REALFORCEのスペースキーが長くなってしまった喜びも悲しみも

新世代REALFORCEが発表されたが……

 先日、東プレの高級キーボード、「REALFORCE」(リアルフォース)の第2世代となる「REALFORCE R2」が発表されました。*1

japanese.engadget.com

東プレ REALFORCE R2 日本語108配列 静電容量無接点方式 USBキーボード 変荷重 昇華印刷 かな表記あり アイボリー R2-JPV-IV

 REALFORCEは自分も愛用しているキーボードです。もう10年以上使っています。だからこのリニューアルは自分も注目するところですが、一番気になるのがスペースキーが長くなったこと。いや、「気になる」なんて生やさしいものではありません。「あり得ない」レベルです。これだけでもうREALFORCEはキーボードの選択肢から外れました。さようなら。日本語キーボードの良いところは[無変換]と[変換]があることなのに、それを打ちにくくしてどうするの。[スペース]だけ打ちやすくなってもしょうがないじゃん。

 自分の感想はそんな感じですが、当然東プレだってスペースキーが長い方が売れると判断したからそうしたわけで、スペースキーが長くなったことを歓迎する声もあります。上記でリンクした記事のはてなブックマークを見ても、賛否両論入り乱れています……、と書こうと思ったら、長いスペースに否定的なコメントの方が明らかに多かった(^_^;) まあ、こういうコメントは否定的な意見の人の方が積極的にするものだし、Twitterでも「スペースが長くなって嬉しい」のようなツイートも見かけるので(「スペースが長くなって悲しい」のようなツイートはもっとよく見かけるけど)、賛否両論あるのは間違いないでしょう。

親指で押せるキーは多い方がいいに決まってる

 なぜ、スペースキーが長い日本語キーボードはダメなのか?

 それは、無変換キーと変換キーが親指で打ちにくくなるからです。ほかの指が文字キーを複数担当して忙しく動き回る中、親指はほかの指とは別の流れでキーボード最下段のキーを担当できる貴重な指です。その活用がスペースキーだけに限定されるなんて、なんともったいない。

 英語キーボードのスペースキーが長いのは納得できます。英文入力ではスペースを入力する機会は頻繁にあります。親指の活用はスペースの入力だけでも十分かもしれません。

 しかし、日本語入力の場合も変換操作でスペースキーは使いますが、英文でのスペース入力ほどの頻度ではありません。なにより変換操作があるので、英文入力の場合よりも求められる操作が多くなります。だから[無変換]と[変換]があるのです。[スペース]とあわせて[無変換]と[変換]を活用できてこその日本語キーボードです。日本語キーボードの長いスペースキーなんて、そのメリットを自ら手放していて愚かとしか言いようがありません。

無変換キーにも変換キーにもろくな機能が割り当てられていない

 ただね。

 こう書くと、長いスペースキー肯定派の人たちはこう反論するでしょう。

 「無変換キーと変換キーなんて何に使うの?」

 そうなのです。初期設定では[無変換]と[変換]にはろくな機能が割り当てられていないのです。*2

Microsoft IMEの[無変換]と[変換]のキー設定

 [無変換]は入力中に押すと入力した文字をカタカナ→半角カタカナ→ひらがなに変換します(「かな変換」)。これは多少使える機能ですが、カタカナ変換は[F7]や[Ctrl] + [I]でもできます。そうやって1回変換すれば次からは通常の変換でカタカナに変換できます。そもそも、普通のカタカナ語なら通常の変換でも候補に出てきます。

 [無変換]は変換済み(確定前)の文字をひらがなに戻すときにも使います。これこそ「無変換」というキー名らしい機能ですが、そもそもひらがなで入力したいなら変換せずに確定すれば済むことです。変換してしまったとしても、何回か変換すればひらがなの候補も出てきますし、ひらがな変換は[F7]や[Ctrl] + [U]という操作でも可能です。*3

 [変換]はさらに使い道がありません。ほとんど[スペース]と同じ機能です。「変換」とは名ばかりで、変換操作に使用する必要がありません。数少ない[スペース]と違う機能が「再変換」です(確定済みの文字を未変換状態に戻す)。これは便利な機能ですが、そんなに頻繁に使うわけでもないですし、[変換]という一等地のキーを使うほどの機能ではありません。

 と言うように、[無変換]と[変換]はあまり使いません。使わなくても何とかなります。一方で、[スペース]は変換操作で頻繁に使います。だったら、大して使わない[無変換]と[変換]なんて脇に追いやって[スペース]を長くした方がいいじゃないか、という意見ももっともです。REALFORCE R2シリーズがスペースキーを長くしたのも納得できると言わざるを得ません。

 「長いスペースキーの方が良いなら英語キーボードを使えばいいじゃない」と思わなくもないですが、「[変換]と[無変換]は多少押しにくくてもいいけど無いのは嫌なんです」とか「(日本の)デファクトスタンダードから離れるわけにはいかない」という気持ちも分かるのでしょうがない。

[無変換]と[変換]をキーカスタマイズしよう

 では、スペース短い方が良い派は、なんで大して使わない[無変換]と[変換]が打ちやすいことにこだわっているのか? それは、『KeySwap for XP』のようなキーカスタマイズソフトを使って、[無変換]と[変換]を別のキーとして使うからです。*4pasokatu.com

 先ほども書いたとおり、日本語の入力では変換操作があるので文章入力中にやりたい操作が英文より多くなります。また、変換操作に限らなくても、使いこなすと便利なのに押しにくい位置に配置されているキーがたくさんあります。これを親指で押せるようにするのです。

 具体例をいくつか挙げます。*5

[無変換] → IME-オフ [変換] → IME-オン

 IMEをオンにするキーとオフにするキーを別々に設定します。IME-オン/オフにすれば1キーで済むじゃないか、と思うかもしれませんが、文字入力を始める時に「いまIMEオンかオフか」は瞬時にはわかりづらいものです。IMEオンとオフを別々に設定して、「英数文字を打つ時は[無変換]を押してから打つ」「日本語を打つ時は[変換]を押してから打つ」と決めてしまえば、IMEのモード違いに悩むことがなくなります。

[無変換] → [Ctrl] [変換] → [Shift]

 [Ctrl]は、コピペやアンドゥ、上書き保存などで大活躍するキーです。文字入力中も[Ctrl] + [I]のカタカナ後変換や[Ctrl] + [U]のひらがな後変換など便利な機能も多い。しかし、[Ctrl]はキーボード右下隅と左下隅というかなり押しにくい場所に配置されています。[Ctrl]を親指で押せるようにすれば、[Ctrl]を十分に活用できるようになります。

 [Shift]も、アルファベットの大文字の入力や、かな入力を使う場合の小書きのかなの入力で大活躍するキーですが、小指で押す[Shift]は押しやすいとは言えません。弱い小指を酷使するのも問題。そこで[Shift]を親指で押せるキーに配置します。小指と比べて親指の[Shift]はホームポジションが維持しやすいのも利点です。

[無変換] → [BackSpace] [変換] → [Enter]

 [BackSpace]は文章入力中に非常によく使うキーなのに、右上隅というとんでもなく遠い位置に配置されています。これを近くに置くだけでも文章入力の快適さは別次元。キーボード入力初心者にはとっては、ミスをすぐに修正できるのでミスを恐れずにキーを押せるようになるのも良い点です。

 [Enter]は変換確定や改行で文章入力中もよく使います。「左手親指の[スペース]で変換して右手親指の[Enter]で確定」という流れも心地よいです。

[無変換] → [←] [変換] → [→]

 [無変換]と[変換]に矢印キー(カーソルキー)の左右を割り当てます。ひと目奇妙に思えるかもしれませんが、これがキーの位置と画面上の動きがかみ合っていて意外としっくりくるのです。矢印キーの左右は変換中は文節移動や文節伸縮に使いますし、少し前の部分にカーソルを動かして修正するなど使い道が多く、ホームポジションから押せる価値が高いキーです。

 このようなキーカスタマイズをすると、キーボード入力の効率が格段に上がります。キーカスタマイズが十分に機能するには[無変換]と[変換]が押しやすいことが必須なので、スペースキーが長いキーボードを見ると悲しい気持ちになるのです。

 キーカスタマイズをしている人というのはどう考えても少数派ですから、キーカスタマイズを前提としてスペースキーを短くしろと言うのは無茶だな、と思っていました。しかし、REALFORCE R2シリーズのスペースキーが長くなったことの反応を見ていると、キーカスタマイズを前提に話をしている人が意外と多くいました。キーカスタマイズをしている人は、全体では少数派でしょうが、REALFORCEのような高級キーボードを買う層に絞った話なら、意外と無視できない数が存在するような気がします。

 いまキーカスタマイズをしていないという人も、これを機会にキーカスタマイズをしてみませんか? キーカスタマイズソフトはフリーソフトでも良いものがたくさんあります。キーカスタマイズ案もググるとたくさん出てきます。キーボード全面を変更するような大幅なカスタマイズ案も多くありますが、今回紹介したような「[無変換]と[変換]を別のキーに置き換えるだけ」のようなささやかなカスタマイズでも十分に効果があります。

自分の場合のキーカスタマイズ

 ちなみに、自分のキーカスタマイズは次の通りです。[ひらがな]まで親指担当キーとして、[無変換]と[スペース]は左親指担当のキー、[変換]と[ひらがな]は右手親指担当のキーとしています。

  • [無変換] → [←]
  • [スペース] → [スペース]
  • [変換] → [Enter]
  • [ひらがな] → [→]

 要するに、「親指Enter」と「親指左右カーソル」を両方採用した形です。変換操作は左手親指の[スペース]で変換して右手親指の[Enter]で確定。これに「親指左右カーソル」を加えます。変換→確定の操作に流れができて、文節移動やちょっと前後の文字を修正したくなった時のカーソル移動が親指キーでできて、とても快適ですよ。

 なお、キーカスタマイズは他にもたくさんしています。詳しい内容が知りたい方は下記のリンク先を読んでください。

 今回のこの文を書いて、改めてPCの使いやすさというのはキーカスタマイズに支えられていると認識しました。とにかくキーボードの機能は初期設定が使いにくすぎる。キーカスタマイズは必須。したがって、スペースの長いキーボードは話にならない。先日、東京ゲームショウ2017でREALFORCE R2を触ってきたのだけど、やっぱり長いスペースキーはありえねーわ、と思った*6。キーの打ちごこちは東プレのREALFORCEが最高だと思ってるので、ホントに何とかなりませんか? キートップを差し替えてスペースキーを長くも短くもできるとか。うまく工夫すればできる気がするんですけど。

2017/10/28(土)追記:「愛と哀しみの変換キー」

 とても共感できる記事があったのでリンクします。

pc.watch.impress.co.jp



*1:REALFORCE R2発表の記事リンク集

*2:なお、以下の説明は『Microsoft IME』の場合の話です。IMEによって割り当てられている機能は多少異なりますが、ろくな機能が割り当てられていないという点は似たようなものです。

*3:[無変換]には他に、IMEのモードをひらがな→カタカナ→半角カタカナに切り替えるという機能もあります(「かな切替」)。しかし、IMEオンにすることができないので中途半端ですし、IME操作は[半角/全角]・[英数]・[ひらがな]でもできます。4キーもあるくせに重複する機能が多くて役割分担がうまくできていないひどい設計。

*4:割り当てる機能によっては、キーカスタマイズソフトを使うまでもなく、IMEのキー設定(キーカスタマイズ)機能を使った方が簡単な場合もあります。

*5:なお、[変換]を置き換えた場合の英数入力中の変換([スペース]はスペースの入力になる)は[Shift] + [スペース]でできます。「再変換」はIMEのキー設定で別のキー、例えば[Shift] + [変換]や[Shift] + [Enter]あたりに割り当てておけば良いでしょう。

*6:でも、All 30gの打ち心地はやっぱりいいわぁ……とも思った(いま使っているのはAll 45g)。うっとり。店頭から無くなる前に買っておこうかしら……。いま使っているREALFORCE買ってから10年経ってるし……。そろそろいいのでは……。壊れたわけではないですが……。

東プレ キーボード REALFORCE108US 日本語配列 USB 有線接続 静電容量無接点方式 昇華印刷 ALL30g ホワイト SJ38D0

 買うとしたら、これかな。108キー荷重All 30gホワイトバージョン。右手一列シフトをしている関係で変荷重は不向き。テンキーは自分は使うのであった方が良い。黒もあるけど、本体色は白の方がいいな。キートップに油性マジックで書き込みしたりするので。

 

 ちなみにいま使っているのはこれ。108キー荷重All 45g。当時はWindowsキーアプリケーションキーが付いていてテンキー付きのモデルはこれしかなかった。