2015年のヤクルトのお立ち台に上がった選手を調べてみました。と言うのは、ヤクルトのお立ち台に上がる選手の傾向が変わったような気がしたからです。
ヤクルトファンクラブ(Swallows CREW)では、お立ち台に上がる選手を試合前に予想して、当たると当たった人で10000ポイントを山分けでもらえるという企画があります。開始から3年になりますが、昨年までは「1試合につき10000ポイント」だったのが、今年から「お立ち台に上がった選手1人につき10000ポイント」に変わりました。人気薄の選手で当てると大量ポイントをもらえる可能性が増えて面白味が増しました。実際にもらえるポイント数は大したことはないのですが、試合前に展開を予想して応援選手登録を決めるのは楽しいことです。
お立ち台と言えば、ヤクルトファンには有名なエピソードがあります。石井弘寿が引退試合でお立ち台でインタビューを受けた時に、お立ち台に上がったのはこれが初めてだと語ったのです。石井弘寿ほどの選手がお立ち台に上がったことがないなんて! 自分もこの発言が強烈に印象に残っているので、リリーフ投手がお立ち台に上がるということは、めったにないことなのだと認識していました。
しかし、今年のヤクルトのお立ち台を見ていると、あれ? 結構リリーフ投手がお立ち台に上がることが多くなかった? という気がしてきますした。というわけで調べてみました。
月日 | 対戦相手 | 点数 | 選手 | 役割 | 内容 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
03/31 | 阪神 | 4-3 | 成瀬善久 | 先発投手 | 5回3失点 | - |
雄平 | スタメン | 1本塁打2二塁打 | ||||
畠山和洋 | スタメン | 決勝適時打 | ||||
04/02 | 阪神 | 9-2 | ロマン | 先発投手 | 5回1失点 | - |
山田哲人 | スタメン | 決勝本塁打、2本塁打 | ||||
04/08 | 中日 | 2-1 | オンドルセク | リリーフ | 1回無失点、来日初勝利 | 3安打2得点の川端呼ばれず |
田中浩康 | スタメン | サヨナラ適時打 | ||||
04/09 | 中日 | 3-2 | 新垣渚 | 先発投手 | 5回2失点、移籍後初勝利 | - |
畠山和洋 | スタメン | 決勝適時打 | ||||
04/15 | 広島東洋 | 1-0 | 石山泰稚 | 先発投手 | 7回無失点 | 決勝打の雄平呼ばれず |
04/17 | 横浜DeNA | 3-1 | 小川泰弘 | 先発投手 | 8回1/3無失点 | - |
雄平 | スタメン | 決勝本塁打 | ||||
04/18 | 横浜DeNA | 3-1 | 石川雅規 | 先発投手 | 7回無失点 | 決勝打3安打の雄平呼ばれず |
04/19 | 横浜DeNA | 9-8 | 上田剛史 | 控え野手 | 同点適時打、サヨナラ失策打 | 逆転本塁打の川端呼ばれず |
04/24 | 巨人 | 3-2 | 川端慎吾 | スタメン | サヨナラ適時打 | - |
04/25 | 巨人 | 5-0 | 石川雅規 | 先発投手 | 完封勝利 | - |
05/01 | 広島東洋 | 5-4 | 小川泰弘 | 先発投手 | 7回3失点 | - |
上田剛史 | スタメン | 3点適時三塁打 | ||||
05/03 | 広島東洋 | 7-3 | 古野正人 | リリーフ | 4回無失点 | 風張蓮がプロ入り初先発。打者2人で危険球退場 |
田中浩康 | 控え野手 | 代打決勝適時打 | ||||
荒木貴裕 | 控え野手 | 3点本塁打 | ||||
05/19 | 横浜DeNA | 2-1 | 古野正人 | 先発投手 | 6回1失点、決勝得点 | - |
05/21 | 横浜DeNA | 4-3 | 畠山和洋 | スタメン | サヨナラ適時打 | 1回1/3無失点で勝利投手の秋吉呼ばれず |
05/28 | 日本ハム | 7-4 | 成瀬善久 | 先発投手 | 7回2/3 4失点(7回までは無失点) | - |
川端慎吾 | スタメン | 決勝適時打、3安打 | ||||
06/02 | 東北楽天 | 4-3 | 古野正人 | 先発投手 | 7回1失点 | - |
畠山和洋 | スタメン | 決勝本塁打、2本塁打 | ||||
06/06 | 千葉ロッテ | 9-4 | デニング | スタメン | 3安打 | 3安打2打点の川端など呼ばれず |
畠山和洋 | スタメン | 3安打1本塁打 | ||||
今浪隆博 | スタメン | 4安打3打点 | ||||
06/07 | 千葉ロッテ | 8-4 | デニング | スタメン | 決勝満塁本塁打 | - |
山田哲人 | スタメン | 2本塁打 | ||||
06/28 | 巨人 | 5-0 | 山田哲人 | スタメン | 決勝本塁打 | 館山復帰戦。4回4失点 |
06/30 | 阪神 | 4-3 | 大引啓次 | スタメン | 決勝適時打 | - |
07/01 | 阪神 | 6-4 | 成瀬善久 | 先発投手 | 6回3失点 | - |
デニング | スタメン | 決勝適時打 | ||||
山田哲人 | スタメン | 本塁打 | ||||
07/02 | 阪神 | 10-1 | 山中浩史 | 先発投手 | 6回2失点 | 決勝本塁打のデニング呼ばれず |
山田哲人 | スタメン | 2本塁打 | ||||
07/10 | 横浜DeNA | 4-2 | 石川雅規 | 先発投手 | 6回1失点 | 決勝適時打の雄平呼ばれず |
山田哲人 | スタメン | 同点本塁打 | ||||
07/11 | 横浜DeNA | 5-1 | 館山昌平 | 先発投手 | 6回1失点、1019日ぶりの勝利 | - |
07/24 | 中日 | 7-5 | 館山昌平 | 先発投手 | 7回3失点 | 4安打の川端呼ばれず |
大引啓次 | スタメン | 決勝本塁打 | ||||
07/25 | 中日 | 6-5 | 川端慎吾 | スタメン | 同点本塁打 | - |
山田哲人 | スタメン | 同点本塁打、決勝適時打 | ||||
07/26 | 中日 | 6-5 | オンドルセク | リリーフ | 1回無失点 | 決勝本塁打の川端、本塁打の山田、5回6失点先発勝利の山中呼ばれず |
ロマン | リリーフ | 1回無失点 | ||||
バーネット | リリーフ | 1回1失点 | ||||
07/29 | 広島東洋 | 6-5 | 小川泰弘 | 先発投手 | 6回1失点 | 連続本塁打の川端、山田呼ばれず |
比屋根渉 | スタメン | 今季初本塁打 | ||||
08/06 | 巨人 | 5-3 | デニング | スタメン | 決勝本塁打 | - |
08/15 | 阪神 | 9-1 | 館山昌平 | 先発投手 | 5回1失点 | 3安打の川端呼ばれず |
秋吉亮 | リリーフ | 1回1/3無失点 | ||||
08/22 | 中日 | 13-2 | 山田哲人 | スタメン | 3本塁打、4打数連続本塁打 | 6回2失点先発勝利の石山、4安打の川端呼ばれず |
08/25 | 巨人 | 5-2 | 石川雅規 | 先発投手 | 7回2/3 2失点 | 3安打の川端、本塁打の山田呼ばれず |
中村悠平 | スタメン | 本塁打 | ||||
08/26 | 巨人 | 4-0 | 小川泰弘 | 先発投手 | 7回1/3無失点、先制押し出し四球 | - |
08/27 | 巨人 | 2-0 | 川端慎吾 | スタメン | 決勝適時打 | - |
田中浩康 | 控え野手 | 代打安打、盗塁 | ||||
09/04 | 広島東洋 | 4-2 | ミレッジ | スタメン | 今季初本塁打 | 決勝適時打の山田呼ばれず |
バーネット | リリーフ | 1回無失点 | ||||
09/06 | 広島東洋 | 6-0 | 館山昌平 | 先発投手 | 7回無失点 | 決勝適時打の大引呼ばれず |
山田哲人 | スタメン | 3安打、今季30盗塁 | ||||
09/10 | 横浜DeNA | 3-1 | 石川雅規 | 先発投手 | 6回2/3無失点 | - |
大引啓次 | スタメン | 決勝本塁打 | ||||
09/15 | 横浜DeNA | 2-1 | 中村悠平 | スタメン | サヨナラ適時打 | - |
09/16 | 横浜DeNA | 9-1 | 川端慎吾 | スタメン | 3点適時三塁打 | 7回1失点で先発勝利の石川呼ばれず |
畠山和洋 | スタメン | 決勝打点、3点本塁打 | ||||
09/19 | 巨人 | 10-4 | バレンティン | スタメン | 3安打 | - |
雄平 | スタメン | 決勝本塁打 | ||||
09/22 | 広島東洋 | 4-2 | 石川雅規 | 先発投手 | 6回1失点 | - |
バーネット | リリーフ | 1回1失点。球団タイ記録37S | ||||
09/23 | 広島東洋 | 6-0 | 館山昌平 | 先発投手 | 7回無失点 | - |
畠山和洋 | スタメン | 決勝適時打、本塁打 | ||||
09/24 | 横浜DeNA | 4-2 | 小川泰弘 | 先発投手 | 6回2失点 | - |
バーネット | リリーフ | 1回無失点。球団新記録38S | ||||
山田哲人 | スタメン | 決勝本塁打、2本塁打 | ||||
09/28 | 中日 | 6-2 | 杉浦稔大 | 先発投手 | 5回2/3 2失点 | - |
川端慎吾 | スタメン | 3安打1本塁打 | ||||
上田剛史 | スタメン | 4安打1本塁打 | ||||
10/02 | 阪神 | 2-1 | - | - | - | 優勝決定試合のため、お立ち台なし |
選手名 | 回数 | 位置 |
---|---|---|
山田哲人 | 10 | 内野手 |
畠山和洋 | 7 | 内野手 |
石川雅規 | 6 | 投手 |
川端慎吾 | 6 | 内野手 |
小川泰弘 | 5 | 投手 |
館山昌平 | 5 | 投手 |
バーネット | 4 | 投手 |
デニング | 4 | 外野手 |
成瀬善久 | 3 | 投手 |
古野正人 | 3 | 投手 |
大引啓次 | 3 | 内野手 |
田中浩康 | 3 | 内野手 |
雄平 | 3 | 外野手 |
上田剛史 | 3 | 外野手 |
ロマン | 2 | 投手 |
オンドルセク | 2 | 投手 |
中村悠平 | 2 | 捕手 |
石山泰稚 | 1 | 投手 |
秋吉亮 | 1 | 投手 |
杉浦稔大 | 1 | 投手 |
新垣渚 | 1 | 投手 |
山中浩史 | 1 | 投手 |
荒木貴裕 | 1 | 内野手 |
今浪隆博 | 1 | 内野手 |
比屋根渉 | 1 | 外野手 |
バレンティン | 1 | 外野手 |
ミレッジ | 1 | 外野手 |
役割 | 回数 |
---|---|
先発投手 | 26 |
リリーフ投手 | 9 |
スタメン野手 | 42 |
控え野手 | 4 |
やはりリリーフ投手が9回もお立ち台に立っています。これはかなり多い回数だと思います。一昨年も調べましたが、その時は2回だけでした。これは、今年のヤクルトのブルペン陣が優勝に大きく貢献したことを象徴していると思います。
特に象徴的だったのが7/26の中日戦。ロマン、オンドルセク、バーネットの“ROB”がお立ち台に上がった試合。通常、真っ先にお立ち台候補に挙がるのは、先発で勝利投手になった投手か決勝打を打った選手です。この日の先発の山中浩史は勝利投手にはなったものの、5回6失点と内容が悪かったので候補から外れます。決勝点は3回裏に3-3から川端慎吾が放った勝ち越しソロ本塁打ですが、その後も両チーム点を取り合って6回終了時で7-6と僅差のゲームになっています。そこからROBの3人が登板して8-7で逃げ切った試合でその3人がお立ち台というのは良いタイミングでした。
8/15の秋吉亮、9/4のバーネットも確かに勝利に貢献する好リリーフではありましたが、これまでの基準ならヒーローインタビューに呼ばれることはなかったと思います。バーネットが球団のセーブ数記録を更新したのも大きい。タイ記録、新記録とも神宮で達成したので2回立て続けにお立ち台に呼ばれました(こうなると6/6の秋吉も呼んでほしかったですが)。
とは言え、確かに今年に“ROB”の活躍は傑出でしたが、石井弘寿だって、五十嵐亮太とコンビで“ロケットボーイズ”と呼ばれて人気・実力ともに十分の選手でした。それでお立ち台が引退試合の1回だけなのですから、やはり不遇です。石井弘寿のあと、藤川球児や浅尾拓也の活躍を経て、ようやくセットアッパーにも人気が集まる時代になったということでしょうか。
その他に調べていて印象に残ったことがいくつか。
まず前提として、お立ち台に呼ばれやすい選手は、先発で勝利投手となった投手と、決勝打を打った選手です。先発投手だと、5回3失点くらいの内容でも勝利投手になればまず呼ばれます。8/22の石山泰稚、9/16の石川雅規が呼ばれていないのは例外的。特に9/16の石川はなんで呼ばれてないんだろう? 8/22は山田が4打数連続本塁打を打ったお祭り騒ぎの日だったので仕方ないけど。ほかに、4安打の川端も呼ばれていない。
その上で、人気選手をお立ち台に呼ぶと共に、バランスを取ってお立ち台に上がる選手を選ぶという、ある意味相反する傾向が見られます。ヤクルトで人気選手と言えば、何といっても山田哲人。昨年、2014年の最終戦では、最終戦セレモニーのためお立ち台がないため、誰がヒーローかに関係なく山田哲人を応援登録した人でポイント山分けするという、意味不明の球団挙げての山田シフトが敷かれていました。
今年の山田も“トリプルスリー”を達成するという文句なしの活躍を継続。当然、老いも若きもみんな山田に夢中な状況も継続しています。お立ち台回数もトップです。7/1、7/10は確かに山田は本塁打を打っているけれど、7/1はリードしている場面での本塁打。7/10は同点本塁打ではあるけれど、決勝タイムリーの雄平を差し置いている。どちらも打ったのが山田でなければお立ち台には呼ばれなかった気がします。
ところが、これがやり過ぎだと反省したのか(?)、これ以降はこれまでの基準なら山田がお立ち台に上がっても良さそうな試合で呼ばれないことが増えます。7/29の広島戦は明確なヒーローのいない試合。印象に残る場面は川端、山田の連続本塁打だったのでこの2人でもいいかなと思いましたが、打者で呼ばれたのは同点でも勝ち越しでもない今季初本塁打の比屋根渉。今季の比屋根のお立ち台はこの1回だけです。8/25の巨人戦は、投手は7回途中まで無安打無得点だった石川雅規で文句のないところですが、決勝点はミレッジの押し出し四球でそのミレッジは無安打なので微妙になりました。1本塁打、1二塁打、2四球の山田かなと思いましたが、打撃では本塁打・守備では石川の好投をリードした中村悠平が呼ばれました。
新入団選手、復帰した選手が呼ばれる傾向もあります。今年だと、成瀬善久、大引啓次、館山昌平、ミレッジ、バレンティン、杉浦稔大などが、入団・復帰後活躍した試合でさっそくお立ち台に呼ばれています。今季の入団ではありませんが、新垣渚、山中浩史、今浪隆博もこの系統です。
6/6の千葉ロッテ戦のデニングは3安打でしたが、打点ゼロなので通常ならお立ち台に呼ばれる内容ではありません。新加入した選手を早めにお立ち台に呼びたい思惑が働いたと思います。翌日の6/7は決勝満塁本塁打という文句のない内容で連日のお立ち台となりました。この順番が逆だったら、6/6の分のお立ち台はなかったでしょう。まあ、6/6のお立ち台で気分が良くなって翌日の満塁本塁打が出たと考えることもできますが。
デニングと言えば、8/6の巨人戦お立ち台も印象強い。三塁ガラ空きの極端なデニングシフトの頭上を越えていくという、ヤクルトファンには痛快な本塁打を放ちました。さらに次の打席では同じシフトに対してセーフティバントを試みています(結果はファール)。ほかにも7/2の阪神戦もお立ち台に呼ばれてもおかしくない内容。前日の7/1にも呼ばれているので連日のお立ち台を避けてバランスを取った感があります。結局デニングは、ヒーローインタビュー級の活躍を5試合しているわけです。成績を見ると数字はいまいちでほかに選手はいなかったのか?とも思いますが、お立ち台の状況を調べるとみるとスタメンで起用され続けたのも納得できます。