パシフィックアジアカーリング選手権2017の男子決勝の大逆転劇を詳しく

 前回に引き続き、もう一つ今シーズンのカーリングの話。

 パシフィックアジアカーリング選手権の男子決勝は韓国と中国の対戦でしたが、スコアを見たらこんなスコアでした。

決勝 中国 - 韓国
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
中国   0 1 0 3 1 0 1 0 2 0 8
韓国 0 0 0 0 0 4 0 3 0 2 9

5エンド終了時5 - 0で中国リードから韓国が逆転勝利。5点差逆転はなかなか見ない展開です。しかも決勝戦でこれが出るか。どんな試合だったのかと思って動画を見てみたら、これがすごい試合でした。中国も良いショットを決めていたのですが、韓国がそれを上回るスーパーショットを連発していました。

y-koutarou.hatenablog.com

6エンド

男子決勝 中国-韓国 06エンド 赤・先攻中国 セカンド2投目

 逆転の端緒となったのは、やはり韓国が4点を取った6エンドです。おもしろい攻防だったので、詳しく紹介します。

 セカンド1投目までの展開は――赤ボタンドロー → 黄左へコーナーガード → 赤センターガード → 黄中央赤へフリーズを狙うが左へずれて後方へ → 赤ずれた黄をピール(投げた石も打った石もなくなるショット) → 黄もう一度中央赤へフリーズ。左やや手前で止まる――で、左の局面の投球前の形になりました。

 赤・先攻中国のセカンド2投目。中央の黄のテイクアウトを狙うが、中央の赤に当たって形が変わる。まあ、ここまではよくある流れでしたが……。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 黄・後攻韓国 セカンド2投目

 黄・後攻韓国セカンド2投目。大量点を取りたい韓国はコーナーガードの裏に置いて得点源になる石を作る。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 赤・先攻中国 サード1投目

 赤・先攻サード1投目。大量失点を防ぎたい中国は相手の石を減らす。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 黄・後攻韓国 サード1投目

 黄・後攻サード1投目。ハウスの奥に置く。それほど強い位置でなくてもテイクアウトされないことが優先。手前に赤があるので出されにくい。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 赤・先攻中国 サード2投目

 赤・先攻サード2投目。中央へドロー。センターガードの裏でTラインの前。理想的な位置かと思ったが……。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 黄・後攻韓国 サード2投目

 黄・後攻サード2投目。相手の石だけ3つはじき出して自分の石は3つとも残すスーパーショット。しかも投げた石もコーナーガードの裏。大量点の形を作った。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 赤・先攻中国 スキップ1投目

 赤・先攻スキップ1投目。センターガードの裏へのドローを狙ったが、ガードに当たってしまう。

 ここで韓国はタイムアウトを取った。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 黄・後攻韓国 スキップ1投目

 黄・後攻スキップ1投目。せっかくタイムアウトを取ったのに、センターガードの裏を狙ったショットは、はるか手前で止まってしまうミスショット。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 赤・先攻中国 スキップ2投目

 赤・先攻スキップ2投目。センターガードの裏で相手の石の前に置いてナンバー1を取る。黄としては、この手前に置いて1点を取ってもしょうがないので、打ち出しに行くしかない。後ろの黄がバックガードになっているので難しいかと思ったが……。

男子決勝 中国-韓国 06エンド 黄・後攻韓国 スキップ2投目

 黄・後攻スキップ2投目。見事にバックガードをかわして打ち出して、しかも投げた石は止める。黄・韓国が4点取って一気に試合はわからなくなった。

 赤の中国としては、サード2投目あたりから、とにかくテイク・テイク・テイクで、できれば2点、最悪でも3点に抑えるという作戦に切り替えた方が良かった気がします。まあ、この大会で優勝してもメリットないので、これが平昌五輪だったら違う作戦をとったよという話なのかもしれませんが……。

 この試合、このあともおもしろい攻防が続きました。

8エンド

男子決勝 中国-韓国 08エンド 黄・後攻韓国 サード1投目

 7エンドは中国に1点取らせて、再び黄・韓国後攻で8エンド。

 このエンドは韓国にスルーがあったりして、途中まではビッグエンドになるようにはとても見えませんでした。セカンド2投目終了時で左の図の投球前。センターガード3つの裏で赤が縦にナンバー1・2。完全に赤の形かと思った。しかし、黄はたった1投で打開する。

 黄・韓国サード1投目。ガードの石の中の石もすべて吹き飛ばすテイクアウト。

男子決勝 中国-韓国 08エンド 黄・後攻韓国 サード2投目

 それでも赤・先攻サード2投目はガードの裏に再び置いていい形を作り返すが、またもスーパーショットが出る。

 黄・後攻サード2投目。ランバックからのダブルテイクアウト。しかもランバックに使った石はコーナーガードの裏で味方の石へフリーズ。実況の外国人も

「Wow!」
「Hahahahahahahahahahahahaha」

って笑ってたよ。

 このエンドは黄の韓国が3点を取る。5エンド終了時は0-5から、8エンド終了時で7-6と逆転した。

10エンド

男子決勝 中国-韓国 10エンド 黄・後攻韓国 スキップ1投目

 9エンドは中国がきれいに2点を取って再び逆転。中国8-7韓国。最終エンドで1点ビハインド側が後攻という、カーリングで最もきわどい展開。

 先攻スキップ1投目まで終えて、赤・中国がナンバー1・2。しかもナンバー2は前後を石に挟まれて打ち出されにくそう。赤が優位かと思ったが、黄・後攻韓国スキップ1投目。ナンバー1を打ち出し、角度を変えてナンバー2も押し出す。

男子決勝 中国-韓国 10エンド 黄・後攻韓国 スキップ2投目

 中国も負けていない。赤・スキップ2投目で再び前後を石に挟まれたいい位置にナンバー1を置く。これを外に押し出してナンバー1・2を取るのは難しいかと思った。

 しかし、黄・後攻韓国スキップ2投目はまたも中国を上回る。ナンバー1を横に少し押し出して、投げた石は中央でナンバー1。ナンバー2は微妙だったがメジャーで黄。このエンド2点を取って韓国が逆転勝利、PACC優勝となった。 

決勝 中国 - 韓国
チーム名 H 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
中国   0 1 0 3 1 0 1 0 2 0 8
韓国 0 0 0 0 0 4 0 3 0 2 9

 ……というようなすごい試合だったのですが、最後の最後でツッコミどころが2か所。

 その1。赤・先攻中国のスキップ2投目は先ほども紹介したようにナイスドローだったのですが、なんと黄色の石を投げてました。石の色を間違って投げるのは何回か見たことありますが、この大詰めでやるか? 石を入れ替えて何事も無かったかのように試合再開しました。

 その2。ラストストーンは先ほども紹介したようにメジャーになったのですが、韓国のスキップがメジャーの最中にトイレ?に行きました。判定が出て勝敗が決まって相手と握手しているときにアイスの上にいないという珍事態。戻ってきて、中国チームが帰りかけているところをあわてて追いかけて握手していました。

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