新下駄配列でもロールオーバーで打てる部分

 新下駄配列を使ってタイピングゲームでいいスコアを出したい、あるいは少しでも早く入力したいという場合の話をしようと思うのです。「新下駄配列って何?」という話は今回は省略します。機会があればいずれまた。今すぐ知りたいという方は次のページを読んでください。

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新下駄配列はロールオーバーで打てない?

 新下駄配列で速く打とうとすると、「ロールオーバーで打てない」ということがネックになってきます。ここで言う「ロールオーバー」とは、例えば「[D]を押し下げて、[D]を離す前に[K]を押す」という動作のことです。新下駄配列の場合、[D]→[K]と押して「かい」と入力しようとして[D]を離す前に[K]を押してしまうと、[D]と[K]が同時打鍵と判定されて「れ」と入力されてしまうという問題があります。

 この問題の回避方法は、基本的には[K]を押す前に[D]を離すことです。しかし、[D]を離したからでないと次のキーを押せないわけですから速度的には不利です。要するに「ゆっくり打ちましょう」ということです。ミスするくらいならゆっくり打った方が速いです。

 普通の文字入力の手段として新下駄配列を使う分にはそれでいいのですが、タイピングゲームでいちいち前のキーを離してから次のキーを押しているのでは良いスコアは出ません。

 実は、新下駄配列でもすべての部分でロールオーバーで打てないわけではありません。ロールオーバーで打てないのは、基本的にシフトが絡む単打の左右交互打鍵です。それ以外はオールオーバーで打てる部分がかなりあります。それを意識して打てると、あるいは無意識で打てるくらいまで習熟すると有利です。

 自分が新下駄配列でタイピングするときにロールオーバーできること・できないことを意識している文字列をいくつか挙げます。

ロールオーバーで打てない例

シフトキーが絡む左右交互

  • しん([L][F])
  • かい([D][K])
  • いん([K][F])
  • こと([I][S])
  • ひと([P][S])

 先に、ロールオーバーするとタイプミスになってしまうパターンを見ておきます。

 「しん」は出現率が高い上に非常にミスしやすいです。自分は「しん」が出てきたときには意図的に速度を落とします。「新下駄配列」の出だしは要注意(^_^;) 「かい」と「いん」も頻出パターン。「ひと」は出現率はそれほどでもありませんが、急いで打つと確実にミスします。1打鍵目が打ちにくいキーで、かつ2打鍵目が打ちやすいキーだからでしょう。

 全般的に、「い」([K])がシフトキーなので、左手で打ったあとに「い」を打つパターンは引っかかりやすいです。

ロールオーバーで打てる例

シフトキーがない左右交互

  • てん([F][N])
  • なん([;][F])
  • って([G][N])
  • った([G][M])
  • す。([Z][.])
  • る。([V][.])
  • です([,][Z])

 ロールオーバーで打てないパターンというのは、要するに単打面の左右交互打鍵で、かつシフトが絡む場合です。新下駄配列では「ん」([F])がシフトではないので、2打鍵目が「ん」ロールオーバーで打てるパターンがかなりあります。とは言え、左右交互打鍵でロールオーバーで打てることを瞬時に感じ取るのは習熟が必要です。「って」「った」や文末部分は明らかにシフトから外れていることが分かりやすいので、この辺から意識していくと良いと思います。

同手連打

  • てい([N][K])
  • こう([I][J])
  • して([L][N])
  • かん([D][F])
  • ない([;][K])

 同時打鍵シフトは基本的に両手を使うものしか設定されていないので、同じ手で打つ限りは好きなだけロールオーバーできます。アルペジオで打てるパターンは見逃さずに叩きましょう。

 「ない」([;][K])はアルペジオというほど打ちやすくはないかもしれませんが、これをスムーズに打てるかどうかはかなり重要です。『e-typing』の腕試しレベルチェックではよく出てくる印象があります。

[シフト]→[単打]

  • しょう([EI][J])
  • よう([DI][J])
  • せい([DN][K])
  • さい([SL][K])
  • けん([EL][F])
  • さん([SL][J])

 ロールオーバーで打てる恩恵が最も大きいのがこのパターンです。[単打]→[単打]よりも打ちやすい場合もあるくらいです。例えば、「いん」([K][F])は[K]がシフトなのでオールオーバーできません。しかし、「れん」([DK][F])になると、[K]のシフトが[D]に使われるので、[F]をロールオーバーで打つことができます。

 「ょう」「ゅう」は非常に出現率が高い連なりです。特に「ょう」は2位以下に大差を付けての1位です。この連なりを非常に打ちやすいアルペジオで打てます。例えば「しょう」は[EI][J]で打てます。新下駄配列で拗音が打ちやすい理由がここにあります。

 漢字の音読みも気持ちよくアルペジオで打てることが多いです。漢字の音読みの2文字目は「い」「う」「ん」が多く来ます。新下駄配列でシフト側に配置されている文字は、次の文字に来ることが多い文字が、

  1. 「い」([K])ならば[L]シフト
  2. 「う」([J])ならば[K]シフト
  3. 「ん」([F])ならば[D]シフト

に配置してあることが多いのです。

 なお、[単打]→[シフト]の場合はロールオーバーできません。例えば「から」([D][SJ])の場合、[D]を離さないで[SJ]を押すと、[DJ][S]と判定されて「あと」となってしまう可能性があります。[D][S][J]の順番で打鍵すればロールオーバーしても確実に「から」になりますが、打つ順番が制約されるのでは同時打鍵の魅力半減です。

 また、[シフト]→[シフト]はロールオーバーで打てますが、アルペジオで打てるパターンはそれほど多くありません。「され」([SL][DK])「られ」([SJ][DK])はそこそこ出てきます。

2文字連なり出現数100位まででロールオーバーで打てるかの一覧表

 新下駄配列を作るときに使った100万字データの2文字連なり出現数100位までの連なりをロールオーバーで打てるかどうか調べてみました。ロールオーバーで打っても大丈夫な連なりがかなりあることがわかります。同手連打と[シフト]→[単打]は感覚的にロールオーバーで打てることが比較的わかりやすいと思うので、タイピングゲームに限らず実用入力でも打てる部分を増やせると有利です。

 しかし、実際は意識して(あるいは無意識に)できているのはほんの一部です。特に、シフトが絡まない左右交互打鍵は難しいです。シフトが絡むかどうか瞬時に判断することができません。いくつロールオーバーで打てるパターンを打てても、一つでもロールオーバーでミスになるパターンを打ってしまうと台無しです。この表をマスターして、ロールオーバーで打てる部分はしっかり踏み込んでロールオーバーで打てるようになれば、『タイプウェル国語K』で総合成績Machineになれるのかなあと思ったりします。

2文字連なり出現数100位までの新下駄配列での打鍵方法一覧
順位 出現数 1

2

1


2


RO 打鍵内容
1 15033 EI J [シフト]→[単打]
2 7484 N K 同手連打
3 6341 EI   ※拗音
4 6117 G N シフトがない左右交互
5 5998 WI J [シフト]→[単打]
6 5875 L N 同手連打
7 5588 ; K 同手連打
8 5389 D K × シフトが絡む左右交互
9 5357 DI J [シフト]→[単打]
10 5318 I J 同手連打
11 5196 G M シフトがない左右交互
12 5075 D F 同手連打
13 5059 J L 同手連打
14 5009 L M 同手連打
15 4765 I S × シフトが絡む左右交互
16 4724 DN K [シフト]→[単打]
17 4691 M K 同手連打
18 4319 EO   ※拗音
19 4239 Z . シフトがない左右交互
20 4040 M . 同手連打
21 3950 Z V 同手連打
22 3904 D SJ × [単打]→[シフト]
23 3840 S K × シフトが絡む左右交互
24 3804 K L 同手連打
25 3743 X Z 同手連打
26 3740 WI   ※拗音
27 3661 E R 同手連打
28 3632 F L × シフトが絡む左右交互
29 3497 , Z シフトがない左右交互
30 3469 V . シフトがない左右交互
31 3448 F A 同手連打
32 3443 FI   ※拗音
33 3382 K V × シフトが絡む左右交互
34 3352 K A × シフトが絡む左右交互
35 3326 K J 同手連打
36 3299 J W シフトがない左右交互
37 3279 SL K [シフト]→[単打]
38 3206 DJ V [シフト]→[単打]
39 3169 L F × シフトが絡む左右交互
40 3073 DN F [シフト]→[単打]
41 3055 F , シフトがない左右交互
42 3028 S J × シフトが絡む左右交互
43 2951 J A シフトがない左右交互
44 2930 K M 同手連打
45 2925 CI   ※拗音
46 2916 F O × シフトが絡む左右交互
47 2860 S L × シフトが絡む左右交互
48 2859 GI   ※拗音
49 2854 SI J [シフト]→[単打]
50 2752 J D × シフトが絡む左右交互
51 2750 SM K [シフト]→[単打]
52 2737 EL F [シフト]→[単打]
53 2711 F S 同手連打
54 2666 N C シフトがない左右交互
55 2610 K D × シフトが絡む左右交互
56 2560 S; J [シフト]→[単打]
57 2549 F W 同手連打
58 2526 SL F [シフト]→[単打]
59 2486 O R × シフトが絡む左右交互
60 2482 A , シフトがない左右交互
61 2456 K N 同手連打
62 2447 K X × シフトが絡む左右交互
63 2443 F D 同手連打
64 2442 AK J [シフト]→[単打]
65 2322 A D 同手連打
66 2320 W E 同手連打
67 2318 O K 同手連打
68 2288 EL K [シフト]→[単打]
69 2229 K S × シフトが絡む左右交互
70 2217 V S 同手連打
71 2195 K . 同手連打
72 2121 F SM シフトがない[単打]→[シフト]
73 2090 K F × シフトが絡む左右交互
74 2086 FK A [シフト]→[単打]
75 2085 N R シフトがない左右交互
76 2076 K W × シフトが絡む左右交互
77 2071 F SK × [単打]→[シフト]
78 2050 P S × シフトが絡む左右交互
79 2046 / F シフトがない左右交互
80 2045 J SK × [単打]→[シフト]
81 2043 F AL × [単打]→[シフト]
82 2041 WO   ※拗音
83 2033 D H × シフトが絡む左右交互
84 2033 W ; シフトがない左右交互
85 2026 SJ K [シフト]→[単打]
86 2023 , E シフトがない左右交互
87 2016 @ F シフトがない左右交互
88 2006 E ; シフトがない左右交互
89 1996 H L 同手連打
90 1958 R I × シフトが絡む左右交互
91 1951 , DJ × [単打]→[シフト]
92 1942 V A 同手連打
93 1935 ; D × シフトが絡む左右交互
94 1922 I A × シフトが絡む左右交互
95 1920 K G × シフトが絡む左右交互
96 1915 AO   ※拗音
97 1914 A L × シフトが絡む左右交互
98 1910 , R シフトがない左右交互
99 1889 A E 同手連打
100 1885 EI H [シフト]→[単打]
  • ROはロールオーバーで打てるかどうか
  • 1文字目が拗音文字の場合の1動作目は一例