「ファイティング・ファンタジー・コレクション」第4弾の表題作である『サラモニスの秘密』をようやくクリアしました。
まだ1回クリアしただけで精読するのはこれからですが、現段階でもこれから読み始めるという方にぜひ知ってほしいということがいくつかあったので、書いておきます。
この記事はネタバレはあまりないですが、序盤の展開の驚きも味わいたいという方は読まない方が良いです。内容としても、少し物語が進んでゲームの構造をつかんだあたりで読んでいただいても十分間に合うものです。
ただし、1つ目の項目の「開始時の能力値は、技術点6・体力点12・運点6」だけは、これから読み始める方にとっても非常に重要なので、プレイ開始する前にぜひ読んでください。
- 開始時の能力値は、技術点6・体力点12・運点6
- 「6・12・6」では厳しすぎる?
- 報酬はサラコイン
- 〈綴り呪文〉表は「50音対応表」を使おう
- 能力値アップの機会はいつ?
- 2024/04/17(水)追記:X(旧Twitter)アンケートを作りました
開始時の能力値は、技術点6・体力点12・運点6
ルールを読んで、能力値はいつもの通り……と思ったら、重大な訂正が発表されています。
- Group SNE | 製品情報 | ファイティング・ファンタジー・コレクション 40周年記念~スティーブ・ジャクソン編~「サラモニスの秘密」
http://www.groupsne.co.jp/products/aff/affcolection4.html#support
【エラッタのお知らせ】
— グループSNE@ゲムマ両日エリア16 (@GroupSNE) 2024年2月21日
FFコレクション ~スティーブ・ジャクソン編~「サラモニスの秘密」のエラッタを更新しました。
重要なエラッタとなりますので、『サラモニスの秘密』をプレイする前にご覧下さい。誠に申し訳ありませんでした。https://t.co/2TSvKZSNGU
能力値は、いつものようにサイコロを振って決めるのではなく、技術点6・体力点12・運点6の固定値で開始というのが正しいルールです。いつもの能力値決定のルールは「サイコロ+固定値」ですが、今回はこの固定値の部分だけを持って開始するということになります。
このミスは、原書の読者から旧Twitterで指摘があったことに、安田均先生が気づかれたことで発覚したという経緯があります。
ありがとう。つい、いつものキャラ作成部分、コピペがそのままになってるね。こちらの厳しいのが正しい。でも、実際にやってみると、これはかなりきついよ。戦闘しなくても体力点が減ることが多いし。食い物等、全てなくしてスタートだから。エラータ明日上げますが、駆け出しとはいえ厳しい設定だ。 https://t.co/uWb8Dxc09R
— 安田均 (@yasudahitoshi2) 2024年2月20日
下記のページでは、訂正された当該ページ(446-447ページ)がPDFで配布されています。
- ファイティング・ファンタジー・コレクション 40周年記念~スティーブ・ジャクソン編~「サラモニスの秘密」 | SBクリエイティブ
https://www.sbcr.jp/support/4815617819/
「6・12・6」では厳しすぎる?
しかし、「6・12・6」というのは、いままでのFFシリーズを考えると衝撃の数字です。ただでさえ、「たった一つの真実の道」*1で「どんな能力値でも任務達成は可能」などとうたっておきながら、実際は最初の能力値決めのサイコロでひどい目を振ってしまうと任務達成はほぼ不可能みたいな作品が多いのに、まさか今までの最低能力値より低い能力値でプレイさせられるとは。こんな能力値では苦労するばかりだろう、と思う方も多いでしょう。
安田先生も、このルールはやや厳しいので、技術点+1・体力点+2・運点+1してはどうかという見解を旧Twitterで書かれています。
「サラモニスの秘密」のエラータは申し訳ないですが、原書は厳しいものなので、気楽に遊ぼうと思えば最初技術点、運点に各+1、体力点に+2を加えてもよさげです。能力値は名誉点を集めて上昇できますが、最初そこに行き着くのが大変。特に運点6は<運だめし>失敗すると冒険者失格になるのできついです^^
— 安田均 (@yasudahitoshi2) 2024年2月21日
しかし、自分がプレイしたところ、技術点6・体力点12・運点6でも、任務達成は十分可能です。確かに、最初のうちは運だめし失敗で序盤でバッドエンドになる可能性が高いですが、選択次第でそれは確実に回避できます。何回かプレイして構造がわかってくれば、序盤でにっちもさっちもいかなくなるということはなくなると思います。
初めてすぐに気がつきますが、今回の物語はこの能力値でプレイすることがふさわしい内容となっています。ゲームブックはゲームであると同時に物語でもあります。ゲームと物語は別個に存在しているのではなく、融合しています。ここは能力値で物語を表現しているのだと思います。
序盤で終了するのがつらいというのは確かにそうですが、これもスティーブ・ジャクソンが表現したかったことの一部だと思うので、ここは味わっておくべきかなと思いました。
なお、この意見は、これまでのFFコレクションをすべてクリアしているFFシリーズに慣れた人の意見であるということも考慮して受け取って下さい。ゲームブックをどのようにプレイするかは、まったくその人の自由です。
報酬はサラコイン
訂正は、上記のもの以外にもう1つ発表されています。
- XユーザーのグループSNE@ゲムマ両日エリア16さん: 「【お知らせ】 FFコレクション『サラモニスの秘密』のエラッタを掲載しました。 パラグラフ「四六二」に関する内容になります。 畏れいりますが、該当パラグラフをご覧になられる時に、エラッタ内容をご確認ください。 https://t.co/2TSvKZSNGU」 / X
https://twitter.com/GroupSNE/status/1764592098660196774 -
Group SNE | 製品情報 | ファイティング・ファンタジー・コレクション 40周年記念~スティーブ・ジャクソン編~「サラモニスの秘密」
http://www.groupsne.co.jp/products/aff/affcolection4.html#support
462番は「二金貨」ではなく「ニサラコイン」が正しいです*2。「6・12・6」ほどではありませんが、影響はそこそこある訂正なので、押さえておきましょう。自分は訂正が出る前に1回「二金貨」としてプレイしていて、その回はかなりうまくいってしまいました(^_^;) *3
〈綴り呪文〉表は「50音対応表」を使おう
本作で大注目の〈綴り呪文〉。アドベンチャーシートにでかでかと表が載っているのに、ルールでは一言も触れられていないのがやきもきさせます。357番でついに詳細が説明されますが、そこの説明に書かれていないことが。
357番の説明の通りに行なうと、アドベンチャーシートの「〈綴り呪文〉表」を見てアルファベットに対応する数字を1つずつ拾って、その数字を(修正値も)合計することになります。しかし、ローマ字綴りに対応するアルファベットから拾うことになるので、文字数が多くて足し算が結構大変です。
実は、本文では触れられていないのですが、「〈綴り呪文〉表」の左に「〈綴り呪文〉表 50音対応表」というものがあります。こちらの表だと、ローマ字の子音と母音が合計された数字を拾えます。こちらの方が足し算の回数が少なくて済むので楽。ローマ字綴りの不一致も防げますし、足し算の計算ミスも確実に減ります(^_^;) ありがたく使わせていただきましょう。*4
ただし、促音と拗音などは50音対応表には載っていないので、その部分はアルファベットから拾うしかありません。
能力値アップの機会はいつ?
さすがに技術点6・体力点12・運点6のまま最後まで行くということはないだろうと思っていましたが、やはり能力値アップのイベントがありました。
しかし、能力値上昇の指示があるのは389番か297番だけで、これ以降この項目は通りません。つまり、能力値上昇の機会は1回しかないことになります。てっきり、イベントをこなして“経験値”を得て、それを消費して少しずつ能力値を上昇させるという、ゲームとしてはよくあるシステムなのだと思ったのですが……。
この疑問点については、下記のブログ記事で詳しく分析されているので、引用します。
NOVA『たぶん、できると思う。ただ、ゲームブックでは成長がいつできるのか、という記述がない。考えられる可能性はいくつかあるが、羅列してみよう』
1.ゲームブックの記述どおり、名誉点による能力値成長はパラグラフ297番のみである。冒険後の成長はなし。
これはゲームとして非常につまらない形となる。TRPGのAFFとの関連を考えても、冒険を達成して名誉点を獲得し、成長することがゲームの醍醐味の一つと言えるし、従来のFFゲームブックみたいに能力の成長ができなければ、名誉点を稼ぐ理由がただの特定ミッション選択の可否の条件付け、および、『サイボーグを倒せ』の英雄点のような冒険達成度の目安でしかない。
《中略》
冒険後に名誉点を貯めて成長することはできないというマゾヒスティックな裁定をするなら、キャラ育成の自由度や楽しさを完全放棄する形となり(技術点1本伸ばし以外の選択がとれない)、ジャクソンがそういう愚かなゲームにするとは思えない。よって、パラグラフ297番の「名誉点による成長ルール」は冒険を始めた後も随時、行えると解釈すべきである。
ここに書かれているように、1回しか能力値上昇の機会がないのではゲームとしてはややつまらないです。また当初は、この後も名誉点を得る機会はあるのにそれを使えないのは不自然だと思いましたし、能力値も十分に上昇できない気がしていました。
しかし自分は、実際の進行通り、能力値上昇の機会は389番か297番を通る1回しかないということなんだろうと思いました。能力値上昇以外にも名誉点を獲得する意味はありましたし(効果としては寂しい気もしますが、意味があるという点では十分)、1回だけの能力値上昇だけでも十分クリアできると思います。逆に、この後も能力値を上昇できるとすると、ゲームバランスはやや甘くなってしまう気がします。*5
確かに、能力値上昇の機会が1回しかないのでは、伸ばす能力値を選択する楽しさはかなり薄くなりますが、このゲームブックでのこのシステムは、その楽しさを意図したものではないのかなあ……と思いました。
もし、能力値上昇はこれ以降もできると解釈するなら、上記のブログ記事に書いてある通り、能力値上昇は383番で行えるとするのが適切でしょう。
あと、もう1つの疑問点として、原点を上昇させると能力値を原点まで回復するという指示があるのですが、これが原点を上昇させた能力値のみ回復するのか、全能力値が回復するのかが曖昧だというものがあります*6。自分は、ゲームの常識的に考えて、原点を上昇させた能力値のみ回復すると解釈しました。
2024/04/17(水)追記:X(旧Twitter)アンケートを作りました
この記事で取り上げたルールについて、旧Twitterでアンケートを作ってみました。開始時の能力値を何点にするか?と、能力値アップをいつ行なうか?の2問作りました。よろしければぜひご回答ください。
『サラモニスの秘密』
— kouy (@y_koutarou) 2024年4月16日
開始時の能力値。あなたなら何点で開始しますか?
(1d6=サイコロ1個、2d6=サイコロ2個)
『サラモニスの秘密』
— kouy (@y_koutarou) 2024年4月16日
名誉点による能力値アップは、いつ行ないますか?
- XユーザーのYas Yasさん: 「#ファイティングファンタジー #サラモニスの秘密 (サラモニスの秘密微ネタバレ注意) パラグラフ462、 これは…もう他で指摘されていると思うけど「二金貨」じゃなくて「二サラコイン」の間違いだなぁ、きっと。 しかし、このパラグラフでますます運試しに頼らず冒険者になるのが難しくなったなぁ。」 / X
https://twitter.com/YasYas46907711/status/1762516186624127247
*3:
- Xユーザーのkouyさん: 「マジかw 素直に1人頭金貨2枚、もう貰っちゃったよ(^_^;) 影響はそこそこあった気がする。 確かに215番には「一人につき二サラコイン支払おう」って書いてありましたね……。#サラモニスの秘密」 / X
https://twitter.com/y_koutarou/status/1764656627263864937
*4:1つだけ誤植が。50音表の「ロ」となるはずの文字が「オ」になっています。
*5:これも、FFコレクションをすべてクリアしているFFシリーズに慣れた人の意見であることも差し引いて受け取って下さい。
*6:297番では「現在の能力値をその原点まで回復する」と書かれているので、“その原点”つまり上昇させた原点まで回復する=上昇させていない能力値は回復しないと解釈することも可能です。しかし、389番では「現在の能力値を原点にまで回復する」としか書かれていないので、どちらとも取れる記述になっています。