)
太平洋    
アジア  
  • 日本 (10)
  • 香港 (24)
  • 韓国 (31)
アメリ    
その他  

 地域も強さも独断と偏見でてきとうに分けましたのであまり鵜呑みにしないで下さい。自分の中ではこういうイメージがある、という程度です。

南半球

 まず、ラグビーの強い国と言えば、「オールブラックス」のニュージーランドと「ワラビーズ」のオーストラリア。それに、前回大会で日本に敗れて世紀の番狂わせを演出してしまった南アフリカを加えた南半球3ヶ国で「トライネーションズ」という対抗戦を行っていた。2012年からはアルゼンチンも加わって「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」という4ヶ国対抗戦になっている。

ヨーロッパ

 南半球3ヶ国に負けず劣らず強いのがイギリス勢。イギリスという1つの国ではなく、イングランドスコットランドウェールズアイルランドの4つの国に分かれて出場する。また、アイルランド島は、国としてはイギリスの一部である北アイルランドアイルランドに分かれているが、ラグビー代表は2つの国を合わせて「アイルランド」という1つのチームで出場する。

 さらにフランスも「シャンパンラグビー」と呼ばれるプレースタイルで知られ、準優勝3回の強豪。この5ヶ国にイタリアを加えた6ヶ国で「シックスネーションズ」という対抗戦を行っている。

太平洋

 次いで挙げられるのがフィジートンガサモアの太平洋勢。ラグビー以外のスポーツの世界大会ではあまり見かけない国なので印象深い。特にフィジーは「フィジアン・マジック」と呼ばれるパスワークが有名で、7人制ラグビー(セブンズ)では強豪国。2016年リオ五輪では金メダルを獲得し、これがフィジーの五輪史上初のメダルとなった。

アジア

 アジア地域では長らく日本がダントツ状態。それでも世界の中では弱小国だったが、前回大会で南アフリカを破る大金星+予選プール3勝1敗の成績で一気に株を上げた。日本に続くのは香港・韓国だが、今のところワールドカップ出場に手が届く感じではない。

予選プール通過チームは?

 予選プールは1プール5チームの4プール、上位2チームが勝ち抜け。

 こうやって見ると、南半球3チーム+ヨーロッパ勢5チームの8チームが鉄板に近い(^_^;) きれいに4プールに2チームずつに分かれているし。やっぱり上位8ヶ国は強いよねー。

 そんな中アップセットがあるとすれば、フィジーかアルゼンチンか、やっぱ日本じゃない?

参考リンク集

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タイプウェルの思い出

 2019年6月1日、タイプウェルの公式ランキングの更新が、終わってしまいました。

 自分がプレイしていたのは主に『タイプウェル国語K』です。かな入力(JISかな配列)でプレイするためのソフトですが、自分は新下駄配列でプレイしていました(『姫踊子草』『やまぶきR』を使用)。これはレギュレーション的にどうかという話もあります。自分としては、タイピングゲームというのは実用で使う能力がゲームに生かせるところが大きな魅力だと思うので、新下駄配列以外でプレイする以外の選択肢はほぼありません。

 次の画像は公式ランキング終了時の総合成績。目標の総合成績レベルXA=カテゴリMachine=スペシャリストには、あと4196ポイント及びませんでした。

タイプウェル国語Kの総合成績。総合レベルXB。XAまであと4196ポイント

タイプウェル国語K@新下駄配列 総合成績

 昨年までは記録の更新は滞っていました。一番最近の更新でも慣用句・ことわざの2017年、ほかの3モードは2012~2013年以来更新がない状態でした。それが、2018~2019年の年末年始から更新できる感じになってきました。その理由は「先読み」と「指の動き」への意識が以前とは変わったということがあります。以前、Twitterに書きました。

 この時に突然気がついたというのではなく、1~2年前から何となく感じていたことに本格的に取り組み始めたということです。ほどなく、慣用句・ことわざで新記録が出るようになりました。それでも、慣用句・ことわざ以外は新記録が出る感じはなく、慣・ことばかりをやっていました。2月ごろからカーリング中継のシーズンになったので(^_^;)タイプウェルをやる頻度が激減。

 4月27日に公式ランキング更新終了が発表されたころから再開。再び慣用句・ことわざの更新を狙っていましたが、その後、他のモードにも「先読み」と「指の動き」を意識することは効果的だと気がつく。ある程度長いワードに対して効果が高いと思うのですが、タイプウェル国語Kの場合はどのモードでも「280文字1ワード」であるのは同じだから、ということだと思います。公式ランキング更新終了前の2週間は、各モードで\新記録樹立!/が相次ぐようになります。

 次の表は2019年に入ってからの記録更新履歴。タイムのリンクは、更新した時の自分のTwitter投稿です。

タイプウェル国語K@新下駄配列の記録更新履歴(2019年)
年月日 基本常用語 更新幅 カタカナ語 更新幅 漢字 更新幅 慣用句・ことわざ 更新幅
公式最終 35.976 -0.520 37.609 -1.462 34.463 -1.892 40.171 -1.397
2019/05/30 - - - - - - 40.171 -0.132
2019/05/26 - - - - 34.463 -1.468 - -
2019/05/26 - - - - 35.931 -0.424 - -
2019/05/24 - - 37.609 -0.528 - - - -
2019/05/23 - - 38.137 -0.173 - - - -
2019/05/19 - - 38.310 -0.416 - - - -
2019/05/16 35.976 -0.520 38.726 -0.345 - - - -
2019/05/14 - - - - - - 40.303 -0.102
2019/02/11 - - - - - - 40.405 -0.183
2019/01/21 - - - - - - 40.588 -0.184
2019/01/14 - - - - - - 40.772 -0.723
2019/01/06 - - - - - - 41.495 -0.028
2019/01/06 - - - - - - 41.523 -0.045
それ以前 36.496 - 39.071 - 36.355 - 41.568 -

 今年の記録更新モードに入ってからの更新幅を見ると、克服したと思っていた慣用句・ことわざの更新幅が4モード中3番目で、再び取り残された格好。漢字で1秒以上の更新が出たのは良かったですが、基本常用語での更新が1回に留まり、更新幅も一番小さいのが痛かった。これまでの更新履歴を見ると、基本常用語と漢字は同じくらいのタイムを出せているので、現状の1秒以上という差は大きすぎる。

 Professionalの頃はGeniusでさえ夢の記録だった。Geniusに達した時もあと少しは延ばせると思ったけど、Machineに届くとはまったく思えなかった。4月27日に公式ランキング更新終了が発表された段階でも、慣用句・ことわざ以外は大きな更新ができるとは思えなかったので、終了までにMachineに到達するのは厳しいと思っていた。それが、基本常用語の更新、漢字の大幅更新でMachineがいよいよ現実的なってきたところでした。公式ランキング更新終了までにMachineに到達できなかったのは残念です。


 自分がタイプウェルを始めたのは2005年頃。当時は下駄配列を使っていました。

 これまでずっと、タイピング練習ソフトと実際のタイピングとじゃ操作とかが違うから意味ないじゃん、と思ってタイピング練習ソフトには手を出さなかった。それは今でもそう思っているけど、それは置いといて、とにかくゲームとして面白い。こんなに面白いとは思わなかった。『F-ZERO』のタイムアタックにはまっていた時期を思い出す。

 やがて、Geniusに到達します。上の記事が2005年6月で下の記事が2005年11月。当時はずいぶん時間がかかったように感じましたが、いま思うと半年でGeniusに到達しているのですね。

とはいえ、今回はさすがにこれ以上は簡単には伸びないな、という感じもしてます。『タイプウェル』の全国ランキングを見ると、GeniusになるレベルであるSSが一番人数が多い。これはGeniusになったことでランキングに参加しようと思う一方で、速度はこれで十分と思ってタイムアタックをやめてしまう人がいるからなんでしょう。私としてももう少し別なことをやりたいなという気持ちはあります。

 この時は記録更新もあと少し伸ばして終了だと思いました。しかし、記録更新した時のタイピングでも完璧なタイピングということはなく、まだ伸ばせそうだという感じが常にある。あと少し、あと少しと更新していくうちに、総合成績もGeniusの後半に入ってきて、「いつかMachineに到達できたらいいなあ」と思うようになってきます。ここまでが下駄配列での話。総合レベルXEで下駄配列は終了。2008年から新下駄配列の作成に入ることになります。

 2010年、ようやく新下駄配列が完成。タイプウェル国語Kでも総合レベルXEに到達して、下駄配列での記録を超えたところで新下駄配列を発表。自分としては当然新下駄配列の方が優秀な配列だと思っているので、このまま一気にMachineまでいけるんじゃないの?とちょっと思ったこともありましたが、そんなに甘くはない。配列を改良しただけでGenius後半レベルのタイピングがそんなに速くなるわけがない。

 それでも少しずつは記録を更新しますが、2013年の更新で総合レベルXBまであと3ポイントとなったところでついに長い足踏み。次に記録を更新して総合レベルXBに入るのは4年後のことになります。

 この状態が2018年の年末まで続き、以降はこの記事の最初に書いた話に続きます。

 公式ランキング更新は終わってしまいましたが、タイプウェルが終わったわけではありません。タイプウェルのことを初めて書いた記事のタイトル――『タイプウェル』が面白くてたまらない――は今も同じ気持ちです。タイプウェルの内容も、自分で出した記録の価値も、これからもまったく変わることはありません。あと少しに迫った総合成績カテゴリーMachineは達成したいですし、それ以降もできる限りの更新はしたいと思います。

カーリング日本選手権2019の思い出のシーン

 去る2月11日から2月17日まで、第36回日本カーリング選手権が行われていました。NHKカーリング中継は、昨年は五輪イヤーだったためやや控えめでしたが、今年は例年の連日1日2試合中継の態勢に戻って、特設サイトの情報も充実。インターネットライブ配信も、今年はYouTubeでの配信になって、さらに過去の配信も見られるという、時間がいくらあっても足りない態勢に拍車がかかる(^_^;)

 と言うわけで、今年も自分が印象に残ったシーンを、局面図を交えて振り返ってみます。

女子予選 チーム京都-中部電力

1エンド チーム京都のコミュニケーション

 京都弁だか広島弁だか知らんが、味のあるコミュニケーションを取っているチーム京都。「そだねー」のロコ・ソラーレとはわけが違う(^_^;)

「テイクでねー、曲がってこっち当たって、これが出るかもしれんけー。それじゃったら前置いた方が……。ワンやしな」

 このチーム京都というチーム、2選手はカーリング歴なんと10ヶ月だそうです。平昌五輪でロコ・ソラーレの銅メダルがきっかけで競技を始めて、それから10ヶ月で全国大会に出場して、そのロコ・ソラーレと公式戦で試合をするなんてことが起こるんですね。

女子予選 チーム京都-中部電力
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
チーム京都   0 1 0 0 0 0 0 - - - 1
中部電力 2 0 1 2 1 3 1 - - - 10

女子予選 富士急-ロコ・ソラーレ

2エンド 気配り淳子さん

 小穴2投目の投球前。スイープの時につまずきそうな石に注意するように小谷姉に呼びかけるが、小谷姉が全然気がつかず、ちょっといらつく西室w

西室「(ガードの石を指して)優奈、これな、気をつけて。優奈! 優奈! ……有理ちゃんこれ気をつけるように言ってお姉ちゃんに」

4エンド ピンチを救う小穴のドロー

女子予選 富士急(赤)-ロコ・ソラーレ(黄) 4エンド 先攻赤フォース1投目

 先攻富士急フォース1投目。苦しい形だったが、小穴桃里がナイスドロー。曲がるラインを読み切ってガードをの黄をギリギリかわして黄に軽く触れて止まるナイスショット。チームのピンチを救った。

 このあと、ロコ・ソラーレのスキップ藤澤五月がランバックでボタンを狙うが、2投ともガードにかすって失敗。ハウスの中はこの形のまま。このエンド、富士急が1点スチールした。

9エンド 9エンド1点リード先攻の戦術は?

 試合は進んで4-3で富士急の1点リードで9エンド。先攻の富士急は、当然ガードを置くかと思ったが、1投目をハウスに入れてきた。その後もテイク戦模様。これでいいのか富士急!?

 9エンド1点ビハインド後攻の立場で考えると、ブランクにして10エンド1点ビハインド後攻になれば互角。2点取って10エンド1点リード先攻になっても、ブランクの場合と立場が逆になるだけで大差ない。1点取って10エンド同点先攻になってしまうとかなり不利。

 つまり、通常の後攻の目標は「2点取る>ブランク>1点取る」くらいの優先順位だけど、9エンド1点ビハインドの後攻は「2点取る=ブランク>>>1点取る」となる。2点取りのメリットが小さく、しかも2点取りに行って1点しか取れなかった場合の損が大きい。したがって、9エンド1点ビハインドの後攻は、2点取りは狙わずブランクを狙ってくる。

 よって、先攻としてはその狙いを阻止すべく点数の入る勝負に持っていきたい。うまく1点取らせればかなり有利になるし、失敗して2点取られても互角の勝負になるだけ。

 ……ということだと思うのだけど、このエンドで富士急が採った作戦はテイク戦。富士急はどういう狙いだったんでしょうか?

 結局、このエンドはブランクになるのですが、富士急のラスト1投。ここで突然フリーズに行くという手もあったらしい。なるほどー。

y-koutarou.hatenablog.com

10エンド 見応えのある攻防

 最終10エンドで後攻が1点ビハインドという、カーリングで最も際どい展開。

 それぞれのチームのサード、富士急の西室淳子とロコ・ソラーレ吉田知那美がナイスショットの応酬。まず先攻・西室1投目で右からのヒットロールを決めてセンターガードの裏に隠れれば、後攻・吉田知1投目は左からセンターガードをギリギリかわしてその赤をテイク。西室2投目でその黄をテイクして右へロールして再びセンターガードの裏に隠れる。上げた右手を力強く握りしめた西室。

女子予選 富士急(赤)-ロコ・ソラーレ(黄) 10エンド 先攻赤フォース1投目

 しかし、吉田知が再びその赤をテイクして、今度は左にロールしてコーナーガードの裏に隠れて、図の投球前の形に。見応えのある攻防。ここで富士急タイムアウト。西室雄二コーチが降りてくる。

淳子「どうします? あのさあ、一応案としては……」

 淳子、コーチに向かって「あのさあ」って言うなw

 タイムアウト明けの富士急フォース・小穴桃里1投目。ハウス左端の赤から角度を変えて中に転がす作戦。狙い通り少し内側にロールしてナンバー1を取る。

 このショットが効いて、このエンドはロコ・ソラーレは1点しか取れず。4-4の同点でエキストラ・エンド。有利な後攻は富士急が取った。

11エンド 痛恨のスルー

女子予選 富士急(赤)-ロコ・ソラーレ(黄) 11エンド 後攻赤フォース1投目

 富士急フォース・小穴1投目、少しだけ見えている中央の黄を直接テイクに行くが、わずかにスルーしてしまう。痛恨のショット。手前のガードに当たってガード外しになるのはまだ良かったが、スルーは致命的だった。

 このあと、ロコ・ソラーレのフォース・藤澤五月の2投目は、黄のセンターガードの手前やや右にガード。ドローコースもランバックコースもふさぐ狙い通りの位置に置く。小穴2投目は左から複数の石を経由する難しいランバックを狙わざるを得ず、狙いの石に飛ばずロコ・ソラーレ1点スチール。ロコ・ソラーレの勝ちとなった。

 このエンドの富士急はリードの小谷有理沙が2投ともウィックを決めたが、そのあとのショットが続かず、簡単な展開に持ち込めなかった。ここまで有利な試合展開だっただけに、悔しい敗戦になった。

女子予選 富士急-ロコ・ソラーレ
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
富士急 1 0 1 1 0 0 0 1 0 0 0 4
ロコ・ソラーレ   0 2 0 0 0 1 0 0 0 1 1 5

女子予選 北海道銀行-富士急

3エンド 小穴のダブルテイク祭り その1

女子予選 北海道銀行(赤)-富士急(黄) 3エンド 先攻黄フォース2投目

 この試合は富士急のフォース・小穴桃里のダブルテイクが連発した。まず3エンド。

 後攻、北海道銀行のスキップ吉村紗也香の1投目は右にドローして図の投球前の形に。赤1・2を作ったが、もう少し奥まで行って平行近くに置きたかった。距離はあるが赤2つのダブルはある角度が残る。

 そして、すかさず小穴のダブルテイクが炸裂。このエンドをブランクにする。

5エンド 小穴のダブルテイク祭り その2

女子予選 北海道銀行(赤)-富士急(黄) 5エンド 後攻黄フォース1投目

 後攻、富士急フォース・小穴1投目の投球前のやりとり。1つ目の赤に薄く当てるトリプルテイクを狙っているが……。ハウスにはバイススキップの西室。解説は石崎琴美

小穴「7だよね」
西室「うん。7……半でもいいよ、どっちがいい?」
(小声で)
小穴「ちょっとわたし見えないんだよなこっちから」
石垣「まじかいな」
小穴「淳子さんにコールを任せよう(笑)」
石崎「(笑)コールを任せよう……」
実況「(笑)」

 解説も実況さえも笑わせる富士急漫才。しかし、ショットの方は狙いのトリプルテイクを決める! シューターも残して逆に黄が1・2を取る。

 このあと吉村紗也香の2投目のダブルテイクは決まらず、小穴2投目のドローでこのエンド富士急が2点を取った。

6エンド 小穴のダブルテイク祭り その3

女子予選 北海道銀行(赤)-富士急(黄) 6エンド 先攻黄フォース2投目

 ハーフタイムを挟んでも小穴の絶好調は続く。

 先攻、富士急フォース・小穴1投目は、ある程度距離もある上、薄く当てなければいけない難しい角度のダブルテイク。しかし、今日の小穴はこれも決める。

西室「キレッキレだな。キレッキレや」
石垣「来てますねー」

 このエンドをブランクにする。

7エンド 小穴のタップバック

 富士急のセカンド・石垣真央2投目はハウスに入ったところくらいに止めたいドロー。

石垣「ちょっとウェイトないかも」

 最初は短そうだったので西室と小谷有理沙がスイープするが……。

石崎「今のコールだと、3・4と言ってますので、ハウスの前に止まるようなウェイトでしたけども。お、けっこう伸びてますね」
西室「走ってるよー。やり過ぎたわー」

 結局T奥まで行く。

女子予選 北海道銀行(赤)-富士急(黄) 7エンド 先攻黄フォース1投目

 このエンドは、サード2投目を前に北海道銀行タイムアウトを含めて3分以上時間を使う。力の入ったエンドになった。

 そして、今度はテイクアウトではないが、またも小穴のナイスショットが出る。富士急フォース・小穴1投目、左から黄を押して4フットに押し込んで赤にぴったり付ける。

 このあと、吉村1投目は右の赤から中央に飛ばして形を変えるが、バックガードがあるおかげで黄がナンバー1で残る。このまま富士急が1点スチール。スコア5-2となり富士急が優位に立った。

9エンド 流行語?

 試合の方はこのまま富士急が逃げ切ったのだが、ぜひ紹介したい1シーン。

 富士急フォース・小穴1投目を前に作戦会議。

小穴「ただねー……厚い時にちょっとやだなっていう感じ」
西室「うん、こっちにしよう」
石垣「うん、こっちにしよう」
小穴「ステイの方がいい?」
西室「そだねー

 小穴、顔を上げてギロっと西室を睨む。

西室「あの…うん、そう……そうですね」と恥ずかしそうに微笑む西室。

女子予選 北海道銀行-富士急
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
北海道銀行   0 0 0 2 0 0 0 2 0 1 5
富士急 0 2 0 0 2 0 1 0 1 0 6

男子予選 コンサドーレ-札幌国際大学

7エンド 青木と言えばランバック

男子予選 コンサドーレ(赤)-札幌国際大学(黄) 7エンド 先攻黄サード1投目

 札幌国際大学は前年度優勝のteam IWAIの岩井、宿谷、青木の3選手が所属するチーム。team IWAIと言えば、青木豪のランバック。昨年の世界選手権では難しいランバックをビシビシ決めていた

 この試合も2エンドでガードからのランバック・ダブルテイクを決めている青木。迎えた7エンド、先攻札幌国際大学サード青木1投目。またもガードからのランバック・テイクアウトに成功。しかもシューターもコーナーガードになるナイスショット。

 しかし、続く青木2投目では、そのコーナーガードの裏に隠す単純なヒットロールを狙うが、まったくロールせずヒットステイになってしまう。そこでこの一言。

青木「まじランバックしか決まらないんだけど今日」

10エンド 最善手は?

 3-3の同点でコンサドーレ後攻で迎えた10エンド。

 センターガードを置いては外す展開が続く。コンサドーレ清水2投目を前に長い作戦会議。ハウス側に阿部、清水、松村の3人、デリバリー側から谷田が見る。解説は小笠原歩

谷田「ただ、それピールして、次タップされて、あんま抜けない形になるなら良くないな。こっちのフリーズはあるから、やるんだったらこっちは押さえなきゃいけないと思う」
小笠原「いいこと言いますね、谷田選手(笑)」

 ここでも作戦を切り替えずガード外しを選択した。

男子予選 コンサドーレ(赤)-札幌国際大学(黄) 10エンド 後攻赤フォース1投目

 そして、札幌国際大学フォース岩井真幸1投目はドローして(4フットのセンターライン左にかかっている黄)図の投球前の形。コンサドーレタイムアウト取る。タイムアウト時間を終わって、中継がサブチャンネルBS102chに切り替わっても作戦会議は続く。コンサドーレ、フォース松村雄太1投目は速いウェイトでテイクアウトを選択。石がきれいに四方に散っていって、ボタンに黄だけが残る! 札幌国際大学にチャンスが来た。すかさずタイムアウトを取るが、

「ここだな」
「ここだね」
「そこしかない」
「ここしかない」

作戦は5秒で決まって、もちろんセンターガード。ハウス手前の近すぎず遠すぎずいい位置に置けた。松村2投目はわずかに見えている左側からガードをかわして黄を少し押す手を狙うが、ガードにかすってしまってハウスに届かず、札幌国際大学がスチール。札幌国際大学がここまで予選リーグで全勝のコンサドーレを破った。

 コンサドーレ、フォース松村1投目の場面、結果は狙い通りではなかったと思いますが、どこに誤算があったんでしょうか? 狙いの場所に当たったがその後の石の動きが計算外だったのか、ショットがずれていたのか。ずれていたとすればどこに当てたかったのか。ショットのあとに解説の小笠原が「少し松村選手のが厚く当たってしまって」とコメントしているが、実際もっと薄く当たっていたら石はどう動いていたのだろう? そして、スキップ1投目の小さなミスでこんなピンチになってしまうのなら、サード2投目の段階で作戦を切り替えるべきだったのだろうか?

男子予選 コンサドーレ-札幌国際大学
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
コンサドーレ   0 0 0 2 1 0 0 0 0 0 3
札幌国際大学 0 1 0 0 0 2 0 0 0 1 4

女子予選 ロコ・ソラーレ-北海道銀行

9エンド 藤澤のヒットロール

女子予選 ロコ・ソラーレ(赤)-北海道銀行(黄) 9エンド 先攻赤フォース1投目

 先攻ロコ・ソラーレ、フォース藤澤五月の1投目。左の黄から4フット手前の黄の裏に入るヒットロールを決める。これでロコ有利になった。

 このあと、なんとしても2点以上がほしい北海道銀行は、フォース吉村紗也香1投目でセンターライン上の黄からランバックを狙うが、わずかにずれて赤は動かず、さらにロコ・ソラーレ有利に。吉村2投目のラストストーンは、ハウス右端の赤から角度を変えて中央を狙う難しいショットをやらざるを得なくなる。これもわずかにずれて中央に飛んだシューターの黄はボタン下を通過。ロコ・ソラーレの3点スチール。ここまでクロスゲームだったがだったが、終盤スコアが大きく動いてこのエンドでコンシードになった。

女子予選 ロコ・ソラーレ-北海道銀行
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
ロコ・ソラーレ   1 0 2 0 0 1 0 2 3 - 9
北海道銀行 0 1 0 2 0 0 1 0 0 - 4

女子予選 北海道銀行-中部電力

3エンド 作戦を変えたショットが……

女子予選 北海道銀行(赤)-中部電力(黄) 3エンド 先攻赤フォース1投目

 先攻、北海道銀行スキップ吉村紗也香1投目。ハウス内のセンターライン右の黄のテイクで一度は決まって、投球体勢に入りかけるが……。

吉村「そっちにフリーズも考えたんだけどねー。どうしよう」
近江谷「押えられると思うけど。このあとどうするのかなとは思ったけど」
吉村「あれ2なんだよね」
近江谷「うん。で、……どういう予定だった?」

 投球をやめて吉村がハウスに行って船山弓枝と相談。黄のテイクではナンバー1を取れないので、テイクをやめて左の黄にフリーズに切り替えた。解説は金村萌絵。

金村「ここは2点勝ってるので、テイクアウトしてくるチームもあるとは思うんですが、一歩攻めに出ましたね」

 ナイスショット風だったが、わずかにナンバー1にならず。これが痛かった。

 後攻、中部電力フォース北澤育恵1投目。作戦会議があって、右の黄のタップバックを選択。ナンバー1・2・4を取る狙い通りのショット。

女子予選 北海道銀行(赤)-中部電力(黄) 3エンド 先攻赤フォース2投目

 吉村2投目はナンバー1の黄を直接狙うが、手前のナンバー4の黄に当たって押し込んでナンバー3にしてしまう。痛恨のショット。うつむき加減で渋い顔の吉村。

金村「2点をどうしても防ごうと思うとギリギリ狙ってしまうんですが、2点勝っているというスコアを考えて、悪くても1つ出して、2点は覚悟という気持ちで投げてほしかったですね」

 このあと、北澤2投目はナンバー1に軽く当てるドローで1点追加。中部電力4点のビッグエンドとなった。

6エンド 危険な選択

女子予選 北海道銀行(赤)-中部電力(黄) 6エンド 後攻赤フォース2投目

 先攻、中部電力フォース北澤2投目の段階で、4フットの赤と黄、どちらがナンバー1か中継の画面上からは微妙に見えた。

金村「どちらにせよ、中部電力は赤をテイクしていく必要はあると思いますね」
実況「テイクは、しづらいですか?」
金村「そうですね……。ただ、後ろの黄色も一緒に出てもいいと思えば、比較的簡単にできるとは思います」

 中部電力の選手は黄がナンバー1という確信があるようだ。赤を押すコースを無くしてドローコースも狭める石を置く手を選択し(4フット手前の黄)、図の投球前の形になる。いい位置に置けたが、この選択は危険だった。

 北海道銀行、スキップ吉村のラストストーン。右の黄から横に飛んでシューターをピタッと止めるダブルテイク・ステイを決める。北海道銀行は、ハウス内は黄ばかりの状態からスキップの2投で2点取った。

金村「よくあの状況から2点を取れたなというところなんですが。すばらしいショットが決まりましたね」
実況「中部電力もですね、北澤が与えたプレッシャーは大きかったと思うんですけど」
金村「そうですね。ただ、このダブルがあると思えば、赤のテイクアウトという方が良かったのかなと思うんですよね」

8エンド 「すばらしいショット」

女子予選 北海道銀行(赤)-中部電力(黄) 8エンド 先攻黄フォース2投目

 先攻、中部電力フォース北澤2投目、ボタンの赤をテイクして、じわっと左へロールして隠れるナイスショットを決める。実況が「すばらしいショット」とかみしめるようにように言った。試合後の市川美余のスタジオ解説*1、「美余's チョイス」でもこのシーンが選ばれた。

 吉村2投目はボタンに掛けるしかない厳しいドローだったが、まるでハウスに届かず中部電力1点スチール。ここまでクロスゲームだったが、ここで中部電力が有利になった。試合はこのまま中部電力の勝ち。

 この試合の北海道銀行は、ここで紹介した以外にも良いショットを決めていた――例えば、2エンド、小野寺2投目のダブルテイク。4エンド、吉村2投目のセンターラインをクロスして4フットを狙う狭い範囲のドロー。5エンド、吉村2投目のテイク後わずかにロールしてセンターガードの裏に入り相手に1点を取らせるショット――だけに、3エンドの4失点が悔やまれる。もっとも、この試合の勝敗が逆だったとしても予選リーグの順位に影響はなかったのだけど。

女子予選 北海道銀行-中部電力
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
北海道銀行 0 2 0 2 0 2 0 0 1 0 7
中部電力   0 0 4 0 1 0 2 1 0 1 9

女子1位-2位 中部電力-ロコ・ソラーレ

1エンド 2投目は読んでいた

女子1位-2位 中部電力(赤)-ロコ・ソラーレ(黄)1エンド 先攻黄サード1投目

 先攻ロコ・ソラーレ、サード吉田知那美2投目。ヒットロールを決める。赤から内側にロールして、ロール幅も完璧。1エンドから精度の高いショット。吉田知那美はこういう難しめのショットを完璧に決めるシーンが多い。解説は石崎琴美

石崎「2投目はやはり読んでいましたね」

 実は、吉田知の1投目もほぼ同じショットを投げていて、それはヒットステイになっていた。2投目はその情報を元に調整して決めた。

9エンド 投げる順番を間違える

 クロスゲームのまま試合は進み、同点で迎えた9エンド。ここで事件が起きる。

 中部電力がサード2投目をデリバリーするが、石が進んでいる間に解説の石崎琴美が異変に気がついた。

石崎「あれ? 1投早く投げてしまったんですかね。あれ? サードの2投目ですよね、これ」
実況「そうですねえ」
石崎「いま北澤さん投げまし……たね」

 ショットの方は、ボタンの黄に直接当てて左下に押し下げて、赤が1・2を取るナイスショットだったが……。

実況「北澤ですね」

 なんと中部電力、投げる順番を間違えていた。サード2投目で、まだサードの松村千秋が投げるはずのところで、フォースの北澤育恵が投げてしまった。

 シート上では、ロコ・ソラーレの選手の方が先に気がついて指摘した。

「いまさー、北澤ちゃーん。千秋ちゃんだったかも」
「すいません。タイム止めてください」
「まだあと2投あるからさー」

 やっと事情が飲み込めた中部電力の選手。なぜか松村北澤と吉田夕梨花が肩を組む。苦笑いの両角友佑コーチ。石郷岡葉純が大会職員にルールの確認をしている。カーリング中継では珍しくリポーターから情報が入った。

リポ「曽根さん。先ほどの松村のところなんですけども、確認しましたら、ストーンは有効で、一番最後のストーンを松村が投げるということです」
実況「そうですね。ルールの規定上、プレイヤーが順番を間違えてストーンを投球した場合は、間違えがなかったものとしてそのエンドを続行して、順番を抜かされたプレイヤーがそのエンドの自分のチームのラストストーンを投球する、という規定になっていますので、松村が最後に投げるということになります」

 そして、ラストストーンを松村が投球する。ガードをギリギリかわして黄をテイクしてシューターも残るナイスショットで中部電力3点。ここまで同点だったが、ここで一気に中部電力優勢になった。

松村「アクシデントはあったけど」

 このルール、どうなんでしょう? これだと、順番を間違えたことが有利に働くこともあるんじゃない? 石を触ってしまった場合は、石を触った側が有利になることはないルールになっていたと思います。順番を間違えた場合にもそれと同じくらいのルールがあっていい気がします。カーリングらしいルールなのかもしれないけど、特に今回の場合、順番を抜かされた松村のラストストーンが、この試合を決めるショットになってしまったので、ちょっと釈然としない気持ちは残りました。

(i) プレーヤーが、順番を間違えてストーンを投球した場合、間違いがなかったものとしてそのエンドを続行し、順番を抜かされたプレーヤーがそのエンドの自分のチームのラストストーンを投球する。誰が抜かされたのか分からない場合、間違いをしたチームのリードがそのエンドの自分のチームのラストストーンを投球する。
女子1位-2位 中部電力-ロコ・ソラーレ
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
中部電力 0 0 3 0 1 1 0 0 3 - 8
ロコ・ソラーレ   1 0 0 2 0 0 2 0 0 - 5

女子準決勝 ロコ・ソラーレ-北海道銀行

2エンド 怪力さっちゃん?

 女子準決勝でも事件が起きる。

 ロコ・ソラーレ吉田夕梨花2投目、Tライン奥でハウスから出るかどうか微妙な黄を掃き出そうとスキップ藤澤五月が全力スイープ。その瞬間、藤澤のブラシが折れる! 膝から落ちた藤澤だったが、なんとかタッチストーンは避ける。黄はハウスの右下にかかって残った。怪力だと思われたくない(?)藤澤がマイクに入るように「折れてたブラシだから」と言い訳。「亮二さーん」と大きな声を出す。解説は石崎琴美

実況「石崎さん、このシーンって見たことありますか?」
石崎「あー、んーとなんか、男子はね、あったりてしますけど。女子はね、さっちゃんどんだけの力だってことになっちゃいますからね」

 この後の決勝戦の中継の中で、コーチの小野寺亮二が練習の時に踏んで折れかけていたブラシを誤って使ってしまった結果ということが明かされた。

女子準決勝 ロコ・ソラーレ-北海道銀行
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
ロコ・ソラーレ 0 3 0 2 0 3 0 1 0 1 10
北海道銀行   1 0 2 0 1 0 2 0 2 0 8

女子決勝 ロコ・ソラーレ-中部電力

3エンド 女子の試合?

 サードで見応えのあるランバックの応酬があった。後攻中部電力サード松村千秋1投目、ガードの黄から縦にまっすぐ押すランバック。4フットの赤はなくなって、シューターの黄も飛ばした黄もぴったりステイ。石の配置はそのままで石の色だけが変わった。しかし、先攻ロコ・ソラーレ、サード吉田知那美2投目もお返しのランバック。先ほどステイで残っていた黄が2つともなくなった。解説は石崎琴美、金村萌絵のダブル解説。

石崎「なんか、女子の試合ですかね? 男子の試合を見ているみたいな」
金村「錯覚に陥りますね」

 そして中部電力サード松村千秋2投目はボタンへドローして、図の投球前の形に。ナイスショットに見えたが、ど真ん中すぎた。

女子決勝 中部電力(赤)-ロコ・ソラーレ(黄) 3エンド 先攻黄フォース1投目

石崎「ちょっと深いところまで行ってしまいましたので、これに付けられると2点目を取るスペースがかなり狭まってしまったんですよね。石1つ2つくらい前で良かったんですが、深くなりすぎてしまいました」

 先攻ロコ・ソラーレ、フォース藤澤五月1投目は、その黄にフリーズが吸い付くように決まる。これで中部電力は2点目を置く場所がない。このエンド、ロコ・ソラーレは1点取らせに成功した。

5エンド 思わぬ大差

女子決勝 中部電力(赤)-ロコ・ソラーレ(黄) 5エンド 先攻黄フォース2投目

 先攻ロコ・ソラーレ、フォース藤澤2投目。緩いウェイトで4フットの赤に触りたかったが、ガードに当ててしまう。最初はスイープしていたが、一瞬スイープをやめて、その後で激しくスイープしたがガードをかわせなかった。ハウス内の形を変えられなかった上に、センターガードがなくなってしまう痛恨ショット。

 このエンド、これまでロコ・ソラーレがセンターガードを置いては中部電力が外すショットが続いていた。中部電力フォース1投目で作戦を切り替えて、ヒットロールで4フット後方に黄を置いたところだった。センターガードをなくなってしまっては大量失点のピンチ。

 このあと、中部電力フォース北澤2投目は速いウェイトで一番手前の黄の芯に当てて赤が右に出ていき、黄は4フット奥の黄が無くなっただけで4つ残る。前半で思わぬ大差がついてしまった。

石崎「いやー、これはちょっと……。(北澤2投目は)いや、かなりナイスショットです。ナイスショットなんですが、その1個前の(藤澤2投目は)、あのラインコールというか……もったいなかったなという感じですね」

6エンド ダブルコーナーガードは有効なのか

 4点を追いかけるロコ・ソラーレだが、なかなか複数点を取る形にならない。逆に中部電力の方にいい形ができる。最後はロコ・ソラーレ、フォース藤澤に黄を3つ見ての4フットに入れなければいけない厳しいドローが残り、このドローがショートして中部電力3点スチール。10-3となり、ここでほぼ勝負あった。

女子決勝 中部電力(赤)-ロコ・ソラーレ(黄) 6エンド 後攻黄セカンド1投目

 自分が気になったのが、このエンドの作戦。ロコ・ソラーレはリードの2投でダブルコーナーガードを置きました。

金村「ただ中部電力はそうさせないためにセンターで勝負をしてくるので、それをいかにうまくかわすか、早い段階でコーナーに1個入れたりですとか、センターをきれいにしつつ自分の石が残るようにしていけるかですね」 

 結局、このあとそういう展開にはなりませんでした。図は後攻セカンド鈴木夕湖の1投目。センターラインへのドローを選択。これ以降のショットも、先攻も後攻もすべてセンターライン付近へ投げています。コーナーガードの裏を使うという展開は、このエンド1回もありませんでした。

 大量点を取りたい後攻はダブルコーナーガードを置くのは当然。5ロックルールだからなおさら、といままで思っていましたが、このエンドを見るとそうでもないかもと思いました。後攻がダブルコーナーガードを置く間に、先攻はセンターライン上に3つ置くことができる。それでいい位置に置かれたら、後攻セカンド1投目でセンターラインに投げざるを得ないというのなら、ダブルコーナーガードを置く意味がない気がします。

8エンド SPIN-O-RAMA

 8エンドで8点差。勝負はもうついた。プレーオフに入ってからはコンシードできるのは8エンド終了時から。

 中部電力リード1投目のドローに対して、ロコ・ソラーレはヒットステイを選択した。

金村「テイクしてきますね。ここは、もう」
石崎「そういうことですかね」
金村「そうですね。相手に敬意を表して」

 そのまま儀式のようにシンプルにテイクしあって進行する。中部電力フォース北澤2投目はピールして、石がすべてなくなる。あとは藤澤ラストストーンを残すのみ。チームメイトから声が飛ぶ。

「まわれー」
「さっちゃんまわれー」
「さっちゃんお願いします」

 藤澤、最後は回転投げ。平昌五輪決勝でスウェーデンのニクラス・エディンも見せた相手の勝ちを認めるパフォーマンス。ちょっとぎこちない(^_^;) エディンの回転の方がきれいだったなあ。まっすぐは投げられなかったように見えたが、タッチストーンして?ボタンに石を置いたところでコンシード。中部電力優勝となりました。

女子予選 ロコ・ソラーレ-中部電力
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
ロコ・ソラーレ   0 2 0 1 0 0 0 0 - - 3
中部電力 2 0 1 0 4 3 1 0 - - 11

中部電力が世界選手権へ

 日本選手権女子は中部電力が優勝して、3月16日から行われるカーリング女子世界選手権に出場が決まりました。中部電力は2017年にも優勝していますが、その時は日本が世界選手権の出場枠を獲得できなかったので出場できませんでした。2013年出場時は、スキップ藤澤五月、サード市川美余で日本選手権を4連覇したチーム構成の頃。中部電力が現在の構成に近い形になってからは初めての世界選手権出場になります。

 直近4回の世界選手権出場チームを見ると、2015年北海道銀行、2016年LS北見、2018年富士急、2019年中部電力と、ちょうど四強1回ずつとなっています。ロコ・ソラーレは世界選手権2位、五輪3位があるので世界の実績では抜けているけど、国内大会では圧勝しているというほどではない。こう見ると、来年以降もどうなるかわかりませんね。来年からは2022年の北京五輪の出場枠争い、代表争いも本格化してくるので、どういうことになるのか楽しみです。まあ、その前に今年の世界選手権ですね。

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日本女子カーリングの主な大会の出場チームと成績
オリンピック 日本選手権優勝 世界選手権
2019 - 中部電力 中部電力(?位)
2018 LS北見(3位) 富士急 富士急(10位)
2017 - 中部電力 ※不出場
2016 - LS北見 LS北見(2位)
2015 - 北海道銀行 北海道銀行(6位)
2014 北海道銀行(5位) 中部電力 ※不出場
2013 - 中部電力 中部電力(7位)

*1:スタジオと言っても、シート脇にテーブルを置いただけのものだったけど。何の意味があるんだろう?